ストアの品揃え(第1回) | Room Style Store

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2021/01/09 14:18


年末年始のGoToキャンペーンが突如ストップし、静まり返った信州の田舎屋で2021年の新しい年を迎えた。ほんの10年前までのんびりしていたこの地に観光客が押し寄せるようになって最近は戸惑うことが多かったが、久しぶりにのどかな風情が戻ってきている。高地ゆえに朝晩の気温は低いが今年も雪はなく、冬枯れの林を散策すると精気が満ちてくるようだ。


昨年末、当RoomStyleStoreのチーフWakaが訪問、自らマネキン役を務めながら当店の商品をブログ内で披露してくれたが、誰にも気兼ねせず撮影できたのも田舎ならでは。都会だとこうはいかない。そこで今回はチーフに倣ってRoomStyleStoreのストックからお薦め品を交えた着こなしを紹介しつつ、田舎暮らしの様子を伝えてみたい。


(1) ハケットの手編みセーター
写真は90年代ハケット初上陸時の手編みセーター。黒地にクリーム色の配色や全面スノーフレークのパターンが洒落ている。ゆったり作られた袖ぐりは「コーヒー片手に庭で一息…」といったゆったりするイメージが似合う。セーターのドットは「降りしきる雪」を模したのだろう。林を出て雪を頂いた北アルプスをバックに撮影すればまた違った雰囲気になったかもしれない。
セーター : HACKETT
シャツ : HACKETT
デニム : Polo Dungaree
靴 : Crockett Jones


(2) ポロカントリーの逸品
写真はポロカントリーの手編みセーター。サンタフェスタイルが流行った90年代半ば、渋谷のラブラドルで購入した直輸入品だ。当時アメリカのアウトレット買付品を売る店が渋谷から原宿に集中、はしご酒ならぬはしご買いを良くしていた。ライセンス品より本場ものに拘っていた時期だ。ここから林を流れる小川に沿って散歩するのは楽しい日課。道なき道にはティンバーランドが心強い。
セーター : Polo Country
シャツ : Polo Ralph Lauren
デニム : Full Count
ブーツ : Timberland


(3) 大柄のコート
西日に映えるタータンチェックのコートはトムブラウン監修ブラックフリースの逸品…。街中で着るには少々勇気がいるが、一度着てしまうとさほど気にならない。着こなしのコツは「シンプルなインナー」。①上下(カシミアタートルとフランネルパンツ)をチャコールで揃え②スエードの靴を合わせて起毛感のあるアイテムで統一…といったところだろうか。 
コート : BlackFleece
セーター : Purple Label
パンツ : Black Fleece
靴 : Crockett Jones


(4) ハケットの上着
こちらもハケット初上陸時の直輸入品。ライセンスものにはない本場の雰囲気が味わいたくて手に入れたものだ。本切羽仕様に誂え服とはこんな感じなのかと感動したことを思い出す。その後10年の歳月を経て本場サビルロウのスーツをオーダーするとは当時夢にも思っていなかったが、ジャケットは今も新鮮。やはり「テイラードの基本は英国にあり」なのだろう。
ジャケット : HACKETT
シャツ : HACKETT
ネクタイ : Ralph Lauren
パンツ : Beams
シューズ : Crockett Jones
グローブ : Merola


(5) ペンドルトンのジャケット
こちらはアメリカでの買付品。正面からは見えないが、背中のアクションバックとバックベルトが付いたこだわりのゲームジャケットでしかも未使用の新古品ということで程度は極上だ。ペンドルトンがアメリカ国内で作らせたもので、ユニオンメイドのタグも付いている。中々の出来栄えなので、このジャケットを参考に地厚のツィードで1着オーダーしようかと思わせるほどだ。
ジャケット : Pendleton
シャツ : Brooks Brothers
ネクタイ : Polo Ralph Luren
パンツ : Beams
靴 : Crockett Jones


(6) ラルフローレンのジャケット
写真は90年代のポロラルフローレン米国製ジャケット。比較的新しいがユニオンメイドのタグ付き。生地はシェットランドツィードだろうか、適度な厚みはあるがハリスツィードと違って肌触りはスムーズだ。肩先はやや張り出しつつもアメトラらしくナチュラルショルダーが守られている。30年以上も経つのに今も古臭くならないところがトラッドたる所以か…
ジャケット : Polo Ralph Lauren
シャツ : Brooks Brothers
ネクタイ : Polo Ralph Lauren
パンツ : Beams
靴 : Crockett Jones


(7) ラルフローレンのカーディガン
2018年、50周年を迎えたラルフローレン社のランウェイにも登場したブロックチェックのコットンカーディガン。ファッションショウの時と同じようにツィードベストをかませてコーディネートしてみた。左右で色違いというかなり派手目なカーディガンだが着てみるとプレッピーな感じが小気味いい。エンブロイダリーチノと合わせてシャツ以外はラルフでまとめてみた。
カーディガン : Polo Ralph Lauren
シャツ : Brooks Brothers
ベスト : Fallan & Harvey(Bespoke)
ネクタイ : Polo Ralph Lauren
パンツ : Polo Ralph Lauen
靴 : Crockett Jones


