北の大地へ(帰京編) | Room Style Store

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2025/02/15 07:29


久々の北海道旅行は車ばかり乗って足が鈍りがち。設定した一日の運動量を確保するには朝夕の散歩が必須だ。早めに朝食を済ませ美瑛のホテルから程近い白ひげの滝を訪ねた。ここは外国人観光客に人気のスポットだとか。つい最近観光客が自撮り撮影中に転落して亡くなる事故が起きたばかりだ。

生憎小雨が降っているが傘を借りずに外出。ご多分に漏れず廃墟となったホテルを横目に橋の中ほどに来ると岩から水が噴き出ている。白ひげのように見えなくもない。地下水に含まれる硫黄やアルミニウムが太陽光を分散させることで川面がコバルトブルーに見えるらしい。近くには青い湖もある。

ともあれ旅の終わりは天気も下り坂、明日は東京へ戻る日だ。雨が雪に変わらぬうちに車を返却してあとは鉄旅を楽しもうと思う。

※扉写真は白ひげの滝

(1) 旭川駅
予定より早くレンタカーをリターン。旭川駅の高架ホームに向かう。前面グリーンの789系が揃って入線している。右は到着したばかりのライラック5号で左が乗車するライラック16号。50年以上前ここから友人と稚内に向かった当時の遺構は何一つない。駅前も含めモダンな一角に変身していた。

(2) ライラック16号
2002年に八戸~函館間の特急「スーパー白鳥」として運行開始。2016年に新函館北斗まで新幹線が延伸されると札幌と旭川という二大都市を結ぶ特急「ライラック」に転用された。この日は日曜日、朝10時発ということもあって乗客も多く指定席はほぼ満席。北海道に来て初めて混雑を実感した。

(3) 同好の士と再会
札幌で服飾好きの知人と待ち合わせ。スコットランドに魅せられて北海道に移住。休日はツイードジャケットを羽織りスキットルをポケットに自然を散策するジャパニーズスコッツマンだ。クラフトビール店BRIAN BREWで再会を祝して乾杯。注文したのはニセコ町のヨーテイブルーイングIPA。

(4) ランチを楽しむ
次に向かったのがハンバーグの名店Toshi。予約時間前に行ってみたが混雑しており座れず。街中を散策して時間どおりに再入店。ボリュームたっぷりのハンバーグは「十勝あか牛」と早来町「ムーミン豚」に厚真町「桜姫鳥」による道産合挽肉を手ごねして焼き上げたもの。噛み応えのある食感が良い。

(5) 小樽へ
友人と別れて今宵の宿小樽へ向かう。駅前のビジネスホテルだが大浴場を備えており仕事客だけでなく観光客にも人気がある。外国からの旅行客でチェックインはごった返しているが事前予約でセルフチェックイン、鍵を貰って部屋へ入る。ホテルから眺めた小樽駅舎は50年前と変わっていない。

(6) 寿司屋へ①
小樽に来たからには海鮮…ということでスマホで回転しない寿司屋を探して電話、急遽一人予約を入れて訪問。カウンターでおまかせ10貫を頼み、まずはお通しと地酒でスタート。時計回りに紹介すると最初に出てきたのは①白身魚だ。多分カレイだったと思う。次に②中トロ③さらにホタテと進む。

(7) 寿司屋へ②
次は④サーモン、昔はなかった寿司ネタだ。AI曰く1980年代アトランティックサーモンが輸入されて広まったとのこと。今や一番人気らしい。次に⑤カニと⑥ボタン海老、更に⑦ウニと⑧ボタン海老のミソと続く。他に⑨鉄火巻きと⑩いくら軍艦で10貫終了。テーブル席では外国人が箸と格闘していた。

(8) 山線に乗る
ホテルの大浴場で疲れを癒して夜は早めに就寝。泊まったホテルは朝食がバイキング形式で評判が良い。朝から堪能して小樽駅へと移動。いよいよ函館本線の山線に乗車だ。小樽発8時06分の倶知安行きが到着。昔と違って小樽~長万部間の山線直通列車は一日1本、それ以外は倶知安乗り換えになっていた。

