
30年ぶりの出戻りライダーになって2年。流石に若い頃のように革つなぎでレーシングレプリカを乗り回す気力はないので、専ら好きなジーンズを履いて週末のバイクライフを楽しんでいる。愛車は75年製のビンテージ、ジーンズもバイクに合わせてビンテージテイストのRRLがお気に入りだ。
1993年に登場したRRLは縫製やダメージ加工、ボタンなどの部材からタグに至るまで妥協のない商品作りで業界の度肝を抜いたという。94年にNYのショップ(本店の向かい)でフルラインナップを見て以来いつも気になるブランドの筆頭だ。特にジーンズは当時からアメリカ生産に拘っていて、値は張るが日本のセルビッジデニムを採用したクオリティの高いジーンズも並んでいた。
1998年に一旦終了したRRLだが、2001年に販売が再開されると前回を上回る作り込みで一気にプレミア感が上昇、ただし値段も一気に高騰していた。それでも我が家にバイクが来てからは徐々にアイテムが増えてきている。そこで今回はバイク&デニムな週末のライフウエアを中心にRRLの魅力を紹介してみようと思う。
※扉のデニムは全てRRLのリミテッドエディション
(1) ライダースジャケット&デニム(#01)
Schottの襟付き(ボア付)シングルライダースは黒が基本。が、着ているのは赤の切り返しが袖とポケット部分に入ったもの。街で着るには少々派手だがその分バイクに跨ると俄然光る。機能がデザインを決めるという言葉が納得できる一着だ。下はUSAコットン100%の日本製ヘンリーネック。
(2) レッドウイング
ギアチェンジ時にシフトペダルが当たっても傷み難いレッドウイングのベックマンブーツ。オイルレジストのビブラムソールはコマンドソールより薄くてフラットなのでバイクにはもってこいだ。デニムはウォッシュド加工のRRLローストレート。色落ち具合が夏向きの1本。
(3) ライダースジャケット&デニム(#02)
こちらはRRLのモーターサイクルシリーズから台襟のシングルライダース。ジーンズもお揃いでRRLのスリムナローをチョイス。防縮加工済みとはいえ3%ほど縮むらしい。その分裾も長めなのだろう、ブーツが見えるように履いたら折り返しが二重になってしまった(笑)。
(4) コマンドブーツ再び

ブーツは前々回のブログ記事「ブーツを仕舞う」に登場したポロのブーツ。一度片付けたものをバイク用に再度引っ張り出してみた。コマンドソールのおかげで頑丈そうだが意外と滑りやすく、プチ立ちゴケしたのもこのブーツだった(汗)。その時はセンタースタンドのフック側に倒れたので事なきを得たが、要注意なのだ。
(5) モーターサイクルジャケット

昔、友人とツーリングの途中で相方が滑って転倒して以来、夏でもバイクに乗る時は長袖がお約束だ。幸いバイクも本人も軽症だったが、半袖のせいでその後擦り傷が痛み出し、旅先の病院で鎮痛剤の注射をお尻に打たれたことが鮮明に思い出される。肝心の黒ジャケットはRUGBY。ウェストベルト付のクラシックなタイプをコットンジャージで仕上げているので革ジャンより断然涼しい。おまけに胸のワッペンも洒落ていて使い道の多いジャケットだ。
(6) トリッカーズ 再び
こちらも一度しまったはずのブーツが再登場。タフなトリッカーズのモールトンは長年履き込んだだけあって足首へのなじみは文句なし。バイクを降りてツーリング途中の街を散策する時にも足元をお洒落に見せる万能ブーツだ。一方のジーンズはRRLのローストレイト。第1期(1993~1998年)にはなかった見事なリペア加工が存在感を放つ。
(7) シャツジャケットを羽織って
何色ものカラフルなストライプを水平に織り込むセラーペはメキシコ系ネイティブアメリカンの伝統模様…本来は原色を組み合わせた派手なストライプだが、ラルフローレンでは絶妙な配色で仕上げている。背面にはナバホ族のアズテックパターン(独特の菱形)が大きく織り込まれるなど凝った作りが気に入って購入。
