本家の本気度 | Room Style Store

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2024/12/22 09:19


一見適当に並べられた衣類は全てポロラルフローレンの中古品。しかも当ブログでは紹介済みのものばかりだ。今更なぜ?と思うに違いない。実は今、有名ブランドによる「公式リユース品販売」が注目を浴びている。ノースフェイスやパタゴニア、グッチにディオール、なんと時計のフランクミューラーまで参入している。

実は本国サイトを久々に覗いたらポロまでもがリユース品の販売を始めているのを発見。商品数400点弱、全てチェックしたら写真の5点が被っていると判明した。しかもその値付けにびっくり…Roomの設定を遥かに超えている。円安による日本のガラパゴス化が懸念されるが知らぬ間に自分もガラパゴス化してたという訳だ。

ともあれ「本家が本気」で挑んだリユース市場を参考に今回はRoom Style Storeの価格を見直す機会にしたい。

※扉写真はラルフローレン公式リユースサイトと被っていたRoomの商品

【本国サイトの入り口】
こちらがアメリカ本国の公式サイト、ラルフローレンコムに設けられたリユース販売の入り口だ。ラルフらしく単なるビンテージではなくフォーエバー、永遠と謳っている。この試みが軌道に乗れば今販売されている商品の中からこのビンテージのコーナーにめでたく抜擢される逸品が出てくることになろう。

さて早速被っていた商品たちを比較してみよう…

《ケーブルニット》
(1) 本国サイト
まずはプレッピーなケーブルニットから。流石は本家、古着に必須の年代をずばり1989年と書いている。価格は350㌦と発売当時より倍以上の値付けか…通常リユース販売は割安が多いがラルフローレンは自ら高い商品価値があるとみなしているようだ。サイズはLでアメリカのゴールデンサイズ。日本円にして約55,000円だ。

(2) Room在庫
一方こちらがルームの在庫。ラルフと同じLサイズを揃えている。程度は非常によく毛玉もないことからミントコンディションといえよう。Roomが所属する運営会社BASEは海外からも購入できるシステムを備えている。時間はかかるが徐々にリニューアルして海外に市場を広げるのも悪くない。

(3) ブルータグ
MADE IN HONGKONGの表記入り旧タグ。1989年製というと香港以外にシンガポールやマレーシア、フィリピンなどNIES諸国に製造を委託していた時代だ。ちょうど90年代に仕事でシンガポールに長期滞在していたこともあり、休日はラルフの服を作る工場を探し当てようとあちこち見て回ったことを思い出した。

(4) ケアタグ
素材はウール100%、手洗いしたいが内側のケアタグにはDRY CREANとある。1995年に国際規格が発足しているのでこの手のタグが付く服はそれより以前の製品になる。因みに現在は「洗濯・漂白・乾燥・アイロン・商業クリーニング」の表記が複数言語で表示されており、何枚ものタグが冊子のように縫い付けられている。

《ウールジャケット》
(5) 本国サイト
さてお次も1989年もののウールジャケット。フィルソン好ならピンとくるダブルマッキノウタイプのアウターだ。本家が用意する古着だけあってしっかりとチンストラップの存在が分かるよう撮影している。価格は650㌦と今のレートで10万円越え。なんとフィルソンのシングルマッキノウ新品より高値が付いている。

(6) Room在庫
ルームの在庫がこちら。身幅は62㎝と大き目のLサイズ。下にセーターなど嵩張るものを着ていても楽に羽織れる。25ozのマッキノウウールより軽い生地は防寒性こそ一歩譲るが着心地は軽い。信州の山小屋でハンガースタンドに引っ掛けて置き、外出時にブーツを履いたらさっと羽織ってドアを開ける。そんなイメージだ。

(7) ポロスポーツマン
ポロラルフローレンのサブブランドとして1989年~1990年に展開したポロスポーツマン。マニアの間ではこのポロスポーツマンのアイテムが人気らしい。実際セーターやシャツなどプレミア価格でebayに出品されていた。ドメスティック(国内産)の生地を使ったアメリカ製なのも高値の付くポイントか…。

