ローファーの季節 | Room Style Store

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2020/03/14 12:21

このところ雨の日が定期的にやってきては空気を湿らせてくれる。一雨毎に気温も緩み春はすぐそこまで来ているようだ。少し早いが先週末は厚手のコートを仕舞い、スーツにジャケット、パンツやシャツ、マフラーからグローブ、チーフやソックスまで衣替えに勤しんだ…後はブーツを片付けるのみ。


昔と違って春は短い。ゴールデンウィークを境にクールビズが始まるとあっという間にノータイ、ノージャケットの毎日が始まる。装いに気を使わなくて楽な気もするが、コットンスーツにニットタイを締めていた頃が懐かしい。


そこで今回はクールビズが始まるまでの3か月、春のジャケットスタイルを大好きなローファーと組み合わせてあれこれ考えてみようと思う。


1-1 Azzurro e marrone(水色と茶色)

珍しい農茶のジャケットは大見返しのアンコン仕立て…如何にもイタリアものらしい軽さが売りだ。シルクウールの素材を2パッチポケットで仕上げたベルベストに水色のネクタイでアズーロエマローネにチャレンジ。当ブログ内で弊社チーフWaka@名古屋がトライしていたと思う。


1-2 靴とパンツのハーモニー

靴は一見履き古したようなローファーだが、ジョージクレバリーのビスポーク。素材がピッグスキンという変わり種だ。甲に丁度掛かるくらいの絶妙なレングスのパンツはお馴染みインコテックス。今はポルトガル製になったが、イタリア縫製時代からお気に入りのパンツブランドだ。


1-3 革製品はテイストを合わせて…

ローファーの素材がピッグスキンということで、毛穴が特徴の表面に合わせてベルトもよく似た型押しをチョイス。ラルフローレンのものだ。仕上げのバッグはマルベリー。元々は英国ブランドだがこの鞄はどうやらイタリア製のようだ。ブランドスタート時のアイコンだったオリーブグリーンのグレインレザーが当時を彷彿とさせる。


1-4 シャツとタイ、チーフのコンボ

ストライプのボタンダウンは鎌倉シャツ。若宮大路から入った場所に佇む本店で購入。当時はまだNYCに店を構える前で、アメトラ好きの夫婦がふらっときては買っていくのが微笑ましかった。チーフはロダ、変形八角形で挿すとブートニエールのように花開くようになっている。タイはイタリア製のポールスチュアート、ブリュワー別注か?アズーロエマローネのコーデは茶色と青色の配分が決め手、青が少ないとシャープな感じが出ないのでタイに加えてシャツでも青を補充。



2-1 デニム&ジャケット
白蝶貝のボタンが春らしさを感じさせる大柄のジャケットはカルーゾ。上着がかなりビジーなパターンなので中はシンプルな白シャツと無地のニットタイでバランスを取る。TGIF(Thanks God, It’s Friday=花金)に羽織りたい。


2-2 靴とデニムのハーモニー
デニムはお馴染みリゾルト712。元祖美脚ジーンズのヤコブコーエンを凌ぐラインが嬉しい。何しろラギットなモカシンやブーツから洒落たローファーまでOK、しかも日本製とくれば贔屓になるのも当然か。一方の靴も名靴の誉高いクレバリービスポーク。ベビーアリゲーターで仕上げられたローファーはデザインも素材も履き心地も満点だ。


2-3 靴と鞄とベルトのハーモニー
ベルトと鞄(サック)はどちらもエルメス。購入したのが2004年頃だから既に15年が経過している。昔の革は質が良かった…と聞くがこのサックも今のものよりもしっとりしていて上質な気がする。ベルトはハワイのエルメスブティックで購入したもの。


2-4 シャツ&タイ、チーフの組み合わせ
シャツはノンアイロンながらコットン100%というユニクロのワイドスプレッドの白ブロードシャツ。スリムフィットのおかげでジャケットの下で余計なシワがVゾーンに出にくいところがポイント。ネクタイはタイユアタイでポケットスクエアが一粒で4度美味しいポールスチュアートのマルチカラードットスクエア。今回は緑を見せている。


3-1 ラルフの着こなし
今やリネンは春物素材…盛夏には暑すぎるので早くも引っ張り出しては時々羽織っている。写真は大きな格子柄の3パッチポケット。ラルフローレンでは定番のキャメル色、リネンらしく着込んで皺が寄り、くたびれた感じが出てきてからが本番だ…。


3-2 デニムの足元
スリムフィットなデニムの裾を少し折り返して履く…ラルフローレンでもよくやる着こなしの一つだ。特に白茶のコンビローファーだとクリースの入ったパドレスンツではお洒落過ぎるので、デニムをターンナップすることが多い。靴はピールネームのクロケット製アンラインドペニー。少々底が硬いが履き心地は悪くない。


3-3 鞄と靴とベルトのコンビネーション
鞄はPVC(ポリ塩化ビニル)素材のブラックウォッチが特徴のラルフローレンラゲッジシリーズ。クオリティは当時のフランス製ルイヴィトンのモノグラムと比べるべくもないがアメトラにはしっくりくる。ベルトは90年代、アメリカ製のコーチ。ブルックスが商標権を持つピールネームの靴と合わせてアメリカントリオ結成か…


3-4 リネンジャケットの下
シャツはボタンダウンの元祖、ブルックスブラザーズのポロカラーシャツ。伊勢丹のディレクションによる復刻、フィットはエクストラスリムながら前ボタン6つのオールドスタイルを盛り込んだ傑作だ。ラルフローレンより襟が大振りな分ロールが出る。合わせたネクタイはジャケットと同じラルフローレンのポロタータン。共にリネン素材なので相性は文句なし。


4-1 ロイヤルブルーのジャケット
春はネイビーのブレザーより明るめなロイヤルブルーのジャケットが活躍する。こちらもイタリアの名門ファクトリー、カルーゾによるもの。ブルージーンズではカジュアルすぎる時、オフホワイトのパンツにするだけで印象はグッと変わる。

4-2 足元のコーデ
ピケパンツはアメリカ製、テラソンのものだ。アイビールックやプレッピーファッションには欠かせない裾短めの白パンツだが、つい長めに裾上げする習慣が付いているせいか、中々股下を短く仕上げる勇気が出ない。このパンツは結構上手くいった方かもしれない。


4-3 鞄と靴とベルトのコンビ
ドレスゴードンタータンの鞄はポロラルフローレンのもの。ベルトは1ー2で紹介したピッグスキンの型押し、靴はジョージクレバリーのアリゲータータッセルローファー。タッセル部分もアリゲーター素材を用いるなど芸が細かい…


4-4 シャツとネクタイ、チーフのコンボ
シャツはお馴染みミコッチ、ネクタイはリバーシブルが嬉しいコットンタイ。フランコバッシのものだ。ポケットチーフは鮮やかなマドラスチェックが特徴、ブルックスブラザーズのものだ。



5 最新のローファー
最新にして最後の(恐らく)ビスポークシューズは今回の特集と同じローファー、以前も書いたがローマ在住の日本人靴職人、吉本清一氏にお願いしている。ハッチグレインとスエードのコンビネーションでアンラインドとかなり難しい仕様だがうまく形にまとめてくれた。完成した暁には是非紹介したい。


昔のメンクラ愛読者としてはよもやこれほどまでにドレスダウンが進んでオフィススタイルが変化するとは思わなかったが、今やクールビズの足元はスニーカーにとって変わられようとしている。オフィス向きのスニーカーが見つかるまで、当分ローファーが活躍しそうだ。

by Jun