しなの鉄道の旅(前編) | Room Style Store

Blog

2024/05/25 06:48


新幹線の開業に伴い横川~軽井沢間が廃止されたのが1997年の9月末。翌10月1日からJRの信越本線軽井沢~篠ノ井間を第三セクター方式による並行在来線鉄道第1号として開業したのが「しなの鉄道」だった。2014年7月には軽井沢から長野に至る沿線の景観を楽しみながら各地の歴史や文化、自然の恵みを堪能できる観光列車「ろくもん」が走り始めている。

ろくもんの最大の魅力は車内で味わう信州の味覚。土日は特に盛況で予約は至難の業だ。ならばと週を変えてトライするうち4月6日の土曜日に空席を発見。昔エルメス本店で黒の手縫い鞄を手に入れた時以来の強運を掴んだか…直ぐに支払いを済ませ軽井沢までの列車も予約。せっかくの観光列車、今回は車やバイクに乗らず鉄道で軽井沢を目指すことにした。

そこで今回は観光列車ろくもんの魅力と長野の鉄旅を楽しんだ様子を2回に分けて紹介しようと思う。

※扉写真は「ろくもん」乗車記念引換券

(1) 大宮へ
埼京線を待っているとりんかい鉄道の車両が入線。TWRはTokyo Waterfront Area Rapid Transitの略だそうだ。発車後車内で紛失したスマホを探す外国人に遭遇。暫くして斜め前の席で呼び出し音が鳴り件の外国人がやってきてスマホを無事発見!!…車内の客に自分の電話番号への発信を要請したようだ。中々スマートなことをするなと感心…。

(2) 北陸新幹線に乗り換え
大宮駅からは北陸新幹線に乗り換え。3月16日に敦賀まで延伸したこともあって車内誌も福井などのご当地グルメ満載だ。乗車したのは軽井沢に停車するはくたか553号、先に発車したかがやきは長野までノンストップ、その先も敦賀まで富山、金沢にしか停まらないとか…。グランクラスに乗って福井まで行くのも良いなぁと夢想。

(3) 軽井沢駅
軽井沢に到着後は近場を散策、しなの鉄道が改装した旧軽井沢駅を目指す。以前も一度当ブログで紹介したが昔はこんな小さな駅舎だったとは…。ふと学生の頃碓氷峠を列車に揺られて軽井沢に到着、バスで北軽井沢に向かった時のことを思い出した。記憶はあいまいになったが多分この駅舎だったと思う。

(4) 運賃表
案内図を見るとJRから軽井沢~篠ノ井間を引き継いだしなの鉄道はその後長野から妙高高原までを「北しなの線」として編入、営業キロ数も一気に増えた。路線図を見て気付くのが「しなの鉄道線」と「北しなの線」との間、篠ノ井~長野間はJR信越本線になっていること。理由を調べたら名古屋からの特急「しなの」が乗り入れるためだとか。

(5) ラウンジ
9時30分からラウンジでウェルカムドリンクを飲みつつ列車を待つことができるとパンフレットに書いてあり楽しみにしていたラウンジ見学。早速ドリンクを受け取り上階へ。日頃開放していないのでろくもん乗客のみの特権ということになる。軽井沢らしい洋館の大広間のような雰囲気が旅への期待度を高める。

(6) ホームに入る
早めにしなの鉄道のホームに入って見学…右は横川~軽井沢間を列車が走っていた頃の電気機関車(静態保存)。左は湘南色と呼ばれる緑と橙の旧国鉄形電車115系。しなの鉄道では115系を写真の湘南色以外にもブルーとクリームの横須賀線色や初代長野色にリバイバル塗装して走らせているようだ。昔中央線を走っていた湘南色の急行アルプスを思い出した。

(7) ろくもん入線
やがてろくもんが入線、車両は右側に停車している湘南色の115系と同じだが工業デザイナーの三戸岡鋭治さんによるデザインで外観も内装も大胆にイメージチェンジされている。右側の115系もそうだがしなの鉄道線の車両はいつ見ても綺麗だ。洗車機だけでなく職員によって細部まで丹念に磨かれているような輝きだ。

(8) 出発前の合図
出発時刻になると車掌がほら貝を吹いて合図するのが面白い。周りに誰もいないように見えるが左右には写真を撮るお客さんが大勢いる。担当した車掌さんも緊張したのではないだろうか。車止めの向こうには以前国鉄時代のホームが遺構として残っていたが最近取り壊されてしまった。どうやら再開発が進んでいるようだ。

(9) ウェルカムドリンク
車内に入り席に座ると再びウェルカムドリンクが…沿線のワイナリーからチョイスした赤ワインとペットボトル入りの天然水が置かれていた。乗った車両は二名の対席シート、扉を締めると個室にもなる。テーブルが小ぶりに感じるものの限られた空間である車内を考慮すれば居心地もよくリラックスして車窓を楽しめる。

(10) アンティパスト
長野から軽井沢は和食だが軽井沢から長野へは洋食のランチ。最近フレンチからイタリアンに替わったようで、乗車前に軽井沢駅構内でウェルカムドリンクを受け取ったレストラン「プリモフィト」が担当している。盛り付けは和風だがイタリアンなのでアンティパストというべきか…蓼科豚や信州サーモンやリンゴ酢など信州の食材を生かした料理が並ぶ。