【参考資料①】
公式サイトの特設ページ
わずか数年間の展開だったポロスポーツマンへの思い入れは会社としてもことの他強いようだ。1990年代のアメリカはヒップホップやグランジファッションが流行った頃。そこへアウトドアスタイルを提案するラルフローレン…回顧録でも語られていた「自分が着たいと思うものを売る」姿勢が窺える。

(8) チンストラップ
襟裏にボタン留めされているチンストラップ。ディテールにこだわるラルフローレンらしい一手間だ。多分この手のパーツを使用したことのないユーザーの方が多いだろう。首元がそれほど寒いのならストールを巻いた方がよほど暖かいはず…だからといって省かないところがクオリティの違いに現れる。

(9) ナットボタン
今も昔もポロの服はボタンが凝っている。何度か書いているがボタン一つにこだわって納期が遅れ、倒産しかけたこともあると昔「メンズクラブ」で読んで以来必ずボタンに着目している。肝心の商品だが袖のアジャスタブルボタンも含め欠損なし。昔のボタンはなかなか見つからないだけに要チェックポイントだ。

《ダッフルコート》
(10) 本国サイト
こちらは1990年代の定番ダッフルコート。数年にわたり継続販売されていたのでc.1990と表記している。同じグリーンだが本国サイトのものは鮮やかなスプルース(松の葉色)。しっかりチンストラップが付属していることが分かるよう撮影されている。価格は995㌦、約156,000円だが30万円越えの中国製今季ものと比べるとリーズナブルだろう。

(11) Room在庫
同じく1990年代製のダッフルコート。写真では色味が分かりにくいがモスグリーンに近い色目だ。頑丈な麻紐を撚ったトグル紐はミシンで身頃に縫い付けているので意外と綻びやすい。市中のお直し店でトグル紐の根元を機械縫いして補強したのち有料サイトCODOC内のRoomに掲載している。興味のある人はぜひ覗いてほしい。

(12) 旧タグ
お約束の旧タグ。昔からのポロファンはこのタグに愛着があるはず。どうもロゴデザインを一新してからは未だに馴染めない。地厚なウールメルトン生地は英国のムーン社のものだろうか。因みにスーツの上にダッフルコートはNGと説くサイトが多いがブレザースタイルだと上手くまとまるようだ。

(13) フード
AIによればダッフルコートの出自はノルウェーの漁師が着ていたものを真似てイギリス海軍が軍用コートにしたのが始まりとのこと。トグルや大きなポケットは手袋をしたままコートの着脱や物の出し入れが行えるようにするため。フードの根元をチンストラップでピッタリ留めると一気に防寒・防風・防水性が高まるらしい。

【参考資料②】
チンストラップ
こちらがダッフルコートのチンストラップ。左側にボタン騙されていて普段は邪魔にならないよう格納されている。ひょっとして初めて外してみたかもしれない。それほど気付かない存在だということだろう。シェル(身頃)だが裏がタータンのダブルフェイスより軽いメルトン生地は暖冬傾向の都会にピッタリだと思う。

【バーンジャケット】
(14) 本国サイト
ポロダンガリーズのバーン(barn:納屋)ジャケット。年代は書いていないが恐らく80年代末期のものだろう。最近はチョアコートと呼ばれることも多い。アクションプリーツの付いた背中などL.L.ビーンの名作フィールドジャケットよく似ている。価格は495㌦、今のレートで77,500円と中々の値段だ。

(15) Room在庫
Roomの方はデッドストックでライニング付の秋冬もの。本国サイトより価値は高い。ひょっとして本国から「譲ってくれ」と頼まれたりして…。レアものゆえ有料サイトCODOC内のRoomに掲載予定。興味があれば覗いてほしい。ところでL.L.ビーンのフィールドコートとの違いは?とAIに聞いたら「大判ポケットにフラップがあるかないか」との答えだった。