(9) 余市で下車
せっかく北海道に来たからにはぜひ訪れたかったニッカ余市工場。予めツアーを予約済みだが開門前だったので記念撮影…高校2年の春休みにクラスメートと小樽から普通列車に乗ってここ余市で「50分の臨時停車」を利用、荷物を列車に置いたまま工場まで記念撮影しに改札を出たことがある。

(10) ツアーに参加
青い空に赤い屋根の洋風建築。如何にもインスタ映えしそうな景色だ。話の続きだが記念撮影して駅に戻ったら列車は既に出発…駅員に「50分停車するはずじゃ?」と言うと「タクシー呼んだから」先の駅で待つ列車に乗るよう送り出された。勿論タクシー代は駅待ち、それにしてもすごい経験だ。

(11) ポットスチル
蒸留所といえば絵になるのがこのポットスチル。余市のポットスチルはストレート型。横に曲がったラインアームは上向きと下向きの2種類ある。一般に下向きの場合は重い酒質になりポットスチルも小さ目、反対に上向きだと軽い酒質になりポットスチルは大型になる…とはガイドさんの受け売り。

(12) 異国情緒
緑屋根の家と一本の紅葉、絵葉書のような場所だ。先ほどまでの青空はどこはやら、雲が広がり雪がパラついて来た。車の運転中は着る機会のなかったダウンジャケットだが最後に大活躍…それにしても道南とはいえ余市の寒さは半端ない。弱点の手袋から指先に冷気がジンジンと伝わってくる。

(13) 貯蔵庫(外観)
横長の建物は樽詰めしたウィスキーの原酒を5年10年20年と寝かせる貯蔵庫。ウィスキーの原酒は樽から毎年2から3%が蒸発する。30年もののシングルモルトウィスキーは半分以上を失うことになる。如何に希少で高価か分かろう。これが50年ものになるともはや「奇跡に近い」産物なのだとか。

(14) 貯蔵庫(庫内)
熟成を待つ樽。樽木は昔ミズナラが多かったが今はオーク材が多いようだ。材質でウィスキーの味も変わるらしくミズナラはサンダルウッドや香木のような風味に、オークはバニラやキャラメル、ココナッツなどの甘い香りが強調されるとのこと。撮影用だがこの樽にもウイスキーが眠っているとガイドさんが話していた。

(15) 試飲
いよいよ試飲タイム。昨日でレンタカーとはお別れ、今日は昼間からお酒が飲める。左からアップルワイン、スーパーニッカ、シングルモルトの余市だ。余市の特産、リンゴを原料としたジュースを先行販売していたことから「大日本果汁」という社名を後にニッカと改名したのが始まりのようだ。

(16) 雪の工場を後に
青空は消え失せ鉛色の空と大粒の雪が降り始めてきた。赤い屋根はあっという間に見えなくなり地面も雪で一面真っ白に…カフェで一休みして暖を取ったら出発。名残惜しいが列車の時刻が迫っている。入り口でお礼を言って駅に戻り、余市発11時23分の倶知安行きに乗車。再び山線の鉄旅再開だ。

(17) 倶知安で乗り換え長万部へ
倶知安で長万部行きに乗り換えニセコ駅に到着。インバウンドで有名なこの街は外国人の別荘も多く地価上昇率が6年連続全国第一位とすさまじい勢いだ。にも関わらず駅で降りる人は皆無。聞けば札幌からここニセコまで無料バスが出るとか。利便性の悪いJRは最初から対象外のようだ。もう少し何とかならないものか…。

(18) 長万部に到着
山線の終着、長万部に到着。昔は親戚が住んでいたこともあり毎年夏に長期滞在した町だ。隣では新幹線の建設工事が始まっていた。昔は機関区があり国鉄官舎もあって職員が多く住んでいた。駅前もそれなりに活気があったのに面影は全くなし。唯一変わらないのは立派なホームくらいだろうか。

(19) 小樽方面を望む
長万部駅の跨線橋から望む線路。まっすぐ伸びているのが室蘭本線。全ての特急はこの室蘭本線を通って札幌へ向かう。勾配のきつい山線を経由するより早く確実に着くからだ。左に大きくカーブするのが函館本線の山線。この大カーブは撮影場所として有名だった。親戚の家に滞在する中で何度か撮影している。

