中国•四国周遊バイク旅② | Room Style Store

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2024/08/25 10:01


前回は①フェリーで徳島まで移動②四国上陸後は一気に瀬戸大橋を渡って津山泊まり③翌日は初の鳥取砂丘に大満足しながら島根に移動するまでを書いた。ハーレー初のロングツーリングはガソリン残量と空冷エンジンあるあるな熱ダレが気がかりだったが雨が降るよりは断然良い。この先も晴天が続きそうなので予定どおり島根県へと向かった。


鳥取に次いで人口の少ない島根県だが実は見どころが多い。それに乗ってみたい鉄道路線もある。連日の長距離移動で疲れているので今宵は山あい明日は市内と出雲エリアに連泊することにした。鳥取を出て山陰自動車道をひた走り途中道の駅で海鮮丼を堪能。それでも予定より早く到着、チェックイン前に一風呂浴びて出雲の旅に期待も高まる。

そこで今回は出雲エリアを紹介しようと思う。

※扉写真は山陰自動車道「琴の浦IC」きわみの海鮮丼

(1) 奥出雲の宿
昔はよく利用した国民宿舎だが今回は久々の宿泊。出雲市郊外の静かな山あいに突如現れる立派な建物が今宵の宿「清嵐荘」だ。駐車場は広く真新しい施設と見紛うがなるほど2019年11月にリニューアルしたばかり。千三百年の歴史を誇る「薬湯」が宿の自慢とあって日帰り入浴も可能とのこと。

(2) 休憩処
チェックイン前に早くも温泉を満喫して暫しお休み。着いたのが日曜の午後とあって温泉はほぼ貸切状態だ。夜と翌朝にも入って薬湯の効果を実感した。民間の旅館やホテルより控えめな印象の国民宿舎だがここ清嵐荘は設備も部屋も食事もゴージャス。出雲市内のホテルに二泊しなくて良かった。

(3) 夕食
夕食のメインはご当地ブランドの「しまね和牛」。島根県内で生産された黒毛和牛は際立つ旨みと柔らかな肉質にさらっとした脂が特徴。肉料理ということで隠れた名産地と言われる島根の赤ワインを注文。宿からほど近い木次町「奥出雲葡萄園」のメルロとカベルネソーヴィニヨンをどちらもグラスで味わった。

(4) 朝食
こちらは翌朝の朝食。最近は加熱済の温泉卵が多いが清嵐荘の朝食は生卵が売り。しかも生卵専用の醤油まで用意されている。TKG(卵かけご飯)を堪能したのは久しぶりだ。普段朝はトーストにコーヒーが多いせいか毎日ボリュームたっぷりの朝食に胃の方も驚いていたが最後は淹れたてのコーヒーで締めくくり。

(5) 駐輪場
宿の駐輪場。チェックアウトしたら大きな荷物を預けて最寄り駅までバイクで移動。津山で警告ランプが点灯して以来トラブらないかと冷や冷やしながら走っていた。ファンクションボタンで警告ランプを解除しても暫く走ると再び点灯の繰り返しだったが今日は山あいで涼しいのかエンジンも快調な出だしだ。

(6) 八川駅へ
宿を出て走ること暫し、木次線の八川駅に到着した。一つ先の出雲坂根駅と三井野原駅の間には全国でも有名な3段式スイッチバックがある。廃線も噂される路線だけに山あいをジグザグに登る様子を記録したいもの。無人駅ながら手入れの行き届いた駅前にバイクを停めて一日3往復しかない列車の朝一番を待つ。

(7) 木次線に乗る
やってきた列車はディーゼルのワンマンカー。車内に乗り込んで整理券を取り席に着くとエンジンの唸る音と共に勾配に向かって列車はゆっくり走り出す。車内は他に乗客が一人、週末は鉄道ファンがもう少しいるはずだが今日は月曜日とあって少ない。日本の原風景といわれる景色の中を列車は進む。

(8) 延命水
次の出雲坂根駅で5分ほど停車、運転手兼車掌さんが「近くに延命水がありますけど飲んでいきますか?」と聞く。もう一人の乗客と一緒に駅を出て延命水が湧き出ている場所へ小走り…せっかくなので一口飲んで再び列車へと戻ると間もなく出発。三段式スイッチバックへと列車は一際エンジンを吹かして進む。

