コーヒーの魅力 | Room Style Store

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2022/12/05 13:56



日本ではコーヒー派と紅茶派の割合は7:3で男女共にコーヒー志向が高いそうだ。特に男性の割合が高く年代が上がるにつれてコーヒー派が増えるようで知人との会食時も「食後の飲み物」といえばコーヒーが殆どだ。生粋の英国好きは紅茶を愛でるが自分のように単に英国靴や英国仕立が好きな程度では紅茶の神髄に辿り着けないのかもしれない。

とはいえコーヒー豆を買って袋を開けた時の香りは何とも魅力的だ。紅茶に比べてコーヒーを飲んだ時の満足度が高い理由の一つに「香りの強さ」が挙げられるが、確かにローストした豆の力強い香りは紅茶にはないもの。最近は自家焙煎コーヒー豆を量り売りする店も増え、店の前を通るたびに漂う香りに一度飲んでみたい誘惑にかられていた。

そこで今回はコーヒーの魅力について考えてみようと思う。

【ネスプレッソ】
〜 冬季限定カプセル〜
(1) ピエールエルメ
最近は便利なステンレス製のフィルター内蔵のコーヒーメーカーばかり使っていたが、帰国した親戚から土産に貰った冬季限定ネスプレッソカプセルで優雅なコーヒータイムを楽しんでみた。ネスプレッソがコラボに選んだピエールエルメはパティスリー界のピカソと称賛されるそうで、その鬼才が監修したカプセルの味や如何に…。

(2) カプチーノ仕立て
今回のピエールエルメ監修冬季限定カプセルは3種類。どれも40㎖抽出のエスプレッソカプセルだが2種類はカプチーノ仕立てがお薦めとある。旧式ラティシマもまだまだ現役、いい感じに泡立ったミルクにエスプレッソが注がれている。因みに国内では限定カプセルのスリーブ(筒)が1080円なのにユーロ圏では600円程度と日本より断然安い。

(3) ヘーゼルナッツフレーバー
最初のカプセルはアンフィニマン・グルマン。ヘーゼルナッツ風味のフレーバーは「カプチーノで楽しんでください…」とのこと。追いヘーゼルナッツよろしくスイーツにジャンドゥーヤナッツチョコをチョイス。まずはカプチーノだけで味わうと「おおっ確かにヘーゼルナッツの風味が…」と感動する。続けてチョコを口に含むと至福の世界が一気に広がった。

(4) ラズベリー風味
次はアンフィニマン・フリュイテ。フリュイテ(FRUITE)つまりフルーティーというくらいだからフルーツの味だろうと調べたら南米のアラビカ産コーヒー豆を軽めに焙煎しラズベリーの風味を加えたとのこと。やはり「カプチーノでお楽しみください」とある。ネスプレッソ純正の小さなカップに合わせて泡立ちミルク量を調節して…いざ味わわん。

(5) マカロンと
フランスパティスリー界の鬼才と呼ばれるピエールエルメ監修のカプセルならばお供のスイーツもフレンチで…ということでピンクとイエローに淡いグリーンのマカロンを用意。偶然にもピンクのマカロンは木苺(ラズベリー)…カプチーノのラズベリーフレイバーを追いかけるように木苺のマカロンを楽しんだ。

(6) エスプレッソ
ピエールエルメが特にこだわったのがこのエスプレッソ。ネスプレッソのサイトを見ると「エスプレッソを芸術の域まで高めた…」と謳うほどだから抽出する間も期待に胸が膨らむ。苦味、酸味、焙煎、コクの全てが5段階中3というバランスの取れた味わいにフルーティーな香りが広がるとのこと。

(6) コロンビア産
通常は南米産と書かれているがこちらはコロンビアのトリマ地区と生産地をはっきりと表示している。標高が高く火山性土壌に加え、木陰のある地形で育った豆を丁寧に手摘みすることで品質が保たれているのがトリマのコーヒーの特徴、味わいは確かにバランスがとれているものの後味はやや酸味が強いか…。


【サイフォン式①】
(7) 自家焙煎コーヒーの魅惑
店の前を通るたびに中を一度は見てみたいと思っていた自家焙煎コーヒー豆専門店「権蔵」の店内の様子。日頃スーパーで買っているキリマンジャロやモカとは違うのにびっくり。モカだってイルガチェフG1だしキリマンジャロもタンボタンボだし…今まで知らなかった新たな世界に出会えた感じだ。