(8) ポロのスタジャン
2018年の勢いを引き継いだ2019年はグラフィック(らくがき調)が加わり、更にラルフ色が増している。このスタジアムジャンパーもレザーの袖筒、襟と袖のリブ編みなど正統派の作りに加え、らくがきやエンブレムなど満艦飾のごとく華やかだ。余談だがスタジアムジャンパーは和製英語、正しくはVarsity Jacketと呼ぶそうで、カレッジ毎に色やレター、エンブレムが入るらしい。
ジャンパー : Polo Ralph Lauren
シャツ : Brooks Brothers
ベスト : Fallan & Harvey(Bespoke)
ネクタイ : Polo Ralph Lauren
パンツ : Beams
靴 : Crockett Jones



(9) ミリタリーコート
写真はバズリクソンズのアカデミーコート。標高1800mのコロラドスプリングスにある空軍士官学校では一重で目の詰んだコートが着られていたそうで、当時の資料から地厚のウールメルトンを用いて忠実に再現したとのこと。リブ編みの袖やジッパーを締めるとフードになる襟が特徴。足元はJFJベーカー社のロシアンカーフを纏ったPeebles。リッジウェイソールを纏ったクロケットの傑作だ。
コート : BuzzRickson's
シャツ : Brooks Brothers
ベスト : Fallan & Harvey(Bespoke)
ネクタイ : Polo Ralph Lauren
パンツ : Red Fleece
靴 : Crockett Jones


(10) コーデュロイジャケット
90年代アメリカ国内買付のコーデュロイジャケット。勿論メイドインUSAのものだ。質の良いコーデュロイは写真に撮るとベルベットのような雰囲気を漂わせる。両胸に配されたポケットや脇ポケットはいずれも包みボタン留めのパッチ&フラップスタイル。最近よく見かけるデザインだ。パンツもラルフお得意のヘリンボーン柄で揃え90年代の着こなしを再現してみた。
ジャケット : Polo Ralph Lauren
シャツ : HACKETT
ネクタイ : Black Fleece
パンツ : Ralph Lauren


(11) 未公開ストック(その1)
こちらはストア未掲載のストック品。RRLがシーズン毎に出す限定デニムを主にコレクションしてきたものだ。Levi'sやLeeのオリジナルをデザインソースにしたものが中心で限定200本のものなど特別感がある。どれも未洗いのリジットで一度履いたら90日間は洗わないというRRLのガイドに従って育てていくことになる。
Denim : いずれもRRL(新品)


(12)未公開ストック(ブーツカット)
こちらはユーズドのRRL、しかも全てブーツカットというのが特徴だ。最近ではシューカット(ShoeCut)とも呼ばれるブーツカットは若い世代にとって新鮮なようでレディスものから広まった裾広がり(ベルボトム)のタイプが復活の兆しを見せ始めている。一番上は第2期のRRLの極初期のもの。レザーパッチが小さくシボ革なのが特徴だ。
写真は全てRRL(ユーズド)


(13)ビンテージウェアの魅力
こちらは私物のビンテージウェア。80年代のポロツィードジャケットはNYの名店ブルーミングデールズとのWネームが特徴、現行品では再現できない打ち込みのしっかりしたヘリンボーン生地は再現しようとしても中々できるものではない。インナーのベストはロンドンのFallan& Harveyのビスポーク3ピースから拝借、クラシックなジャケットにはラウンドカラーのシャツが一押しだ。小粒ながら装いの要、クレストタイは同じ商品が新品でRoomストアにストックされている。
ジャケット
Polo Ralph Lauren x Bloomingdales
シャツ : Rugby by Ralph Lauren
ネクタイ : Polo Ralph Lauren
ベスト :Fallan & Harvey London
パンツ : Beams
靴 : Crockett Jones


(14) ビンテージウェアの魅力(その2)
RRLのマグカップは既に完売。ラルフのテーブルウェア類は結構人気のようだ。昔英国のウェッジウッド(後に倒産する)が作っていた頃のものは特に秀逸だった。聞いた話ではラルフローレン側からウェッジウッドに対して牛骨灰(リン酸カルシウム)の割合を多くしたボーンチャイナ(白磁)を発注していたとか。そう言われれば「白さが違う」気もする。また、金の絵付け(本物の金入り)が多いのでラルフの食器類はコストが高かったそうだ。
コーヒーカップ : RRL
ハンチング : Paul Stuart
他は(12)に同じ



コロナ禍ではアメリカやイギリスへの買い付けもままならないが、ショップの方も少しずつ販路を広げているようだ。改めて思うのは昔のものは「質が良いものが多い」ということ。勿論今の製品にも「なるほど…」と思わせるものもあるがその分値も張る。一方、ユーズドは(12)のように新品のような輝きはないが値段は安く、今の製品では出せない味もある。

田舎暮らしが日常になりつつある今、新品を使うのは少々気恥しく、ユーズドを探してみるものの良し悪しはオンライン上では見分けがつきにくい。新品で「使い込んだ」雰囲気のものを探すと結局ラルフローレンのプロダクツに行き着いてしまった。このRRLマグなど正にど真ん中…。

これからのモノ選びは「田舎暮らしに合うか?」かどうかが基準となりそうだ。

byJun@RoomStyleStore