アメリカ製BDシャツ再び | Room Style Store

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2025/09/28 08:37


随分前からシャツといえばアメリカ製のボタンダウンシャツばかり買っている。コロナ禍でブルックスブラザーズが倒産、傘下のガーランドシャツの廃業直後はブルックスの在庫を買い集めたが、ガーランドアパレルグループとして再出発後はアイクベーハーネームのシャツやシップスのサウスウィックBDシャツに手を出していた。

ところが再興したガーランドが2024年末に再び閉業したことでブルックスブラザーズBDシャツのDNAは途絶えてしまった。後継はアメリカ製のニュージャージー州に工場をもつギャンバートとの噂もある。どこにせよ型紙は引き継がれるだろうが連綿と続いたブルックスのオリジナルポロカラーは二度と入手不可能な状況だ。

夏のセールが始まると目を付けていたガーランド製と思しきサウスウィック製のシャツを発見、「在庫有り」と「お取り寄せ」の二点を一括購入した。そこで今回は届いたばかりのシャツを早速見てみようと思う。

※扉写真は新着と前回購入のシャツ

(1) 新着品
選んだのはどちらもチェック、タッターソールと呼ばれる柄シャツだ。上がブルー/ブラウン、下がイエロー/ブラウン。三色展開品だったが残りのレッド/ブルーは既にアイクベーハーで購入済みなので残り二色を取り寄せた。送料は有料だが在庫有りと取り寄せの二回配送でも送料は一回と有難い。

(2) ブルー/ブラウン
こちらが先に届いたブルー/ブラウンのタッターソール。ブルー/ブラックやブルー/ネイビーはよく見かけるが青と茶の組み合わせは珍しい。クラシコイタリア風に言えばアズーロ・エ・マローネか…。ネイビージャケットとブラウン系のネクタイを合わせたくなる。ブルックスのオリジナル同様大ぶりなロールの効いた襟が良い。

(3) イエロー/ブラウン
こちらはイエロー/ブラウンの配色。タッターソールといえば思い浮かぶのがオッドベスト、ジャケットの下に着るならこんな配色も悪くない。シャツの作りは胸ポケット有りとブルックスのBDシャツと同じだがカフの根元はギャザーではなくプリーツ仕上げ、ガウントレットボタン付きとサウスウィック流の仕上がりだ。

〜ブルーブラウン編〜
(4) ツイード①
素材は地厚なオックスフォード、涼しくなってきたのでツイードジャケットを引っ張り出してみた。ブルー/ブラウンのブルーをネクタイで拾いブラウンをジャケットに合わせた。ネクタイの赤は①華やかさと顔色が良く見える②アクセントと自信につながる③全体の印象を引き締める効果があるそうだ。

(5) +デニムキャップ
この夏は日傘を差す男性も少なくなかったが人混みの中では人に当たりそうで危ないし、そもそも日傘を持っていないので専ら帽子が活躍した。涼しくなってきたのでそえろそろデニムキャップへの切り替え時、ツイードジャケットにブリムのあるハットも良いが気軽に被れるベースボールキャップが気分だ。

(6) ツイード②
こちらは英国仕立てのツイードジャケット。今度は逆にシャツのブルーをジャケットが拾い、ブラウンをネクタイが拾う組み合わせにしている。ポケットチーフを差し色代わりに赤にしても良かったかもしれない。ジャケットの生地はホーランド&シェリー、キャッツレッグと呼ばれる独特の織りが特徴だ。

(6) +ウールハット
英国仕立てにアメリカ製のシャツを合わせるなんて…というブリトラ一直線の紳士から顰蹙を買いそうだがせめてロールを目立たなくするよう襟のボタンを外している。ジャケットが格調高いので帽子もブリムのあるハットを被ると様になる。ポールスチュアートのハットは英国製、クリスティーズ別注だろうか。

(7) ツイード③
またまたツイードジャケットの登場。こちらはBDシャツの生みの親ブルックスブラザーズ謹製なのでシャツとの相性は問題なし…ヘリンボーン生地の茶糸とネクタイの刺繍でシャツのブラウンを拾いブルーは敢えて拾わずネクタイを赤系統にしている。下はコーデュロイのパンツとスエードのチャッカあたりがどうだろう…。

(8) +ツイードキャップ
引き続き秋冬もお世話になりそうなのがベースボールキャップ。写真はアメリカントレンチから取り寄せたアメリカ製のキャップ。このところJプレスやフィルソンなどアメリカンブランドの本国サイトがメイドインUSAをアピールしているのもトランプ政権のMAGAに呼応しているのかもしれない。

〜イエローブラウン編〜
【参考資料】
タッターソールのシャツと柄物ツイードジャケットの組み合わせで参考になるのがロンドンのピカデリーに店を構えるコーディングスの公式サイト。チェックオンチェックのオンパレードは見ているだけで嬉しくなってくる。どちらもジャケットとタイが派手な分ネクタイは地味な小紋がコツのようだ。

(9) アンコンジャケット
コーディングスを参考にイエロー/ブラウンのタッターソールシャツをトルソーに着せてみる。VANでアイビーファッションを知った頃はチェックオンチェックは禁じ手だったが今やノープロブレム。ウィンザー公から始まりラルフローレンがパターンオンパターンを盛んにプッシュしたのが功を奏しているようだ。