(9) 三段式スイッチバック①
車両の先端に移動、出雲坂根駅は真後ろに位置する。駅を出てスイッチバックに差し掛かるところ。左が八川駅から登ってきた線路で右がこれから進む線路。高低差がはっきりとわかる。この区間の維持にかかるコストはJR西日本のワースト2らしいが屈指の車窓だけに観光資源としてぜひ残して欲しい。

(10) 三段式スイッチバック②
最初の段差をクリアして進行方向を変える。自分も切り替わった進行方向先端に再度移動。運転手は車内を行き来して大変そうだ。両運転台の車両が使われる理由もそこにある。出雲坂根駅から登ってきた線路が右側でこれから進む線路が左側になる。(9)のスイッチバックより一段と勾配がきつい。

(11) 備後落合駅
JR西日本の中で最も標高が高い三井野原駅は標高727㍍。手前の出雲坂根駅が564㍍だから一気に163㍍も登ったことになる。雪が多く町営スキー場も隣接されている。とはいえ暖冬で雪が少なくるなど最近はスキー場の運営も大変なようだ。その三井野原駅を出ると間も無く備後落合駅に到着。右側に停車しているのは芸備線の列車。

(12) 転車台跡
かつては芸備線と木次線の接続駅として栄えた備後落合は100人もの職員が働き機関庫もあったそうだ。今は無人駅となってしまい往時の賑わいは全く感じられない。それどころか秘境駅とさえ言われる。構内には機関車の方向を変える転車台が残されており、鉄道の要衝だった頃を偲ばせる。

(13) 給炭台跡
こちらは蒸気機関車に石炭を積んだり慣らしたりするための台。そう言われても「ピンとこない」新しい鉄道ファンの方が多いかもしれない。草や苔むした建造物はなんだか天空の城ラピュタのようだ。1997年3月に無人化されてから既に27年が経過、それでも地元の人たちの尽力で駅は綺麗に保たれている。

(14) 駅前
駅舎を出てみたが駅前には何もなく静まり返っていた。昔は落合銀座と呼ばれるほど駅前通りは賑わっていたらしい。存続の協議が始まった芸備線と廃止が噂されている木次線を一気に乗る鉄道ファンを見かけた。まだ発車まで時間があるので待合室に備え付けの駅ノートや掲示物を見学して時間を過ごす。

(15) 芸備線の発車
まもなく芸備線が先に出発。折り返して広島方面の三次駅に向かう列車だ。広島から備後落合まで直通列車はなく三次で乗り換えになる。一方備後落合から芸備線の終点新見駅まで一日3本しか列車が走っていない。広島から三好とここ備後落合で乗り換え完乗まで5時間越えと中々ハードルの高い路線だ。

(16) 八川駅に戻る
備後落合駅を折り返す木次線の列車でバイクを停めた八川駅まで戻る。駅に立つミラーに映る列車を写真に収めてお見送り。再びバイクで清嵐荘に戻って預けた荷物を積んで出雲市駅前のホテルに向かった。この日は合計2時間程度でバイク運転も終了。警告ランプも付かずノートラブルだった。

(17) 一畑電鉄
早めに出雲市駅前のホテルに付いて再びバイクを置いたら一畑電鉄で出雲大社へ向かう。JR出雲市駅に隣接する電鉄出雲市駅から乗って川跡駅で乗り換え。大社線と北松江線の分岐駅ならではの三列車揃い踏みは鉄ちゃん推奨の名場面だ。左端の島根県ゆるキャラ「しまねっこ」ラッピング列車で出雲大社を目指す。

(18) 出雲大社前
終着駅の「出雲大社前」に到着。相変わらず外は暑い。涼しい車内から炎天下を歩いてお参りか…と思うと気持ちが一瞬萎える。ふと自分の腕を見ると日焼して真っ黒だ。長袖で運転していたのに知らぬ間に捲っていたようだ。しかもグローブを付けていないので日焼け跡が余計に格好悪い。

