英国ドライブ旅行 | Room Style Store

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2022/09/26 07:01


以前もブログで書いたが、英国を旅するなら車が一番。安上がりなコーチ(長距離バス)も運賃の高い鉄道もそれぞれ旅の良さがあるが、日本と同じ左側通行や慣れたら便利なラウンドアバウト、目的地までのアクセスもしっかり整備されている。それに標識も英語だから理解しやすいし地名だって読みやすい。右側通行の欧州大陸をドライブするよりずっと楽だ。

予約は大手のレンタカー会社が安心、出発前にネットで予約、店舗に着いたら日本の免許証+国際免許証を提示して書類を整えフルカバーの保険に入る。車のキーを受け取ったらいよいよ運転の始まりだ。車載ナビは旧式が多くiPhoneのマップ機能の方が遥かに賢い返却時は満タン返しだが、日本と違い街中に給油所がないことも多い。返却前の給油は気を使う。

日本と違い運転中のトラブルもままある。オイル警告灯が点いてスタンドに急遽停車。慌てて補充したこともある。それでも英国のドライブ旅行は実に楽しい。そこで今回はその魅力を振り返ってみようと思う。

扉写真はレンタカー内部。車はベンツのコンパクト。


イギリス南東部の旅(その1)
気候が比較的穏やかで長く海岸の続くイギリス屈指のリゾート地を擁する。内外の観光客が多く訪れる。
(1) セブンシスターズへ
ロンドンからおよそ103km、高速道路で1時間半、一般道でも2時間で着くバーリンギャップは英仏海峡名物、白亜の崖を見学する最適の場所だ。駐車場からすぐにクリフの突端までアプローチできる。ナショナルトラストによる運営は駐車場や標識、ビューポイントなど整備も万全で心置きなく景観を楽しめる。写真は見晴台から撮影したセブンシスターズ。

(2) ブライトンに足を伸ばす
バーリンギャップから足を伸ばして約1時間でロンドンっ子の避暑地ブライトンに到着。セブンシスターズとブライトンは日帰りセット旅行の定番だ。世界を旅する@Michika IzumiさんのブログWorld Traveler Diary(写真を拝借)でも触れている。写真の建物はパレスピア。ブライトンきっての名所はハイシーズンになると海岸が人で埋め尽くされるとか…。


(3) シーフード
ブライトンは海沿いの街、シーフード店も多い。フィッシュ&チップスもイートインなら立派なランチやディナーになる。写真はBANKERS、ブライトンでも人気の店だ。定番のタラ(Cod)やコダラ(Haddock)、近場の舌ビラメ(Dover sole)もある。悲しいことに今回のウクライナ紛争でロシアのタラもウクライナの揚げ物用ヒマワリ油も激減、このままでは国内1万店のうち半数が廃業する恐れがあるとのこと。


(4) 本場のフィッシュ&チップス
皿からはみ出る大きさのフィッシュフライ!大量のチップス(フレンチフライ)にモルトビネガーをたっぷりかけて食すのが英国流だとか…と言いつつも大抵タルタルとケチャップを追加注文してしまう。何しろ山のようなポテトを完食するならビネガーだけでは心もとない。味に変化が欲しくなったらケチャップやタルタルを投入、おかげで山のようなポテトも完食できる。


【参考資料①】
日本のフィッシュ&チップス
日本で第一号となる英国フィッシュ&チップス協会の公認をもつMALIN六本木で本場の味にトライ。店内は数は少ないがイートイン用のテーブルと椅子も有る。開店と同時に店に入って注文を待つ間にテイクアウェイやイートインの客が次々とやってくる。写真は店の外に掲げられているペナント(上)とフィッシュ&チップス協会の許可証(下)。


【参考資料②】
こちらはマリン店内の様子と注文したフィッシュとシュリンプのプレート。最初からディップを選べるので「タルタルソース」を選択、箸休めに付いているピクルスが嬉しい。テーブルのモルトビネガーをたっぷりかけてポテトを口に入れるとほのかに甘さが感じられる。定番コッド(タラ)のフライもシュリンプも揚げ立てならでは。サクサクとほくほくを同時に味わえる。


【参考資料③】
イギリス南東部の旅(その2)
(5) ビスタービレッジへ
イギリス南東部はドーバーからオックスフォード周辺まで広範囲にわたる。セブンシスターズから一転、車を西に走らせ高速道路で約1時間15分でビスターヴィレッジに着く。ロンドン近郊で品揃えの豊富なアウトレットショッピングモールはいつ行っても大勢の客で賑わう。写真はひときわ大きなポロラルフローレン(メン)のファクトリーストア。

(6) 賑わうエリア内
ランチ時はフードゾーンが少ないので早めか遅めのランチが良い。欧州大陸のデザイナーものは入店待ちの列ができることもあるが、お薦めはニューバランスUKものやバーバリーなどイギリス関連のブランド。プラダやグッチのように長い列に並ぶ必要もなく、効率的に買い物ができる。

