2026/06/13 14:05

1993年秋にローンチしたラルフローレンのサブブランドRRLを初めて見かけたのが1994年のニューヨークマンハッタン。マンションと呼ばれる基幹店の向かいに出来たストアの一角に使い込まれた古着が並んでいる…と思ったら新品だと聞いてびっくりしたことを思い出す。
残念ながら1998年にブランドは一旦休止するも2001年に復活。このことから休止前を第1期、再開後を第2期と呼ぶ。古着業界では第1期がより価値があるとされており、一見同じ様に見えるタグも第1期では赤い星が三つなのに対して第2期では星が一つと作り分けている。
第1期ではTシャツやデニムからジャケットまで米国製が数多く存在したが第2期ではデニムが中心…最近はそのデニムも米国外での生産が増えている。コストを考えれば仕方ないことだろうがアメリカンスピリッツそのもののRRLには米国製であってほしいという願望が常にある。
そんな声が多かったのかビームスが米国製シャンブレーシャツを特注したり本家ラルフローレンジャパンも負けじと米国製の限定デニムを別注したりとメイドインUSAが再注目されている。そこで今回は日本限定RRL大戦モデルとプレセールで購入したデニムを紹介しようと思う。
※扉写真は米国産の新着デニム類
(1) 2026年春夏調達品

リジットなトラッカージャケットと同じデニム地のジーンズが日本限定大戦モデル。ウォッシュのかかったデニムが今季もの。因みにプレセールになっているジーンズは三種類、ワイド シルエットなビンテージ5ポケットがメイドインUSAなのを確かめて購入した。
〜大戦モデル・ジーンズ編〜
(2) 2026年版日本限定

まずは今回の日本限定大戦モデル。フラッシャーの一番上にジャパンエクスクルーシヴリミテッドエディションと書かれている。本家リーバイスの大戦モデルをオマージュしており、随所に見られる拘りの仕様が肝だ。日本限定だけあって通常の米国産デニムより値段はグッとお高い。
(3) 2022年版

一方こちらは前回RRLがリリースした大戦モデル。せっかくなので比較してみようと思う。発売は2022年、今回の限定品と同じリジットな生地だが色は薄めで生地の手触りはパリッとしている。密に織られた感じだ。手に持ってみるとずしりとくる…重さが違うのだろう。
(4) 2022年VS2026年①

ここからは両者並べての比較、まずはフラッシャーから。前回が12½オンスなのに対して今回の日本限定は11¼オンスと軽い。何より一番大きな違いは前回がシュリンクトゥフィット=洗うと縮むのに対して今回の日本限定版はサンフォライズド=洗っても縮まない生地という点。
(5) 2922年VS2026年②

大戦モデルといえば軍支給品の余剰生地を用いたスレーキが特徴。RRLの大戦モデルでもカーキ色のヘリンボーンツイルが用いられている。2022年版はデニム生地の重さに合わせて頑丈なツイル地だったが2026年版ではデニム地が軽くなった分ツイル地もライトになっている。
(6) 2022年VS2026年③

セルビッジを比較すると2022年版は66前期とよく似たどちらかというとピンクっぽい赤耳が特徴、一方2026年版は文字どおりこれぞ赤耳といった感じで赤い糸がしっかり見えている。また縫い代も多めに取られている。細かな点だがこうして比較すると違いが明確になる。
(7) 2022年VS2026年④

なんといっても大戦モデル最大の特徴がバックポケットのペンキステッチ。実際はステンシルによるものだが2022年の方は太くてしっかりとしている。一方2026年の方は軽めの生地に合わせたのか細くて繊細な感じだ。繰り返しの洗濯で早々と消えるのまで本家リーバイスに倣っていたらどうしよう…。
(8) シルエット①

さてここからは今回の日本限定品を詳しく見てみよう。シルエットはラルフローレンのデニムの中で最もリラックスしたシルエットのビンテージ5ポケット。ウェストもワタリもすそ幅もたっぷりある。リバイバル中のビッグチノにも似た雰囲気が目下のお気に入りだ。
(9) シルエット②

大戦モデルらしくコインポケットのリベットは廃止されており戦時下のシンプリファイド=簡素化がうまく表現されている。因みに2022年版は31-32だが洗濯後は30-30まで縮む。一方写真の2026年版は洗っても縮まないので32ー30をキープしてくれる。
(10) ドーナツボタン

ブタンフライのボタンは月桂樹のトップから下に続くドーナツボタンまでディテールに抜かりはない。本家リーバイスでは第二次大戦中の物資統制下における金属節約もあってボタンフライの数が通常の5つから4つに変更されたがその点もしっかり再現されている。
(11) スレーキ

