ビンテージ5ポケット | Room Style Store

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2024/12/16 14:00


RRLの初登場は1993年秋。1994年には早くも日本のポロ原宿店(今の原宿クエストビル)に国内初のインショップが誕生した。ちょうど海外生活が始まったばかりで中々日本に戻れない日々が続いていたが身内の不幸で一時帰国。離日前に慌ててデニムをまとめ買いして飛行機に乗ったことを思い出す。

中でも「日本製セルビッジデニム使用」と明記したビンテージラインの出来に惚れ込み今や30年来のファンを自負するほど。ストレートにブーツカット、スリムやナロースラムなどバリエーションは増えたが初期のビンテージラインはビンテージ5ポケットと名称を変え今もラインナップされている。

そこで今回は息の長い定番モデルにして進化し続けるRRLのビンテージ5ポケットにスポットを当ててみたい。

※扉写真はビンテージ5ポケットのラインナップ

【参考資料①】
初期ビンテージライン
まずはRRL初期のビンテージラインから。1995年に購入したビンテージラインだ。当時はリラックスフィットと呼んでいたと思う。ポロ公式サイトによれば最もゆとりのあるシルエットとのこと。裾の仕上げこそチェーンステッチではないが日本製セルビッジデニムを採用、コインポケット裏にも生地の耳が来るなど凝った作りは継承されている。

《 2018年発売》
(1) リラックスフィット
1998年から2001年の空白期間を経てリスタートした第二期RRLは丁寧な作り込みで他のブランドを圧倒したが値段も一気に上昇、時として上級ラインのパープルレーベルを上回る値付けがされていた。写真のビンテージ5ポケットもウォッシュ加工やリペア加工が絶妙に施されている。価格は2018年当時で74,800円(税込)と今季ものを上回っていた。

(2) アウトフィット
11.5ozのライトオンスデニムは日本製。ウォッシュ加工のデニムといえば思い出すのがバックトゥザフューチャーのマーティ。リペア加工こそ施されていないがウォッシュの効いたデニムにチェックシャツとGジャンを重ね着、さらにレンガ色のダウンベストを着ていた姿を思い出す。写真はそんなマーティーを参考にオールRRLで組んでみた。

(3) ライン
デニムのラインを横から見たところ。レングスが30インチなのでブーツの甲にヘムが微かに掛かる程度。腰からストレートに裾まで延びるシルエットはアイビー風に言えば「パイプドステム」のような感じか。これが32インチになるとブーツの甲でワンクッションしてしまうので足が短い自分には30インチが正解だろう。

(4) 裾まわり
甲に掛かるか掛からないぐらいの絶妙なレングス。件のマーティーが履いていたウォッシュ加工はもう少しまだら状だったが加工技術も絶えず進歩しているようで最近は色ムラもなく膝やお尻など色落ちしやすい部分も見事に表現している。写真を見ても耳付デニム特有のアウトシームのアタリやヘムの擦れなど良い雰囲気だ。
※ブーツはユケテンMade in USA

《2021年発売》
(5) ビンテージ加工
お次は2021年発売のビンテージ5ポケット。こちらはウォッシュ加工にリペア加工ではなくペイント加工を加えたもの。メカニックが履いている姿をイメージしたのだろうかオイル染みの付いたデニムは本来のワークウェアを形にしたもの。太もも付根から前ポケットにかけて出ているヒゲも自然な感じだ。

(6) アウトフィット
色落ち具合からして春夏だろうがそれにしては生地が重い。念のためカタログを片っ端からチェックしたらやはり2021年春夏カタログに載っていた。とはいってもこれだけ地厚なら秋冬でもOKそうだ。ようやく関東も冬らしく冷え込んできたのでネル素材のスナップボタンシャツとシアリングカラーのウールジャケットを引っ張り出してみた。

(7) ライン
2018年度版のビンテージ5ポケットと一番の違いはワタリ部分のゆとりだろうか。2021年はワイドパンツが流行り始めた時期。ダッドパンツと呼ばれる「お父さんが履く太目のハイウェストパンツ」が話題となっている。ファッションではなくスタイルを標榜するラルフローレンもトレンドをさりげなく取り入れていたという訳だ。

