2024/11/02 20:05

ショールカラーの出自をAI に尋ねると「NYはタキシードパークの夜会で着た室内着が起源」とのこと。なるほどブラックタイ用の服をポロショップで注文した際も英国式ピークドラペルより「ポロはアメリカのブランドですからショールカラーのタキシードが良いのでは?」と店員がいち推ししてくれたことを思い出す。
ところが英語で同じ質問をするとAIは”Originated in Victorian times as men’s smoking jackets”と回答…なんとビクトリア朝時代の紳士用スモーキングジャケットが大元らしい。せっかく本場アメリカ発のショールカラーと紹介しようと思ったのに拍子抜けしてしまう。服にまつわる起源はまたも「英国にあり」のようだ。
ともあれ気を取り直して今回はアメリカ発ショールカラーの服を紹介しようと思う。
【フォーマル】
(1) タキシード

昔マクレガーが手がけたドンキーコートが初ショールカラーの服だったが現存せず。となるとスタートはこのタキシードになる。略式とはいえ礼服の着こなしルールはそれなりに複雑だ。例えばジャケットの前ボタンを留めた時写真のように少しだけ腰ベルト(カマーバンド)が見えるのが理想らしい。
(2) 拝絹と側章

デザインはテーラーやブランドによって異なるがポロのショールカラーは店員が薦めるだけあって格好良い。シルクの拝絹(ラペル)と同素材の側章(帯)が組下(トラウザーズ)のアウトシームに付くのがタキシードのお約束。パターンオーダーとはいえ身体にフィットした礼服は立ち姿が一番様になる。
(3) オペラパンプス

タキシードを着たら履きたいオペラパンプス。黒の靴墨でエスコートする女性のドレスが汚れないようパテントレザーが本式と聞いたが実際はそうでもなさそうだ。海外駐在時は履く機会もあったが日本に帰国してからは滅多に履かない。なにせブラックタイ着用の機会が少ないのだから当然と言えば当然か。
【アウター】
(4) パッカーコート

次はフォーマルなタキシードとは真逆のラギットなパッカーコート。モフモフの立派なショールカラーがトレードマークだ。ボディシェルはダブルマッキノウと呼ばれる袖と肩から胸まで24ozのバージンウール生地が二枚重ねというハイスペック。見るからに保温力が高そうだと分かるだろう。
(5) シアリングの襟

さてモフモフの正体はというとシアリング、即ち毛を刈り取った後の羊の皮になる。ミリタリー好きなら第二次世界大戦の爆撃機B-17のクルーが着ていたフライトジャケットが思い浮かぶはず。このショールカラー、ボタンとループが襟に付いているので首元で結べば無敵の暖かさを誇る。
(6) フィルソン&ホワイツ

パッカーコートのようなヘビー級アウターに合う靴の選択肢は多くない。少なくとも短靴では役不足だろう。となるとブーツ一択になる。アメリカ製にこだわればレッドウィングだろうが数年前発売されたフィルソンとホワイツのダブルネームが格好良かったのでここはホワイツのセミドレスに登場いただこう。
【カントリーテイスト】
(7) カウチンセーター

ヘビーなアウターからカントリーなニットに移って80年代に大ヒットしたカウチンを紹介。当時はスキーがブーム。1987年公開の映画「私をスキーに連れて行って」に象徴されるように週末のゲレンデは若者で大賑わい、夜ともなるとペンションやロッジにカウチン族が出現したものだ。写真は1991年製のポロカントリー(レディス版)。
(8) 手縫いの柄

カウチン編みの特徴は天竺編みの表地にスノーフレイクやトナカイ像を手で編みこんでいく点。裏から見ると模様と模様の間の糸渡りを中に巻き込んで編むため密度が上がって防寒機能が増すようだ。このプルオーバータイプのショールカラーが便利なのは襟を留める隠しボタンとループで襟を閉じられること。アウターとしても充分使える。
(9) キャップ

冬は帽子が恋しくなる。マネキンが手にしているのは万能デニムキャップ。被って洗いを繰り返せばジーンズのように色落ちを楽しめるのが嬉しい。そういえばアメリカ国内最後のデニム工場だったホワイトオークの機械で復活させたアメリカ製セルビッジデニムだが今年のハリケーンで現場の被害が甚大なようだ。再開を心から願っている。
(10) ジップアップベスト

カウチンセーターに続いて今度はカウチンベスト。ネットで調べたらカウチンベストはボタンフロントよりジッパー仕様が多いようだ。ボタン留めだとどうしてもウェストがもたついてしまうがジッパーを首元まで引き上げるとシュッと身体にフィットしてスタイリッシュなベストに早変わりする。
(11) ショールカラーの由来

ショールカラーのショールとは?…とAIに尋ねたら肩掛け(ショール)から来ているとの答え。ショールを肩に掛けたような襟ということか。フォーマルではタキシードが代表格だがカジュアルになるとコートやガウン、ジャケットやカーディガンにセーターからベストまで様々なデザインの服に取り入れられているとのこと。
(12) UA x GAP

つば付き帽子は若い人からすると「おじさんに見えてダサい」らしい。とはいえ街で見かける若い人のハット姿は格好良いと思う。きっと①被り慣れていない②年配者が被るもの…という先入観があるからかもしれない。写真はUA x GAPのコラボ品。ファストファッションものとは思えない格好良さがある。
【ワークウェア】
(13) 定番カーディガン