スレーキに印刷された文字が軍支給品ぽくて良い感じだ。最後に書かれたRHTとはライトハンドツイルすなわち右綾織りの意味だろう。その前の3✕1は縦糸3本に対して横糸1本が交差する織り方だそうな。なんでも昔のリーバイスに代表される織り方とのこと。
〜大戦モデル・ジャケット編〜
(12) ディテール①

さてこちらは2026年版日本限定版の目玉、デニムジャケットの大戦モデルも発売された。元祖リーバイスの大戦モデルに倣って①フラップなしのフロントポケット②社名のないリース=月桂樹ボタン③フロントボタンは5つから4つに変更といった仕様が完璧に踏襲されている。
(13) ディテール②

一方背面を見るとリーバイスの大戦モデル同様ウェスト部分に釘刺し式バックストラップが付いている。金属の使用制限化にあった大戦中でも最低限のフィット調整を可能にするため残された実用一点張りのディテールとリーバイスでは解説しておりRRLでも正確に再現している。
(14) 左右のダブルプリーツ

リーバイスによればジャケット前立て左右のダブルプリーツは激しい動きに耐えられるよう可動域を広げる工夫だそうな。全開にならないよう三箇所で縫い留めされている。背面ヨーク下の生地が中央で縫い合わせれているため後ろから見るとTのように見える。これがTバックの由来だ。
(15) タグ

レザーパッチの下に着く小さなタグに記されたメイドインUSAの文字。デニムジャケットは縫製が複雑なのためコストがかさむのかアメリカ製でなくなってから久しいが前年に続いて再びアメリカ製がカムバックしたのは嬉しい限りだ。秋冬もので三たびリリースされるか…。
(16) フラッシャー

実は本家リーバイスLVCでも大戦モデルジャケットが発売、3月13日から24時間の抽選応募を受け付けたらしい。一方RRLの日本限定大戦モデルは2月13日~15日の3日間予約を受け付けたものの予約枠が埋まるのは予想以上に早かったとのこと。
(17) 今期ものリペア加工デニム

最後はプレセールで購入したアメリカ製のデニムの紹介。こちらもゆったりシルエットのビンテージ5ポケットだ。一時流行ったリジットデニム地から今シーズンはウォッシュ加工とアースカラーが復権しているとのこと。グランジ=古着テイストが人気なのだとか。
(18) リペア加工

ウォッシュ加工に加えてリペア加工の施された前面に要注目。ダブルニーのワークパンツと見紛う大きなパッチが左右に縫い付けられている。しかも非対称なため如何にもハンドリペアしたような雰囲気が出ている。当店でもダメージ&リペア加工のデニムがボチボチ売れ出している。
(19) ビンテージ5ポケット

ファッション誌によればデニムのシルエットは引き続きゆったりとしたタイプだとか。具体的には写真のように太腿まわりにゆとりを持たせつつストンと真っ直ぐ落ちるストレートラインだがリーバイスではなんとバギージーンズまでリバイバルさせているらしい。
(20) 赤耳

擦れきれたようなダメージ加工が効いたヘム。捲って見なければ分からないが必ずチェーンステッチで仕上げるのがRRL流だ。思わず裾を少し折り返して履きたくなる。さてその時どんな靴と合わせるか…昔なら革靴だったかもしれないが今はスニーカー一択だ。
(21) スレーキ

スレーキにはいつもどおり日本製セルビッジデニム採用とある。エルメスやグッチ、サンローランに今回紹介したラルフローレンなど岡山・備後地方のデニム生地は様々なブランドで使用されており、日本の職人気質と妥協なき手仕事の賜物がジャパンデニムを特別なものにしている。
(22) コインポケット

裾のダメージ加工も素晴らしいがポケット入り口の加工も見事なものだ。どこか一か所でも手を抜くと如何にも似非っぽくなるのに流石はRRL。1993年の発表以来一貫して「新品なのに長年着込んだ」ような商品を作り続けてきた実績がある。
昨年のラルフローレン社は売上高が7%増と絶好調。北米や欧州に加えアジアでも堅実な成長を見せウォール街の予想を上回ったようだ。北米では若年層の需要が強く日本でもかつて親世代が着ていた定番ブランドが爆発的な支持を集めているとか。
日本だけでなくアメリカでもRRLやパープルレーベルなどコアヘリテージと高い潜在力をもつブランドに関して従来のようにセール時に大幅な値下げを行わず、フルプライス需要へシフトすることで成長が促進されているとの分析結果が出ている。
聞けば今後も年に1回程度限定品をリリースする予定があるらしい。次回を楽しみにしたい。
By Jun@Room Style Store