(8) 裾まわり
ウォッシュ加工やペイント加工など2018年ものと比べてより強めになっている。ヘムの端がかなり擦り切れているのが写真からも分かるだろう。新品のリジットデニムを買ってこんな感じに履き込んだらそざ格好良いだろうがそれには相当な年月がかかる。ビンテージ加工を施したRRLが根強い人気を得ているのも古着の再現度にある。
※ブーツはレッドウイング8㌅オロラセット

《2022年発売》
(9) 大戦モデル
こちらは2022年発売のビンテージ5ポケット。RRL2度目の「大戦モデル」になる。リミテッドエディションの中でも特に凝った作り込みが特徴だ。12.5ozのデニムは日本製、防縮加工を施していないシュリンクトゥフィットなのでウェストは1㌅、レングスは2インチ縮むとのこと。購入した31-32は洗濯後30-30になる予定。

【参考資料②】
スレーキとドーナツボタン
大戦モデルの大きな特徴の一つがボタンフライ部分のドーナツボタンと月桂樹の葉がデザインされたトップボタン。こちらのビンテージ5ポケットでもしっかりと再現されている。また両前ポケットに付けられたスレーキ(袋地)はお約束のカーキヘリンボーン生地(元は軍用の生地だったとか…)を用いている。

【参考資料③】
ペンキステッチ
フラッシャーに書かれたRRL1944 VINTAGE 5 POCKETの文字。大戦モデルといえばステンシルによるバックポケットのペンキステッチが見どころの一つ。実際はシルクスクリーンという説もあるが糸で縫ったように見せる一手間にドラマを感じてしまう。RRLでは投げ縄の輪をモチーフにステッチをきっちり再現している。

(10) アウトフィット
リジットデニムにシャンブレーのワークシャツ。一見デニムオンデニムに見えそうだが実は違う。シャンブレーは平織りなので表も裏も同じだがデニムの裏側は白い。シャンブレーとよく似たダンガリーはデニムと同じ綾織り。だが縦糸(白)と横糸(青)がデニムと反対なので表面が薄い青色になる。

(11) ライン
裾が32㌅あるため未洗いだと折り返すことになる。一度洗えば縮むので一気に解消するはず。洗うと2㌅縮むのでブーツと合わせるなら33㌅も試したいがRRLではレングスは30㌅と32㌅のみ。パンツのラインはリジットゆえ糊が効いている。トルソーに着せても上手く筒状にならず平べったい煎餅状なのは致し方なしか…。

(12) 裾まわり
リジットデニムを履く時に注意すべきは色移り。写真のように折り返して履くとスエードブーツの茶色がデニムに色移りすることがある。また折り返さずに履くと今度はヘムのインディゴがスエードのスニーカーやバックスキンのブーツなどに色移りすることもある。リジットデニムは履いて育てるロマンがあるが気苦労も多い。
※ブーツはホワイツのセミドレス

【2023年発売】
(13) ダブルインディゴ
色落ちのしやすさでリジットを上回るダブルインディゴ染めのデニムがこちら。通常デニムは藍染めした縦糸が白い3本の横糸を跨いで次の白糸と交わるため「表からはインディゴ色に見えるが裏返すと白い」デニム生地になる。ところがこちらは縦糸も横糸も藍染めした糸で綾織りしているので表も裏もインディゴ100%、正に「極み」の1本となっている。

(14) アウトフィット
こちらは同じ2023年の秋冬カタログ掲載のショールカラーカーディガン。ありそうでないボーダー柄、しかも配色は独特で規則的に凹凸のある畝が縞を際立たせている。RRLならではの確かな作り込みが見てとれるだろう。下に合わせたチェックのネルシャツも同じRRL、靴以外全身RRLのコーデだ。

(15) ライン
公式サイトによればビンテージ5ポケットは「最も股上が深い作り」とのこと。ウェストから裾に向かってストレートに伸びるラインはスラックスに近い感じ。履いてみたくなる格好良さがある。AIによれば「2024年は深い股上が流行」だそうだ。RRLも今期のラインナップ28型中ハイウェストは13型と半分近くを占めていた。

(16) 裾まわり
裾の折り返し(たたき幅:ヘム)はブランドによって、また同じブランドでも年代によって微妙に違うようだ。リーバイスLVCと比べてRRLはたたき幅が短いのが特徴。国産でもフルカウントや桃太郎などは短い。因みにデニムショップの店員によればたたき幅は「自分の好みを指定した方がいい」らしい。

