2026/08/09 07:47

チャールズ川を挟みボストンの対岸にあるケンブリッジはハーバード大学の街だがアメトラ好きならJプレスが思い浮かぶだろう。何しろロゴにケンブリッジの名が入るくらいだ。残念ながら1931年開店のJプレスは86年続いたケンブリッジ店を2018年に閉店した。
ところが今なお営業を続けるアメトラ愛好家御用達のような名店がある。それがアンドーバーショップだ。本店は近隣のアンドーバー市にあるがケンブリッジ店の創業は1953年。以来73年間もの長きに渡ってアメリカントラッドを提案し続け、最後の希望となっている。
そこで今回はボストン観光を兼ねて立ち寄ったアンドーバーショップについて書いてみたい。
※扉写真はアンドーバーショップのディスプレイ
(1) アンドーバーショップ

如何にもトラッドな外観を想像していたが木製のドアや日本の暖簾のようなショップロゴが吊り下げられた外観はモダンな雰囲気さえ漂う。ガラス越しに見る店内はそれほど広くはないが階段状になっていてところどころにアメトラスタイルに身を包んだトルソーが置かれていた。
(2) ネクタイ売り場

ドアを開けてまずは店員に声をかけて案内して貰ったのが入り口近くのネクタイ売り場。仕事で使うネクタイが欲しい…という家族のリクエストもあり冷やかしではないという意思表示を兼ねていた。ついでに店内の写真を撮って良いか許可を得ていざ散策開始。
(3) レップタイ

家族のリクエストは地味なストライプのネクタイ。ここはアメリカ、地産地消ではないがせっかくなのでアメリカ製のレップタイを…とリクエストすると数多あるネクタイの中で店員が示したのはなんと引き出しの一番下の右隅に何本かあるのみ。随分と肩身が狭そうだ。
(4) メンズフレグランス

日本のトラッドショップと違うのがメンズフレグランスを豊富に取り揃えているところ。上の段がオーデコロンで下の段がオードトワレとオードパルファン。その奥にはサスペンダーが並ぶ。因みに下段左は英領バーミューダ諸島のロイヤルライムで右は英国のフローリス。
(5) ソックス類

無造作に置かれているのか客が選んだ後片付けていないのかソックス売り場のボリュームも中々のものだ。ホワイトバックスにはクリームやオフホワイトのソックスが定番…と聞いたことがあるが無地のものから柄物まで抜かりなく揃えてある。イギリスやイタリーの製品が多い。
【参考資料】
〜オンラインショップ〜

ショップで撮影した写真の左下に写っているソックスをオンラインショップで確認すると英国のコーギー製と判明。値段は5600円と割高だがポールスミスばりの派手なマルチストライプではなく控え目なに色ボーダーを選ぶアンドーバーショップのセンスが光る。
(6) ボタンダウンシャツ

左側は定番ホワイトとブルーが中心のボダンダウンシャツコーナー。素材はオックスフォード、綺麗なロールを描いているが縫製はカナダ。ガーランドシャツメーカーの倒産によりアメリカ製のボタンダウンシャツは絶滅危惧種に指定されそうな状況のようだ。
(7) 気になるシャツ

ポロラルフローレンを思わせる薄手のデニムシャツも置いてある。ソフトセミイタリアンカラーは如何にも快適そうだ。製造はモロッコとのこと。オンラインショップでは目下半額セール中、アメリカ国内のシャツメーカーに頼んだらそう簡単に半額セールには出せないだろう。
(8) 派手なストール

ウインドウのすぐそばに掛けてある大判のストール。日焼けしてしまわないか気になるほど鮮やかな色目に思わず写真を撮った。アクセント効果や立体感の演出、視線を上に集める効果もあるとのこと。ダークトーンの装いに派手な巻物はメンズファッションの定番テクニックらしい。
(9) ニット類

ケーブル網みのクルーネックセーターはスコットランド製のピュアカシミヤ。薄手のカーディガンなどジャケット下に着られそうなものが多い。どれも無地で色のチョイスもアンダーステートメントな感じがする。インディジョーンズのハリソンフォードが演じた大学教授のような着こなしが思い浮かんだ。
(10) 靴コーナー

靴売り場はアメリカのオールデンとイギリスのクロケットジョーンズが並ぶ。ボストニアンやネトルトンなどアメリカを代表する靴メーカーは労働コストの上昇により衰退、英国の靴メーカーも似たような状況を経て生き残った両雄がアンドーバーショップのお眼鏡に適ったという訳だ。
(11) ドレスシャツコーナー

