ストアの品揃え(第2回) | Room Style Store

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2022/11/14 11:47


先日久しぶりに青山から表参道、銀座方面を散策した。青山のポールスチュアートからスタートして新たなビルを建設中のブルックスブラザーズ跡地を横目で見ながら表参道へ。石垣造りの旧ポールスチュアートに後釜として入ったエルメスは入店待ちの列…海外からの客も戻りつつあるようだ。渋谷に出て銀座に移動。

銀座でもインバウンド客を見かけたがコロナ禍以前とはまだ差がある。途中久しぶりに靴を注文…完成は一年以上先だがワクワクする感覚が戻ってきた。最後の締めにとラルフローレン銀座に寄ったらスケートリンクのために一旦閉店してしまったようだ。期間限定でなく昔のように路面店を構えてくれないだろうか…。

そういえば以前ポロ銀座店で見かけたアイテムがRoomStyleStoreにも入荷中とのこと。そこで今回はストアの新着品を紹介してみようと思う。

※扉写真はストアの新着品

【トラウザーズ】
(1) フォワードプリーツ
最初に紹介するのは懐かしのNYトラッドなトラウザーズ。ゆったりとした腰回りのフォワード2プリーツにサスペンダーボタン付、アクセントになるフラップ&ボタンのウォッチポケットも復活している。せっかくなのでレザーの編み上げサスペンダーをセットして当時の雰囲気を再現してみた。

(2) ベルトを締めるなら…
サスペンダーとベルトの両刀使いはNG…とはいえベルトループがあるのにベルトがないとなんとなく間が抜けて見える。それにジャケットの前を開けていると「あれっベルトし忘れたの?」なんて聞かれることもある。やはりベルトループ付きのトラウザーズはベルトとセットが自然か…。

(3) シルエット
90年代のNYトラッドは幅広パンツが主流。ショップで直しを頼むと裾を靴の甲でワンクッションさせる長めの裾上げが暗黙の了解だった。久々の2プリーツパンツは腰回りすっきり、ワタリから一気にテーパードするタイプ。裾幅も19㎝とかなり細い。こちらはノークッションが正解か。

(4) ブランドタグ
ブランドはRRL。カントリーやネイティブ、ワークウェアやウェスタンのイメージが強いRRLだがテイラーものも定評がある。イタリアのパンツ専業メーカーに負けない出来だ。生地はネップ入りのツイード…と思いきや55対45のシルクウール。軽く保温性に優れたシルクの特性を生かした生地とのこと。

(5) ボタンフライ
前開きはビンテージ調のボタンフライ。しかも第1ボタンは比翼仕立てでボタンが表に出ないよう一手間加えている。因みにスラックスの「前開きはジッパーとボタンフライどちらが好みか」ネットで検索するとボタンフライ派も多い。曰く「ジッパーは締め忘れたりいつの間にか開いてることがあるから」だとか。

【参考資料①】
シャツとネクタイ
チェックオンチェックは約束通り柄の大きさを変えて。タッターソールのシャツはゆったりとした袖筒の古風なスタイル。昔のターンブルアッサーだ。ストアのネクタイを借りて締めたら最後にどんなジャケットと合わせるか…と考えていたら秋冬素材のダブル前ブレザーが欲しくなってきた。

【ウールキルテッドシャツ】
(6) CPOジャケット風
さて次の新着アイテムはバッファローチェックのキルテッドシャツ。ウェスタンとワークがミックスしたデザインはRRLらしい。なんとビームスでも同じシャツを扱っている。最近はこの手の軽アウターが人気とのこと。ユニクロではズバリCPOシャツという名称でラインナップしている。

【参考資料②】
ハンドウォーマーポケット
前身頃両脇に目立たなく配置されたハンドウォーマーポケット。すっきりとしたデザインを崩さぬようにしつつアウターに不可欠なポケットを確保した巧みなデザインが光る。最初はポケットの存在に気が付かなかったほどだ。調べてみるとカンガルーポケット以前の仕様で昔のスェットにも見られたようだ。