(11) クラフトビール
ランチにはサービスドリンクが付いているので地ビールを注文。列車名の由来にもなった真田家の「六文銭」を缶のデザインに取り入れたご当地ビールの「赤備」は読み方が「あかぞなえ」、アルトビールとのこと。二名で乗車すれば「真田軍団」のスタウトを注文して両方を味わえる。諏訪市の麗人酒造で造られている。

(12) 2号車
二名の対席が続く3号車から1号車に向かって車内を移動…アンティパストとセコンドの間に席を立つのも失礼だが沿線の各駅で手を振る職員や地元の方に手を振り返すために席を移動、ついでに撮影してみた。窓に向かって座る席が並ぶ2号車は一人席の他に二名用のベンチシートもある。車窓を楽しむ人向けのレイアウトだ。

(13) 1号車
1号車は進行方向左側に4名のボックス席が、右側に2名の対席が配置されている。中央には遊具もあって小さな子供が楽しめる。ファミリーユースを考慮しているのだろう。お土産コーナーもあり軽食なども楽しめる。気軽にろくもんを乗りたいグループがボックス席で和気あいあい話しながら車窓を楽しむのも悪くない。

(14) メインディッシュ
こちらがメインディッシュ。イタリア風に言えばセコンドになろうか…手前が信州みそと野沢菜のキッシュで小鉢が安曇野産のサーモン。メインの蓼科牛サーロインステーキには信州野菜と長野名産のわさびドレッシングが付く。信州産にとことんこだわっているようでハーフボトルの赤と白ワインも地元のワイナリーのものだった。

(15) 上田城址
乗車後1時間ほどして上田に到着、真田家の居城上田城跡を通過する時は列車も最徐行してくれる。この日はちょうどイベントがあったようで満開の桜ととともにいつにも増して多くの人で賑わっていたようだ。石垣が往時を偲ばせる。四国訪問以来にわか城めぐりが趣味の一つになっているので次はバイクで来ようと計画中。

(16) デザート
デザートは信州林檎なかののきらめきジャムと季節のフルーツ、苺のゼリーとパンナコッタにミカドコーヒー。イタリアンではドルチェということになる。もちろん季節のフルーツもイチゴも地元の食材を使用している。食の宝庫信州ならでは…戸倉駅ではシェフが出発する列車をお見送りしていたのでお礼を込めて大きく手を振った。

(17) 屋代駅にて
最後の停車駅屋代では時間があるので最新車両を撮影。しなの鉄道のHPによれば2020年から配属されたこの新型SR1系は「より快適に」そして「より速い」移動空間を提供することで訪れた人々に幸せをもたらす「爽やかな新風」になりたいという思いを込めたとのこと。車内はロングシートにもボックスシートにもなるデュアルシートを採用している。

(18) 長野電鉄のホーム跡
長野に向かって右側には旧長野電鉄屋代線のホームが残っている。長野電鉄で最初に開業した路線として屋代駅から同じ長野電鉄長野線の須坂駅を結んでいたが2012年に廃止された。俳優の六角精児さんは「ローカル線は毛細血管のようなもの、消えるとまちがともしびを失う可能性がある」と話していたが往時が偲ばれる。

(19) ノベルティ
間もなく長野駅に着くかという頃、アテンダントさんが乗車記念にろくもんの名が入った七味を配ってくれた。発売元は善光寺の門前に店舗を構える八幡屋礒五郎、レトロな缶入り七味が洒落ている。乗車前から降車時まで2時間半、JR九州の「いさぶろうしんぺい号」以来の観光列車だったがやはり鉄旅は楽しい。全国各地の観光列車を試してみたくなる。

(20) 完乗
終点の長野駅に到着、乗ってきた3号車を撮影。障子で仕切られた個室を忘れ物がないか見回るアテンダントさんの姿が印象的だった。料金は食事つきプランで一人18,500円。軽井沢から長野まで高速道路をドライブしてサービスエリアでランチを取るより値は張るが快適さは雲泥の差、何よりランチ時にワインを楽しめるのが最高だ。

(21) 長野市内巡りへ
改札口を出て記念乗車券を手に善光寺方面へ向かう。途中で何度下車しても発券日に限り有効とのことだが観光列車ならば最後まで乗ってみたいと思うもの…さて到着時刻は12:37、昼時のせいか長野駅周辺は人影もまばら。皆ランチを楽しんでいる頃か。「牛に引かれて善行寺参り」を頭に思い浮かべつつ山門を目指した。

東京から身近な信州というと八ヶ岳や蓼科方面、松本から上高地や白馬方面に…アウトレットで軽井沢に行くこともあるが意外と行きにくいのが長野市。スキー場に足繁く通っていた頃なら長野から野沢温泉に足を伸ばしたが長野五輪で道が整備されたあとは都内から松本経由で大町や白馬方面に行く方が断然楽で早く到着する。

ただし甲信越地方の都会ランキングでは1位が新潟市、2位に長野市が入り3位が長岡市で4位が上越市、5位にようやく松本市が入る。松本以外新幹線の停車駅があるのも納得だ。ネットでは「長野市と松本市のどちらが都会か?」で色々な人が書き込んでいるが観光客としてはどちらも魅力的、今回は長野市の散策を楽しみたい。

By Jun@Room Style Store