2020/08/31 22:56

ビジネスウェアのカジュアル化が進み、特定の場以外スーツは趣味で着る方が主流という時代になる日もそう遠くないとか…。自分も好きで購入したり誂えたりしたものを除けば仕事用のスーツは全く買わなくなった。栄枯盛衰、ビジネススーツが主力のブルックスブラザーズやポールスチュアートが相次いで青山や表参道の店を閉じたのも、この流れと関係があるのだろう。
代わってテイラードウエアの中心になったのがジャケット…。オンオフ使える守備範囲の広さが受けるのかつい目が向いてしまう。この夏は自粛続きのストレスからか、買い物で散財するパターンが多かった。当社のWakaと買い物に出かけ、春夏ものを2点買いしたのに加え、NYのオンラインショップでも秋冬物を2点買い…ジャケットが一気に4着も増えたことになる。
そこで今回は新着ジャケットを春夏ものと秋冬ものの2回に分けてコーディネートを交えながら紹介しようと思う。
※トップの写真は新着のジャケット…
〜購入品その1:ダブルのジャケット〜
(1) ドレスダウン
シルバーに濃いグレーのウィンドペンが洒落たダブルのジャケットはサイズ38S。ショート丈なのでローライズなデニムとも好相性だ。柔らかく返るラペルはテイラードならでは…シャツにネクタイを締めてドレスアップしつつボトムスはジーンズにローファーでドレスダウンしてみた。上手い具合に力の抜けたエクレクティック(折衷)スタイルの完成だ。
(2) アクセントカラー

シルバーグレーのジャケットに白無地のシャツはほぼモノトーン。そこにビビットな差し色ネクタイとポケットチーフを持ってくると、まるでモノクロ写真の一部だけカラーというセレクトカラー効果のようになる。ただし差し色は一つに絞るのが鉄則、ここでは鮮やかなグリーンの濃淡にししてみた。
(3) ロールアップなしで履く

日本が世界に誇るジーンズ生地の名産地、岡山県は児島で最も古い老舗ジーンズメーカーと言えばBIG JOHN。中でもこのアイビー(TAPERED FIT)は裾を折り返さず、アイビーパンツのようにソックスを見せながら履くシルエットが特徴、敢えて少しだけロールアップしてセルビッジとチェーンステッチをチラ見せするのもありだ。目下一番よく履くジーンズといえばこの一本になる。
※ビッグジョンIVYモデル

リジットではなくワンウォッシュしてあるIVYモデル。コインポケット裏のセルビッジやリベット、ボタンフライなど他の国産プレミアムデニムに引けを取らない。昔のビッグジョン「ベルボトムジーンズ」を知る世代のイメージを払しょくする作り込みに、50年以上前から店を構える老舗ジーンズショップの店主が一押しするだけのことはある。
(4) サマーカジュアル
デニムに合わせたのは夏素材アリゲーターを使ったローファー。ジョージクレバリーの誂え靴らしく華やいだ雰囲気がある。ここで初期の艶が良い具合に抜け、斑の模様も際立ってきたようだ。アンティークのワニ革は格別の雰囲気があると聞く…これからの経年変化を楽しみたい。
(5) 袖の直し
ジャケットは本切羽の本開き仕様。馴染みのコーダ洋服工房で仕上げてもらった。身頃やラペルのボタン穴が手縫いの時は袖のボタン穴も手縫いを指定するが、今回のジャケットは機械縫い。袖も同様に仕上げて貰った。因みにボタンは牛乳から作ったカゼインボタンをグレーに染めたもののようだ。
(6) パープルレーベルの実力
ジャケットはラルフローレンの最上級パープルレーベル。セルフライニングのアンコン仕立てはイタリア製らしい軽い着心地が売り、ついでにナポリの名店マリネッラのタイにシャツも同じく名門のフライのシャツと思いきやまさかのユニクロ…もはやファストファッションと言えないほど仕上がりが良くなってきていることを実感する。(ポケットスクエアはポールスチュアート)
〜購入品その2:クラブジャケット〜
(7) レガッタブレザー
英国のレガッタ競技に出場するチームが揃いの縞柄や縁取りのあるジャケットで参加するうちに付いたのがレガッタブレザーの名の由来。ブリトラ、アメトラ、プレッピー好きには堪らないアイテムだ。今回のジャケットはニューヨークのローイングブレザーズお取り寄せなのでアメリカンブランド中心の組み合わせにしている。そういえばこのスタイル…確か当社のチーフWakaの大好物だった気がする。
(8) メイドインニューヨーク
英国でのレガッタレースの様子を写真で見るとシャツはカッタウェイカラーが多いようだが、今回のジャケットはHandmade in New York、ここは是非ともクラブカラーのシャツを合わせたいところだ。ついでにエンブレムや付属のメンバーズバッジも付けてコスプレっぽくしてみた。
(9) こだわりの仕様
Handmadeの解説どおりボタン穴は手縫い、袖のカフも一つボタンの本切羽仕様になっている。メタルボタンはお隣のコネチカット州製で生地はスコットランド製とのこと。創業者兼デザイナーのアメリカ人、ジャックカールソン自身オックスフォード大のレガッタチームに所属し、ヘンリーロイヤルレガッタに出場したことを考えればこうしたこだわりも合点がいく。
(10) ホワイトパンツを履く
レガッタブレザーにはホワイトパンツがよく似合う。寒い時期ならばホワイトフランネルのパンツも悪くないが、今回は夏らしくビームスのコットンツイルパンツをチョイス。買い物ついでにホワイトフランネルのパンツも物色したが時期尚早だったようだ。ラルフローレンのクラシックなエンジンターンドバックルベルトを久々に締めてみた。
(11) トートバッグ
ローイングブレザーズといえば様々なブランドやショップとコラボするのが特徴、ここではトップサイダーとのコラボスニーカー付属のトートバッグを合わせてみた。ピクニック気分で一休みできるようにラルフ特製の敷物を忍ばせている。
※トップサイダーとのコラボ品

日本には入ってきていないツイード生地を使ったスニーカー。これから寒い秋冬が来たらデニムやコーデュロイ、いっそのことツイードパンツに合わせて履いても良さそうだ。
(12) サマースエード
白のサドルシューズを履かせてみたが、白パンツに白の靴だと色目が少ない気がして急遽ベージュスエードのハーフブローグにチェンジ。フレックスレザーソールはコバの色がブリックソールに似ていて遠目にはダーティーバックスにも見える。靴はAldenが自社名を出さずBrooks Brothersの名で販売されていたもの。コンビは既に解消、貴重なものとなっている。
今回は春夏物だったが次回は秋冬物。とはいえ残暑は厳しく、とてもではないが屋外で秋冬物を着る気にもなれない。続編の紹介はだいぶ先になるかもしれないが、その時までにあれこれ着こなしを考えておくことにしようと思う。
さて、今回の春夏ジャケット2着のコストだが、イタリア製パープルレーベルとアメリカ製ローイングブレザーに直しの代金を足してもAldenのコードバン靴よりもお得だ。主宰者のWaka@RoomStaffも言っていたがお宝をゲットするのは気分がいいものだ。
by Jun