最近買ったもの(2021F/W) | Room Style Store

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2021/11/01 09:51



ある雑誌の特集で「最近欲しいものがない」と答えた人にその理由を尋ねたら①ものを長く使うことが好き②ものを増やしたくない③ないから買うのではなくあるものを上手く使う④欲しいものは手に入れた⑤歳をとったからといった答えが挙げられていた。確かにコロナ過という事情もあって買い物に行く機会がないまま物欲も減退、自分も⑤歳をとったから…だと思うことがしばしばあった。

トラッド派は①ものを長く使う…のが基本。自然と手持ちが増えるので③あるものを上手く使う意識もある。④欲しいものは手に入れた…とは言わないが②ものを増やしたくない気持ちにも同感する。それでも「欲しい」と思ったものを買うことで満たされる心や人生の潤い、生活の豊かさへの欲求は時として沸き起こる。今年2台目のバイクを手に入れたが今やバイク熱は若年層まで拡大している。

何かに心を動かされるのは人の常、バイクで見知らぬ街に出かけたくなったり田舎暮らしを味わってみたくなったり。そこで今回は緊急事態宣言解除後に買ったものを中心にそれが「need」なのか「want」なのか振り返ってみようと思う。

【キャンバーの防寒着:Need】
(1) エクストラヘビーフーディー
元々がパーカ好き、チャンピオンのリバースウィーブを専ら愛用していたが既に霜の降りている信州の秋にはちと寒い。もっとヘビーなパーカを…と探していたら見つけたのがこちらの「キャンバーのヘビーウェイトフーディー」。何しろシェル(青)が12.5ozで裏に6.5ozのサーマルライナー(白)をサンドウィッチしたウルトラヘビーな1着。今朝の信州は1℃、早速着てみたが防寒着としても十分使える。


(2) ディテール
シェルはコットンとポリエステルが半々。混紡にすると耐久性の向上、速乾性や防皺性などメリットが多いとのこと。サーマルライナーの効果もかなりのもので、気温が10℃を下回ってもインナーにウールものを着こむ必要もなく肌着にネルシャツ1枚挟むだけで十分やり過ごせる。自然の傍で暮らすとなればカーハートやフィルソンにも通ずるタフなアメリカンワークウェアに再び心惹かれるのもやむをえない。

(3) コーディネート
中は肌着+ネルシャツで十分、厳冬期だったらウール(混紡でも可)シャツにすればダウンなしでもちょっとした買い物なら平気じゃないだろうか。因みに最低気温は1℃だったと書いたが徒歩でコンビニまで行く途中、畑や草むらには既に霜が降りていた。地表付近はマイナスだったのだろう。流石に素手じゃ寒いがポケットに手を入れれば行きも帰りも快適、いやいやアークティックサーマル…やるじゃないか。

(4) 着てみる
チャンピオンのリバースウィーブもそうだがキャンバーのスウェットも着丈が短い。サイズ選びはまず現物を見てとショップを訪問すれども流行の「ゆったりめコーデ」を意識してかSサイズの展開なし…かといってMでは大きい。急遽オンラインにシフトしてSサイズをゲット。やや落ち気味の肩に長すぎない袖丈が心地良い。因みに暖かそうな写真だが撮影時の気温は5℃、撮影後はジッパーをすぐ閉じた。

(5) キャンバーのポケT
キャンバーの製品といえばお馴染みのポケT…品番は302。マックスウェイトというくらいだから生地も8ozとぶ厚いし重みもある。シャツの下から覗くTシャツのネック部分がよれている気になって仕方ないが、このマックスウェイトならいつもシャキっとした首元になる。アークティックサーマルのジップフーディーといいマックスウェイトのTシャツといいCamber(キャンバー) は期待を裏切らない。

【スクーカム:Want】
(6) レターマンジャケット
スタジアムジャンパー(スタジャン)は和製英語。VANの創業者石津謙介さんが命名したそうだ。正式名はレターマンジャケットやバーシティジャケットなど…。袖と襟と裾がリブ編みで袖筒が別素材(革)か別色、レターやワッペン(シール)が縫い付けられているのが特徴。だがこちらはワッペンなしで襟はフード仕様、リブなしの裾やボタン留めのフロント。フーディ好きには刺さるデザインだ。


(7) ブランドタグ
ブランドはスクーカム…既に2018年で廃業したスタジャンメーカーの老舗で、これまで様々なショップの別注品を手掛けてきたそうだ。こちらは上野の老舗BEAVERによる別注。裾がリブでなく水平にカットされているのが大きな特徴。サーコートと呼ばれるデザインだとか…ジャンパーというよりもジャケットに近い雰囲気がある。

(8) 着てみる
スタジャンの命名者VANの石津謙介氏と縁のある鎌倉シャツを中に着込んでみた。リブなしの裾は確かに着心地が良い。ところで肝心のスタジャンに合わせる靴といえば…やはりスニーカーか。ビバリーヒルズコップのエディマーフィーはスタジャンにアディダスだったが、アメリカ繋がりといえばナイキ、しかもローテクなコルテッツやワッフルトレーナーだろう。

(9) スタジャン比較
スクーカム廃業を知らずにいたら服飾仲間がSNSに上げてくれたので急遽ゲット。手に入れたサーコートとポロ50周年記念スタジャンを比べてみた。袖のリブ編みはどちらも肉厚、ポロは袖筒が牛革、スクーカムは身頃と同じメルトン(色違い)、しかもセットインスリーブのポロに対してスクーカムはラグラン。スクーカムにもシールを縫い付けてカスタマイズしてみたくなる…。