(8)シャツジャケットの背面ジャケット背面のアズテックパターン。こうしたネイティブアメリカンをデザインに取り込んだのはポロカントリーが始まりだったが、その後RRLに引き継がれた。1990年代にサンタフェルックとして日本でも浅野ゆう子さんがお洒落本を出すなど流行ったことを今も鮮明に覚えている。当時流行ったセラーペのブランケットジャケットは今も根強い人気があって高値で売買されている(程度がいいやつがあったら欲しい…)。
(9) ローパーブーツ
メキシコの伝統模様に合わせてブーツもメキシコ製のローパーブーツを用意。シャフト(筒)の短いローパータイプにサイドゴア仕様なので脱ぎ履きの何と楽なことか。ジーンズはスリムブーツカット。フレアというよりはストレートジーンズの感覚で履けるシルエットだ。
限定200本のスリムブーツカット。日本製の15.5ozというヘビーオンスで仕立てたデニムはかなり手ごわい。その分履きこむ楽しさがありそうとも言える。消費者は限定(リミテッドエディション)という言葉に弱いそうで、ご多分に漏れず自分もシーズン毎に限定生産のジーンズを買っている気がする。
(11) ウエスタンシャツを羽織って
久々に買ったウェスタンシャツ。クールなメタルのスナップボタンが新鮮だ。随所に刺繍の入った一着は何といっても背面が見どころ、バイク用という訳でもないだろうが、ライジングサンの大きな刺繍が人目を惹く。Tシャツの上に羽織ってバイクに乗ればアメリカンなローライダーも似合う雰囲気がある。
(12) ウェスタンシャツの背面
凝ったデザインはRRLかと思いきやポロ・ラルフローレンのもの。今季物だがロックダウンや休業が重なりアメリカ国内でも日本でも早々とセールになっていて、サイズの豊富なうちにショップで試着してからゲットしたもの。セールでは個性的な1着を定番品の中から見つけ出すのが楽しい。
(13) レッドウィング
オロラセットの6インチプレーントウ「アイリッシュセッター」もバイクに合わせてよく履くブーツの一つだ。トリッカーズの項でも書いたがバイクを降りて街を歩く時にごついバイクブーツだと足元が落ち着かない。その点ホワイトクレープソールや短靴に見えるデザインのアイリッシュセッターは街の中にすんなり溶け込んでいく。
(14) リミテッドエディション(その2)
このリミテッドエディションも限定200本。日本製の13.5ozのツイルデニムを用いたストレートレッグ。本来は耳付きデニムを脇割り縫いにするところを敢えて赤耳を重ねて片伏せ縫いに仕上げたアウトシームが肝。よく見りゃ気が付く通なディテールに「おぉッ」となったらRRL好きになる可能性がある…。
新聞によればバイクの免許取得者が増加傾向にあるという。既に免許を持っている中高年の出戻りライダーも着実に増えているようで、バイクの売り上げが伸びを見せているらしい。高速道路のSAで停まっているバイクのオーナーも年配から若人まで様々、人気のルートにある道の駅は休みになると海外の高級バイクから旧車やレーサーレプリカ、最新の高機能バイクまで綺麗に並び、モーターサイクルショウのようだ。あちこちで自慢の愛車で話に花が咲くのも同好の士ならでは。
再びバイクブームがやってきそうな気配を見せる中、バイクウェアやバイクブーツのデザイン上の進化が今一つと思うのは気のせいだろうか。命を守るウェアとしての使命が第一なのは当然だとしても、傍らにバイクがないと記念写真が奇妙に見えるのは避けたい。最近では少しずつデザイン性のあるバイクウェアやブーツを見かけるようになったが、当面はお気に入りのデニムとブーツでバイクライフを楽しむ日々が続きそうだ。
by Jun