(10) +ハンチング
イエロー/ブラウンのブラウンをジャケットが拾いイエローをネクタイの小紋が拾っている。アンコンジャケットはイタリア製のサルトリオ…ブルー&ブラウンの組み合わせを意識してみた。襟のロールが目立ち過ぎないようボタンを外している。帽子もジャケットに合わせてイタリア製ツイードハンチングで揃えてみた。

(11) サックブレザー
昨年のクリスマスに購入した再建後のブルックスから久々に取り寄せたサックブレザー。長年ヒッキーフリーマンの服を請け負ってきたニューヨーク州のロチェスタークロージング製サックブレザーだ。イエロー/ブラウンの色を全く拾わずブレザーと赤の小紋タイで組んでいる。下にカーキのチノパンを履けばすんなり収まりそうだ。

(12) +ボーターハット
この夏活躍したのがボーターハット。元々ブレザーに合わせるために買ったがそれも五月まで…ポロシャツ&ジーンズのラフな格好に合わせてばかりいた。AIによればカジュアルなアイテムと組み合わせるとラフで抜け感のあるコーディネートに仕上がるとのこと。ネクタイを締めてもラフな組み合わせでも様になる便利な帽子だ。

(13) デニムジャケット
シャツのイエロー/ブラウンの格子にピッタリなツイードベストはハンツマンの3ピースから拝借。BDシャツの襟ボタンを外してカラーバーを挟みネクタイのディンプルを持ち上げている。ラルフローレンが良くやるパターンだ。最後にテイラードジャケットならぬデニムジャケットを敢えて羽織ってみた。

(14) +フェルトハット
ウールフェルトハットはRRLの希少なアメリカ製。ブリムの長さなのかクラウンの形なのかそれとも色目なのか…ワークウェアに似合うのがRRLらしい。デニムジャケットは絶版となったアメリカ製のリーバイスセカンド。リーバイスも自社工場を再建してアメリカ製品を作ればいいのになんて思ってしまう。

〜レッドブルー編〜
(15) ツイードスリーピース
さてここからは先日引退した原宿キャシディの八木沢さんと歓談しながら購入したガーランド製アイクベーハーネームのタッターソールシャツ再登場。ベーシックなレッド/ブルーの格子はどんな服とも相性良し…ならばと英国製ツイードの3ピーススーツと合体。ネクタイがシャツの色を上手く拾っている。

(16) +ビスポークハンチング
ポーター&ハーディングのグレンロイヤル生地で作ったハンチングはハンツマンのビスポーク品。スーツと共布で作ったが単体で被ってばかりいる。今の若い人達は帽子を上手に被っているが自分の若い頃は帽子を被るのがなんだか気恥ずかしく思えたものだ。歳を取って最近ようやく気にしなくなってきた気がする。

(17) ダーツ入りブレザー
1990年代のブルックスブラザーズ2つボタンブレザーの登場。1901年登場の三つボタン段返りサックスタイルがアイコンだったブルックスのイメージチェンジを図るべく2つボタンのブレザーが登場したのが1970年代、日本では3つボタンをⅠ型、2つボタンをⅡ型と呼んで紹介していた。

(18) +パッチマドラスキャップ
パッチマドラスのキャップはJプレスとアメリカントレンチのコラボ商品。ネクタイもアメリカ製ポールスチュアートとオールアメリカンな組み合わせだ。そういえば最近Jプレスのディレクターにロウイングブレザー創設者のジャックカールソンが就任したとか。せっかくなのでJプレスとのコラボ商品でも出してくれないだろうか。

(19) アワードジャケット
最後はバーシティージャケットの登場。アワードジャケット或いはレターマンジャケットとも呼ばれるがスタジアムジャンパーは和製英語なので要注意だ。ネットで着こなしを検索するとスウェットやパーカ、Tシャツにの上に羽織る写真ばかり目に付くがラルフローレンの広告を参考にレップタイと組み合わせてみた。

(20) +フェルトキャップ
ジャケットのショールカラーと袖口のイエローラインに合わせてキャップを用意。お洒落をしようと思ったら帽子も一つでは物足りない。お気に入りの格好をするには服も靴も小物もそれなりに必要なのだ。もので溢れてしまうのも考えものだが「こんな格好してみたい」と思ううちが花かもしれない。

久々のアメリカ製シャツを買ったついでにリーバイスプレミアムメイドインUSAについて調べたら既に終了しているそうだ。ガーランドシャツの閉業だけでなくアメリカのアパレル製造業の国内回帰は簡単ではないとAIは指摘している。その理由としてグローバル化とアウトソーシングが進んでいる点を第一に挙げていた。

現在中国やベトナム、バングラデシュといった海外製造拠点の生産性に匹敵する大規模で熟練した労働力とインフラを整えるには長い期間と莫大なコストがネックになるであろうこと、そして何よりアメリカ国内の消費者が価格の高いアメリカ製品より低価格のアジア製を購入するのに慣れているのが問題であると結んでいる。

あるブランドのアメリカ製品はSALE価格で60%OFF、それでも売れ残ったものをエクストラ20%OFFのクーポンを発行して売り切ろうとしている。定価の40%価格のさらに20%OFFということは最終的に定価の32%で販売することになる。これではアメリカ国内で製品を作って売り続けるのは難しかろう。

ともあれアメリカ製造業の行方については今後も見守っていきたい。

By Jun@Room Style Store