2024/09/01 07:41

前回は中国•四国州バイク旅で訪れた出雲エリアを中心に紹介した。出雲大社のお参りを終えて再び一畑電車で出雲市駅へ戻りホテルにチェックイン。駅前ながら温泉施設を備えた宿は有難い。ホテル側にすれば毎日チェックアウト後に部屋の水回りを清掃する人件費より温泉施設を予め設けた方がコスパが良いのかもしれない。
夕食前に温泉で疲れを癒したら食事処を検索。ホテルから近い日本料理屋に電話をかけると「予約と一緒に本日のお魚のお造りは如何ですか?」と聞かれた。「あいにく昨日海鮮丼を堪能したばかりなので…」と断った。予約時間に遅れないよう駅前を早足で通過。東京と違って夜の8時だというのに駅前はひっそりとしている。
何はともあれ出雲エリア最後の夜を満喫、明日は四国へ再上陸だ。
※扉写真は夜の出雲市駅
(1) 創作日本料理屋「和さび」

訪れたのは出雲市駅からほど近い「和さび」。日本料理屋で検索したが居酒屋風でもあり会席料理屋としても有名なようだ。まずは松江の地ビール「ビアへるん」ペールエールを注文。文豪小泉八雲こと「へるん先生」が世界に紹介した松江が誇る地ビールはフレッシュなアロマホップを使用した苦味とキレのあるビール。
(2) トマトおでん

この店の一推しが「トマトおでん」。出汁の中にトマトがドンと一つ…割って口に入れると中に詰まったひき肉から溢れる肉汁にトマトの酸味が相まって絶品の味だ。これを食べるためだけに来店する価値がある。飲み物もビールから地酒の出雲富士「青ラベル」に交替。和食を楽しむ準備は万端だ。
(3) 穴子と梅の釜めし

主菜は「あなごと梅の釜めし」。隙間なく敷き詰められたあなごの下に出汁の効いたご飯が隠れている。店の人気メニューらしくあなごの旨みをほんのり酸っぱい梅肉が引き立てて絶妙な味わい。帰り際、お店の人に「どれも美味しかったです」と伝えたら喜んでもらえたのが心に残る。次に出雲に来たらまた寄ろう…。
(4) 夜鳴きそば

ぶらぶら歩いてホテルに戻ると10時から無料で「夜泣き蕎麦」を提供するという。タイミングよく並んでダイニングテーブルに着く頃には「こんなに大勢宿泊客がいたとは…」と思うほど列ができていた。チャーシューこそないが昔懐かし醤油味のラーメンはメンマや刻み海苔にのネギと本格的だ。食後なのに麺類は別腹らしく完食。
(6) 宇和島城へ

翌日は早めに朝食を済ませて出雲市を出発。タンク容量の少ないフォーティーエイトだけにしまなみ海道の入り口、尾道の①向島で1回目の給油、続いて四国に入り②松山で2回目の給油をしたらラストスパートで宇和島まで向かう。最長移動距離だったがチェックイン時刻前に宿に到着。バイクを置いて宇和島城へと向かった。
(7) 入り口

江戸時代以前に建てられた天守が現存する「現存12天守」が4つもある四国。前回は高知城と松山城を訪れたので残るは丸亀城とここ宇和島城になる。写真は宇和島城の入り口「桑折長屋門」。城主藤堂高虎が1601年に創建、その後奥州仙台藩主伊達政宗の子、伊達秀宗が宇和郡10万石を賜り入城。1672年に完成したとある。
(8) 坂を登る

緩やかに続く坂を上りながら蝉の声を聞く。「静けさや岩にしみ入る蝉の声」を詠んだ山寺を夏に訪れた時のことを思い出した。日が差すと腕や首がひりひりするほどだが日陰は涼しい。植物に覆われているだけで5~6℃も低くなるそうだ。インバウンドで混雑する姫路城と違って景色を独り占めした気分に浸れる。
(9) 石垣

石垣の構造が分かる写真。四隅に角ばった石を配し、その間に大きな築石と隙間を埋める間詰石を積んでいる。間を縫うように階段を進むと徐々に高度を上げ間もなく天守が見えてきた。城山は国宝に指定されており「築城の名手高虎、会心の名城」と観光ガイドにも載っているが高知城や松山城より地味な感じだ。
(10) 天守

標高74㍍の高さまで徒歩で登ると姿を現す宇和島城天守。上から見ると五角形の形をした宇和島城は東側が海水を引き込んだ堀、西側半分は海に接した海城だったそうだ。もっとも現在は堀も海も埋め立てられてしまい面影はないとのこと。確かに生垣から街を見下ろしても宇和島の港は随分遠くに見える。
(11) 入館

靴を脱いで上がると受付があり入場料二百円を払って中に進む。一階部分をぐるりと回ると目に付くのが障子。天守に障子があるのは珍しいようだ。展示されている甲冑レプリカは中央が宇和島藩主伊達秀宗の鎧。右は三日月の兜で有名な伊達政宗のもの。左は豊臣秀吉の甲冑と案内板に書かれていた。
(12) 屏風