こちらは如何にもアメトラらしいボタンダウンシャツが並んでいたコーナーとは打って変わって英国調の派手なドレスシャツが目に付く。オンラインショップで在庫を調べてみたところやはりイギリス製、しかもシーワード&スターンに別注をかけたらしい。
(12) ナチュラルショルダー

ナチュラルショルダーのジャケットやブレザーが並ぶコーナー。Jプレスのような3つ釦段返りにセンターフックベントといった生粋のアイビーモデルではなく袖4つ釦で2ボタンフロントが主流のようだ。ラルフローレンやポールスチュアートに近い感じか。
(13) 春夏もののジャケット

リネンジャケットが並ぶコーナー。奥に見えるピンクに格子が入ったジャケットは袖ボタンのない本切羽仕様。リネンとウールの混紡で縫製はカナダ製とのこと。以前はサウスウィックに注文していたらしいが倒産後はサミュエルソンにシフトしているようだ。
(14) フィールドコート

大ぶりな格子柄のツィード生地を用いたフィールドコートは英国はクリサリスへの別注。日本円で26万円越えのリッチなアウターだが作りも素材も一生ものと言えよう。隣のヘリンボーンに目立たないウィンドペーンの入ったタイプと2型用意されている。
(15) トルソー

見応えのある3連トルソー。手前にあるジャケットは三者混。ウールとシルクにリネンがブレンドされたライトオンスのスポーツコートとのこと。肝心の生地はロロピアーナのサマーファブリック。秋口まで着られるとのことだが日本のような高温多湿な気候では春と秋が本番だろう。
(16) チョアコート

思わず手に取ってみたツィードのチョアコート。勿論イギリス製で素材はチェビオットツィード。こちらも恐らく製造はクリサリスではないだろうか。重衣料の大半はカナダ製でコート類は英国製というラインナップ。スタッフによるとアメリカ製品の割合は少ないという。
(17) 粋な裏地

ウィンドペーンの色を拾ったようなピンクの裏地がカスタムメイドを思わせるジャケットはカナダ製。こちらもサミュエルソンだろう。素材は三者混とのこと。よく見ると袖のカフは仕付け糸が付いていてボタンなし。本開きの本切羽に出来るようになっている。
(18) ディスプレイ

今時珍しいヒップ・フラスクを発見。スコットランドに一緒に旅行した友人は確かこのフラスクにスコッチウィスキーを実際に入れて楽しんでいたはず。一度やってみたいことの一つだ。バブアーのワックス缶も懐かしい。最近は昔嗅いだ強烈な匂いがなくなってしまったようだ。
(19) 差し色ネクタイ

アイリス色のジャケットにブルーストライプのシャツ、ペールグリーンの水玉ネクタイの組み合わせは同系色とアクセントカラーが調和した爽やかで上品な着こなしだ。こちらもウールとシルクにリネンの三者混。隣のブルー格子ジャケットや奥のグリーン系ジャケットにはローズピンクのネクタイを合わせている。
(20) ファンシーソックス

ソックスはともすると堅苦しいと思われがちなスーツやジャケパンスタイルを外す=アクセントの役割を持たせる定番テクニックだとか。とはいえ写真下のコーギー特製ロブスター柄やフラミンゴ柄のソックスをどんな服装と合わせるか難易度は高そうだ。
アンドーバーショップの創始者であるチャーリー・デビットソンはアイビーリーガーズのユニフォームともいえるロールドラペルの3つボタンと異なりボディに沿ったラインと深めのVゾーンを備えた2つボタンのジャケットをハウススタイルにしたという。
アイビーリーガーズを顧客に持ちながら早くから意図的に伝統的3つボタンスタイルを脱し、より鋭いラインを備えた2つボタンのハウスカットを取り入れてきた。ただし従来のサックスタイルが希望の客にはカスタムテーラーリングを勧めているようだ。
楽しい買い物の時間はあっという間に過ぎるもの。最後の砦となったアンドーバーショップがこれからもケンブリッジのアメトラ名店として繁盛し続けることを願って店を後にした。店名入りショッピングバッグをリュックに仕舞っていざボストン散策だ。
肝心の買い物はこの後のブログ記事で紹介したいと思う。
By Jun@Room Style Store
