英国靴の魅力 Crockett & Jones編 | Room Style Store

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2020/03/28 20:35

英国靴のファクトリーが集まるノーザンプトン、靴好きの聖地に何度通ったことだろう…。ミレニアムの頃は各メーカーのアウトレットを回ってはあれこれ買っていたが、次第に好みが分かると主に2つに的を絞って訪問するようになった。


一つはジョンロブ、もう一つがクロケット&ジョーンズというのが定番コースで、タクシーや自転車、時には歩いて両手いっぱいの靴を持ち帰ったことが懐かしい。中でもクロケットのアウトレットはファッションブランドからセレクトショップ、靴屋の別注のオンパレード、見ているだけでも飽きない。残念ながら当時の靴は全て人手に渡ったが、今もクロケットのファクトリーは心惹かれる。


その後ビスポーク靴に興味が移り、既成靴を買う機会は減ったが、クロケットだけは別腹とばかりに増えてきている。そこで今回は英国靴の魅力第2回目として、別注で靴好きの心を射止めるノーザンプトンの雄クロケット&ジョーンズを紹介してみようと思う。


(1) ラルフローレンの別注…その1

マーロウのペットネームで長年ラルフローレンのフットウェアコレクションを支えてきたコードバンウイングチップ。本国展開はDウィズなので皺の入り方が深く雰囲気が全然違う。同じポロラルフローレンのチノパンとユニクロのアーガイルソックスを合わせて、バッグもポロのタータントートを用意。ポロシャツの上にラグビージャージやパーカをレイヤーしてプレッピースタイルを楽しみたい。


(2) ラルフローレンの別注…その2

ラルフローレンのコードバンシリーズは色々なモデルがあったようでこちらはフルサドルのローファー。サドル部分にパーフォレーションを施したお洒落なタイプだ。惜しむらくはアンラインドのボストンやハーバードと比べてサイドウォールが高く外側の踝と干渉するのが気になる。デニムはポロラルフローレン、ソックスは(1)と同じユニクロ、バッグはポールスチュアート…上は洗い晒しのパッカリングが残るオックスフォードのボタンダウンの袖をまくってタックアウトしたい。


(3) ラルフローレンの別注…その3

ラルフローレンのコードバンコレクションの中でも最も特異なギリーブローグ。秋冬ならばスコットランドを意識してツイードルックに合わせたい。何しろアザミの穴飾り入りという生粋のハイランド仕様なのだ。ここでは春らしくベージュのデニムと合わせている。日本製セルビッジデニムを用いたRRLのストレートフィットに同じRRLのネイティブブランケットを用いたバッグ、上はネルのワークシャツにコットンカーディガンあたりを羽織りたい…


(4) ブルックスブラザーズの別注

こちらは惜しくも終了したトムブラウンのディレクションによるブラックフリースのフットウェアコレクション。初期はオールデンが請け負っていたが途中からはクロケット&ジョーンズにとって変わった。ブリックソールに青のグレインレザー、白のタッセルが人目を引く。合わせた白パンツはGTA、フェリージのリモンタグリーンが鮮やかなバッグにシルクストールを用意してみた。

(5) クロケットにオンラインで注文…
クロケット&ジョーンズオフィシャルサイトから注文したPeebles。久しぶりにサイトを訪問したら既にディスコン扱いとなっていた。レザーはJFJベーカー社と開発したロシアングレイン。かなり上手にハッチグレインを再現している。イミテーションキャップトウの外羽根をストームウェルトで仕上げ、リッジウェイソールを装着したゴツい一足に外鳩目がアーミーシューズの雰囲気を醸し出す。カモ柄パンツ(ポロラルフローレン)との相性は言わずもがな、バッファローチェックのリュック(ポロラルフローレン)と役者は揃った…


(6) クロケットにMTOをかける

ラルフローレンのコードバンギリーに触発されてジャーミンStの本店でパーソナルオーダーにチャレンジしたのが上の靴。ウイスキーコードバンだが、チェスナッツに近い色目なのでパンツもバッグも似た色でコーディネート…近い色目で合わせるのも悪くない。パンツはポールスチュアート、バッグは万双。


(7) ウイスキーコードバンのギリー

2017年夏のオーダーだが、クロケットのMTOはサイズを計測して後は素材をチョイスするのが基本で150£のアップチャージだった。ソールはダイナイトの選択も可能だがレザーソールにメタルトウチップを15£プラスで装着した。ラルフローレンのギリーとの違いはラストとトウのメダリオン…当時はまだ別注を請け負っていたこともあってラルフローレンに配慮して変えてきたのだろう。


(8) ルームストックから…

左はマーロウの前身DARLTONダルトン。違いはほとんどないがインソックの刻印がポロラルフローレンの文字で間にポロポニーの入る旧ロゴというのが違いか…一方の右側はリボンベルトがプレッピーな雰囲気を強く醸し出すRHETTレット。ラベロコードバンに近い色目が左のダールトンと比べるとよく分かる。それにしてもラルフローレンのコードバンコレクションはラルフのウェアと合わせると俄然魅力を発揮する。右のリボンベルトローファーなんてラルフローレンでしか注文できないに違いない…。


(9) ピール(ブルックスブラザーズ)の別注

職人の確保が困難になり惜しまれつつ60年代中頃に閉店したロンドンの注文靴屋ピールを買収したのがブルックスブラザーズだったというのは有名な話。90年代まではエドワードグリーンやチャーチズが製作を請け負っていたが、今はクロケット&ジョーンズがメインの提携先のようだ。こちらはスエードのダブルモンク。Dウィズのせいかスクエアなつま先と相まってとてもシャープに見える。


(10) 初購入のクロケット&ジョーンズ

こちらは1991年に初めて買ったクロケット&ジョーンズ。ロンドンはバーリントンアーケードに在ったBERKという名のカシミアショップで見つけたものだ。今より随分ショートノーズのセミブローグだが却って新鮮に思える。もっともそれ以前に国内でロイドフットウエアのJシリーズ(クロケット製)やポールセンスコーンの既成(エドワードグリーンのものも在ったがクロケット製の方)を買っていたので本当の初クロケットはもう少し前の1989年ということになる…。


昔はNew & LingwoodやLloyd Footwearのように自社の名が冠されていないものやGordon ScottやPaul Smithのようにクロケットの名とダブルネームになっていることも多く、黒子的存在だったクロケット&ジョーンズ。それが今や自社の路面店をロンドンのジャーミンStにオープン、パリやニューヨークにも店舗を構えるまでに成長している。


この先どのような靴が出てくるか…別注で培った力をもとに、財布の紐を緩めそうな1足に出会うことを楽しみにしている。


by Jun