2025/10/11 07:35

コロナ禍を経てオフィスウェアのドレスコードもどんどんカジュアル化しているらしい。なんとTシャツやスニーカー、ポロシャツやジーンズだってOKという企業もあるとか。じゃあ一体どんな服がNGなの?と調べてみたら「皺の入った服や汚れている服、迷彩柄やアニマル柄といった派手な服」を挙げていた。
因みに履き物で言えばサンダルはNG。軽快なフットワークに相応しくないからだろうか。となると最も快適なオフィス用の革靴はローファーになる。昔メンズ服飾誌に「スーツとローファー姿の読者」が載ると「紐靴にすべし」と指導が入ったものだが今や軽量スーツにローファーはオフィスカジュアルの本命だ。
そこで今回はインスタグラムで目下バズり中のローファーをリレー形式で紹介しようと思う。
※扉写真は30足のローファー
(1) バズり中のローファーポスト

このブログを書いている10月9日の時点でポストに対する「いいね」が2735、閲覧数は124万に迫る勢いを保っている。第一期のインスタグラムアカウントでもこれほど話題になったことはない。やはりローファーの人気は本物、世界共通になっているようだ。
(2) 一番数の多いローファー

さて、最初に紹介するのは手持ちの中で同一形式最多足数のJMウェストンローファーから。以前はグリーンとネイビーも所有していたが人手に渡り現在は6足が在籍。左端の2足はマッケイで残り4足がグッドイヤーの180シグネチャーローファーだ。
(2) ワニ革

手前がマットアリゲーター。光沢がない分気楽に履ける。一方奥は光沢が派手めなクロコダイル。ウェストン青山初代店長吉賀さん曰く「パリジャンは501にクロコのローファーを履いてカシミアのセーターを肩に掛けている。それが実に格好良い…」という話を聞いて真似したものだ。
(3) カーフ

手前の黒は1988年製なので流石にクラックが入り始めている。奥が1991年製、どちらもデュプイのカーフ。現行品より細かなピッチのモカ縫いが手間暇のかかっていることを物語っている。昔と変わらぬデザインは色違いで所有する靴好きも多い。
(4) マッケイ製法

ウェストンは昔からマッケイ縫いのローファーも展開していた。当時はサマーローファーだったがル・モックに改名している。薄かったソールに厚みを持たせが滑り止めを付けたことで耐久性が上がった。ストラップ端のWが新旧を見分けるポイントだ。
(5) マッケイ繋がり

さてここからはリレー方式で次の靴を紹介。まずはマッケイ製法繋がりということでAIお薦めのビットローファーにバトンを渡そう。同じイタリアのフェラガモや英国のエドワードグリーン、アメリカのオールデンまで作っているビットローファーだが選ぶべきはグッチ一択。
(6) 元祖ビットローファー

馬具作りから皮革ブランドになったグッチだけに馬の靴に含ませる轡(くつわ)をローファーのヴァンプにあしらうなど斬新なデザインが特徴。1953年の発売以来ジェットセッターやウォール街の名士、ハリウッドのスターがこぞって履いたという。
(7) 金具繋がり

次は金具繋がりということで真鍮のバックルが目立つクレバリーのカジュアルを紹介。英国はローファータイプの靴をカジュアルと呼ぶ。グッチのビットローファーが銀ピカなのに対して緑青さえ浮く地味な真鍮を選ぶのが英国らしくもある。
(8) バックルカジュアル

最初に履いた時は爪の中に血豆ができるほどきつかったのに我慢して履いているうちに履き心地が激変、何とも不思議な靴だ。フォスター&サンやジョンロブでも誂えたローファーだがアメリカで長年鍛えられたのだろうクレバリーのフィットは一日の長がある。
(9) クレバリー繋がり

さてクレバリー繋がりで今度は右側タッセルローファーの出番。当時ウィスキーコードバンのレアオールデンが話題になっていたのでオーダーしたもの。ウィスキーを嗜みながらウィスキーコードバンの靴を磨く…そんなシチュエーションに憧れたものだ。
(11) タッセルローファー