(16) ブランケット付
ウールブランケットが貼られたデニムジャケット。如何にも暖かそうだ。赤と黒の格子柄はバッファローチェックと呼ばれるが起源は諸説ある。一番ポピュラーなのが「猟師が仲間を誤射しないようにするため」というやつだ。最近は「赤を認識しない鹿には目立たず人間には遠くからでも分かる」という説が加わった。

(17) 未使用品
今から50年も前のデニムジャケットが変わらずこうして現存しているところにデニムという生地のもつ耐久性と長寿命が実感できる。恐らく購入時と殆ど変わらぬ色合いと風合いだろう。①直射日光を避ける②湿気の少ない暗所③適切にたたむ④収納スペースに余裕を持たせることで更に50年後も変わらぬ姿を期待できそうだ。

(18) 背面
長期保管とはいえ発売当時のままの後姿。何年経っても着られるベーシックなウェアにファッションというスパイスを程よく効かせたデザインがトラッド好きの心を擽る。不思議なことによく似たアウターを探すがラルフと比べると「帯に短し襷に長し」になってしまうのは贔屓し過ぎだろうか。

【トラッカージャケット】
(19) 本国サイト
最後はトラッカージャケット。オリジナルはリーバイスのデニムジャケットらしいが1990年代にトラッカージャケットとしてリブランドしたそうだ。アームが太く作られているのは当時の流行か、男らしくカジュアルな印象を求めてだろうか。価格は495㌦、今のレートで77,500円とかなりの値付けだ。

(20) Room在庫
Roomの在庫はポロ公式ビンテージと比べてやや色落ちが進んでいる。ただ本国サイトのXLは大き過ぎるがRoomはMサイズと程よい大きさを用意した。Roomもラルフローレン氏に倣って「自分が着てみたいものを仕入れる」のが信条、極端なサイズは中々入ってこない。リーバイスにはない斜めポケット(ハンドウォーマー)はとても便利だ。

(21) アメリカ製への拘り
本国同様RoomでもMADE IN U.S.Aを揃えた。どうも公式サイト自体アメリカ製を意識した品揃えにしているふしがある。アメリカ製のコットンキャップが多数ラインナップされていた。今のところ重衣料はコットンダックのコートとコーデュロイのジャケットだけだが今後スーツやトップコートなどドレスウェアも増えそうな予感がする。

(22) 背面
染みや汚れのない背中。古着というと状態が気になりがちだがブランド自らが再販することで中古市場を活性化することができる。昔バーバリーが売れ残り品を大量処分して問題になったが今や在庫品や中古品を循環させることは社会的責任を果たす上にブランド価値を高める有効手段と認識されているようだ。

(23) レザーパッチ
このレザーパッチに惚れてポロショップで買ったデニムは今も現役。二本目は渋谷のミウラ&サンズで買ったがそれも現役だ。やがてフィールドラインやラブラドールが開店するとライセンスものではない直輸入ラルフを買う機会がぐっと増えた。裏原のポートオブローレンスが開店した頃がインポートセレクトショップのピークだったと思う。

実は2021年5月頃からアメリカ本国のポロサイトが閲覧できない状態が続いている。近場のサイパンやグアム、ハワイならば閲覧可能なので国内のプロバイダが遮断されるようだ。他にも昔からウールリッチはデリバリーカントリーに日本が入っていないしブルックスブラザーズもUSサイトが一時閲覧不可となっていた。

なんだか江戸時代の鎖国状態に近い。どうりで「自分自身がガラパゴス状態だった」訳だ。円安が指摘されながらも為替は変わらず…昨年の出国者数はコロナ前の2019年の半数にも満たなかったとか。日本だけが別世界に生きているようだ。今回ふとしたきっかけでポロの本国サイトを閲覧したが閉塞感を強く感じた。

訪日外国人で賑わう原宿、日本各地の情報を細やかに配信している一方でブランドの本国サイトさえ閲覧できないという愚策を一刻も早く改善して貰いたいものだ…。

By Jun@Room Style Store