こちらは宇和島城下絵図屏風。複製品だが昔の宇和島城が五角形だった様子や城壁が海に面していたこと、海水を取り入れた堀が存在していたことが良く分かる。天守部分をよく見ると城壁で囲まれていたようだが今とは様子が違う。一階も二階も板張りだが敷居の高さから写真のように畳敷きだったのでは…という説もある。
(13) 宇和島港を望む

天守から海に面していただろう城壁側に立ち街並みを撮影。なるほど埋め立てで海がかなり遠くなっているのが分かる。宇和島は真珠の養殖が盛んなことはあまり知られていない。実は全国の41%を産出しているのが愛媛県。中でもここ宇和島と隣の愛南町がその中心となっており、アコヤガイの郷土料理もあるそうな。
(14) 武者窓

天守の窓は正方形の断面をもつ格子ではなく五角形の断面をした格子が入っている。案内板を読むと武者窓と呼ばれ「敵が攻めてきた際に狙いを付ける角度が広く取れる」作りだそうな。太平の世の天守ゆえ「狭間」と呼ばれる防御用の穴や窓はないが「いざ」という時の備えは怠らなかったようだ。
(15) 天守を見上げる

天守内を見学して外から見上げたところ。武者窓の様子がよく分かる。大棟(おおむね)の両端には立派な鯱(しゃちほこ)が付いている。実は鯱(しゃち)は実在するシャチと異なり龍または虎の頭をもつ想像上の魚、そそり立つ姿が鉾に見えることからしゃちほこと呼ばるようになったらしい。
(16) きさいやロード

宇和島城を後にホテルに戻る途中アーケード街を散策。日陰は涼しくていい。それに中央に自転車置き場があって利便性も良さそうだ。残念ながら営業中の店が少なく人の気配がない。地方都市の人口減少がここ宇和島でも進んでおり、ネットで調べると地元では活性化に向けて様々な取組を行っているようだ。
(17) 宇和島駅の軽便蒸気

JR宇和島駅は終着駅。ホテルに戻る前立ち寄ってホーム先端の車止めと頭端式ホームの雰囲気を見学、ついでに駅前広場の汽車を撮影してみた。レプリカらしいが予土線の前身であった宇和島鉄道を走っていた軌間762㎜の軽便蒸気だ。1933年に国有化された際に線路幅を1067㎜の標準軌に一気に替えたとある。
(18) 地元の居酒屋へ

ホテルの受付の方に聞いて訪れた今宵の食事処。「MARU」は全室個室の居酒屋。手作り餃子がお薦めの店らしくかなりの種類がある。他にも揚げ物や魚介類などメニューは豊富、和洋中なんでもござれだ。ホテルから念のために予約したが出雲の「和さび」とおなじく鮮魚のお造りを予約するか聞かれた。
(19) 手作り餃子

黒餃子や赤餃子、みかん餃子など変わり種もあったが店の一推し手作り餃子を注文。久々の中華味を冷えた生ビールと一緒に楽しむ。因みに餃子の食べ方は「醤油と酢とラー油の3点セット」が全国区だが宇和島のある愛媛県は「ポン酢」の回答率が30%を超える地域だとか。なるほどポン酢が置かれていたのも納得だ。
(20) 冷酒

ビールで喉を潤したら地酒を注文、頼んだ「伊予のこいごころ」は宇和島市の北に位置する「西予市」の宇和町に店を構える元見屋酒店の純米酒。冷酒からぬる燗までOK、アルコール度数も控え目の「すっきりタイプ」とのこと。冷えすぎると苦みが強くなるのでややぬるめの方が相性が良いようだ。
(21) 宇和島式鯛めし

本日の締めは宇和島式鯛めし。実は予め「宇和島式鯛めしの美味い店」を教わって予約した店なので迷わず注文。真鯛の刺身をタレと卵黄と混ぜ合わせ、熱々の御飯に乗せて食べるスタイルは焼いた鯛を昆布出汁で炊き込んだ松山鯛めしとは別物。たっぷり入った鯛の刺身がこの店の自慢だ。
前回の四国旅では四万十川がメイン、そのまま松山へ向かったが宇和島城が心残りだった。今回は僅か一泊とはいえ念願の宇和島城と街並みや郷土料理を味わえて気分は上々…ただ愛媛県では人口減少が続き、県内12の市・町が消滅可能性自治体となっている。宇和島市も例外ではなく、若年女性の減少率61.7%は県内で2番目に高い数字とのこと。
NHK松山放送局のWEBニュース特集は人口戦略会議の「出産や子育てに対して地域で支援しているところは評価されている。若年層の意見を吸い上げているかどうかが大切だ」という提言で結んでいた。10年前リスト入りした今治市は若年女性の減少率は依然46.1%と高いが今回はリストから外れている。宇和島市の取組が実を結ぶことを信じたい。
明日は四万十川に沿って高知へ移動。前回は「ひろめ市場」を訪問して賑やかな印象の高知県だったが消滅可能性自治体の都道府県別では10位の愛媛県よりも更に上位の6位に高知県が入っている。消滅危機を回避するには①移住や定住支援②子育て支援③雇用支援④地域づくりの4点が挙げられていた。特に地域の活性化に観光は有効な手段のようだ。
一観光客として訪れるだけでも活性化に寄与するのであれば海外旅行も悪くないがもっと日本各地を回ってみたい…そう思い始めている。
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