(10) バーシティジャケット
こちらはセットインスリーブのスタジャン。肩のラインがはっきりとわかるのでスポーツマンのように逞しく見える。袖筒が革ということもあってスクーカムのようなしなやかさはないが、昔着ていたバイク用のつなぎやライダースジャケットで慣れているせいか妙に安心感があったりもする。足元はアメカジの定番コンバース。


【ボウタイ:Want】
(11) イングリッシュシルク
いつもお洒落な蝶ネクタイをして会食の席に現れる服飾仲間を見て「一つ自分も…」と久々に買ったボウタイ。淡いオレンジ色のペイズリーシルクプリントは英国製、下のボトル型のボウタイ(エルメス)と違ってひょうたん型のシェイプはバタフライの形状が出やすい。既にネクタイを締める必要もないので単純にお洒落専用ということになる。買って試そうとしたら肝心の結び方を忘れていた。

(12) 結び方を練習する
ということでまずはシャツに結んでみることからトライ。クリーニングから戻ってきた白シャツに締めてみた。長さが調節できるタイプなので最初は長めに設定したら結んだ後バタフラの左右がちぐはぐになってしまった。首回りを短く調節して何回かトライ、ようやく首回りに合った長さになりバタフライも綺麗に収まった。これならイケそうか…。


(13) エルメスのボウタイ
せっかくなのでエルメスのボウタイにも再チャレンジ。上のひょうたん型ではなくボトル型のエルメスは結んだ後のバタフライが下がり気味だが一回で結構いい線いってる。写真のヒダ胸、スタッズ留めウィングシャツを着る機会は当分ないがそれでも食事会がある。ターンダウンの白シャツにブラックジャケットと合わせてみたい。


【レプタイルクリーム:Need】
(14) 成分が変わったウェストンのクリーム
使い慣れていたウェストンのレプタイル専用クリームが残り少なくなっていたところ、うっかり落として蓋が割れたのをこれ幸いと買い直した。今や一瓶4000円中々の高級感がある。ただレプタイルのケアはカーフやコードバンよりずっとシンプル、艶消しのマット素材でも艶ありのグロッシー素材でもこれ一つで足りてしまう。

(15) 新旧比較
さっそく蓋を開けてみるとあらびっくり、今使っているのと全然違う。まずにおいからして違う(笑)。写真では分かりにくいかもしれないが半透明のジェル状(上)からミルクプリンのようなクリーム状(下)になっている。成分表示はラノリンと褐炭由来のモンタンワックス。このモンタンワックス、コロンブスのブートブラックでも使われているようだ。


(16) 使ってみる
新しいクリームを早速塗ってみる。少量を薄く延ばすと書かれているが塗っていると溝にどうしてもクリームが残る。写真でも甲部分の大きな溝にクリームが残っているのが分かるだろう。ジェル状タイプは綺麗に延びて溝に残った分も綺麗に拭き取れたがた新しいクリームは使い勝手が違うようだ…この後溝に残ったクリームをブラッシンして綺麗に取り除く作業に移った。


(17) 片足だけ磨いたところ
片足だけ磨き終えたところ。どちらの側が手入れ後か分かるだろうか…カーフ素材の靴は保革成分のクリームでケアしてワックスで光らせるという2段構えだがレプタイルは光らせる作業が必要がない分一気に手入れできる。さて正解はというと「左側」が今回のクリームでケアした後になる。マット素材とはいえモンタンワックスの効果だろうかほんのり輝いて見える。


(18) 新クリームで一気に磨く
新クリームを試しているうちに「どうせならと」レプタイル靴を全部出しては次々とケア…出すのは結構大変だが手入れはクリーム塗布と拭き取り、軽くブラッシングといういたって簡単な手順のみ。終了後の集靴写真を撮ってみた。グレージング(艶あり)素材の靴は元の輝きを、マット(艶なし)なものは発色が綺麗になっている。


【ウールハット:Want】
(19) モスグリーンの中折れ帽
秋冬になると欲しくなるのが中折れ帽。手持ちが茶系ばかりなので今回は緑を購入。ロンドンの名店ジェームスロックでは中折れ帽をFedora(フェドーラ)という名称で紹介している。クラウンの中折れと左右の窪み(えくぼ)があるスタイルは帽子の一つの完成形。そのロックで最も高級なものはビーバーとミンクの毛をフェルトにしたもので£695、約10万円と中々のものだ。

(20) アメリカ製
購入したのはRRL。アメリカ製とあるので調べたらニューヨークハット、ベイリー、ステットソンなど結構ある。RRLの生い立ちからするとニューヨークハット当たりの別注品か…。ビンテージ感のあるツィードジャケットにワークパンツ&ブーツと合わせたくなる。そういえば自分はブルーが好きな色だと思っていたのに星座占いによるとダークブラウンにダークグリーンらしい。帽子に関しては大当たりだ。

こうしてみるとNeedもWantもあるがプレジテントオンラインによればNeedの中には「必要」と「便利」と「楽」があるそうだ。どれに当たるか考え「なくても平気」かどうかの線引きが必要だと述べている。そう考えればウェストンのクリームなどは「必要で便利で楽」だし「なくても平気」という訳にはいかない。一方でキャンバーのフーディーは「便利で楽」だけど「なくても平気」なものではある。

最終的には自身の価値観でものを買い使うのは悪いことではないが「なぜ」買ったのかと問われた時に「必要」、「買ってよかった」といえるかどうかが正しい買い物か否かの境界だとプレジデントでは結んでいる。今後の買い物の大きな参考になりそうだが全て理屈で買い物の可否を決めるのも味気ない。当初は高い買い物だったと後悔していたのにある時それが思わぬ価値を生む例外だってある。

Jun@Room Style Store