スコットランド周遊記② | Room Style Store

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2026/05/30 07:51



前回のスコットランド周遊記は東京を発ってからロンドンを経由してエジンバラで友人と落ち合うまでを紹介した。今回からいよいよスコットランド周遊の旅が始まる。出発前、家族は現地のホテルで合流なんて大丈夫?と心配したが結果はスムーズ、これもスマートフォンのおかげだ。

思い出すのは携帯電話しかなかった頃の事。当時主流の掲示板でノーザンプトンアウトレットツアーを募集した。ロンドンのジャパンセンター前集合にしたが当日あろうことか主催者の自分が遅れてしまった。程なく参加者のFご夫妻が着くと「遅れてすみません。」と謝るではないか。

理由を聞いてみたらFさんはミラノから参加したがミラノとロンドンで1時間の時差があるのを知らずてっきり遅れた…と思い込んでいたのだ。終わりよければ全てよし、こちらも遅刻して今しがたついたことを謝りながらお互い笑ってノーザンプトンへの切符を買ったことを思い出す。

今なら空港到着…エジンバラ駅キオスク前など短文のやり取りで待ち合わせも問題なし。実際今回の旅もツアーの予約からレストランや宿の手配まで全てスマホで事足りた。そのスマホも近い将来取り出すものから身に付けるものに進化するらしい。技術の進歩は目を見張るものがある。

ともあれスマートフォンをフルに活用した旅がいよいよ始まる。長い道中になるがお付き合いいただければ幸いだ。

※扉写真は借りたコンパクトカー

(1) チェックアウト
こちらが泊まったホテル。古い建物が奥まで続く最後のあたりに宿を構えている。当然駅までは遠いがスマホのマップ機能を参考にレンタカーがプールされている建物を目指した。昔エイビスの車を借りた時はもう少し駅に近かったが手狭になったのかより巨大なビルに移っていた。

(2) バジェットレンタカー
建物内のオフィスはエイビスとバジェット共通のカウンターらしい。エジンバラのホテル予約時に付与されたクーポンで車を15%割引で借りたお陰で支払いが安い。これもスマホの利点の一つ。ただ万が一に備えて300£を払っているので安全運転を誓っていざ出発。

(3) アバフェルディ
最初の目的地はアバフェルディ。775g/㍍というヘビーなエステートツイードの織元だがここの生地を扱う日本のテーラーはまずないだろう。本来はエステートつまり領主が使用人の服の為に織らせたツイードなのでタータン同様エクスクルーシヴな生地なのだ。

(4) 生地のストックルーム
工場の一階は織り機が3台、そのうち一台は予備らしい。775gと500gの二種類のツイードを織っているとのこと。2階がストックルーム兼オフィスらしい。案内されて階段を登る際に記録撮影。自分の服になる生地がどこで織られているのか分かるなんて素敵ではないか。

(5) 昔の織り機
機械化される前の織り機はこんな形をしていたようだ。この時代のビンテージ生地があるか友人は聞いていたが流石にないと思う。あったとしても今のもののように密に織られていないので耐久性は却って低いかもしれない。奥にはグレンライオンの生地を使った既製服も置かれていた。

(6) 生地のストック
775gのヘビーツイードと500gのミディアムツイードが並ぶ棚。最強の呼び声高いキーパーズツイードは900g前後だが無地、一方エステートツイードは柄も豊富で選ぶ楽しみがある。上着に仕立てると軽く2kg超えだが厳冬期にコートなしで着られる上着が欲しかった。

(7) ツイードの反物
次々と出てくる生地。どれにするか迷ってしまうがこの時間が一番楽しい。オーダーするジャケットが切り返しの多いタイプなのであまり複雑な柄は避けてシンプルなオーバーペインの生地に注目した。色味としては写真右のグリーンが入ったようなタイプに惹かれる。

(8) 生地のカット
ジャケットとラペルドウエストコートにキャップを注文するなら…と聞くと3.5㍍有れば大丈夫だろうということで結局4メートルでカットしかもハサミではなく手で引きちぎっていた。しっかりとしたツイードは手で切れるとのこと。鮮やかな手捌きを録画できなかったのが残念だ。

(9) 選んだ生地
グレンライオンのタグを付けて㍍数を記録した紙を留めたら買い物は終了、古いミルで生地を買ったが支払いは最新のタッチ式。この新旧入り乱れたところが面白い。因みに手で引きちぎった跡から糸が出ているのが分かると思う。

(10) 工場見学
経糸と緯糸が交差する間をシャトルが行き来する様子はデニムのシャトルウーブンで見たのとそっくりだ。複雑な模様はロール状のパンチコードを読み取りながらどの経糸と緯糸が絡まるのか穴の開き方で決まるのだという。今はコンピュータ管理だが当時は画期的な機械だったと思う。

(11) パンチコード
このロールを読み込んでどの色の経糸とどの色の緯糸が織られていくのかが決まる。織り機の頭脳に当たるといった感じだろうか。生憎土曜日で機械は停止していたが他のミルとはいえネット上で動く様子を視聴することができるので時間がある時にでも下のリンクからぜひ見て欲しい。

