2019/11/05 10:03
(1) ファーストイヤーのRRL
1993年、ニューヨークマディソン街のラルフローレン本店向かいに出来たポロスポーツショップの一画で始まったRRL。古着ショップと見紛うばかりの店内の商品はどれも新品…タグに至るまで徹底的に作り込んだ商品は正に衝撃的だった。
あれから25年、四半世紀が過ぎてなお魅力的な商品を展開し続けているRRLの第一期にスポットを当てて今回は記事を書いてみたいと思う。
(2) 通称3つ星の第一期タグ
タグ上の左右に配された赤い3つ星が第一期RRLのアイコン。現行品よりも値段は抑え目でポロラルフローレンの下に位置する価格設定と聞いたことがある。現行品同様デニムはアメリカ製で後にセルビッジ仕様も出されたが当時から日本製のデニムだったはずだ。一点、裾上げだけは当時チェーンステッチではなく現行品のこだわりが第一期を上回っている。
(3) ハイウエストのシルエット
第一期RRLのバックポケットステッチはシンプルなストレートのダブルライン。コインポケットの裏にもセルビッジを配するなど丁寧な作りはビンテージのリーバイスが高値で取引されていた当時に一石を投じた。ラルフローレンのねらいもそこにあったのだとしたら流石だと思う。
(4) エイジング加工済のワークパンツ
徹底的に洗いとスオーンウォッシュをかけたデニムは肌触りも風合いも満点、ラルフローレンのブーツと合わせればアメリカンワークウェアの世界を十分楽しめる。この味わいは他のブランドには見られないもの…これだけ手間をかけることのできるブランドは世界中でもラルフローレンだけだろう。
(5) 新旧比較
どちらも厚手のコットンダック地。上が第一期のRRLで下が現行品。見て分るとおり生地の打ち込みの密度が全く違う。両者には25年の開きがある訳で、こうしてみると月日の移り変わりは縫製や製造工程の変更は勿論、素材自体の変化も影響を与えていることが分かる。
(6) ディテールに拘る
ボタンフライのボタンもRRLの刻印入りと手抜かりはない。リジットデニムやセルビッジデニム、ローライズに細身のシルエットがひと段落して国内のジーンズ市場も縮小傾向にあるという。今気になるのはこうしたワークウェアとしてのデニム…第一期RRLのようなアイテムの再来は無理なのだろうか。
(7) 小物のクオリティ
こちらは小物だが、レザーのツバにコットンツイルのキャップ。第一期はこうした小物にもアメリカ製が存在した。ここでも洗いをかけ色褪せた雰囲気を出した帽子がいい味を出している。トラッカーが好んで被りそうな正面の刺繍も格好良い。
(8) RRLのトップス
デニムシャツなど一部はアメリカ製もあったが、定番のチェック(フランネル)シャツなどは新興工業経済地域(NIES)が製造を請け負っていた。ボタンの形状や大きさ、色にこだわり納期遅れもしばしばと言われたラルフローレン社らしい細部に渡るまで拘り抜いた製品に仕上がっている。
(9) アメリカ製のビンテージスウェット
チャンピオン などアメリカのアスレチックウエアのようなシェルに包まれた着心地とは対極…ともすると役目を終えたかのようなクタリ感のあるジップスエット。こちらもアメリカ製で、RRL専用のショップを覗いてはアメリカ製品を見つけ買い込んだことを思い出す。
(10) 現行品のブーツと合わせる
第一期RRLに唯一足りなかったのが良質なフットウェア。現行のRRLはブーツとシューズが充実している。10インチのワークブーツ(左)はソログッド別注(恐らく)で、コンビのエンジニアブーツ(右)はジュリアンブーツと言われていたがどうやらウエスタンブーツ界のトップ、リオスオブメルセデス別注のようだ。どちらもファクトリーを上回る格好良さに感心してしまう。
第一期のRRLが終わりを迎えた時、二度とこれほどのコレクションが出てくるとは考えられなかったがなんと、ラルフローレン社から再登場したことは驚きだった。ビンテージテイストの商品が他にないことや市場からの要望、何よりラルフローレン社にとってもRRLは特別だったのだろう。ファーストランナーとしてリプロダクツの古着というカテゴリーを世に問うた第一期のRRLは衝撃と共に今も魅力的なアイテムであり続けている。
by Jun