温泉めぐり(第2回) | Room Style Store

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2025/03/24 15:30


前回の温泉巡り(第1回)でも書いたが日本各地で温泉宿の縮小や廃業が進んでいる。バブル期の過剰投資のツケや人口減少など様々な要因が重なり旅館の件数は1990年から比べると半減、社員旅行の実施率もほぼ半減している。当時プロが選んだ日本のホテル・旅館ベスト10のうち4軒では経営課題に直面しており人気のある高級旅館も例外ではないとヤフーニュースでは伝えていた。

驚くことに今後生き残れるのは全体の2割という声さえ聞かれる。個人経営の旅館から企業経営に転換する必要があると指摘する声がある一方で「老舗旅館に行くとグループ企業化されて個性がない。温泉旅館に泊まりに行きたい」という意見もある。ロマン溢れる大自然の中の湯宿となると交通網が整備されていいない場所も多く、延々と車を走らせてようやく辿り着くといった感じだ。

そこで今回はせっかく「大人の休日倶楽部」の会員になったが鉄道ではなく車で訪れた温泉郷を紹介しようと思う。

※扉写真は高速道路SAでのカフェタイムの様子

(1) 関越道横川SA
早朝の関越自動車道に乗って長野方面へ向かい横川SAで小休止…最近のSAはリフレッシュできる空間が整備されていることも多い。写真のハイウェイガーデンはドトールカフェのすぐ横に設置されている。テイクアウトしたコーヒーを持って園内を散歩したくなるよう作られているのがなんとも難い演出だ。

(2) 園内の様子
途中景色の良い場所にベンチが置かれていて見学者は碓氷峠の大自然をバックに写真を撮るなど思い思いの時間を過ごしている。ベンチやウッドデッキ、芝生や植栽などどこも職員の手入れが行き届いていた。以前はSAに寄ったら手洗いを済ませて直ぐ車を出していたがこうしてゆっくり休憩するのも悪くない。

(3) ハイオクの値段
高速道路のガソリンスタンドは一般道と比べて割高と言われるがこの日はハイオク1リットル当たり202円だった。現在の平均価格は184円だから18円高いことになる。満タンで45リッターとして一般道の場合との差額は810円…そう聞くとあまり感じないが満タンで9090円と聞くと「高いな」と思ってしまう。

(4) 妙義山遠景
横川SA の建物の背後に見えるのが妙義山の裏側。裏妙義と呼ばれるそうだが奇岩が目を引く。ごつごつした稜線はなだらかな山の多い日本では中々見られない光景だ。平日とあって駐車場の車も少ないし軽井沢を目指すインバウンド客で満員の観光バスは駐車場の広い一つ前の上里SAに立ち寄る。ここは穴場だ。

(5) 食事処「鹿曲」
小諸で下りて地元に人気の食事処「鹿曲」に立ち寄る。読み方は「かくま」だそうだ。名物はソースかつやもつ煮など…インスタグラムのポストでググっときたのが「天重」だった。イカがたっぷり入った「かき揚げ重」も美味しそうだがどちらも蓋ができないほどてんぷらがはみ出していた。

(6) 名物「天重」
揚げたての天ぷらから漂うごま油の香り…なんとも食欲をそそられる。濃い目のタレと相まって実に旨い。食事処らしく夏には「冷やし中華」もメニューに載るという。この日は平日で店の前は広い駐車場があるにも拘らずほぼ満車、それでも受付で名前を書いて駐車スペースが空くのを待った甲斐があった。

(7) 蕎麦もの
インスタグラムで紹介していたが流石は蕎麦処信州の店、11月10日の投稿では『先週より「新そば」が始まりました』と投稿していた。こちらは冷やしたぬき蕎麦。美味しい天ぷらを揚げる店だけあっての天かすもサクサクして美味しい。味は言うまでもないが盛りの良さでも地元の人に人気のようだ。

【秘湯鹿教湯温泉】
この日最初に訪れたのが信州上田の「鹿教湯(かけゆ)温泉」。江戸時代から湯治場として栄え「杖要らずの湯」としても有名。神経痛や運動障害、疲労回復など様々な効能があり飲泉にも適している。車でなくては辿り着けないが温泉センター文殊の湯は大人一人300円(R7年4月1より350円に改定)で入浴できる。
写真は温泉センター「文殊の湯」HPより

(8) さいとう菓子工房
風呂から上がったら近場のスイーツ店「さいとう菓子工房」で休憩。温泉場を散策しながら食べられるスティックタイプのアップルパイが有名だがイートインコーナーではゆったり座って手作りのお菓子をコーヒーや紅茶とともに楽しむことができる。店を少し下ったところに駐車場がある。

(9) スイーツ
こちらが店内で味わえるスイーツの一例。上はプレミアムアップルパイで長野県産のサンフジと紅玉を使ったラムレーズン入りのアップルパイ。サクサクのパイ生地と甘い煮リンゴにレーズンとアーモンドクリームが絶妙なハーモニーだ。下はアップルパイの生地を使ったリンゴ入りのシュークリーム。こちらも絶品だ。

【名湯浅間温泉】
(10) 今宵の宿
更に峠道を運転して辿り着いたのがこの日2ヵ所目となる温泉地。松本市郊外に位置する「浅間温泉」だ。松本駅から送迎バスも出ているので車でなくとも行けるが以前ビーナスラインからバイクで下って来た時に一度泊まってみたいと思っていたのでようやく念願がかなったことになる。名前は「菊之湯」…木造の趣ある旅館だ。