タッセルローファーはペニーローファーに次ぐ持つべきローファーの第2位にランクインされている。現ジョンロブのティームレッパネンがクレバリー時代にディレクションしたものだ。アメリカのホーウィン社に直接行って仕入れた革だったと思う。
(12) タッセル繋がり

さて今度はタッセル繋がりでジョンロブ3足目の黒タッセルローファーにバトンを渡そう。どちらもティームレッパネンが担当。同じ足とは思えないほど違いがある。ティームがクレバリー時代の靴(左)のフィットから改善点を見つけジョンロブ(右)に反映させたのだろう。
(13) ジョンロブロンドン

黒のタッセルローファー、カジュアルなローファーとフォーマルな黒は相反する要素だがブレザースタイルやホワイトデニムとの相性も良く重宝している。ストレッチ素材の高機能スーツにカノコポロ、足元はクラシックなジョンロブというのも悪くない。
(14) ジョンロブ繋がり

さて今度はジョンロブ繋がりで海を渡ったジョンロブパリの「アシュリー」にバトンを渡そう。靴自体は英国はノーザンプトンの既成靴だがパリの粋を感じる。インソックにはジョンロブと印刷されているが本家と並べたらジョンロブパリと書くしかない。
(15) アシュリー

アシュリーは既成のローファーの中で最も履き心地が良くスマートな1足だと思う。特に黒のアシュリーならスーツからちょっとしたパーティーにも合うだろう。ただしアンラインドなのでライニング有りのローファーより耐久面では後れを取るのは否めない。
(16) アンラインド繋がり

さて次はアンラインド繋がりで英国のノーザンプトンから海を越えてアメリカはマサチューセッツのオールデン謹製アンラインドペニーにバトンを渡そう。ブルックスのエクスクルーシヴだったアンラインドローファーは肉厚なシェルコードバンが枯渇状態なのか別注を一切受けていない。
(17) ユナイテッドアローズ別注

カラー8とブラックのアンラインドローファーは日本の代理店ラコタを通じてオールデンに別注したもの。ペニーローファーとといえばヴァンラストが定番だがトムラストを指定するなどユナイテッドアローズのこだわりを感じる。左は限定200足、右が限定100足。
(18) コードバン繋がり

さて今度はコードバン繋がりということで再び英国に戻ってクロケット&ジョーンズにバトンを渡そう。オールデンと違い機械縫いのモカは精緻な作りのクロケットならでは。何よりラルフローレンらしいプレッピーな味付けは他のブランドでは真似のできないもの。
(19) リボンローファー

実は何シーズンにも渡って様々なバージョンが作られたラルフ別注クロケット製リボンローファー。左はカーフでリボンがナイロン製の3色ストライプ。右はコードバンで帆布の2色ストライプ。インスタでコメントが付くほど人目を引くローファーだ。
(20) ノーザンプトン繋がり

さて最後はノーザンプトン繋がりでエドワードグリーンへとバトンを渡そう。1991年にロンドンを訪れた時クロケット&ジョーンズの店舗は見つからずポールスミスやゴードンスコット、バークなど他社ブランドでしか買えなかったことを思いだす。
(21) エドワードグリーン

足繁くロンドンを訪れていた90年代はエドワードグリーンが高級英国靴の市場を席巻していた時代。写真はアンラインドローファーの傑作ハーロウ。ロンドンの誂え靴屋ワイルドスミスやポールセンスコーンで扱っていたがこちらはポールスチュアートの別注になる。
さて、かくも人気のローファーだがAIにローファーはオフィスで履いても良いの?と英語で問いかけたところ答えはエクセレントだそうだ。ビジネスカジュアルのドレスコードに最適でプロフェッショナリズムを犠牲にすることなく快適さを提供すると言い切っていた。
オフィス靴としてのローファーについて①素材は表革を選ぶとシャープな印象になりスエードを選ぶとよりスタイリッシュになる②色については黒や茶など定番色を選べばどのような服装とも合う③スタイルとしてはペニーローファーやタッセルローファーが鉄板との事。
By Jun@Room Style Store