【2024年発売】
(17) リミテッドエディション
2024年最新のビンテージ5ポケット「ミテッドエディション」。フラッシャーによれば12.4ozの生地はWARP(縦糸)にオリーブをWEFT(横糸)にブロンズを用いているとのこと。なるほど見る角度や光の当たり具合で微妙に色が異なって見える。これだけ凝った生地ならばリミテッドに相応しい。スーツでいえばソラーロのようなものか。

(18) アウトフィット
インディゴデニムと比べてオリーブは着こなしが意外と難しいもの。幸い「軍モノ」と相性がいいのでポロカントリーのミリタリージャケットとデニム&サプライのN-3Bタイプダウンジャケットでグリーンオングリーン。暖冬続きでダウンジャケットも今まで出番が少なかったがいよいよ登板か。

(19) バックルバック
2023年モデルとほぼ同じデザインだがシンチバックになったのが変更点。ベルトループも付いているので尾錠を実際使用することはなかろうが付いているとなんだか得した気分になる。ブロンズ色の生地裏やセルビッジ、レザーパッチにヘムのチェーンステッチなどRRLらしい細部への拘りが感じられる写真だ。

(20) 32-30か32-32か…
32-30とチペワの組み合わせ。ワークオックスフォードのような短靴ならば良いがブーツだと32-32の裾を折り返して履く方が様になるかもしれない。因みに2024年版ビンテージ5ポケットはサンフォライズド加工済、洗っても縮まないのでジャストサイズを買うようにとのこと。何を履くかでレングスも変わる…これは迷うところだ。

【2024年発売】
(21) Lee131カウボーイタイプ
2024年度久々に復活したリペア加工のビンテージ5ポケット。2018年,2020年がジーンズ顔だったのに対して今回はサスペンダーボタンやシンチバック付きのワークパンツ風だ。見慣れたデザインは1934年Lee131カウボーイへのオマージュ。過去に2回製品化されているので見覚えがあるかもしれない。

【参考資料④】
歴代の131Cowboy
こちらが歴代の131カウボーイモデル。初回と第2弾はストレートレッグだが今回はワイドレッグのビンテージ5ポケットで仕上げている。デニムは全て日本製を使用、バックポケットの形状やステッチも共通だ。一方デニムは初回と第2弾が13ozで耳付きなのに対して今回は12.75ozで耳なしデニムを使用している。

(22) アウトフィット
女性向けのサイトを何気なく見ていたら2024年春夏最新トレンドとして注目を集めているのが「ダメージデニム」と載っていた。流行に全く疎くなっていたがRRLがダメージデニムを復活させたのもトレンドと関係があるのだろう。せっかくなのでレディスの着こなしを参考にタートルネックとベストの重ね着にしてみた。

(23) ライン
セルビッジデニムによる脇割りからダブルステッチに変わったアウトシーム。ビンテージ5ポケットと謳っているがどちらかというとワークパンツに近い顔つきだ。膝後ろのハチノスや股のヒゲ、裾やポケット、シームのアタリなど履き古したような雰囲気はRRLならでは。初期の「古着のような新品」は今も受け継がれている。

(24) リペア加工
穴あき部分をよく見ると左と右で修理方法を変えている。他にも小さく開いた穴や擦れた部分にミシン刺し(+当て布)を施すなど相変わらず凝っている。最近RRLのリペア加工デニムを履いて友人と会ったら自分でリペアしたのかそれとも直しに出したのか聞かれた。最初から加工済の新品デニムだと知って驚いていたがそれだけRRLがリアルな証拠か…。

ラルフローレンの公式オンラインショップで「メンズ、デニム」と入れて検索するとポロレーベルで19型、RRLで28型、パープルレーベルで9型、合計56型の商品展開をしていた。ということはラルフローレンはRRLのデニムに最も力を入れていると考えられなくもない。実際数こそ多くないが昔からMade in USAのデニムを作り続けている。

国産ジーンズで育ち舶来のリーバイスやリーに憧れた世代としては今も米国製への憧れがある。ネット上ではアメリカ発マイクロデニムブランドが10件以上もヒットした。だが今回紹介したビンテージ5ポケットのようにデザインやシルエット、素材やディテールに拘り丁寧に作り込まれたデニムを提供するブランドはRRL以外見当たらない。

多分これからもシーズン毎に顔を出してはRRLのデニム売り場を覗いてしまうんだろう。そして気に入った1本を見つけるとつい買ってしまうに違いない。

By Jun@Room Style Store