スコットランド周遊記④ | Room Style Store

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2026/06/20 16:18


前回はロッホクラニーの先にある峠の宿に辿り着くまでを紹介した。結局その日は運転で疲れたのか夕食も取らず寝入ってしまい迎えた翌朝は雨…ただし天気は徐々に回復するとのこと。スマホがあればテレビの天気予報を見なくとも詳しく分かる。つくづく便利な世の中になったものだ。

今日はインヴァネス西にあるビューリーを訪問、王室御用達のテーラーでジャケットを注文するのがメインだ。グレンライオンで買ったツィード生地をやっと預けることができる。その後は南下しつつボーダーズ即ちスコットランドとイングランドの国境へ徐々に近づいていくことになる。

どうやら友人もツィードスーツをオーダーするらしい。そこで今回はスコットランドの名門テーラー訪問を中心に早くも中盤となった旅の様子を紹介しようと思う。

※扉写真は宿泊したホテルの中庭の様子

(1) 宿の食堂
昨夜は夕食も取らずに寝入ってしまったので食欲旺盛、いの一番で食堂に向かった。日頃外国のホテルに泊まると朝食会場に早くから来るのは日本人が多いなと感じていたがスコットランドでは早朝からトレッキングやアクティビティに参加する旅行客が多いのかテーブルが次々に埋まる。

(2) 朝食
英国に来てから殆どパン食なのでたまには…とパンケーキをチョイス。シロップをたっぷりかけて口に入れると甘さが脳にズドンとくる。結局この後トーストを焼いてフルスコティッシュブレックファーストも堪能、空腹から一気に満腹へ。血糖値が急上昇しそうだ。

(3) ハイランドの山々
ホテルの駐車場の先には雪を被った山々が連なっている。右に見える道路を先に進めば息をのむ絶景とウィスキー蒸留所で有名なスカイ島へ通ずる道だ。予報どおり青空も見えはじめた。尤もスコットランドの天気は「一日の中に四季がある」といわれるほど変わりやすい。油断は禁物だ。

(4) 野生のシカ
ホテル前で見かけた野生のシカ。とても大人しく奈良のシカと同じで人懐っこい。ホテルの残菜などを食べに来るためらしい。決して餌付けしているのではなく下草を食んだり山奥へ戻ったりと気ままに過ごしているのだとか。ホテルの客が記念撮影できるので喜んでいた。

(5) キャンベルズオブビューリー
小さな村ビューリーにある立派なテーラー。公式サイトによれば名前はキャンベルオズオブビューリー、店の看板とは異なる。既製服やニット類にキャップなどアクセサリーも揃えている。訪問時も買い物客がショッピングにやってくるなどスタッフの対応は気さくな感じだ。

(6) 採寸室
こちらが採寸室。左のゲージサンプルを着たまま採寸していく。途中「下にニットのカーディガンやベストを着るか否か」聞かれる。775グラムのヘビーツィードなので下にニットを着ない代わりに寒い時は襟を立てて着られるようスロートタブを襟裏に付けて貰うことにした。

(7) 袖の長さ
よく言われるようにジャケットの袖からシャツが覗くようにするのはあくまでもシティスーツだそうな。スコットランド、中でも極寒のハイランドでは袖先を手の甲にかかるくらいに仕立てることで手首の隙間風を防ぎ体温を逃がさないようにしているそうだ。

(8) 着丈
採寸するのはカッターのLaraさん。センターベントのジャケットをオーダーしようとしたが歳を取って腰が曲がってきても見栄えが良いのはサイドベンツとのこと。ノーフォークジャケットを頼んだのでデザイン的にもサイドベンツの方が良いとのお薦めに従った。

(9) ロイヤルワラントホルダー
小さなビューリー村に格式高いテーラーが存在していることに感動してしまう。サビルロウのヘンリープールも格式高い店だったがここキャンベルズも歴史を感じさせる。日本では幕末、欧米列強と修好通商条約を結んでいた1858年に創業というからさもありなん。

(10) 裏地の選択
裏地の色は生地の格子を拾い生地に合わせて丈夫なものをチョイス。テーラーで服をオーダーする時の楽しみの一つがこの裏地選びだ。そういえばミレニアムで賑わうロンドン、ファーラン&ハーヴィーで初めてスーツをオーダーした時も裏地で迷ったな…と昔のことをふと思い出した。

(11) ジャケットとスーツの生地
ワークショップに運ばれたジャケットの生地。4メートルの生地でジャケットとは別にラペルドウェストコートとベースボールキャップをオーダーした。恐らく生地が余るだろう。最後にネクタイでも追加オーダーしようと思う。因みに下の反物は友人のオーダーした生地。

