GTHパンツの誘惑 | Room Style Store

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2020/06/07 22:39

温暖化の影響か、ドレスシャツにネクタイ、ジャケットを羽織って出かけるのも5月まで…クールビズが始まると街から色数が減り、周囲の装いもどことなく単調になってくる。せめて週末はカラフルな着こなしを楽しみたいな…
と思ったあなたはGo to hell(地獄行き)の列車に既に乗っているかもしれない(笑)

レディスよりも派手なピンクやオレンジ、イエローであったり…錨や舵、カモメや灯台など夏に因んだエンブロイダリー(刺繍)が入ってたり…多色使いの派手なマドラス柄やタータン柄であったり…それらは全て

Go to Hell(以下GTH:地獄行き)パンツ…
と言うらしい。

特にカラフルなチェックパンツが最近増えてきているようで、試しに履くと意外や意外。呼び名に反してGo to Heaven(天国行き)な気持ちになる。普段色数の少ない服を着ている反動かもしれない。

ということで今回は夏らしい派手なチェックパンツと靴の組み合わせを考えてみようと思う。

 1) イタリアンマドラスチェック

アメリカンブランドの得意分野だったGTHパンツだが、最近はイタリアのメーカーも参入しているようだ。写真のパンツはトリノのパンツメーカーPT01のもの。ただし企画やデザインはイタリアなれど縫製はEU。同業者のインコテックスはポルトガル製でこのPT01やGTAはルーマニア製と、もはやMade in Italyは遠くになりにけり…それでも「イタリアの粋」を感じさせるあたりはさすがだ。

2) 夏のローファー(その1)

アランフラッサーの著書によればクロコダイルやアリゲーター、リザードなどレプタイルの靴は夏場の日中に履く靴とされている。JM.ウェストンのアリゲーターローファーも今が旬の季節ということだ。次の週末は派手なパンツにウェストンのローファーを履いてカフェテラスに座り、エスプレッソでも楽しもうか…そんな妄想をしてしまう。


 3) ゴルフパンツを街で履く
こちらは同じPT01のゴルフパンツ。その名もグリーン(GREEN)、シアサッカーに大柄チェックという新たな提案だ。スコア帳を入れるポケットやピンを指すループなどゴルフウェアとしての機能を保ちつつ街履き可能なプロダクツに仕上げるところなどイタリアらしい遊び心を感じる。


 4) 夏のローファー(その2)

こちらも2)と同じアリゲーターのローファー。ただしアメリカ産のアリゲーターをイタリアで鞣した革でイギリスはロンドンのジョージクレバリーが仕立てた多国籍ローファーだ。ビスポークローファーはフィッティングが難しいようだが、クレバリーとそのクレバリーでアウトワーカーをしていたローマの吉本精一氏主宰のペルティコーネはローファー作りが上手いと思う。


 5) アメリカンなチェックパンツ

ブルックスブラザーズがサウスウィックやガーランドシャツメーカーを閉じることで更にアラートが鳴ったアメリカ国内の服飾メーカー…写真のパンツはバリーブリッケン。ビルズカーキと並ぶパンツ作りに定評のあるメーカーだ。オーソドックスなシルエットは今どきの細身のパンツからするとゆとりがある。ネイビーブレザーにも合うどちらかと言うと品のあるチェックになろうか…。


6) ホワイトバックス

アメリカ製のパンツに合わせて靴も復刻版WALK OVERのサドルオックスフォードを用意。メイン州に残る靴メイカーに別注をかけたようで雰囲気を上手く再現している。ホワイトバックス(実際はバックスではなくスエード)は夏専用、何シーズンか経つと表面がくすんでくる。
Waka@RoomStaffが以前ブログで紹介していたように消しゴムで汚れを落とし、時にはチョークで白くするの賢いメンテ方法になる。


 7) ブルックスブラザーズのGTHパンツ

こちらはアメトラの老舗ブルックスブラザーズによるタータンチェックのパンツ。春夏物らしく薄手のコットン素材で肌触りも良く爽やかに履ける。柄の大半を黒が占めているので比較的落ち着いた色柄ものに見える。オンラインのサイトでは白シャツにネクタイ、上からインディゴ色のへちま襟カーディガンを羽織るスタイルを提案していた。



 8) 夏に履くコードバン

カジュアルパンツながら作りはドレストラウザース…ならばスリッポンより紐靴が合う。そこで夏色ウイスキーシェルのプレーントウと合体。オールデンよりドレッシーなプレーントウはローマのマリーニにビスポークしたもの。ホーウィンのコードバンを使った名品だ。今回の新型コロナ騒動が落ち着き、海外旅行が出来るようになったらローマの店を訪れてみる予定だ。


9) 3周年記念に寄せて

こちらは未だ感染拡大防止と暴動の板挟みにあるニューヨークのマンハッタン、Rowing Blazersにオーダーしたものだ。3周年記念で20%オフになっていたこともあり、応援するつもりでオーダーを入れたら、ショップから大層丁寧な返事が来た。

As a small business, we are extremely grateful for your support during this time. We are still shipping orders during the coronavirus crisis, but please be patient as shipping may take longer than usual. You will receive a shipping confirmation with your tracking number when your order ships.
 
Thank you so much again for your support. Wishing you good health and good spirits.


こちらの気持ちを汲んでくれる心温まる返信にオーダーを入れて「良かった…」と気持ちが和み、久々に楽しい買い物になった気がした。きっと店舗で買うのと同じように人と人とのつながりを感じ、いつまで経っても記憶に残るモノになるはずだ。

勿論、それほど時間がかからず品物が無事日本に到着したのは言うまでもない。


10) トムブラウンのセンス

パンツの生地は日本製のコットンだそうで、ブラックウォッチにイエローのウインドペーンが効いている。実際はスーツで注文したが、ジャケットは直しに出しているので今回はパンツのみの登場。近いうちにスーツで紹介したい。肝心の靴はトムブラウンによるクロケット別注タッセルローファー。ネイビーのグレインレザーに白のタッセルと赤のブリックソールと癖のある靴がロウイングブレザーズには良く合う。


まだ6月だというのに今日も日中の気温は夏日を記録した。街を行く人の服も白やベージュなど淡い色が中心だ。目が覚めるような赤や青、黄色や緑、パステルカラーも殆どなく、久々に出かけた原宿の表参道は歩道全体がモノトーンに近かった。


洗い晒しの白Tシャツに色落ちしたデニムとスニーカーも悪くないが、未だに自粛がキーワードの昨今。せめて明るい色で世の中を少し染めてみたい。


by Jun