2024/06/15 06:25

出戻りライダーになってはや6年、昔のように峠道を走るのはしんどいので今は近場の古刹や古い駅舎、映える外観の店を訪れてはバイクと一緒に記念撮影するのが楽しい。特に最近は昭和な喫茶店がブームらしい。ならばと次の行き先を「レトロ喫茶」で検索したら絵になる外観の店を発見した。
口コミやアップされた写真も参考にストリートビューで下調べする。何より①バイクと一緒に撮影できるかどうか。あとは②店は奥まってないか③店の前はひらけているか④ガードレールや電柱等障害物はないか…まるでバーチャルロケハンだがチェックポイントをクリアしたらいよいよ出発だ。
ということで今回はバイクで訪ねたレトロな喫茶を紹介しようと思う。
※扉写真は訪問先の美味しいコーヒー
(1) 本日のベストショット

本日一番のショット!訪れたのは府中のレトロな喫茶「珈琲屋マロコ」。昭和50年生まれのカワサキZがよく馴染んでいる。開店と同時に撮影、バイクを停めたまま急いで駐輪所を探してる間に「店とバイクを撮らせて欲しい」と頼んできた人がいた…と後で店主から聞いた。きっと「映える!」と思ったに違いない。
(2) バイク置き場

バイクを置いたのは店からほど近い府中駅東自転車駐輪場。大型バイクOKなのが嬉しい。2023年3月~4月の調査では府中市が多摩地区で「住みやすいと思う多摩地域の市町村」第1位に輝いている。「潤沢な財政による充実したサービス」の評判どおり駅前の駐輪場一つとっても利便性が高い。
(3) スペース

大型バイク1台分としてはかなり余裕がある。広い駐輪場の先端にあたる場所ゆえ直射日光で車体が熱くなりそうだが目の前は歩道で人目も多い。これならバイクにいたずらされる心配もないはず。係の人に料金を支払ってヘルメットとグローブをホルダーに掛けたまま歩いて喫茶店に戻った。
(4) 料金

因みに料金は一日300円。奥に並ぶ原付は250円とバス代金とほぼ互角。これなら駅まで原付、そこから先は電車で仕事場に向かうのだって悪くない。雨さえ降らなければ断然便利だ。「東西南北に出られる鉄道網」が自慢の府中市にはJRが三駅、京王線が7駅、西武線が4駅、合わせてなんと14駅もある。
(5) お店に戻る

バイクを停めて戻ると店の前には看板がずらり…先ほどとは雰囲気が違う。改めて見回すとホーローの看板や木製の牛乳箱が良い雰囲気を醸し出している。当時ものかと思ったがレプリカらしい。自分の家にも置いてみたくなる。左の郵便ポストは台座といい色褪せた朱色の塗装といい本物のようだ。
(6) ケーキメニュー

昼には早いのでコーヒーとスイーツを…ということでケーキメニューをチェック。4種類のケーキはどれも「手作り」と書いてある。何にするか迷ったが味が6種類も選べるスコーンに決定。セットのドリンクは店の名前が珈琲屋というくらいだからコーヒー、それも中煎りのマロコブレンドに決定。
(7) 食事メニュー

こちらは食事のメニュー。砂糖の代わりに「甘こうじ」を使ったメニューが目を引く。砂糖は急激に血糖値を上げるなど体への負担が懸念されるのに対して甘こうじは砂糖より低カロリーでミネラルやビタミンB群を含み吸収も早いなど体に良いらしい。店主(女性)の細やかな心遣いを感じる。
(8) 本日のメニュー

念のために3枚目の看板もチェック。あれっ?◀本日は▶の下を見ると今日のスイーツはシフォンケーキかスコーンの二者択一らしい。幸いスコーンがあったのでラッキー。和風サンドの方は「ゴボウサラダと海苔を挟んだホットサンド」とある。トーストとゴボウの相性を試してみたくなる。
(9) 店内①

店主に断ってお客さんのいないうちに店内を撮影。まずは入り口を撮影。古民家から持ってきたのだろうか、梁(はり)を入れる「ほぞ穴」の開いた太い柱が最初に客を出迎える。店内は如何にも年代物の木材と新しい木材が上手く調和している。落ち着いたトーンの店内は居心地が良い。
(10) 店内②

天井のランプや囲炉裏のあるテーブル、ふちゅうと書かれたホーロー駅名板…壁にはなんと猟銃?まで飾られている。アンティークな壁掛け時計は見ているだけでも楽しいが和を感じさせる障子とアンティークの西洋風テーブルセットの組み合わせもまた良い。ついあちこち見て回りたくなる。
(11) 洒落たテーブル

こちらも古民家にあったような自在鉤。存在感たっぷりの演出だ。横木や鉄製の鉤には長年の煤が染み込んでいるかのよう。囲炉裏はガラス板で塞がれているが外して炭をくべれば鉄瓶の湯がわく音まで聞こえそうだ。テーブルや椅子から壁回りに食器や小物まで什器全てが趣味よくまとまっている。
(12) アンティークな時計

