John Lobbを履く | Room Style Store

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2020/02/03 05:11

ジョンロブ…


靴愛好家にとってジョンロブという名は常に特別な響きがある。キングオブシューズの名を冠された本家ジョンロブやエルメス傘下のジョンロブパリのビスポークと既成靴のどれもが紳士の足元を飾る最上の伴侶だ。皆一度は履いてみたいと思う至高の靴ジョンロブに今回はスポットを当ててみようと思う。


(1) ジョンロブの靴

ジョンロブとジョンロブパリの大集合。かつてはクロケット&ジョーンズへの別注やパラブーツ、エシュンなどフランスの靴メイカーによる商品展開もあったが、今は自社工場のあるノーザンプトン製既製靴が中心のジョンロブパリ(スニーカーや一部の靴はイタリー製らしい)、一方本家ロンドンのジョンロブでは客の細やかな要望に応えるビスポークサービスを提供している。


もっともビスポーク部門のジョンロブとジョンロブパリは全く別であり、本家ジョンロブからイギリス以外でのビスポークサービスの展開及び全世界でのレディメイドコレクションのロイヤリティを買い取ったのがエルメスという話は有名だ。スタート間もない1990年代はジョンロブの下にPARISと一応断りを入れていたが今やジョンロブを堂々名乗り、思い通りにジョンロブの名を使っているようだ。


(2) ジョンロブを履く

ロンドンのビスポークシューメイカー、フォスター&サンにオーダーした靴はどれも名アウトワーカーのジムマコーマックが底付けを担当していたが、縁あってこのジョンロブでもマコーマックに底付けを依頼した。その橋渡しをしたのが現在ジョンロブで働くジョージクレバリー出身のラストメイカー、ティームレッパネンだ。サビルロウもそうだが、ロンドンの誂え靴業界も職人が入れ替わり融通し合う極めて狭い世界ということになる。


写真はアルディラカーフとチェスナッツグレインカーフの素材で仕上げたコンビ靴をレッドフリースのタータンチェックコットンパンツに合わせたもの。ノルウィージャン仕立ての逸品をカジュアルに履くのが楽しい。右脇にある万双のブライドルレザートートにビームスプラスの英国製スクールマフラーを下げている。


(3) ジョンロブパリを履く

こちらはロブパリのビスポーク。エルメス本店の奥にあるジョンロブパリ店内店でオーダーしたもの。タイトでハードな靴底が特徴のロブパリだが、ようやく柔らかさが出てきた。グレーを基調としたウールのタータンチェックパンツはブルックスブラザーズ。ビスポークシューズだからと気張らず、好きなパンツと組み合わせを楽しむのが一番。因みにマフラーはラルフローレン。


(4) 旧ジョンロブパリ(既成)#01

ライニングソックにジョンロブとパリの表記が入る旧ジョンロブ。エドワードグリーンの工場買収後に8695ラストを引っ提げて紳士靴業界に乗り出した頃のもの。革質は極上で履き心地も申し分なく、ハイエンドな既製靴の中でもジョンロブパリは群を抜いていた。ここではG.T.Aのウールパンツに合わせ、小物のマフラーをバーバリーのノバチェックと交換している。


(5) 旧ジョンロブパリ(既成)#02

こちらも極めて上質なアルディラカーフを用いたシャンボー(ル)ド。ジョンロブ版ドーバーと言えば良いだろうか、手縫いのトウステッチ(スキンステッチ)やモカ縫いが靴好きの心をくすぐる。出し縫いが生成りのステッチなので初夏のリネンスーツと合わせるのが粋か…。ここではインコテックスのコーデュロイと組み合わせている。(マフラーはブルックスブラザーズ)


(6) 旧ジョンロブパリ(既成)#03

旧ジョンロブの中では最も新しいフィリップⅡのパリジャンスエード。日本からジャーミンストリートのブティック(レディメイド専門)にメールを送りオーダーしたもの。今ではエルメスの指導が入り、難しくなってしまったが昔はおおらかだった。新しいラスト7000番はこの後ラウンドトウモデルの定番になり、イヤーモデルやシティに用いられていったが代わりに名木型8695番は出番が減っていくことになる(最近復活したようだが…)


(7) 旧ジョンロブパリの在庫#01
こちらはロペスの旧作。もちろん自社工場製で発売当時の定番グレインカーフのチェスナッツバージョンだ。クロケットジョーンズによるOEM品と自社工場製が混在していた時代のものだが、クロケット版ロペスの履き心地が今ひとつだったこともあり、その後オウンメイクに統一されていくことになる。

(8) 旧ジョンロブパリの在庫#02

こちらはエルメスがエドワードグリーンの工場を買収後間もない頃の自社工場製ダービー(Darby)。恐らくは1990年代末くらいだろう。革質は最上級で最近のジョンロブ既成靴とは雲泥の差がある。箱も初期の茶色でシューバッグもお買い上げカードも当時のままという希少なペアだ。


(9) 旧ジョンロブパリの在庫#03

こちらはパリジャンカーフと呼ばれるマーブル状の革に変わり始めた頃のアンラインドペニーローファー(Ashley:アシュリー)。オールデンのアンラインドペニー(ブルックス別注)、エドワードグリーンのハーロゥと並んで3大極楽ローファーのうちの一つ。


(10) ジョンロブパリのビスポーク

当店にストックされているロブパリのビスポーク。前オーナーが履かないままこちらに回ってきたアンラインドのプレーントウダービー。赤のスエードはバーガンディカラーに近く、思ったよりも履きこなす楽しみがありそうだ。


初めてビスポークしたのがロブパリ、初のノーザンプトン工場見学時もやはりジョンロブだった。そして目下最新のビスポークがロブロンドンとくれば、節目は常にジョンロブということになる。ノーザンプトンにはエドワードグリーンやクロケットジョーンズ、チャーチズといった名門既成靴メーカーもあるが、ジョンロブは工場を構えてあっという間に一頭地抜きん出た存在になっていった。


今も昔ながらのやり方で(仮縫いなし)ビスポークサービスを提供し続けるロブロンドン、モックアップシューズによるトライアルフィットを取り入れたエルメス傘下のロブパリ、そして洒落た靴を展開するロブパリの既製靴…さて、今週はどのジョンロブからスタートしようか…そんな気にさせる靴は中々ない。

by Jun