RRL限定品の現在地(続編) | Room Style Store

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2025/07/22 04:34


2018年から注目してきたRRL限定品、アウターやジャケット、デニムにシャツ、ブランケットから食器まで様々なアイテムがリリースされている。ブランド発足後の1993年当時から限定デニムパンツはアメリカ生産にこだわっていたが今回はベトナム製のリミテッドエディションがお目見えした。 

元々限定品を始め製品の多くは中国が担ってきた。トランプ政権の発足後「外国製品に高関税を課す」という方針が示されるとファッションメーカーは「特に関税の高い中国への依存を減らしベトナムやカンボジアなど東南アジアの国々に生産を移管する」ことで影響を軽減しているとAIは指摘している。

価格や生産地、アメリカ製の存続が気になるが今回はベトナム製の限定品を中心にRRLの今をさらに深堀りしてみようと思う。

※扉写真は最近のRRLリミテッドエディション

(1) 2020年春夏限定品①
2020年の春夏限定商品がこちらのネイティブ柄パッチワークシャツ。元々RRLのワークシャツは定評のあるCAMCOのインド工場で縫製されている。このリミテッドエディションもインド製とあるので恐らく同じファクトリーによるものだろう。シャツ単体で着ても様になる程よいフィット感が特徴だ。

(2) カタログより
パッチワークのアメリカンネィテイブ柄をブランケットとワークシャツに仕上げたリミテッドエディション。カタログにも記載されていないが生地はペンドルトンのものではないだろうか。因みにブランケットは限定100枚。柄自体は派手だがシャツ自体の色味は調和がとれているのは流石だ。

(3) レーベルとタグ
限定品の発売は「希少性と独占性を生み出し需要の牽引や価格上昇、収益増加に加えブランドイメージの強化に資する」ものの「戦略的かつ本格的に実施する」必要性があるとAIは指摘する。一度きりの限定品でなく継続する必要があり、限定品ならではの話題性や企画力、質の高さが求められるようだ。

(4) フィット
ヘンリーネックTシャツの上に羽織った限定品ワークシャツ。タックアウトして前ボタンをラフに留めジーンズと合わせるも良し、タックインして上からデニムジャケットを着ても良し。因みに生地の厚さにもよるがワークシャツのお勧めフィットは「肩幅より少し大きめのサイズを選ぶ」のがコツだそうな。

(5) +LVCデニムジャケット
単体も悪くないがインディゴデニムジャケットを羽織ると派手なパッチワークシャツもすんなり収まる。コーンデニムのLVC507XXは希少なアメリカ製。オーダーメイドのデニムジャケットさえ手に入る世の中だがデニム類は労働着、既製サイズを直したりエイジングしたりしながら身体に馴染ませるのが楽しい。

(6) 赤耳
ボタンを開けてシャツの柄を見せるも良い。前立て裏側の赤耳チラ見せに「おおっ!」とつい反応してしまう。因みにデニムジャケットは2025年のメンズトレンドで要注目だとか。旬な着こなしはややオーバーサイズらしい。RRLでもアメリカ製を含めデニムジャケットはいつになく充実している。

(7) +RRL限定デニム
ここで2025年春夏限定デニムジャケットと交代してみる。サイズはほぼ同じ、フロント左右のプリーツもリーバイス507と見た目は変わらない。最大の違いはポケットの位置だろうか。RRLはポケットがウェストバンドまで下がっているので胸まわりがすっきりしている。それとデニムの色も青々としているようだ。

(8) セルビッジ
リーバイスの赤耳に対抗してRRLのセルビッジをチラ見せ。フラッシャーを見ると生地は13.5オンスでコットンに加えリネンとラミーの三者混とある。確かに手触りもどことなくシャリッとしている。公式サイトによれば本藍染めの日本産デニムとのこと。「ジャパンブルー」と呼ばれる濃い青色が特徴のようだ。

(9) RRLチケット
ユニオンチケット風のタグが縫い付けられた裏前立て。RRLらしいビンテージな味付けだ。本物のユニオンチケットは70年代頃まで、リーの古着によく見られる。会社は1枚1セントで組合からチケットを買って服に縫い付け、組合員はチケット付きの服をこぞって買うという地産地消な取組だったそうな。

(10) LVC対RRLその①
本家リーバイス(左)とRRL限定(右)を比べてみた写真。胸にポケットが来るか来ないかで印象が変わる。またリーバイスは打ち込みの厚い綿100%のリジット生地なのに対してRRLはワンウォッシュかけた三者混のしなやかなさがある。首回りや襟の収まりなどRRLの方が着やすそうだ。

(11) LVC対RRL比較その②
左のリーバイスは40サイズ、右のRRLはSサイズ。平場で比べると胸ポケットの影響による一番上を除いてプリーツを押さえるボックスステッチはほぼ同じ位置に付く。もっともリーバイスの方はリジットなので一度洗うとかなり縮むはず。作りはRRLのSよりも小さいということになる。