(7) 免税制度の廃止
2021年1月で英国の付加価値税免税ショッピング制度がブレグジットに合わせて廃止された。従来は買い物を済ませVAT還付事務所で手続きすれば戻し税を受け取れたが現在はショップから直接母国の住所に送られる場合に限られるとのこと。アウトレットで買ってもショップから直送しなければ免税価格にならないという訳だ。VATの免税と送料とを天秤にかける必要がある。

【参考資料④】
日本から持参する革靴
ドライブ中はジーンズにスニーカーで充分だが、ロンドンに戻ったらジャケパンと革靴で街に出る。たとえ店員がポロシャツ姿でもこちら側が店を敬えば一気に打ち解けるものだ。この時はジャーミンStのクロケットに行くので良い靴を履いて訪問。ショップマネージャーと意気投合、お気に入りの靴をMTOすることができた。


イギリス南西部の旅(その1)
イギリス南西部は最西端の地ランズエンドの名前が表すように人里離れた雰囲気がある。
(8) ストーンヘンジへ
イギリスに9つあるリージョンのうちイングランド南西部は名観光地「コッツウォルズ」を擁する総面積第1位の地方区分。車で行くならソールズベリーの西に位置するストーンヘンジは欠かせない。チケットをネットで先行予約すればビジターセンターで待たずに専用バスでサークルの傍まで行ける。周囲の遊歩道をゆっくり歩き、人がいない時を上手く見計らえば良い写真が撮れるはず…。


(9) DENTSのファクトリーストア
その名もずばり「てぶくろ」というタイトルのブログではDENTSのファクトリーストア訪問記をアップしている(写真を拝借)ので是非ご一読を。ロンドンから特急で2時間タクシーで10分とのこと。交通費は結構かかるだろう。車ならばストーンヘンジから約23分でファクトリーに到着、目的地のBATHまでは50分で到着する。旅行のついでに立ち寄るのが良さそうだ。

【参考資料⑤】
デンツのグローブ
手前のシアリンググローブは防寒用の一双。カシミアライニングよりグッと暖かい。右上がDENTSのトップ、ペッカリーのグローブ。カシミアライニングが付く。左上は甲部分にハリスツイード、ライニングにグリーンのウール素材を配したヘリテージコレクション。  ビスポークが出来たチェスタージェフェリーズが新たな製造を中止している今、英国の手袋はデンツが支えている。


(10) Bathに泊まる
この日はバース近郊のB&Bに宿泊。併設されたレストランは次第に地元の人たちで賑わってくる。夕食を済ませ部屋に戻って消灯。翌朝はB&Bのお楽しみ朝食タイムだ。写真は典型的なイングリッシュブレックファースト。ビーンズのトマト煮込みにベイクドトマトとマッシュルーム、ソーセージとベーコンにフライドエッグと主役の揃い踏み。


(11) 別メニュー(その1)
こちらはサーモンエッグトースト。勿論これ以外に薄いトーストが付く。スモークサーモンとスクランブルエッグのトッピングは朝から「ちとハードか…」と思いがちだが「意外とイケる」とのこと。昔と違いB&Bに連泊すると「毎日同じブレックファストだしなぁ〜」という声に応えたのか最近は宿の方でも工夫を凝らしているようだ。

(12) 別メニュー(その2)
こちらは甘いデーツシロップをかけて食べるフレンチトースト。上に焼きベーコンが乗っているのはご愛嬌…デーツシロップはナツメヤシの実から取ったもの。果糖やミネラルを豊富に含んでいるそうな。デーツの実はドライフルーツにしてスコーンと混ぜたりシリアルに加えたりされている。知らないだけで意外に身近な食材かもしれない。

(13) ローマンバスの見学
B&Bをチェックアウトしてローマ時代の遺跡を見学。風呂の語源(BATH)は正にここから始まっている。ただし発音はバースと伸ばす…なんでもロンドンの次に観光客の多い名所だとか。ここもネットでチケットを事前予約するのがお薦め。夏は目立たないが冬になると温い水面から湯気が立ち如何にもローマ時代の風呂のような写真が撮れる。

イギリス南西部の旅(その2)
(14) バイブリー
BATHを後に北に向かって車を走らせ1時間、「英国で最も美しい村」といわれるバイブリーに着く。観光バスの駐車スペースに対して乗用車の割合が少ないのが難点。駐車場所の確保に時間がかかる。特に昼時は要注意だ。写真はバイブリーの古い家並み。飴色の壁に苔むした屋根…近くより遠ざかって見た方が良い写真が撮れる。

【参考資料④】
最も美しい村
観光バスの客の滞在時間は短い。バスが出発すると静寂が訪れ絶好の撮影タイムだ。上の写真では大勢の人影が見えるがこの写真では誰一人写っていない。自由に時間を使えるのが車の旅の強み。因みにバイブリーの名物料理といえばマス料理。時間があればスワンホテルのレストランでトラウトのグリルを試してみるのも悪くない。

(15) ボートンオンザウォーター
こちらはコッツウォルズのリトルベニス、ボートンオンザウォーターの写真。川岸は涼をとる人々や水遊びをする子供で賑わう。お薦めは人気のフィッシュ&チップス「THE CHIP SHED」。テイクアウェイして傘付きテーブルと椅子が並ぶ川岸で食すのがベスト。巨大なフィッシュフライはボックスからはみ出ないよう折って箱に詰められて提供される。

