2026/07/05 01:57

実はスコットランド周遊から戻って二週間、時差ボケが治らないうちに次のアメリカ旅行が控えていた。マイレージの有効期限切れが迫っていたのがほぼ一年前…最大限先延ばしして355日後の特典航空券を予約、しかもその時点で発券までしてある。行かない手はないだろう。
ボストンの親戚宅に二週間ほど滞在してサッカーのワールドカップ開催前に帰国する予定を組んだ。アメリカ訪問旅の本編は近日中に紹介したいが今までアメリカ旅の定番だったニューヨーク訪問を今回はパスした。どうも歳をとったせいか最近人の多い場所が苦手になっている。
とはいうもののスコットランド周遊番外編としてノーザンプトン詣でを先行アップしたのと同様、今回はアメリカ旅の番外編としてザ・シューマート再訪を先駆けて紹介してみたい。
※写真はザ・シューマート購入品
〜実店舗編〜
(1) 新店舗

前回訪れてから早くも8年、その間にファンの間では行きたくても中々いけないオールデンの聖地的存在だったザ・シューマートも移転していた。新しい店舗の外観がこちらになる。複数の店舗が一列に並びその前が駐車場になっているタイプでストリップモールと呼ぶそうな。
【参考資料①】
以前の外観

8年前の店舗。敷地の中に店を構え周りが駐車場という日本でいえばコンビニエンスストアのようなレイアウトだ。写真を見ると外壁が傷んでいるようにも見える。コネチカット州では2021年に台風の被害が報告されており諸般の事情で移転したのではないだろうか。
(2) 正規オールデン

新しい店のオールデン正規品のディスプレイ。こちらはカーフやスエードの靴が並んでいるようだ。他にもコードバンがずらりと並ぶコーナーや他メーカーの靴もあり、見ごたえがある。尤もお目当てはファーストグレードではなくリジェクト品、所謂オールデンセコンドと呼ばれる靴だ。
(3) オールデンセコンド売り場

こちらがオールデンセコンドのコーナー。店の奥に別室があってサイズ毎に並べられている。こちらはサイズ9とサイズ9.5のラックになる。一目見て随分靴が少ないな…と気付くだろう。以前訪れた時は部屋の中に所狭しと靴が並んでいたのが嘘のようだ。
【参考資料②】
以前のオールデンセコンド売り場

因みにこちらが8年前のオールデンセコンドの売り場。恐らく在庫の殆ど全てを展示してあったのだと思う。この時はたまたま大きな段ボール箱から届いたばかりのリジェクト品の中からお目当ての靴を探してくれたが在庫管理は大変だったのではないだろうか。
(4) 試着して購入

狙い目はモディファイドラストだが店舗にはマイサイズの在庫なし。車で30分のミルフォードにある倉庫にストックされているとのこと。取り寄せるので後日来店可能か?と聞かれたがボストンから車で3時間かかるので諦めバリーラストのマイサイズのみ試着、購入したのが写真の靴になる。
(5) 着用例

バリーラストの内羽根靴は羽根が開き気味。とはいえオールデンは中底が結構沈み込むので足に馴染めば羽根も閉じてくるに違いない。グレインレザーとカラー8のシェルコードバンに反りの良いフレックスレザーソールを装着したサドルオックスフォードは中々格好良い。
(6) ソール

写真はフレックスレザーソール。従来の革底と違いオイルが染み込んだような茶色の外観が特徴だ。特殊なオイルや液体に浸すことで柔軟性と耐久性を高めた素材らしい。従来の革底に比べて足馴染みが早く歩行時の返り=屈曲性に優れているので長時間履いても疲れない…と良いことずくめだ。
(7) 傷あり部分

オールデンセコンドというからにはリジェクト=検品ではじかれる理由があるはず。この靴の場合は白丸部分のひっかき傷だろう。運転手を引き受けてくれた親戚曰く「全然気にならないよこんなの…」とのこと。出来栄えが気になる人は正規品を買えば良い…と背中を後押しする。
(8) 気になった靴①

サイズが大きすぎるものの店内のリジェクト品で気になった靴がこちらのスペクテイターズ。ホワイトバックスではなく表革のホワイトカーフとのコンビ。ハンプトンラストだろうか、甲が高めなので写真のサイズ9が丁度ピッタリなのだが試着は思いとどまった。
(9) 気になった靴②

こちらは廃番となって久しいオールデンケープコッドコレクションだ。メイン州のファクトリー、恐らくはランコート社が請け負っていたと思われる。資料的価値があるのでサイズさえ合えば買おうと思ったが黒のキルトタッセルは履く機会が少なさそうなので試着を思いとどまった。
〜オンライン編〜
(10) モディファイド(その1)

結局店舗の移転で手狭になった関係でザ・シューマートはセカンド品専用の倉庫を別に借りて対応しているようだ。リジェクト部分を確認できないのは残念だがオンラインで購入することにした。最初にオーダーしたのが上の靴。またもやサドルオックスフォードだがこちらはカーフ✕グレインのコンビだ。
(11) ソール

モディファイドラストなのにオーソドックスなレザーソール。土踏まずのえぐれが他のオールデンとの違いだ。ヒールはフットバランス社のラバータイプではなくダブテイルタイプのレギュラーヒールが付いていた。オールデンの刻印の上にお約束リジェクト=Ⓡスタンプが押されている。
(12) 傷あり部分

