田舎暮らしの必需品 | Room Style Store

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2021/07/03 06:50


都会と田舎を行ったり来たりの生活を始めて3か月。6月の終わりに訪れた信州は流石に暑いがそれでも東京より過ごしやすい。ちょっと日陰に入れば涼しいし夜になれば気温もグッと下がる。明け方なんて毛布と布団がないと寒いくらいだ。近場の観光地は平日のせいか客も殆ど見当たらず、行きつけの蕎麦処では静かに時が流れていた。

新しい生活様式になってから服飾関係で買ったものといえばアウターにジーンズやブーツと田舎暮らしに欠かせないものばかり。ドレスとは無縁の世界が続いている。そろそろネクタイが上手く結べなくなっているかもしれない。ファッションではなくスタイルを求めて試し続けてきたがいよいよ終着駅が近づいてきたのだろうか…。


そこで今回は「田舎暮らしの必需品」をテーマにセカンドハウスでの服装や暮らしぶり、自然環境について書き記してみようと思う。

(1) 冬支度の始まり
以前も書いたがこの時期は下草刈りと庭の小枝拾い、薪の購入など冬支度が始まる。暑い日中を避け早朝が勝負だ。昔家を建てた頃は隣家は一軒もなく鍛冶屋に特製薪ストーブを作ってもらい、庭木を薪に使う生活だった。ところが今や市販の薪ストーブも薪もホームセンターで手に入る。便利な世の中だが少々さみしい気もする。
Outer Shirt : RRL
Denim & Belt : RRL
Boot : Red Wing8166

(2) コーヒータイム
一仕事を終えた後のコーヒータイムは格別だ。RRLのマグカップはシーズン毎に絵柄を変えるので一個また一個と知らぬ間に増えている。そもそも人(特に男性)は狩猟時代の記憶からモノを集める傾向が強いそうだ。自分も服や靴など身に覚えがあるが、その記事を書いた医者のアドバイスによれば「収集家になっても収集癖にはならない」ことだそうだ。肝に銘じたい。

(3) オーバーシャツ
大柄のシャツジャケット。RRLではオーバーシャツと呼んでいるがCPOシャツのようなイメージか…。洒落た色合いのウール生地で仕立て、肘にレザーパッチを施すなど細部へのこだわりが購買意欲をそそる。田舎暮らしでは一年中着られる長袖が何より重宝するアイテムだと暮らしてみて初めて分かった。


(4) カーディガン
初めてスコットランドに行った時、夏でもツイードの上着を着ている人が居て驚いたが信州の山間も似たようなものだ。何しろ今朝5時の気温は15℃、ボタンダウンシャツ一枚じゃ肌寒いので慌ててカーディガンを羽織ったが「100m高度が高くなれば0.6℃気温が下がる」となるとこの先の集落ならもう2~3℃気温が下がるはず…まさにスコットランド並みということになる。
FairIsle : Polo Ralph Lauren
BD Shirt : Brooks Brothers
Denim & Belt : RRL
Boots : Marmolada


(5) 肌の露出を避ける
地元の自治体HPには「外で作業する時は長袖・長ズボン・足を覆う靴に加えて明るい色の服を着る」ようにと書かれている。マダニ感染症から身を守る方法だそうで「明るい服の方がダニを目視で確認しやすい」らしい。「サルやイノシシなど野生動物にもマダニが咬着しているので接触を避けよ」とのこと。環境に適した服を着るという意味が真に分かる事例だろう…田舎暮らしもそれなりに大変だ。


(6) フェアアイル柄
下がフェアアイル島で編まれた本物のVネックセーター。斜陽産業だった手編みセーターをラルフローレンが救うべくポロのタグをつけてラインナップしたという話も残っている。一方上はラルフローレン社が1980年代に中国に作ったニット工場製のフェアアイルのカーディガン。伝統かモダンか迷うところだが今回は明るい色を着なさいというHPの進言に従った。


(7) ハンティングシャツジャケット
コットンダック風だが表地は難燃加工ナイロン100%を2プライで仕上げたもの。裏地はポリウレタンをボンディング加工し、肩や肘のパッチはアルカンタラというハイテクシャツだ。防風機能に優れ焚火にも強い服というのが売りだそうだがショップの店員によれば「焚火しながら着ていると暑くて結局脱いでしまう…」と言って笑っていた。