(12) ハ刺しの身頃
仕掛かり中のジャケット。丁寧なハ刺しが見られる。2013年に雇用の未来と題されたオックスフォード大学の論文で自動化により近い将来なくなる職業の一つにテーラーがあった。13年経った今テーラーという職業はなくなるどころかララさんのような若い世代に受け継がれている。

(13) ワークショップの全景
屋根の一部がガラス張りになっていて自然採光を取り入れたワークショップ。手前のハンガーにはエステートツィードのトラウザーズが納品されるのを待っている。奥にミシンがあったと思うが縫製機械類は全くなし…写真でちらりと見える仕掛かり中の赤いドレスが印象的だった。

(14) カッティング
アプレンティスだろうか、オーダーした友人のスーツ生地をカットしている姿を撮影。ララさん率いるチームは全員が女性のようだ。カッターといえばスーツ姿の男性を想像しがちだが皆カジュアルな服装なので緊張することもなく和やかな雰囲気が漂う。

(15) 帽子売り場
サイズ毎に分かれたハット。これを見るだけでも店の格式が分かるというもの。似ているように見えて異なる生地のハンチングが積まれている。店内で最も映えるところだ。友人もここのハンチングをいつも愛用中、被り慣れているせいだろうか板についている。

(16) コーヒーブレイク
キャンベルズを後に近所のカフェで一休み。朝食が充実していたのでアップルパイとカフェアメリカ―ノで…。スコットランドを含む英国=UKは紅茶のイメージが強いが近年はコーヒー派が増えているとのこと。因みにスコットランドは日本と同じ軟水だそうな。

(17) 今宵の宿
早めに今宵の宿に到着。名前はボート&カントリーイン。宿とレストランが一緒になった宿もこれで三日連続だ。毎日違うレストランで美味しい夕食が食べられるので旅の大きな楽しみになっている。撮影時は靄ががかっていたがこの後晴れ間が広がってきた。明日は晴天とのこと。

(18) 室内
こちらが室内の様子。ダブルベッドを一人で占有できるので気分は最高…カジュアルな民宿は気楽でいい。友人は早速近場を散歩していたようだがスマホで連絡を取り食堂で待ち合わせ。昼はカフェで軽く済ませただけなのでお腹が空っぽだ。いつもよりディナーを早めにした。

(19) ネイビージャケット
車の運転時以外は面倒でもネイビージャケットを着ることにしている。オーダーして以来あまり着てこなかったが今回の旅では毎日着ているのでだいぶ馴染んできた。良かったことの一つがジャケットを着ていると店員やスタッフの対応が違うこと…気のせいじゃないと思う。

(20) インヴァネスのクラフトビア
写真はインヴァネス最初かつ唯一のウィスキー蒸留所とビール醸造場が一つになった「ユーラバイスト」のクラフトビール。ゲール語で「怪物」を意味し、ネス湖のネッシー伝説にちなんで名付けられたようだ。そんな説明を読みながら飲むのも乙なものだ。

(21) メインディッシュ
いつものようにスターターはスキップしてメインディッシュから…オーダーしたのはサーモンのロースト。ブロッコリーとポテトにアーティチョークやセロリ、グリーンピースなど豊富な付け合わせに乗ったサーモンフィレ、上に乗ったケーパーの実が良い仕事をしている。

(22) アップルクランブル
デザートも昼のカフェに引き続いて大好きなアップルシリーズからクランブルをオーダー。甘酸っぱく似たリンゴの上に小麦粉、バター、砂糖で作ったそぼろ状のクランブル生地をかけてオーブンで焼き上げたもの。イギリス伝統の焼き菓子の一つだそうな。

(23) 本日のルート
峠の宿クラウニ―インを出発してビューリーのキャンベルズでジャケットをオーダー。その後僅か55分で今日の宿に到着したことになる。今回の旅で一番移動距離が少ない日だ。ジャケットオーダーに時間が取れるよう友人が行程を組んでくれたおかげで元気いっぱい、デザートまで頼んでしまった。

実はキャンベルでのオーダー時に「メイドトゥオーダーかビスポークか今でなくともいいのでインヴォイスを送る時までに決めて欲しい」とララさんから説明を受けた。ビスポークの場合最低でも2回の来店とフィッティングが必要だそうな。ただ最初の仮縫いから中3日で中縫い準備が整うとのこと。

となると月曜の午前中にキャンベルズで仮縫いをすればその週の木曜には中縫いが可能になる。そこで問題がなければ完成次第送って貰えるそうだ。恐らく次回は羽田からブリティッシュエアでロンドン乗継インヴァネスで入国後一泊してレンタカーでキャンベルズを訪問、三日後に再訪となるだろう。

アメリカ旅行から帰って来たばかりだがもう次の海外旅行の行き先も行き方も過ごし方も決まっているなんて昔ビスポーク三昧していた頃に戻ったようだ。

By Jun@Room Style Store