最もポピュラーなショールカラーのカーディガンがこちら。色目も地味なチャコールだが毎年どこかのブランドが製品化するタイプだ。写真は希少なアメリカ製だが「英国製ショールカラーカーディガン」で検索するとブラックシープやジェームスシャルロットにインバーアランと次々に見つかる。この手のカーディガンは英国の方がポピュラーらしい。
(14) ニューイングランドスタイル

L.L.ビーンによればこのタイプのカーディガンはニューイングランド地方に伝わるクラシックなカーディガンとのこと。セットインスリーブにフロント5つ釦、両脇のポケットなど昔ながらのスタイルとディテールへの拘りがある。ニューイングランドと言えば最も英国の伝統を残す地域、ショールカラーの起源はやはり英国か…。
(15) グローブの季節

せっかくなのでマネキンの手にグローブを持たせてみた。ウールパッカーコートのショールカラーにも使われているシアリングのグローブだ。製造は英国とあるのでファクトリーはDENTSあたりではなかろうか。それにしても11月最初の週末を迎えて西日本は夏日との予報。グローブの出番はいつになるやら…。
【ネイティブ柄】
(16) ストライプのカーディガン

さてここからはショールカラー推しのブランドRRLから三連発。最初は繊細な色目のネイティブ系ストライプが目を引くカーディガン。異なるパターンの縞が幾重にも重なった帯が前面に来るデザインはここ数シーズンRRLのトレンドだ。これだけ凝った柄だとボリュームのあるショールカラーが相応しいのも頷ける。
(17) バックデザイン

前から見るとネイティブ調、一方後姿はキャラクターと英文字が編み込まれたカジュアル調と一粒で二度美味しいデザイン。ピンクがかったミックス調の色合いは素材は綿・毛・麻の三者混ならでは。RRLショップのスタッフが上手く着こなしているのを見て購入したが中々着る機会がないままでいる。
(18) バンダナの効果

首下が寂しいな…と思ったらバンダナの出番だ。高いものだと一枚一万円をゆうに超えるが安価なものでも立派にアクセントになる。写真は一枚なんと550円。全色買ってもRRLのバンダナ一枚よりリーズナブルだ。しかもバランスよく首に巻けば本格的なバンダナにも負けない存在感がある。
(19) ボーダー柄

こちらは同じショールカラーだが縦のストライプから一転、ボーダー柄のカーディガンになる。よく見ると身頃と襟や前立て部分とで糸の太さを変えたりボーダー部分に模様編みを施したりと凝った作りだ。グレーとブラウンの色合わせは若い人には敬遠されがちだがRRL好きなら「渋い色合わせ」と正反対の印象になる。
(20) ショールカラーの魅力

首下でゆったりと折り返るショールカラー。その魅力をAIに尋ねると①ジャケットのようなデザインがスタイリッシュ②アウターとしても着用できる③大人っぽさや優雅なムードを演出できると教えてくれた。なるほど優雅かどうかは分からないがアウターとして使える汎用性の高さは大いに魅力がある。
(21) カジュアルハット

帽体の腰巻がレザーなのでカジュアル向き。カーディガンとの相性は抜群だ。RRLのランウェイにもこの手のハットが良く出てくる。因みにAIによれば帽子が似合わないと思う人は顔の輪郭に合った帽子を選ぶと良いらしい。丸顔はバケット型、四角顔はつば長め、面長はつばやクラウン小ぶり、卵型は丸みを帯びたものとのこと。
(22) ロングカーディガン

ショールカラー特集のトリは共布ベルト付きのロングカーディガン。ジャカード織りのカーディガンは1930年代のサウスウェスタンブランケットをモチーフにしているとのこと。身頃はインディゴ染めのコットン、共布ベルト端と両脇のポケット縁の手による「かがり縫い」が良いアクセントになっている。
(23) ロングカーディガンの着こなし

ロングカーディガン着こなしのコツは①膝丈上の長さを選ぶ②細身のパンツと合わせる③共布ベルトなどでウェストをマーク(結ぶ)すると良いとのこと。それにしても単なる検索キーワードから的確なアドバイスを導き出すAIのポテンシャルは高い。単純労働はもとより知的労働も人間に取って代わる日が来そうだ。
(24) 今期の秋冬ものRRL

シーズン毎にRRLの売り場を覗くといつもショールカラーのアイテムが多いことに気付く。試しに今期の秋冬ものをオンラインショップでチェックすると16アイテムあるニットのうち5アイテムがショールカラーだった。レディスに至っては6アイテムのうち4アイテムがショールカラーと力の入れようがうかがえる。
今回は人工知能を活用したついでに関連項目をチェックすると①カーディガン自体が時代遅れ②ショールカラーは年配向けという声も出てきた。AIにずばりショールカラーは古臭い?と聞いたら「時代を問わずエレガントな雰囲気と洗練されたクラシックなイメージを醸し出すベーシックなスタイル、古臭いとは言えない」そうだ。
RRLが毎シーズンショールカラーのアイテムに拘るのもAIの回答にちりばめられた「エレガント、クラシック、ベーシック、スタイル」というキーワードと関連があるはず。多くのデザインチームは既にAIの力を借りているという。服を着る側も何を着るか迷った時AIがスタイリストの役割を果たす日もそう遠くない気がしている。
By Jun@Room Srtyle Store