【参考資料】
~長万部駅の大カーブを行くニセコ3号~
これがその大カーブで写した写真。長万部発の急行ニセコ3号を撮影したもの。当時話題となったSL急行の先頭はかつて東海道本線でつばめを牽いていたC622だ。写真には写っていないが写真右手、カーブの内側には大勢のカメラマンが列を作って並んでいた。この数ヶ月後にさよなら運転を行なっている。

(20) 長万部駅
今年開業120周年を迎えた長万部駅。閑散とした駅前に大勢の観光客が札幌から室蘭線経由でやってきた。実は一昨日この先の函館と長万部の間でJR貨物の脱線事故が発生、バス代行となっていたのだ。ほどなく満席のバスは函館に向けて出発。北海道の締めくくりがバスなのは残念だが新幹線に乗る楽しみが待っている。

(21) グランクラスで東京へ
バス代行で新幹線乗り換え駅の新函館北斗駅に到着。既に開業から5年経つが駅前は何もない。新幹線が通れば町は活性化するというものでもなさそうだ。急いで改札口を抜けてはやぶさ44号に乗車。駅での入線風景は撮影できないまま出発した。開業以来一度は経験してみたかったグランクラスの旅や如何に…。

(22) ワイン
グランクラス専用の白ワインを注文、良く冷えていて飲みやすい。飛行機のビジネスクラス並みにサーブされるグラスもプラ製ではなくガラス製のどっしりとしたものだ。席もフルフラットにはならないがフットレストもかなり上がるので靴を脱いでリラックスできる。勿論紙製のスリッパも用意されている。

(23) スナック
一口サイズのおつまみをいただく。北海道らしいレーズンバターやトマト味、チーズ味などどれも白ワインとよく合う。飲み物も御代わりできるが長旅の疲れか白ワインのおかげかうとうとしてしまう。乗客は自分と外国人観光客の2名。静かで良いが指定席より17,250円高いのでアップグレードする客は少ない。

(24) デザート
なんとか津軽海峡トンネルは目を覚ましていたが新青森から先は熟睡。盛岡手前で目が覚めて「熱いコーヒーとケーキ」を注文した。専従のキャビンアテンダントがいるので不便はない。指定席とグリーン車の差額は8,870円、グリーン車とグランクラスの差額は8,380円だからグリーン車に乗るならグランクラスもありか。

(25) 秋田新幹線を連結
盛岡では秋田方面から来た新幹線「こまち」と乗っている「はやぶさ」が連結する。その間に駅の売店で買い物する時間もある。戻ってくると丁度連結するところ。グランクラスが最後尾なのでその後ろに「こまち」が連結されることになる。後ろには鉄ちゃんやママ鉄さんがスマホで動画を撮影してた。

(26) 車内
社内の様子。シートはレザー貼りで自動車の技術が活かされているとのこと。グランクラスは新函館北斗に向かって先頭に位置しているので静寂性と快適性に優れている。先頭がグランクラスというのがポイント。車内を通過する客がいないので実に静かなのだ。飛行機のファーストクラスが一番前なのと同じ発想か…。

(27) 東京着
東京駅に着いたところ。グランクラス専用ドアから東京駅に降り立つと目の前にエスカレーターの降り場がある。乗り換えが楽にできるよう実に上手く考えられている。飛行機のファーストクラスも専用ラウンジや別の搭乗口が設けられているが料金の中にちょっとした特別感がちりばめられている。

北海道から帰って程なく鬼籍に入った友人が背中を押してくれたのか鉄旅を中心に新たな輪が広がり始めた。中でも51年前に九州旅行で知り合った人とインスタグラムで再会を果たすことができて我ながら驚いている。当時の自分は高校2年になる前の春休み、その方は当時中学を卒業して高校1年になる前だった。

一緒にあちこち撮影して回ったが突如歯が痛くなってたまらず病院で治療。なんとか治まったもののお金が足りないではないか。その時、同じ鉄道ファンというだけでお金を貸してくれた奇特なお二方の一人だったのだ。あれから51年、こうして改めてお礼を言えるとは…生きてて良かったと思えた瞬間だった。

稚内まで一緒に回った亡き友も私との北海道一周旅行以来弾みがついたようであちこち出かけたらしい。今も生きていれば奇跡のような再会もあったろうに。早すぎる死が残念でならない。

By Jun@ Room Style Store