(8) 豆を選ぶ
店の中には喫茶コーナーもあってコーヒーを飲みに来た客と思われたが「豆を買いに来た」ことを告げると丁寧にいろいろと教えてくれる。イートインスペースのお客さんは好みの一杯を堪能している様子だ。初めて店のドアを開けたことを伝えてお薦めの豆から「苦みのあるグアテマラピーベリー」を中挽きでお願いした。

(9) サイフォン一式
ところでグアテマラピーベリーのピーベリーとは1本の木から5~20%しか取れず1粒ずつ目視によるハンドピックで選別するため高値で取引される豆らしい。しっかり封をされた状態でテイクアウトした豆の袋を開けて専用の密閉容器に移す。後ろにあるのはネット購入の入門用サイフォン一式だ。さてテイスティングにチャレンジ。

(10) ペーパーフィルター(その1)
まずは買ってきたコーヒーの粉を密閉式の瓶に入れる。袋から開けた途端ふわっと広がる香り…紅茶の葉では味わえない瞬間だ。次はフィルターのチョイス。サイフォン式も紙製フィルターと布製のフィルターと2種類あるようでろ過器も2種類ある。まずは後の手入れが簡単な紙製フィルターからトライ。

(11) ペーパーフィルター(その2)
まずはStep1:ステンレス製の穴開き円盤2枚の間にフィルターを挟んでねじを回す要領でしっかりと留める。次にStep2:サイフォン式コーヒーセットの上部(ロート)に入れて円盤(ろ過器)の鎖を引っ張ってフックを口の端に固定。最後にStep3:ロートの中を覗いてフィルターの端が捲れて下に挟まっていないか確認しつつ中央にセットする。

(12) お湯を入れる
下のフラスコに入れるお湯の量は一杯200㎖とのこと。とはいえ丁寧に測るのも面倒なのでまずはフラスコにある目盛りを信頼、後は味わってみてから。お湯を入れた後フラスコの周りに水滴が付いていたら事前によく拭き取ること…アルコールランプで暖める際フラスコが割れるのを防ぐためにも忘れないようにしたい。

(13) コーヒー粉を入れる
粉をどれくらいロートに入れるかは好みの問題。これもまずはサイフォン式セットの中に入っているスプーンを使ってみる。今回は2杯入れるのでスプーン山盛り2杯をロートに入れる。入れ終わったら平らに均しておくのがポイント。その間にフラスコの下に火を付けたアルコールランプを置く。

(14) コーヒーの抽出
やがてフラスコの中の気圧が上昇、湯面を押すことでロートの管をお湯が駆け上がりコーヒーと混ざる。付属計量スプーンの反対側がヘラになっているので粉を丁寧に攪拌。この時ヘラがフィルターに触れてしまわないように注意するのがコツ。ロートの中が①泡と②コーヒーの粉③液体のコーヒーの3層になっているのが目安とのこと。

(15) コーヒーをカップに注ぐ
予め温めておいたコーヒーカップに注ぐとようやく美味しいコーヒーの完成。コーヒーメーカーで手軽に飲める日頃とは大いに違う。手間もかかるし気遣いも必要だ。美味しい淹れ方を調べると攪拌の仕方やアルコールランプの当て方など知らないことが沢山ある。それでも淹れたてのコーヒーはまるで別物のように美味しい。

【サイフォン式②】
(16) ミルの手入れ
せっかくサイフォン式のコーヒー淹れを一式セットで用意したのだから「豆から自分で挽くか…」と昔使っていた手挽きミルの復活にチャレンジ。まずは一旦分解すると昔のコーヒー豆の皮やカスなどが次々と出てくる。綺麗に掃除して部品を磨き、ミル刃部分は再組立済の状態でまずは写真撮影してみた。


(17) 手動ミル復活へ
まずは①ミル刃部分を台座に戻して4本のネジで固定。次に②ホッパー部分をネジ3本で台座に固定する。更に③歯車とストッパーを軸に通して上からバネを差し込み④ハンドルを入れて上からネジで締める。分解組み立てを通じて写真の歯車がミルの隙間を調節して豆の挽き具合を変える役割を担っているのが良く分かった。

(18) 豆を挽く(その1)
サイフォン式の場合は一人前中細挽きで10g、中挽きで15g、粗挽きで18gとのこと。中挽きに設定して豆を2杯分の30g用意してホッパーに投入。この時急いで回すと熱によってコーヒー豆の味が変化するのでゆっくりとハンドルを回すのがコツだそうだ。なんでもそうだがコツを掴むまでは時間がかかるもの…。