(16) ストラトフォードアポンエイボン
この日はストラトフォードアポンエイボンに宿泊。VACANCY(空室有ります)の看板があるB&Bを探して交渉、宿を決める。出たとこ勝負の旅が楽しい。マダムが「お茶をどうぞ」と食堂に案内、手製のクッキーと紅茶を味わいながら「明日の朝食はこの中から選んでと…」とメニューを出す。おおっここもか…と思いながら結局定番のイングリッシュブレックファーストを選んでしまう。


(17) シェークスピアの生家
翌日はシェークスピアの生家を見学。家の中も悪くないが手入れの行き届いた庭が見事だった。チューダー様式と呼ばれる木組み家屋が並ぶストラトフォードアポンエイボン。白壁と黒い柱、梁を組み合わせたハーフティンバーなど独特の建物見学も見どころの一つ。日本なら木曽の奈良井宿か飛騨高山の上三之町といった感じか。

イギリス北西部の旅
大都市マンチェスターとリヴァプールを擁するため統計上はロンドンに次ぐ人口密度だが北半分は都市が点在し南半分は高原と豊かな自然が広がる。
(18) 湖水地方へ
ストラトフォードアポンエイボンからイギリス北西部目指して北上…バーミンガムもマンチェスターも通過して一気に湖水地方の玄関ウィンダミアに向かう。高速で5時間30分の長旅、途中SAで休憩+ペトロール(イギリス式の言い方)満タンにしながら到着。この日は宿泊案内所で宿を紹介して貰いチェックイン。その名のとおり湖が点在する名勝地だ。

(19) 牧歌的な景色
翌日は湖水地方の一番奥ケズウィックまでバスに乗りダーヴェント湖畔をハイキング…山と緑に囲まれたパブリックフットパス(私有地ながら公共のために人が通れるよう整備された小道)を歩きながら健康維持。車の運転から解放されて気分も爽快だ。乗り放題のパスを買うと2回バスに乗れば元が取れる。役立つ情報は全てスマホから。つくづく便利になったものだ。

(20) 湖の対岸
湖畔から対岸を望む。牧歌的な風景はただのんびり歩くだけでリラックスできる。日本なら旅の疲れは温泉だが英国は田舎の風景が癒しになる。泊まった宿も気に入ったので連泊。車の駐車もB&B専用のスペースがあるので許可証をダッシュボードに置けば巡回員に切符を切られることもない。イギリスは日本同様駐車違反に厳しい国なので細心の注意が必要だ。

【参考資料⑤】
湖水地方の夕食
イギリスを旅して結構悩むのがレストランでの夕食。朝食が英国風だから昼や夜は違うものをと探すとイタリアンが目に付く。だが味はイタリアンというよりも多国籍のファミレスに近い。ピッツァとラザニアにハンバーガーと豊富なメニューが嬉しくもあり前日と似た夕食だったり…サラダのゴロゴロ野菜が何とも大胆だ。

(21) ニューバランス
スニーカー好きの間で人気の高いニューバランスの英国工場は湖水地方最北のダーヴェント湖畔の町ケズウィック(Keswick)から車で33分。アイリッシュ海沿岸の小さな村フリンビー(Flimby)にある。メイドインUKものの箱裏に印刷された地図に赤い印でフリンビー工場の位置が書かれている。湖水地方をまた車で訪問する機会があったら是非訪れてみたい場所のひとつだ。


【参考資料⑥】
ケズウィックのファクトリーストア
ネットで調べるとフリンビーのファクトリーストアは文字どおり工場に隣接されたアウトレットのようだ。おそらく規模も大きいだろう。ところが湖水地方の観光客で賑わうケズウィックにも小さいながらニューバランスのファクトリーストアがある。残念ながら立ち寄る暇はなかったが、前述したビスタービレッジのアウトレットを含めて10店舗ある。

ヤフーニュースに英国の鉄道運賃の高さが話題となって出ていた。イギリス中部、サウスヨークシャー州のドンカスターから湖水地方を経由してアイリッシュ海を望むバーロウ・イン・ファーネスまで…車なら高速で259㎞、2時間45分で到着するが鉄道だと4時間16分、しかも運賃は片道194£、円に換算(1£=160円)すると31,040円もかかるそうな。

目下英国もガソリン価格高騰だが10㎞/ℓの燃費(1ℓ=224円)ならば目的地まで片道5,800円と車の圧勝だ。因みに日本だと例えば東京~松本間は距離200㎞で高速料金が5,540円。これに10㎞/ℓの燃費(1ℓ=176円)で計算してガソリン代3,520円を加えると合計9,060円。対する電車は特急に乗らず各駅停車を乗り継げば3,740円と英国とは真逆の結果になる。

日本は高速料金の徴収で鉄道との競争力が保たれているが、モーダルシフト(車両による輸送を鉄道や船舶に転換すること)を見据えた英国では廃止した路線を復活させるらしい。いつか「英国旅行は鉄道で…」という時代が来るかどうか…興味は尽きない。

By Jun@Room Style Store