ツイードが織られる様子参考動画

(12) アバフェルディの町
一番左奥にPJハガートというテーラーがあってグレンライオンミルの元オーナーだったようだ。2024年に現在のオーナーにミルを売却して店を畳んだらしい。今は建物と看板だけが残っている。1960年代まで王室御用達の名テーラーだっただけに後継がいないのが悔やまれる。

(13) アバフェルディのランチ
健啖家の友人はスープオブザデイを頼んでいたが車の運転ばかりではお腹が空かないのでマフィンとスクランブルにベーコンのオープンサンドを注文。地ビールでも頼みたくなるが飲酒運転御法度は何処も同じ。自分が全く悪くなくて過失0であっても飲酒したら無になってしまう。

(14) 金銀細工師を訪ねる
如何にも芸術家のアトリエといった家に到着。午後一番で金銀細工師のマルコムアップルビーを訪ねた。2014年にMBE=大英帝国勲章を受けるなど英国を代表する最も独創的で高度な技術を持つ金属彫刻家と言われる。皇太子の戴冠式で使用された宝冠のトップは彼の作品とのこと。

(15) マルコムアップルビーご本人
アトリエに立つ姿。こちらはネット上で公開されているもの、大胆な柄のパンツにピンクのダブルカフシャツがお洒落だ。当日はもっとリラックスした服装でアトリエ内を案内しながら作り方を実演してくれた。奥様と二人で悠々自適な創作活動をされている…そんな印象だ。

(16) シルバー作品から
スコットランドの自然をモチーフにした作品が特徴のようだ。せっかくなので一番下のブローチを購入。モチーフはエジンバラ王立植物園が栽培と品種改良の拠点として知られる青いケシの花だ。日本でもヒマラヤの青いケシとして長野県の白馬五竜高山植物園で見ることができる。

(17) ショコラティエ訪問
続いてトリュフ部門で世界一となったショコラティエ、イアインバーネットのショップ兼カフェを訪問。スマホのお陰で車にナビはなくとも迷わず目的地に辿り着ける。右の銀色VWだが燃費が良いのか最初のうちはいくら走っても燃料計が減らず壊れているかと思った。

(18) カフェ店内
まずはカフェで小休止。英国に来たからにはやはり紅茶だろう。ついでに美味しそうなチョコレートを注文。入った時はテーブルがかなり埋まっていたがお茶の時間が終わったのか広い店内に我々二人のみ…日本のカフェも悪くないがこの佇まいは外国ならでは…良い経験になった。

(19) 紅茶とチョコレート
紅茶は茶漉しで淹れるタイプ。ティーバッグじゃないところに惹かれる。チョコレートの方は上面にアートが施されていて食べるのがもったいなくなる。チョコレート専門店でチョコを味わう…なんて滅多にあるものじゃない。上手く言い表せないがもの凄く美味しい。

(20) 赤リスを求めて
宿泊地に向かう途中野生のリスと出会えるガーデンを訪れた。営業時間を過ぎていたのか庭を見て回ることはできたがリスには出会えずじまい。それでも蔦の絡まるカフェやセコイアの大木など写真映えのする場所が点在している。友人はスコットランドの赤リスにご執心のようだ。

(21) スコットランド点景
なだらかな丘と洋風な建物、如何にもスコットランドらしい景色が広がる。これが同じスコットランドでもハイランド地方に行くと荒涼とした山々と深い谷、急峻なクリークなどガラリと雰囲気が変わる。この先どんな景色が目の前に広がるのか楽しみになってきた。

(22) 今宵の宿
今宵の宿はレストラン併設のキリンホテル。基本朝食付きだが我々は素泊まり。というのも翌日が日曜日ということで友人が既にコース料理のサンデーローストをランチに予約しているからだ。翌朝は近くのコープでデニッシュとコーヒーでも買って軽めに済ませるか…。

(23) キリンホテルのディナー
友人はスターター=前菜からオーダーする正統派だが自分はスキップして主菜をお願いした。頼んだのはサーモンの三種盛り。サーモンのタタキにスモークサーモンとグリルサーモンが一皿で楽しめる。カールスバーグと書いてあるが頼んだのはローカルビールなのは言うまでもない。

(24) ニ日目の行程
今日一日の行程をおさらい。なるべく高速道路を使わず景色の良い道を行くとなると青い線の3時間21分コースになる。アバフェルディ周辺でミルと銀細工師のアトリエ、ショコラティエに植物園と四つも効率よく回ったのでルートとしてはとてもシンプルだ。

実は今回の旅程はスコットランド通の友人が立てたもの。自分の知らないところばかりで毎日がワクワクの連続だ。昔はUKといえばロンドンが中心、それも買い物が中心だったと思う。今は地方が楽しい。それもイングランドより遠いが断然スコットランドだ。

そもそも日本とスコットランドの関係は古い。幕末の長崎はグラバー商会やエジンバラのフォース鉄道橋に関わった日本人技師、スコッチウイスキーから学んだジャパンウィスキーの進化、近年では日本人サッカー選手がスコットランドリーグでプレーしている。

親日家が多いと言われるスコットランド…まだ旅の一日目だがとても充実している。さぁ明日はどんな未知と遭遇するか…

By Jun@Room Style Store