(12) ポケットのデザイン
左はリーバイス507で右がRRL限定品。リーバイスは直線的な縫製で作られているためポケット類も角ばっている。一方丸みを帯びたポケットの形状のRRLはヘッドライトというよりはリー131カウボーイモデルに近い。羽織った時の印象もリーバイスの方が男性的でヘビーな印象がある。

(13) バックスタイル
RRL限定デニムの最大の見どころがバックスタイルの刺繍。レイルローダーズとは鉄道作業員、なかでも運営や保守に関わる人々を指す言葉だそうな。ヒッコリーストライプのワークパンツにシャンブレーのシャツ、首にバンダナでも巻いて最後にこんなデニムジャケットを羽織ってみたくなる。
 
(14) インナータグ
RRLの商品案内によれば「背面内側にモスリンのロゴラベル」とある。モスリンとは木綿を平織りにした薄い生地を指す。語源は遥か昔のメソポタミア文明、今のイラクにある都市モスルで織られた薄手の綿織物が起源らしい。ビンテージ風な字体にしっかりとリミテッドプロダクションの文字が入っている。

(15) ボタンとリベット
デニムでお馴染みのコッパーリベットにはRRLの刻印入り、前釦にはレイルローダーらしいイラストがあしらわれている。CIによりロゴを変更した2000年代は値段は高いがファストファッションと思わせる商品もあったがCEOが更迭、ラルフ御大が再び指揮を執るとクオリティが一気に戻ったと感じたものだ。

(16) フラッシャー
1900年代初頭に創業、1960年代に廃業したヘッドライト風のフラッシャーはリバイバル。このジャケットは公式サイトでも伊勢丹オンラインでも在庫なし、Mサイズが数着ZOZOにあるくらいか。定価販売のアメリカ製限定デニムジャケットもあるがそちらもほぼ完売だとか。やはりデニムジャケットは流行りのようだ。

(17) 2023年限定品
デニムジャケットと相性がいいのがドットストライプのワークパンツ。何気ないフラッシャーだがよく見るとこちらもリミテッドプロダクションランと書かれている。製造はメキシコ製、アメリカ製のデニムパンツに混じってメイドインメキシコもかなり出回っている。生地はRRL専用、日本製の10オンスデニムを使用とのこと。

(18) フィットの違い
左の2025年春夏ものはエンジニアフィットで右の2023年春夏限定ワークパンツがフィールドフィット。単純に今季ものの方がワタリが細いストレートフィットに近い感じか…どちらもサスペンダーボタンが付くワークパンツ仕立て。生地も共に10オンスのライトウェイトツイル、だが合わせる靴が違いそうだ。

(19) ワークパンツの出来栄え
RRLがこのところ力を入れているワークパンツはデニムやチノに続く「第3のパンツ」と言われている。ただデニムやチノがブレザーやジャケットと相性が良いのに対してワークパンツはドレススタイルとの相性は本来良くないはず。AIによれば「すっきりとしたデザインのカーゴパンツ」を薦めていた。

(20) フラッシャー
左が2025年春夏限定デニムジャケットのフラッシャーで右が2020年の限定デニムで初お目見えしたフラッシャー、忘れた頃に過去のデザインをしれっと出してくるのがラルフローレン。つい最近も90年代のプリントネクタイの柄を復活させるなどアーカイブを上手く活用していると感じる。

限定販売が成功する理由の一つが消費者心理の誘導にあるとされている。詳しく調べてみると例えば①人と違うものを手に入れたい、或いは②手に入りにくいものほど価値があると感じる心理が商品を購入する決断を促すということのようだ。自分などそれ以外に③今手に入れないと二度と巡り合えないかもしれない…という一期一会的な思いも加わる。

とはいえ抽選販売や列に並んでまで限定品を手に入れたいのか…と問われればそれほどの気力はない。だいたい行列のできる飲食店に並ぶのさえ苦手なのに「何時間も並んで買うのか」という考えが浮かぶと早々に諦めてしまう。先日のニューバランスM1300もネットで抽選に申し込んだが今まで国内で買ったこともないのに当たるはずもなかろう。

限定品は同じような商品展開ばかりだと飽きられる。特にリピーターは常に新しい刺激を求めているため限定品に対する興味が薄れやすいそうだ。また購入品が期待外れの場合も顧客が離れていく要因となり価格設定が高すぎる場合も購入を控える動機となり得るようだ。かといって限定品は一度始めてしまうと終了するタイミングが難しいといわれる。

RRLの限定品がこの先どうなるか、取り敢えず秋冬物が並ぶ9月にははっきりするだろう。

By Jun@Room Style Store