2019/08/05 15:36

スクェアトウのダービーと洒落た穴飾りのローファー…しかも素材はウイスキーコードバンで製造がエドワードグリーンというハイスペックな靴が今回の主役だ。
ノーザンプトンの雄エドワードグリーンがジョンロブ(エルメス傘下の既成)に買収されたのが1990年代中頃、その後新生エドワードグリーンが再興され、今ではジョンロブと並び英国既成靴のトップ2として認められている。
何しろ"English master shoemaker to the few"(限られた顧客のために優れた靴を作る)を社是としていたエドワードグリーン、その魅力と英国靴としての実力を振り返ってみようと思う。
(1) 1989年 Loyd Footwear Master Loyd(#32)

当時青山のロイドフットウェアで買った#32ラストのドーバー。英国靴の傑作と言われるが当時の価格はなんと48,000円(安い!)。同じ素材で#33ラストのポールセンスコーン版がビームスFで59,000円だったからロイドのお買い得感が際立った。
(2) 1991年 London Harrods Cadogan(#202)

フラットを借りて英国に長期ステイした1991年の夏…エドワードグリーンを最初に買ったのはハロッズだった。その後バーリントンアーケードのブティックを教えてもらって結局5足も購入、植物なめしの革底から香る匂いがフラット中に広がったことが昨日のように思い出される。
(3)1992年 London Foster& Son Gresham(#88)

注文靴屋のフォスター&サンは敷居が高く、初訪問は1992年の冬だった。ウィンドウ越しに見たチャッカブーツが欲しくて入店、なぜかジョッパーブーツを買って店を出た。色はまたもやチェスナッツアンティークだったが、エドワードグリーンらしい色むらが当時のお気に入りだった。
(4-1) 1995年 BrooksBrothers青山 PEAL(#192)

ブルックスブラザーズが商標権をもつロンドンの注文靴屋ピールの名を冠したセミブローグ。勿論エドワードグリーン製で当時はNY本店でも青山店でも別格扱いだった。フラットな甲とウォール状のつま先はラスト#192の特徴、当時の箱も付属していてヒストリックコレクションとしての価値も高い。
(4-2)1995年 BrooksBrothers青山 PEAL(#192)

こちらが当時の箱。昔はJM.ウェストンもクロケット&ジョーンズも外箱はたいていそっけないものだった。特に海外では箱が邪魔になるので「箱なしで…」とお願いしてシューバッグに入れた状態で店を出ることが多かった。外箱の9-E表記は米国サイズ、英国サイズだと8.5-Eの黄金サイズということになる。
(5) Sandringham & Butterfly loafer

冒頭の2足に話を戻そう…
コードバンは本来カントリーユースの素材らしいが、エドワードグリーンにかかると一気に艶(色気)っぽくなる。自らmaster shoemakerと名乗るだけあって同じコードバン使いの米国製オールデンとは対照的な精緻さがある。
是非この希少な靴を手にしてみて欲しい。
by Jun