(7) コンチョボタン
一番上のコンチョボタンはRRLのウェスタンシャツ定番仕様。因みにコンチョとはスペイン語で貝殻を意味するコンチャがなまってコンチョになったらしい。足付きボタンなので当然ボタン付けも人の手になる。初期のラルフローレンがボタンに拘って製品の納期が遅れ、倒産しかけたという話を思い出した。

(8) スナップボタン
第一ボタン以外は全てスナップボタン。ウェスタンシャツのボタンは開閉が楽なのが利点。なんでも荒仕事の最中にボタンが飛ばないように、あるいは片手で開け閉めできたりするようにということで採用されたようだ。カウボーイからはとても便利と大好評、ヒット商品になったとか。

(9) 内ポケット
アウターらしく内ポケットも両脇に用意されている。手袋や薄手のマフラー、小ぶりなウォレットやカード入れなど嵩張らないものなら結構収納できそうだ。写真は手袋を入れてみたところ。冬の信州だと厳しいが東京ならこれくらいのアンラインド手袋で十分。ライニング付だと暖かすぎる…。

(10) キルトのライニング
表地はウール100%、キルト部分はライニングがナイロン100%で中綿がポリエステル100%。下に長袖のTシャツ1枚でも結構温かい。昔のような綿と違いポリエステルの中綿は吸水性が低く速乾性が高い上に1.5~2倍の断熱効果があるという。気付かぬうちにダウン製品やキルト製品も年々進化しているようだ。

【参考資料②】
足元のブーツ
メイン州のランコート社別注品ラルフのベネディクトブーツ。手縫いモカステッチはBASSのウィージュン以来アイビー世代には馴染みのある意匠だ。最近ラルフローレンの靴部門がなぜか寂しい。表参道のブティックを覗いたがパープルレーベルでさえイタリー製が中心。英国製や米国製の靴が見当たらない。

【ポロコート】
(11) カタログの組み合わせ
今回の新着アイテム一の大物ポロコート。前回に引き続き再登場ということでカタログを参考にしたコーデにチャレンジ。ネイビーと相性良しグレーニットポロにスカーフ、同じグレーのフランネルパンツにトーンを変えたグレー系のソックス、最後はメインモカシンを履かせてみた。

(12) スカーフ
首元はビンテージのシルクスカーフ。アイビー世代はアスコットタイの方が慣れているかもしれない。念の為ネットで調べるとスカーフの上手な巻き方がいくつも出てくる。なるほどスカーフの中央が1番華やか、両端から畳むのがコツらしい。シルクの分量が多い分巻くとふっくらとした首元になる。

(13) ソックスの色
グレーパンツと茶系の靴に合わせる靴下は?と調べてみるとネット上では「グレー」という意見が多い。ただあまりパンツに近いグレーは避けたいところ。写真はブルーグレーのソックス。無地に見えるが踝より上はアーガイル柄になっている。ふとした拍子に柄がちらりと見える控えめデザインだ。

【参考資料③】
クオッディモカシン
クオッディのモカシンとグレーフラノのパンツ。この手の靴はデニムやチノに合わせる靴だと思っていたらまさかのグレーフランネルとは…アランフラッサーは新著で「ラルフの真骨頂は相反するアイテムの組み合わせ。着こなしを知り尽くした男だけができる高度なテクニックだ。」と書いている。

【ビンテージスカーフ】
(14) ハントシーン
次はビンテージもの。写真はラルフローレン1989年コレクションからハントシーンのスカーフ。紫タグは上質な素材を使った高級ラインの証、後のパープルレーベルへと連なる。サイズは87㎝と大ぶりでエルメスのカレ(90㎝)に近い。シルク製品の盛んなコモ湖を抱えるイタリアらしい発色と絵柄の美しさが特徴。

