2026/10/24 15:29

ラルフ好きはニューバランス(以下NBと記す)がお気に入りなはず。ラルフ御大自ら「まるで雲の上を歩いているよう」とM1300を評したことが紹介されるとポロファンの間でNBがブレイクした。かくいう自分も米国製や英国製のNBを買い漁ったものだ。尤もそれらは海外赴任時に全て持参し加水分解で処分した。
その後NBの空白時期が暫く続いたがいつの間にかスニーカーのクローゼットに復活。特に革靴の出番が減った最近は毎日履いていた。ところがまたもや加水分解の悲劇に見舞われることになる。前回は機械的に処分したが今回はリペア可能かせめて確かめてから…と近場のスニーカー修理専門店に相談してみることにした。
結果は「修理より買い替えが得」と判明。もったいない気もしたが直す道は断念した。それにしてもNBのコスパの悪さはどうにかならないのか。3~5年でソールが加水分解し始め5~10年でソールが崩壊なんて早すぎじゃないか。しかもさみだれ式ならいざ知らず一気に何足もとなるとNBも潮時か?と思ってしまう。
そこで今回は廃棄処分の決まったNBと新たにやってきた新顔を前・後編の2回に分けて紹介しようと思う。
※扉写真は加水分解を起こしたNB
【廃棄処分の米国製576】
(1) 劣化の進んだ姿

こちらは米国製の576。実は一度公式リペアに出している。その際ヒールカウンターの補修を行うか聞かれたがリソールのみお願いした。2回リペアに出すことは不可能なので純正での修理は端から無理とスニーカー修理専門店に持ち込んだが結果は修理する価値なしに終わった。
(2) ソールの剥がれ①

白い部分はEVAと呼ばれる。グレーの素材で挟むことで高いクッション性能を誇るENCAPが構成されるらしい。ENCAPソールユニットは公式リペアショップのみでしか交換できないので修理店では似たパーツを繋ぎ合わせて仕上げており材料費も工賃も高額になるようだ。
(3) ソールの剥がれ②

ソールの剥がれは所有者の履きグセ等に関係なく左右同時に症状として現れることが多い。これは製造からの時間経過によって左右どちらにも同じ時期に加水分解が起き始め劣化が進むため。因みにオールソールだけなら大体2〜3万円くらいが修理代金の目安とのこと。
(4) 踵部分の劣化

へたったヒール内張り。分かってはいたがこうしてみるとよく耐えてくれたと感謝の気持ちだ。最初にNB公式リペアに出した際一緒に直しておけば今回は必要なかったかもしれない。とはいえ結局ソールがまたもや剥がれたのだから廃棄はやむを得ないのだが。
【廃棄予定の米国製996】
(5) 見た目は良好

こちらはアメリカ製の996。ピスタチオという名の限定カラーだった。汚れた際スニーカー専用のランドリーバッグに入れて洗濯機で丸洗いするととても綺麗になって戻ってきたので満足していた。これなら廃棄する必要なんてないんじゃないか?という声が聞こえてきそうだ。
(6) ソールの剥がれ①

ところが加水分解は容赦なくやってくる。こうなってしまっては二つにひとつ、直すか廃棄か。なんでもブロンズ色のプラスチックパーツは汎用性のパーツを使って仕上げるそうだ。ソールは状態も一軒良さそうなので再接着は可能か聞くと既に加水分解が進んだ結果なので無理とのこと。
(7) ソールの剥がれ②

子供の頃、運動靴がよくこんな感じになったことを思い出した。まだ世の中に結構雑な作りのものがあった時代のことだ。あれから半世紀、技術が進歩した現代においてNBがこんな姿を晒そうとは。これなら履き心地は悪いがヴァルカナイズド製法のスニーカーの方がよほど長持ちする。
(8) 予想される追加処理

持ち込んだスニーカーショップの見積もりは4万円前後。この時点で新品を買う方が既にお得だ。しかも白丸部分のグレーの切り返しはプラスチックなので既にひび割れており早晩砕けてしまうだろうとのこと。もし交換すると見積もりは5万円越え…これでは廃棄以外に道はない。
【廃棄処分の英国製576】
(9) ソールの剥がれ①

廃棄処分の決まったNBのうち最近購入したもの。容赦なく加水分解が始まっていた。しかもロゴの白い大文字Nもひび割れている。アッパーが白けて見えるが元はネイビーだったものをブラシとソープでごしごしやってしまったため。NBのレザーアッパーはかなりデリケートだ。
(10) ソールのすり減り

