ラルフローレンの靴(後編) | Room Style Store

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2026/04/11 09:39


ラルフローレンの靴といえば2000年代に話題となった英国製パープルレーベルの靴を挙げる人も多かろう。エドワードグリーンのトップドロウアーラインに別注をかけたものでライニングのパープルが目印、なんと本家のグリーンが展開していないモデルまであった。

ただ長年のポロファンにとってラルフローレンの靴といえばクロケット製のベンチメイドシリーズこそ本命、青山のロイドフットウェアに頻繁に出入りするようになるとインソールやインソックに手書きのサイズ表記などクロケットの特徴がよく分かるようになってきた。

そこで今回はラルフローレンフットウェアシリーズの中でも長い歴史に彩られた珠玉のクロケット製ベンチメイド靴を中心に現在に至るまでの流れをまとめてみようと思う。

※扉写真はラルフ別注クロケット製ベンチメイドの靴

【2000年代】
(1) 広告①
2004年にラルフローレンがサブブランドの「ラグビー」をローンチすると機を同じくして第三次プレッピーブームが沸き起こった。本家ラルフローレンでも写真のようにリボンを配した如何にもプレッピーなローファーが広告に載り日本でも話題になったものだ。

(2) トリビュート①
ストライプグログランリボンを配したローファーなんて他のどのブランドもなしえないラルフローレンのエクスクルーシヴモデルだ。ただ特徴的なサドル部分を除けば履き口の高い英国スタイル。オールデンのペニーローファーよりソールは厚く履き心地はややリジットだ。

(3) バトラー
靴のペットネームはバトラー、外国のインスタグラマーさんのコメントで名前を知った。日本のラルフ好きインスタグラマーさんも同じ靴をお持ちで写真を投稿している。サドル部分のバックルは飾りだがローファー好きなプレッピーの心には充分刺さるデザインだった。

【コマンドブーツ】
(4) トリビュート②
こちらは同じ英国製ながらクロケットではなくアルフレッドサージェント製のブーツをトリビュートしてみた。ストームウェルトにコマンドソールのアーミーブーツだが穴飾りのあるキャップが洒落ている。この辺りのさじ加減がラルフローレンは実に上手い。

(5) 旧ロゴ最終期
インソックの金ロゴはポロポニーの入った旧タイプ。しかもベンチメイドと記されているからクロケット製と間違えてしまいそうだ。インソールに「リアルレザー」の刻印があったりサイズ表記や製品ナンバーが印刷文字だったらほぼ間違いなくサージェント製と言えよう。

【2010年代】
(6) トリビュート③
リボンローファーも更に進化、ラルフローレンコードバンシリーズとして戻ってきた。当時の広告を想定しながらトリビュートしてみたのが上の写真だ。インソックのロゴはポロポニーのある旧タイプではなくラルフローレンの横書きタイプに変更、味気なく感じてしまう。

(7) 新旧比較
左の初期リボンは薄いものだったが靴の素材が肉厚なコードバンになるとリボンも打ち込みの厚いものになっていた。コードバン素材はクロケットと関係の深いシカゴのホーウィン社製。だが同じホーウィンコードバンを扱うオールデンを選ばなかったのは何か理由があるのだろうか。

【番外編】
(8) 広告②
2000年代にメンズファッションを賑わせたパープルレーベルの広告を載せてみた。先述したようにノーザンプトンのトップシューメーカー、エドワードグリーンによるものだ。一度も見かけたことはなかったが右上端にチラリと見えるギリーシューズなんて最高だ。

【パープルレーベルの靴】
(9) トップドロウアー
写真のエラスティックサイドシューズはエドワードグリーンでいえばアトリーにあたる。本家のものよりもソールを薄く仕上げ持ち手にPLのイニシャルが入った専用のシューツリーが付く。ボンドストリートの店員は同じ靴を買うならエドワードグリーンの店じゃなくてラルフローレンでしょう…と言っていたのを思い出す。

【コードバンシリーズ】
(10) トリビュート④
ラルフローレンのコードバンシリーズ最大の傑作がこちらで名前はマーロウウィングチップ。後にクロケットでもコードバンを使いペンブロークの名で展開している。裾をロールアップしたチノパンに深い皺の入ったマーロウの素足履きがラルフローレンの十八番だ。

(11) 深い履き皺
クロケット製ベンチメイドシューズは日本でもリーガルが輸入元となって販売されていたがEウィズのみ。ところがアメリカ市場のものは日本と違いDウィズ…ここが大きな違いを生む。写真はハーフサイズ上げた9-Dを履いた結果。深い履き皺は日本のEウィズでは出ない。