壁掛け時計の中でも特に目を引くのがこちら。腕時計にも見られる月型針が曜日を指す仕掛けがそそる。ゼンマイは八日巻き、つまり一度目いっぱい巻くと一週間動き続ける。因みに巻くのは週に一度同じ曜日が良いらしい。製造会社は赤星時計製造所、作られたのは明治~大正とのこと。
(13) スコーンと珈琲

淹れたてのコーヒーの匂いに誘われてテーブルに戻るとお待ちかねスコーンとコーヒーのセットが運ばれてきた。6種類選べるスコーンの中から選んだのはプレーンとあずき。どちらもオオカミの口が開いた本格派だ。因みにこのオオカミの口、日本では「腹割れ」とか「腹割れ線」と呼ぶそうだ。
(14) 高架下を歩く

珈琲屋マロコで人心地ついたら府中駅界隈を散策。駅前はかつて伊勢丹があったが2019年9月末で閉店。半年後に全世界を覆ったコロナ禍を思えばいいタイミングだったかもしれない。緊急事態宣言の発出する中運営するノジマが「ミッテン府中」として段階的に開業して今に至るそうだ。
(15) けやき並木

府中のシンボルけやき並木。正式には「馬場大門欅並木」と呼ばれる。源頼義・義家が奥州征伐の途中神社に戦勝を祈願し、凱旋時にけやきの苗を千本植えたのが発端、最古のけやきは樹齢約六百年を超えるとのこと。大正13年、国の天然記念物に指定され地元だけでなく国の宝物でもある。
(16) 大國魂神社

千九百年の歴史がある大国魂神社に向かう。写真は参道だが背後のけやき並木も参道だとか。自転車は進入禁止だが2020年の東京オリンピックの際はロードレースのパレードランが行われている。歴史と自然が残る府中市は今も人口が増え続けている。それだけ住みやすい街ということだ。
(17) 随神門から中雀門をのぞむ

参道を歩くと最初にくぐるのが随神門。平成23年に改築、国産のひのきで作られ木造の門としてはかなり大きい。この前訪れた善光寺の仁王門と似てるなと思ったらなるほど…随神門は寺院でいえば仁王門に当たるそうだ。邪悪なものが神様のいる聖域に入らないよう建てられたものだとか。
(18) 鼓楼

随神門を入って左手に見えるのが鼓楼。昔は時刻や緊急事態を知らせる太鼓が置かれていたという。寺でいえば鐘を鳴らす鐘楼(しょうろう)にあたるが神社は太鼓を鳴らすので鼓楼(ころう)と呼んでいるそうだ。奈良の唐招提寺にある鼓楼とよく似た雰囲気だが1854年に再建されている。
(19) 狛犬

髄神門から先に進むと次にくぐるのが中雀門。門自体は明治維新百年記念行事として昭和44年に建て替えられたとある。左右に鎮座する狛犬、中でも向かって右側は苔むしていて中々の雰囲気だ。狛犬の役目は仁王像と同じく邪悪なものから神や仏を守護すること。常に左右一対で置かれている。
(20) 拝殿

こちらが拝殿。昭和53年に改修されている。大國魂大神は福神として有名、縁結びや厄除け、厄払いの神様でもあるそうな。商売繁盛と家内安全に交通安全も…欲張って色々お願いした。二礼二拍手一礼の作法も忘れずできるようになったが実は二拍手の際、両手の指先は少しずらすそうだ。
【参考資料】
〜奉納された地酒〜

東京都酒造組合が奉納した日本酒。左から二番目の石川酒造は当ブログの過去記事古民家カフェ「久森」で触れているので興味があったら読んで欲しい。一番左端の澤乃井は青梅線沢井駅前に酒蔵があり、奥多摩ツーリングの帰りに立ち寄ることも可能…ただしバイクだと試飲(有料)ができないのが残念。
(21) 蔵カフェ

街中を散策中に見かけた蔵カフェ。酒屋の蔵を「酒座中久本店」と「蔵カフェ」として営業、醸造所自体は野口酒造として別の場所に移転させたとか。当日は生憎の定休日。店内は珈琲屋マロコ同様アンティーク家具に囲まれた暖かい雰囲気らしい…日を改め電車に乗って訪れて一杯飲んでみたい。
10〜20代を中心に昭和から平成初期の物品や文化に魅力を感じるレトロブームが起きている。面白いのはその中心にいる若い世代は昭和の時代にはまだ生まれていなかったか、あるいはぎりぎり生まれていたとしても当時のことなど覚えていないということ。そのレトロブームの中心にあるのが喫茶店、それも純喫茶なのだという。
因みにカフェはお酒を提供できるが純喫茶はできないという違いがある。試しにインスタグラムで「レトロ喫茶」と入力してみると昭和なメニューの代表ナポリタンやクリームソーダ、ピザトーストやフルーツパフェなど次々出てきた。今度は「レトロな建物」と入れるこれまた全国津々浦々レトロな建物が投稿されてるのに驚く。
90年代のビンテージジーンズからアンティーク時計や古着、昭和レトロな車やバイクなど…昔は良かったと過去を懐かしむオールド世代と違って若い世代はデザインの面白さなど冷静に分析しているという。世代を超えて心にうったえる昭和レトロ、さて次は何処へ行こうか…
By Jun@Room Style Store