ショップの店員さんによれば踵の減りは斜めにカットして継ぎ足すことでオールソールしなくて済む場合もあるそうだが既に加水分解でソールが剥がれている以上交換以外に道はなし。しかも前述したようにロゴのNなどアッパーの劣化も気になる。リペアするのではなく廃棄を選んだ。
【救済できた英国製576】
(11) ヒールカウンターの劣化

実は今回スニーカ修ー理店にもう1足持ち込んで見積もりを行った中で唯一救済できたNBがこちらの英国製レザー576。ひび割れたヒールカウンターはアッパーに合わせて革パーツに換えるそうだ。ソールのC-CAPは加水分解を起こさないので一番底の黒い部分のみ交換して再接着するとのこと。
(12) すり減ったソール①

このC-CAPはアッパーから剥がすのが非常に大変なのだそうな。無理にはがそうとするとアッパーを傷めてしまいかねないらしい。レザーアッパーだったことが幸いしたようだ。ソールの剥がれは単なる接着剤の寿命による剥がれという見立てのようだ。
(13) すり減ったソール②

反対側も同じように剥がれ始めている。今後NBを買う機会があったら米国製のENCAPよりも英国製のC-CAPにしようと思う。見積もりは2.2万円とのことで修理代金を先払い。完成は90日後とのこと。電話連絡しないので引換券の記載日に取りに行けば良いらしい。
(14) NBの駆け込み寺

今回訪れたのは高円寺にある修理店アットタンダム。駅から歩いて10分かからないだろう。丁度阿佐ヶ谷駅との中間に位置する閑静な住宅街の中にある。開店と同時に立ち寄ったが先客がいた。店内は修理待ちのNBが大量に積まれておりさながら駆け込み寺のようだ。
(15) 店の料金表

店の料金表はあるものの実際はスニーカー毎に修理代金も大きく変わる。LINEでお友達登録をすると写真を送って見積もりを出してくれるがそれでも実際に持ち込んでみて貰うと修理箇所が増えて当初の見積もりより更に代金がアップという例も大いにあり得る。
(16) 店の入り口

グーグルの口コミ評価は4.4。直近の評価は少し下がるものの全体の評価は中々のものだ。口コミには「店名はジャンクヤードとあり、アットランダムとどちらが正式名なのか迷う」という投稿や「郵送がメインなので店舗持ち込みはお勧めしません」という声もあった。
(17) 新たな3足

ニューバランスの靴が退場したクローゼットに新たな靴がやってきた。脱NBのために選んだ靴はナイキとアシックスにコンバース。どれもローテクのレトロなスニーカー達だ。ハイテク素材のNBは二度もガッカリさせられたので加水分解とは無縁のものを選んだ。
(18) 新顔①

こちらはコンバースのオールスター。当て布付きのレトロ顔ではないが深いネイビーのアッパーが気に入って買ったもの。ヴァルカナイズドソールにネイビーのラインが入らないのも個性的で気に入った。何より日本製というのが嬉しい。東南アジア製より耐久性がある。
(19) 新顔②

こちらはアシックス。レザーパーツを多用したアッパーは鮮やかなイエロー。デザインは靴に厚みがなく低重心のレーシングカーを思わせる。ロープロファイルと呼ばれるスタイルは目下のスニーカーのトレンドだそうな。厚底スニーカーとは真逆のレトロ顔が良い。こちらも日本製。
(20) 新顔③

久しぶりのチョコレート色のナイロンアッパーを纏ったナイキのスニーカー。元々ナイロンコルテッツやナイロンワッフルが好きだったこともあり一眼見て定価で買ってしまった。他にもお気に入りの色があるので年末セールになったら多分まとめ買いしてしまいそうだ。
それにしても米国製や英国製の576,米国製の996がなぜ未だにコスパが悪いままなのかAIに問うてみたところ「意図的な買い替え促進のためあえて改良しない」のではなく、オリジナルの履き心地の再現と伝統的な製法・クッショニング性能を維持するためらしい。
特に米国製と英国製のNBはヘリテージモデルに位置づけられているそうだ。もし新素材に変更するとその時点でオリジナルではなくなってしまい、熱烈なファンも反発しよう。NBのレガシーに共感するならコスパの悪さも含め賛同して欲しいというのが本音なのだろう。
一方今回新たに到着した新顔達は今までのNBのように加水分解で「まだ履けそうなのに」廃棄する悲しい瞬間を迎える必要がない。たとえサンダルであっても靴を捨てるのが元々嫌いな身としては一安心だ。しかも新しい靴を選ぶ楽しみ履く楽しみはいつもウェルカムだ。
ということで次回後編では新靴の詳細と実際履いてた様子を紹介してみたい。
By Jun@Room Style Store