【参考資料①】
布フィルターを使う
一方こちらはせっかくの手挽きコーヒー豆に合わせて布製のフィルターにチャレンジ。まずは写真のようにろ過器に布をセットする。布フィルターの入っていた袋には熱湯に通してから使用するようにとあるが、メーカーサイトを見ると煮沸するようにとある。これはネル(布)に付いている糊を落とすためらしい。

(19) 豆を挽く(その2)
サイフォン式のコーヒー豆を手動ミルで挽く場合は基本は「中挽き」とのこと。目安としてはグラニュー糖とザラメの中間ぐらいとある。一方手動ミルには目盛りが一切ないのでハンドルが回せない状態まで歯車を締め、そこから9歯分緩めたところが中挽きとのこと。言われたとおり挽いた結果が上の写真だ。

【参考資料②】
買ってきたコーヒー豆
豆で買ったのはケニアAA。AAは等級基準ランクで豆のサイズを表し、最も大きな豆で最高級品とのこと。ケニア山の南側標高1700㍍以上で取れた異なる地区の豆をミックスしたものらしい。日本ではアフリカのコーヒー豆というとタンザニアのキリマンジャロが有名だがヨーロッパではケニアのコーヒーは第一級の位置付けだ。

(20) コーヒーのお供
コーヒーのお供に選んだのはケークショコラブロン。甘さを抑えたしっとりパウンドケーキの上にクリスピークッキーを乗せてキャラメルチョコでコーティングしたもの。ケーキ類は「当日中にお召し上がりください」なれどこちらは賞味期限が5日間とゆっくり味わえるのが嬉しい。


(21) コーヒーの出来上がり
いよいよ初の手動ミル挽きコーヒー豆+布フィルターによるコーヒーを味わう時。自家焙煎珈琲豆専門店の匂いに惹かれてサイフォン器具一式を手に入れネットであれこれ調べながらトライしてみたがコーヒーの世界は奥深い。因みに器具は定評のあるHARIO製。入門には手頃なTCA-3をチョイスしたが3杯用とはいえほぼ2杯、マグカップなら1杯分か。

(22) 注ぐ
コーヒーカップに注いで味わってみる。店で挽いてもらった豆で飲んだグアテマラピーベリーも美味しかったが自分の手でミルを回して挽いた豆で味わったケニアAAも中々良い。なんだか自分の家が喫茶店になったような気分だ。豆が違うのでペーパーと布(ネル)、どちらのフィルター良いのか比較できなかったがネットでは布製フィルターを推す声が多い。

(23) 午後のひと時
一見量が少なく見えるがずっしり重いパウンドケーキ。このひと切れで3時のコーヒータイムは十分堪能できる。カップ&ソーサーはリーシェイプのウェッジウッド。コーヒー紅茶兼用のカップだが久しぶりに出してみた。コーヒータイム(紅茶タイム)にどの器で飲むかを決めるのもコーヒーを味わうのと同じくらいの楽しい。

(24) 布フィルターの手入れ
布フィルターは洗った後冷たい水に浸して冷蔵庫に入れ毎日水を替えて清潔に保つべし…とのこと。毎日使うなら苦にならないだろうが日頃コーヒーメーカーでお手軽にコーヒーを入れる身としては妙に構えてしまう。お洒落に革靴の手入れやシャツのアイロンがけが欠かせないのと同様美味しいコーヒーを飲むのにも準備が大切ということか。

コーヒー好きならだれもが一度は憧れるサイフォン式コーヒー。フラスコにロート、アルコールランプにろ過器とろ紙、何やら理科の実験のようで他の抽出方法にはない魅力がある。またサイフォン式はコーヒーの味わいを一番素直に引き出せる方法といわれ、その美味しさは昔懐かしの喫茶店文化を思わせる。

好みのコーヒー豆を買う時、豆を手動ミルに入れてゆっくりハンドルを回す時。器具をセットしてお湯が沸くのを待つ時。お湯が上がってコーヒー粉と混ざり合いフラスコに落ちていく時。ロートを外してフラスコからお気に入りのカップに注ぐ時。最初の一口を飲む時…ショーのように心躍る場面が連続する。

中にはコーヒーの生豆を買って来て自分でロースターを使い自家焙煎するコーヒーの達人もいる。サイフォン初心者の自分には想像もできないが嬉しいことにようやく「昔からやりたかったこと」ができる環境にある。年末は信州の山小屋で淹れたてのサイフォンコーヒーを味わいつつ雪景色でも見たいものだ。

By Jun@Room Style Store