ツイードの魅力(スーツ編) | Room Style Store

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2019/12/02 13:24

肌寒さを感じるとツイードが着たくなる。朴訥としたヘリンボーンのハリスツイードやカラーネップの入ったドニゴールツイード…気分を変えて毎日でも着たくなる魅力がある。気がつけばウエストコートからジャケットにコート、トラウザーズやキャップにハット、果てはバッグにグローブ、シューズやブーツまで…身の回りにはツイード使いのアイテムが溢れている。そこで今回はかくも自分を魅了するツイードをお気に入りのラルフローレン特製ツイードスーツをもとに振り返ってみようと思う。

(1)ツイードスーツ

ワイドなショルダーにタイトなウエスト、ジャケットボタンは5つもあるしズボンも思い切り幅広だ…こりゃ40年代のビンテージものかサビルロウ仕立てか?…正解はラルフローレン、しかも90年代ものだから既に25年、四半世紀が過ぎている。さしずめビンテージ予備軍か。英国仕立てを既製服で再現したら…そんなこだわりを感じさせる。


軽いスーツが全盛の近頃じゃあ決して出てこない素材と作り、思い切りシェイプの効いたラルフローレンの逸品、 90年代ツイードスーツを今回は紹介してみたい。


(2)アメリカ製のタグ

右はジャケット内側のポケットに縫い付けられたユニオンメイドのタグ、左は上襟裏のロッカーループ。ポロ・ラルフローレンの文字とともに

MADE IN USA FROM IMPORTED FABRIC

の文字が見える…

90年代、ポロの重衣料を請け負うっていたのは今も手縫いのテイラードウェアを手がけるニューヨークの名門マーチングリーンフィールドだったとか…当時から「ラルフローレンのスーツやジャケットは既製ながらサビルロウに匹敵する」と言われていたのも頷ける出来栄えだ。生地は恐らくスコットランド産のヘリンボーンツイードだろう。ドレープを生み出すのに十分なハリとコシのある生地だ。


(3)ドレープの効いたシルエット

英国仕立てといえばドレープスーツ…写真点線部分に現れた脇の皺と自然な胸の膨らみがドレープだ。外側に張り出したワイドな肩線から強く絞られたウエストに至るカットが生み出すドレープラインは既製服とは思えない。こんなスーツがかつて店頭に並んでいた事実にラルフローレンの真骨頂を見た気がする。


(4)Vゾーン

5ツ釦のジャケットフロントはちょうど真ん中の第3釦で留めるデザイン になっている。珍しいスタイルなのか参考事例を中々見つけられない。購入したのはNYはマディソン街の本店。今も昔もラルフ好きの聖地だ。合わせたシャツはハケットロンドンでチーフがラルフローレン。どちらも90年代のもの。タイは日本の鎌倉シャツ特製ウールタイ(生地はスコットランド製)を用意した。


(6)組下の幅広トラウザース

裾幅は約23㎝、クリーンでタイトな最近のスラックスからみるとコスプレっぽい雰囲気もあるが当時のラルフはどれも幅広のトラウザースだった。クリースを効かせて履くのがお約束、砂時計のシルエットのようにくびれたウエストからストンと落ちるラインはテーパードな美脚パンツを見慣れた最近ではかなり新鮮だ。


(7)ウイングチップを履く

ワイドなツイードパンツの足元にスマートで小ぶりで華奢な靴では足元が安定しない。そこで同じラルフローレンのクロケット&ジョーンズ製コードバンウイングチップ(Darlton)を合わせてみた。後継はマーロウ(Marlow) という名で最近まで展開していた(今は廃番)。旧ロゴで希少なDarltonがRoom Style Storeにある。


(8)靴を替えて

こちらは靴をスマートなウイングチップダービーと交換したところ。素材は(7)と同じコードバンで製造はエドワードグリーン。カントリーシューズ(サンドリンガム)をスマートなショートノーズの606で仕上げた珍しいものだ。こちらもRoom Style Storeに在庫がある。


(9)エドワードグリーンのコードバン

このウイスキーコードバンは色むらがほとんどなく、ホーウィン社と異なるコードバンを使っているのかもしれない。度重なる価格改定で一段と高級既製靴になってしまったエドワードグリーン。それでも変わらぬ色気を感じさせるあたりは流石だと思う。


(10)ハットを合わせて…

ウールフェルトのフェドーラは米国製。ポールスチュアートの別注ものだ。通常はシルクリボンのところレザーバンドが付いているのでツイードスーツにも合わせやすい。日本でも上手に帽子を取り入れたお洒落を楽しむ人が増えてきて、クラシックな帽子が売れているらしい。


ラルフローレンもかつては銀座、原宿、鎌倉、神戸と路面店を4カ所も構えていたが、今は原宿のみ(昔の原宿とはロケーションが違う)とラルフ好きにとっては寂しい限りだ。Room Style Storeでは80年代から最近のものまで順次ラルフローレンの入荷が予定されている。是非楽しみにしていて欲しい。


by Jun