傷あり部分がこちら。どうしてこんな傷が付いたのかはよく分からない。通常は出し縫いをする際アッパーが傷つかないよう保護カバー(フィルム状)を付けているはずなのに…と思ってしまう。それともフィルムを剥がした後うっかり引っ掻いたか?
(13) 傷を目立たなくする

近所の靴修理店に持ち込んで傷を目立たなくする方法を聞いてみたところ、削って着色するとどうしても色ムラが出やすい色なので目立たなくするくらいの方が良いのではとのこと…せっかくなのでお願いした結果傷は目立たず気にならない程度に修復されていた。
(14) バリーラストとの比較①

せっかくなので今回買った同じ8½Dのサドルオックスフォードで比較した図。左がバリーラストで右がモディファイドラストになる。上から見た感じではバリーとモディファイドとの差は殆どない。若干モディファイドの方がつま先がバルキーに見えるくらいだろうか。
(15) バリーとの比較②

ソール側から見た比較図。こちらも左がバリーラストで右がモディファイドラストだ。モディファイドの方が内振りなシェイプでアーチがタイトに絞られているのが分かる。店ではアナトミカと同じく普段履いているアメリカ靴より½サイズ上げを推奨していた。
(16) モディファイド(その2)

次に買ったのがやはりモディファイドラストのモックトゥブルッチャー。モカ部分は機械縫いだろう。畝の出方がレジャーハンドソーンやレンジャーモックより平坦だ。こちらはウィズがCなので通常の8½‐Dから一気にワンサイズ上げの9½‐Cを注文している。
(17) 着用例

これは実に素晴らしい履き心地だ。恐らく手持ちの既成黒靴の中でトップクラスだろう。とても快適で足の指が全部開くような感覚だ。それでいて見た目は野暮ったくならないよう絶妙のデザインで仕上げている。アナトミカパリのオーナー、ピエールフルニエさんがぞっこんなのも無理はない。
(18) ソール

お約束のフットバランス社製ラバーヒールの付いた靴底。アーコヒールと呼ぶらしい。因みに昔日本ではモディファイドラストの靴をヤコブソンモデルと呼んでいた。このヤコブソンというのは矯正靴専門店の名で現在ニューヨークにあるモールデッドシューの前身らしい。
(19) 傷あり部分

釣り込みの際引っ張られてアッパーが裂けたようだ。靴の内側なので殆ど気にならない。ただノーザンプトンのクロケットと比べると検品もれに当たる部分が引っ掻き傷にしてもオールデンは大胆だと思う。よく言えば大らかだがともするとやや雑に思えなくもない。
(20) マイモディファイド

我が家のモディファイドファミリー。1990年代松任谷正隆さんがヤコブソンモデルの履き心地の良さを雑誌で紹介すると早速買って試したがその後輸入されなくなりすっかり忘れていた。2018年にパリのアナトミカでモディファイドラストに再び目覚めて以来じわじわと増殖中だ。
(21) ローファー

オールデンのローファーといえばレジャーハンドソーン、ブルックス流に言うとペニーローファーが一推しだがこちらはややロングヴァンプなローファー。ミニモディファイドラストとも称されるレイドンラストを採用した最近のモデル。見えにくいが踵部分にはフォクシングの意匠が入っている。
(22) ソール

レギュラータイプのレザーソールにマカフィーヒールはオールデンのド定番。つま先部分が広く取られているので思ったよりも靴の中で足の指が開きそうだ。アッパーがコードバンだと最初は硬く感じるが返りが付くのは思ったよりも早いというのがもっぱらの評判らしい。
(23) 当たり個体

こちらはこれと言って擦り傷やひっかき傷、裂け目もなく個体としては当たりのようだ。モカ部分はすっきりとしていて手縫い特有の畝が見られないことからやはり機械縫いだろう。コバをアッパーのカラー8に合わせて着色しているので見た目がすっきりとしている。
(24) マイオールデン

いつの間にか12足の大所帯になっていた我が家のオールデン。クロケット&ジョーンズに次ぐ第二勢力まで拡大してきている。そういえばケンブリッジのハーバード大御用達トラッドショップ、アンドーバーの靴のセレクトもやはりオールデンとクロケット&ジョーンズだった。
折からの円安で日本人観光客の姿は殆ど見かけなかったが中国や隣国カナダからの観光客も減っているらしい。前年比約5~6%も下回っておりパンデミック後初めてマイナスに転じているようだ。米国内の物価高騰に加え政治的要因が影響していると日本経済新聞は伝えている。
一方今までアメリカを何回も旅行したが今回が一番日本人を歓待してくれる雰囲気を感じた。両国が良好な関係に腐心していることもあろう。日本を訪れたアメリカの観光客がポジティブな発信をしたりMLBで大谷選手を始め日本人選手達が盛り上げたりということもあるはず。
帰国後ワールドカップ観戦が始まると日本のファンがアメリカやメキシコで大いに盛り上げてくれたようだ。これに限らず若い人達が海外に出て日本の良さをアピールすると共にテキサスの例ではないが現地の魅力を発信することが良好な関係を築く力になるのではないだろうか。
By Jun@Room Style Store