(12) 湯質
宿のHPによれば明治24年の創業、趣を大切にした部屋で和の味わいを楽しんでいただきたいとのこと。なるほど大きな湯舟を満たした温泉に入ると心から寛いでくる。泉質は「鹿教湯温泉」同様アルカリ性単純温泉、菊の花がかたどられた大浴場「菊風呂」と木造りの「紅風呂」は入替制で宿泊中どちらも楽しめるようになっている。

(13) 浅間温泉
チェックインして温泉を堪能したら運転で足が鈍っていたので近所を散策。温泉地あるあるなアーチ看板が昭和っぽくていい。帰路はこの「ありがとうございました…」の文字が目に付くが当然来るときは反対側の「歓迎」を見ることになる。ご当地キャラクターたぬきのレリーフが看板中央上に後ろ姿で頑張っていた。

(14) 共同浴場
こちらが浅間温泉の共同浴場「ホットプラザ浅間」。午前11時から深夜0時まで営業しているのが嬉しい。浅間温泉の歴史は古く、日本書紀の中で天武天皇が685年に訪れたとことが記されている。江戸時代は松本城の「御殿湯」として、明治になると正岡子規や竹久夢二、与謝野晶子に若山牧水など文人墨客が頻繁に訪れていたという。

(15) 夕日
夕日に照らされて長い影が道路に出来る。都会では高いビルに邪魔されてこれほど長い影を見ることができないので思わず撮影してみた。影の先には近代的な温泉ホテルがある。ちょうどタクシーでやって来た客を出迎える番頭さんの姿があった。せっせと散歩をしておけば夕食も殊の外美味しいはず。

(16) 温泉街
浅間温泉は松本市の北に位置している。湯坂通りは「谷戸」と呼ばれる丘陵と平地の接点から山に入り込んだ谷に湯屋が建ち並んでいる。なんだか「千と千尋の神隠し」を彷彿とさせる景観だ。昭和の高度経済成長時は大勢の宿泊客で賑わったであろう。残念ながら今はどこも静まり返っている。

(17) 夕食①
菊乃湯は食事も評価が高い。品数が多くて完食できないほどボリュームがある。昼に美味しい天重を食べたせいかもしれない。上は前菜で鰻棒寿司・茄子田楽・蟹菊花みぞれ和え・サーモン絹巻・翡翠銀杏・伸し鶏・擬製豆腐。下が向付でサーモン・車海老・中とろ・鯛・烏賊のお造りと色々な味を少しずつ楽しめるのが良い。

(18) 夕食②
上のお吸い物はマツタケの土瓶蒸し。知られていないがマツタケは長野が生産絵量日本一を誇っている。土瓶の蓋を取ると海老に鱧と紅葉麩が入っていた。下が茶碗蒸し。こちらもマツタケにホタテ、鶏肉に百合根、銀杏に三つ葉と具が多く入っていて奥深い味に仕上がっている。海の幸山の幸が豊富な和食の真骨頂だ。

(19) 夕食③
上は岩魚の塩焼きに焼目栗。下がメインの料理で事前に宿を予約する際リクエストしておいた黒毛和牛のステーキになる。付け合わせはエリンギに馬鈴薯とズッキーニ。品数もさることながら一品一品が丹精込めて作られているようで満足度が高いのも頷ける。予約サイトでの満足度は5点満点で4.4点とかなり高い。

(20) 夕食④
上は締めのきのこご飯と止め椀に香の物、実はこれ以外にも椎茸と海老のかき揚げや舞茸に南瓜の天ぷらが茶塩と天汁付きで用意されていたが流石に昼に天重を食べていたので手が出なかった。和風旅館に泊まる際は昼食で被らないようにする必要があると痛感。下は信州の地酒、見知った銘柄があると安心だ。

(21) 朝食
食後に男女が入れ替わった風呂に入り熟睡…翌日の朝食がまたすごいことになっていた。宿泊客は全部で5組程度だっただろうか、バイキング形式ならばこれだけの品数も自分で取ってくるだろうが個々盛りで一人一人サーブするのは大変だろうな…なんて思ってしまう。出汁の効いた厚焼き玉子が美味しかった。

(22) 宿の廊下
チェックアウト前に廊下を撮影。風情ある旅館で快適に過ごせて大満足だった。菊乃湯では新鮮な野菜中心の懐石料理や源泉かけ流しの内風呂、一方本棟造りを重んじてエレベータはなく2階客室へは階段を利用するなど宿としてのこだわりがある。個性的な温泉宿が減ったという声に対する一つの回答かもしれない。

(23) 旅行用の靴
今回旅行靴はトリッカーズのMALTON(モールトン)をチョイス。アッパーはC-SHADE TANと呼ばれるものだ。殆ど同じ型でSTOWという名のブーツもあるがネットによれば両者に違いはないらしい。ソールはダブルレザーもあるがダイナイトソール又はコマンドソールの方が履き心地は良好だ。

思い返せば昔から温泉巡りが好きだったようで「一度は行ってみたい日本三大秘湯のニセコ薬師温泉」はインバウンド客で混雑するより40年以上も前に訪れている。また温泉好きが勧める秘湯ベスト20の第3位「白骨温泉」は35年前に、第4位の「酸ヶ湯温泉」は44年前に日帰りながら入浴済みだ。

温泉が「とても好き」と回答した割合は女性で41%、男性では48%だという。「好き」と回答した数を加えると男女合わせた平均は約80%と人気の高さが窺える。因みに旅行が「とても好き」と「好き」と答えた人の割合が78.5%だから旅行に行く=温泉とセットと考えられなくもない。

温泉地の今後がどうなるのかは誰にも分からないが不確実性の高い海外旅行は暫くお預けにして次の国内旅行はどこに行こうか…そんなことを考えている。もちろん温泉付きで。

By Jun@Room Style Store