(15) フェザント
こちらも1989年のコレクションからフェザント(キジ)のイラストが描かれたスカーフ。当時のラルフローレンはスカーフやチーフ、ネクタイなどペイズリーを盛んに用いていた。テキスタイルメーカーから1981年新たにブランドを創設したエトロ効果もあって85~86年に大人気となったペイズリー柄…今再び人気のようだ。

(16) イタリア製
ラルフローレンのコレクションからイタリア製のスカーフとストール。一番下が127㎝サイズのストール、かなりの大盤で素材はウール100%、全面ペイズリー柄はエトロに迫る出来だ。上の3枚は全てシルク100%のスカーフ。全てパープルのタグ付き、間にポニーマークの入ったロゴが懐かしい。


【キャップ】
(17) パッチマドラス
IVY好きはたいていマドラスものも大好き。特に派手なパッチ(ワーク)マドラスが店頭に並ぶとつい手に取って見てしまう。ジャケットにヴェスト、パンツやシャツに続いて新たにお目見えしたパッチマドラスのキャップ。まじめなブレザースタイルに被って着崩すのが結構似合いそうだ。

(18) Made in India
マドラス生地といえばインドが本場。出自は東インド会社時代に作らせた平織りコットンのタータンチェックという説もある。なるほどブラックウォッチやドレスゴードン、キャンベル(オブアーガイル)など見慣れた柄が見つかる。製造はインド、ラルフもここで製造を中国からインドにシフトしているようだ。

【参考資料④】
パッチワークマドラス
徐々に増えていくパッチワークマドラスのアイテム。迷彩柄のように何がどこにあるのか分かりにくいがどれも存在感は抜群。欲しい時に売っていないことも多いので見つけたら手を出してしまう。ジャケットのような大物も良いが最近はキャップのような小物に興味がある。次はネクタイか…。

【エスパドリーユ】
(19) マドラス柄 
季節はずれのエスパドリーユ。こちらも好物のマドラスチェックに加えて昔懐かしのポロクレストが甲にあしらわれている。ひと夏で履き切ることの多かったエスパドリーユも最近は底にラバー付きで履き心地も耐久性もアップしている。来年の夏はスーツケースに入れてフランス旅行に持って行くのも有りか。

【参考資料④】
クレストとポニーマーク
刺繍されたポロクレスト、昔のカップに印刷されたものと比べると王冠の形が若干違っている。因みにEST MCMLXVIIとはローマ数字。創業年(EST)が1967年を指している。何気なく踵部分を見ると外側にしっかりポロマークの刺繍まである。エスパドリーユはこれくらい派手で目立つ方が良い。


(20) コードレーンのパンツと
エスパドリーユはフランス語だがカタルーニャ語のエスパルデーニャが語源とのこと。ピレネー山脈の農民が履く作業靴が原型で老舗はスペインのカスタニエールらしい。80年代にイブサンローランがウェッジソールのエスパドリーユで有名になったとか。因みにラルフローレンでも毎年ラインナップしている。

今回もRoom Style Storeの新着品はどれもラルフローレンだったがラルフの良さは「品揃えのよさ」にあると思う。ミリタリーやネイティブにウェスタン、サビルロウスタイルからプレッピーにクラシックなアメトラまで「ないものはない」と言えるほど。しかも本物のミリタリー物より格好いいデザインだったりネイティブラグもラルフの方が発色が良くて見栄えが良かったりする。

ポロコートだって誂えものよりラルフの既成ポロコートの方が格好良かったりするしチェスターバリーのパープルレーベルスーツの方がサビルロウのテイラードスーツより着心地が良かったりする。どのカテゴリーにも力を入れてくるブランドはそうはない。そう考えるとホームコレクションも子供服もひととおり経験した今もポロは魅力のある数少ないブランドじゃないだろうか…。

最近知ったがラルフローレンがランドセル市場に参入しているそうな。ハイエンド商品らしく6年間保証付きで素材も人工皮革からコードバンまで選べるらしい。少子化の時代に面白いことをするなと思うが、願わくばワクワクする靴を再び出してはくれまいか…。

By Jun@Room Style Store