(19) 参道
長く続く参道。歴史の重みを感じさせる景色だ。出雲大社といえば島根県でも入込客ナンバーワンの観光地だが暑さのせいか人の出は少ない。日本最古の歴史書「古事記」に創建の由縁が記されている名所中の名所だが首都圏からだと岡山まで新幹線と伯備線経由で6時間半と結構時間が掛かる。

(20) 拝殿
出雲大社のお参り方法は一般的な二礼二拍手一礼ではなく二礼四拍手一礼。ここ出雲大社以外にも大分の宇佐神社や新潟の弥彦神社などで行われる参拝方法らしい。四拍手は「四季や四方」を意味し天災に見舞われることなく実りと繁栄を願う表れだそうな。毎年大人数で撚る「大しめ縄」は迫力がある。

(21) 御本殿
大社造りと呼ばれる日本最古の神社建築様式を今に伝える国宝の本殿。1744年に再建されたもので平成の大遷宮で大屋根や屋根から飛び出た角状の千木(ちぎ)が新調されている。縁結びの聖地だけあってご利益にあやかろうと多くの若い女性が訪れる…とガイドブックには有るが若い男性グループも結構いる。

(22) 彰古館
こちらは登録有形文化財の彰古館(しょうこかん)。出雲大社全体の宝物館として建てられたもので現在は資料館となっている。雅楽に使われる管楽器の笙(しょう)やひちりき、古文書類などが多数展示されているそうだ。入館料は200円、出雲大社をゆっくり見て回りたい人にお勧めとのこと。

(23) 素鵞社
一番奥まったところにある素鵞社は「そがのやしろ」と読む。社の横には「お砂」の入った箱がある。出雲大社の西方1㌖にある稲佐の浜から持参した砂を奉納し代わりに箱の中の「お砂」を最初に奉納した量より少なくいただくのが暗黙の了解だとか。地鎮祭や自宅の四隅に置くと邪気を祓い幸福をもたらすらしい。

【参考資料】
~千木のようす~
屋根上のアンテナみたいなのが千木。本来は屋根と屋根の接合部を留めて強度を高めるためのものだったが出雲大社では装飾用の「置き千木」とのこと。実はこの千木には男千木(おちぎ)と女千木(めちぎ)があるそうな。先端部分のカットの仕方で別れるらしいが出雲大社は縦にカットされた男千木だ。

(24) 割子そば
出雲大社を見学したら遅めのランチタイム。大社から一畑電鉄の出雲大社駅までの参道にある飲食店はどこも席待ちの行列が出来ている。思い切って駅を過ぎると古民家をリノベーションしたそば処「めぐみ」を発見。幸い席が空いていたので待つこと暫し、美味しい割子そばに出会えたのはご利益か。

(25) 地酒
そば屋では地酒を頼むのがマイルール。しかも今日は昼飲みする気満々でバイクを置いてきている。選んだのは写真の「出雲だより」。地元出雲市の朝日酒造による純米吟醸で公式HPによれば島根県産の酒米「改良雄町」ならではの柔らかな味と穏やかな香りが楽しめる食中酒とのこと。切子のおちょこが涼しげでいい。

2024年最新のインバウンド人気観光スポット島根編を見ると2023年に1位だった出雲大社は2024年最新版では3位になっている。代わりにトップに躍り出たのが安来市にある足立美術館。横山大観の120点を超える作品を始め充実したコレクションが特徴だが5万坪の日本庭園がインバウンド客の目あての一つになっている。

アメリカ専門誌の日本庭園ランキングで連続日本一に輝き、ミッシュラングリーンガイドジャポンでは山陰エリアで唯一三つ星を獲得するなど外国人に人気がある足立美術館。「庭園もまた一幅の絵画である」という考えのもと四季折々美しい姿を鑑賞できると評判だ。残念ながら時間がなかったが次回はぜひ訪れたい。

因みに全国魅力度ランキングでは島根県が37位で鳥取県が41位とアクセス面で課題があるものの訪れてみると山陰地方の印象は大きく変わる。豊かな自然と食、歴史や景色など魅力は尽きない。明日は山陰から中国地方を突っ切って四国へ再上陸だ。名残惜しい…

By Jun@Room Style Store