【アメリカ製品への回帰】
(12) トリビュート⑤
写真はアメリカ製品への一時的回帰が進んだ頃のメイン州産ローファーをトリビュートしたもの。2012年ロンドンオリンピックでラルフローレン監修のアメリカ選手団ユニフォームが中国製だったことで物議をかもした反省からアメリカ製品を多数ラインナップし始めた頃の靴だ。

(13) トリビュート⑥
こちらもメイン州産のブーツ。ベネディクトタータンシリーズは短靴もあったが長靴は日本未展開だった。アメリカにいる親戚に一時帰国の際キャリーして貰ったものだ。製造は上のマドラス柄ペニーローファーと同じメイン州のランコート。アメリカ製モカシン最大の担い手だ。

(14) ランコート製
天然ゴム=クレープソールは高いクッション性が魅力だが熱に弱く歩くうちに砂利やほこりを吸着して汚れるのが難点。チャーチスやオールデンで同じように感じた人も多かろう。ただこの靴の場合ブレイク製法にマッチしているのでクレープソールに替わる素材が見当たらない。

(15) シアリングブーツ
こちらはよく似たブーツだが中国製。生地と革の繋ぎ目の処理がランコートのように丁寧でないのが気になる。一時アメリカ製品を数多くラインナップしたラルフローレンだったが次第に中国製に回帰、貿易摩擦が起こると今度はインドやバングラデシュへとシフトしつつ今に至る。

【英国製最終期】
(16) トリビュート⑦
クロケットのベンチメイドシリーズ最終期となったギリーシューズをトリビュートしたのが上の写真。日本国内購入品ゆえ当然ながらEウィズ。最初に皺入れも行いかなり履き込んだが甲部分に上手く皺が入らなかった。ウィズが異なるだけでこれほど違いが出るとは…。

(17) クロケットへの別注
こちらはロンドンのクロケット本店でMTOしたギリーコードバン。ラルフの広告風に仕上げてみた。素材はウィスキーコードバンでEウィズ、インソックも純正だ。つま先のメダリオンもラルフと異なる。当時は提携が終了していなかったせいかラルフと全く同じ仕様を避けたようだ。

(18) Dウィズ対Eウィズ
左のマーロウがDウィズで右のローフォードがEウィズ。つま先の尖り具合が違うのに気付くだろう。ウィズが狭い分①普段より長目な靴を履くことで②甲が大きくベントし③皺も深く入るといった感じか。因みにコードバンのプレーントウもあるのでいつか手に入れたいものだ。

(19) 広告③
こちらはランコート社に別注をかけたハンドソーンモカシンのチャッカブーツ。ポロハイトップという名だそうだ。数は減ったがメイン州のハンドソーンモカシンを作るランコート社やクォッディなど老舗メーカーのビジネスは目下堅調に推移しているとのこと。

(20) トリビュート⑧
写真はハイトップの秋冬版、スエードとヘリンボーンツイードのコンビをトリビュートしてみた。2026年春夏物のアイテムをラルフローレンアメリカ公式サイトで確認したが少なくとも一型はアメリカ製のモカシンと判明。円安とはいえ本場メイン州産と聞くとざわつく。

【番外編】
(21) トリビュート⑨
ポロ50周年を祝ったアイテムを広告風にアレンジしてみた。トリビュートのトリはバーシティージャケット、パッチを追加しようにもカスタマイズできないほど完成されている。因みにシャツはブルックスのクラブカラー、ベストはサビルロウテーラーと英米ミックスだ。

ラルフローレンをはじめアパレルブランドが軒並み靴部門を縮小・中止しているのは「グッドイヤー方式の靴におけるコスト」や「保守的なデザインそのもの」にあると言われる。平たくいえばトラッドな内羽根や外羽根の靴は製造に時間がかかるし古臭いということなのだろう。

それでもまだ何型か扱っているラルフローレンに対して老舗ブルックスブラザーズは公式サイトから靴自体を無くしている。米国のオールデンやアレンエドモンズに英国のクロケットやエドワードグリーンやチャーチスまで…胸熱なラインナップなどまるでなかったような潔さだ。

一方ラルフローレンの靴を請け負っていたクロケットを含めた英国靴ブランドは職場のカジュアル化やスニーカーの台頭による逆風にあるとAIは指摘する。銀座のロイドで聞いた「英国製のウェルト靴は高過ぎて誰も買わない」と聞いたが日本だけでなく世界的な流れのようだ。

ラルフローレンのベンチメイドシューズを見ながら「コロナ禍以降世の中随分変わったな」と改めて思う。

By Jun@Room Style Store