(8) ソール交換
いくらブーツが必需品とはいっても脱ぎ履きは面倒くさい。たまには短靴でも…とティンバーランドを出したら一体型コマンドソールがベロンと剥がれてしまった(驚)…仕方なく靴屋に持ち込んだら「高温多湿の日本は剥がれやすいからウエッジソールタイプが良い」との進言が…ユケテンよろしくホワイトソールに交換して早速履いてみたのが上の写真。
Outer : Houston
Camo 5 pocket : Polo Ralph Lauren
Shoes : Timberland Classic 3 eyelet


(9) フリースプルオーバー
ウールやコットン素材のように虫食いの害と無縁のフリースも重宝するウエアの一つだ。汚れても洗濯すればシミも残らず毛玉もできない。この日は雨模様…Tシャツの上に羽織ってコーヒー片手に庭を散策。野鳥観察の趣味でもあればさぞ楽しいだろう。


(10) レッドウィング875
写真は26年履き続けたレッドウィング。バブアー同様オイルを染み込ませて履くのだろうが木くずや草などが付着しやすい。こまめなブラシ掛けが必要で、ドングリ色に惹かれて買ったが頻度でいえばメンテナンスが楽なオロラセット【写真(2)】の方が好みだ。
Fleece :  Polo Ralph Lauren
Denim : RRL 
Boots : Red Wing 875


(11) ワークシャツ
RRLの2021年春夏物からチョイスしたワークシャツ。新品のうちから着古したようなパッカリングや表面の毛羽立ちが古着のようで楽しい。素材はコットンだがネル素材のように肌触りは良好、身頃や袖丈のサイズ感も程よい。インポートものは特に袖丈が長いのがネックになっていたが、最近のRRLは程よくフィットしてくれる。
Shirt jacket : RRL
Denim : RRL 
Boots : Polo Ralph Lauren
Tote : L.L.Bean


(12) ターコイズブルー
ターコイズブルーの配色がこのジャケットの見せ場。ネイティブアメリカンにとってターコイズ(トルコ石)は空や水、護身や権威、天の恵みを象徴するそうだ。チマヨ柄やナバホ柄などネイティブアメリカンのパターンにターコイズブルーを加えてジャカード織りで仕上げた生地は如何にもRRLらしい。


(13) バックルブーツ
ネイティブ柄のジャケットにデニムならウェスタンブーツも良いがぽってりとしたラウンドトゥブーツも気になる。RRLの名作バワリーブーツの前身ともいえるポロのバックルブーツ。アメリカ製と思いきやなんと英国のアルフレッドサージェントだった。


(14) バワリーブーツ
こちらがRRLバワリー、その2代目になる。初代はアメリカのジュリアンブーツが請け負っていたそうだがジュリアン氏自身も英国出身。ノーザンプトンで靴作りをしたそうな…こちらはそのノーザンプトンの老舗チーニーによるもの。ドレスシューズから質実剛健なブーツまで手慣れたものだ。


(15) ビーンブーツ
田舎暮らしのベストブーツと言えばビーンブーツ。実は長野県もヤマカガシの生息地。マムシの3倍、ハブの10倍もの毒性がある蛇から身を守るにはロングシャフトのブーツがベターということで8インチ丈を試してみた。シャフトがスペシャルカラーなのでいつもよりなんだか洒落て見える。


都会から移住したい都道府県ランキングの常連といえば「長野県」。一昨年まで3年連続日本一という実績がある。ただ昨年はテレワークの推進により都会から離れてもう一部屋ゆとりのある住居をという感覚で前年3位の「静岡県」が初の1位に輝いたようだ。ランキング上位はいずれも自治体による移住支援が充実しているのに加え、移住者の体験情報が豊富であるため参考にしやすいなど安心感もある。


ただし「移住したい」憧れと「移住した」後の現実は大きく違う。コンビニまで車が必要なほど遠かったり深夜営業の飲食店もなかったり…庭付きの家なら夏でも長袖・長ズボンで庭仕事が待っている。蛇も出るし猿や猪にも遭遇する。スーツ姿とは無縁でネクタイも締めないし黒靴も履かない。ライフスタイルが殆どひっくり返るといってもいい。

だが一生に一度の人生、大転換を楽しめる度量が有れば移住はまたとない人生経験となるに違いない。

By Jun@RoomStaff