どうせ持つなら最上を | Room Style Store

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2022/12/26 08:13


1897年、ゴールドラッシュに沸くユーコン川流域に集う鉱夫達に最適な衣料を提供すべく設立されたフィルソンは今年創業125周年を迎えた。創業まもない1914年にはアイコンともいえるクルーザージャケットのパテントを取得。失効後は一時模倣品が出回ったが淘汰される一方本物は愛され続けており、創業者の名言 "Might as well have the best."は世紀を超えて語り継がれている。

そのクルーザージャケットは今もアメリカ製を貫いている。コロナ禍を経ても変わることなく供給し続ける姿勢はアウトドアブランドならでは。今年は創業125周年に合わせて定番に加えシリアルナンバー付き世界限定76着のリミテッドクルーザーを発売するなど明るい話題を提供しているが、中目黒のフィルソンTOKYOでも創業125周年と開店5周年を兼ねて粋なイベントを開催した。

そこで今回はフィルソンTOKYO主催スペシャルイベントの様子を紹介しながら”Might as well have the best”.(どうせ持つなら最上を)のブランドコンセプトを実感してみようと思う。

※写真はマスコットのスモーキーベアー。

(1) カスタムイベントへ
12月17日にスペシャルイベント初日を迎えたフィルソン中目黒。普段と違ってスペシャルクリスマスの立て看板が目立つように入り口に置かれている。日頃は平日に訪問することが多いが今回はイベント初日が土曜日ということで12時オープンより前に到着。開店待ちの列を予想したが運よく「いの一番」に入店。早速イベントコーナーに直行した。

(2) パッチカスタムの案内
今回のクリスマスイベントの詳細は下に書かれているWith Patch Custom Workshop。パッチとはワッペンのこと。期間中店内で購入したアイテムまたは自前のフィルソン製品を持ち込み、フィルソン中目黒が用意したワッペンの中から気に入ったものを好きな場所に縫い付けてもらうという企画…世界でただ一つのカスタムフイルソンを手に入れる絶好の機会だ。

(3) 豊富なパッチ
初日ということもあって大量のワッペンが並ぶ。フィルソン純正や新品のワッペンも良いがお目当てはビンテージワッペン。古着から剥がしたものやデッド品など程度は様々だが現行にはないデザインや字体、色の糸目やシェイプなどどれも雰囲気があって目移りする。品定めするうちに馴染み客が徐々に来店、狭い店内が賑わってきた。

(4) フイルソンオリジナル
こちらはミシンで職人が縫い上げたフィルソン純正の大型ワッペン。同じデザインでも一点一点異なるという。様々な色の糸を使って仕上げた限定品だけあって17,600円と値付けも中々のもの。日頃ハンドメイドにこだわる性格ゆえか大物トラウト一点付けも考えたが1枚1,000円程度のビンテージワッペンを好きなだけ付けるというのにも心惹かれる。

(5) 店内のパッチカスタムサンプル
こちらは店員の私物。以前のイベントでカスタマイズしたフィッシングベストとのこと。一番上のフィルソン純正ワッペンがいい雰囲気を醸し出している。角あり牡鹿のワッペンを多用したり赤をテーマカラーに設定したりする一方で三角や丸、楕円に四角などシェイプの異なるワッペンを選んだりとパッチカスタムも奥が深い。

(6) マッキノーベストを買う
今回カスタマイズするのはマッキノーベスト。店内で試着後Mサイズを購入。次にビンテージワッペンを選んでどこに付けるかあれこれ試して結局前面に4つ、背面に6つの合計10枚貼ることにした。ワッペン代や工賃に送料など追加料金はそれなりだがオンリーワンが手に入る喜びは格別。会計時には店内も大賑わい、開店と同時に注文して正解だった。写真はピン留め状態のワッペンが付いた購入品。

(7) パッチを縫い付ける
こちらは土日の賑わいを避けて数日後の平日に持ち込んだマッキノーダブルキャップ。耳当てにシアリングが付いた厳冬期仕様だ。ツバにワッペンを付けようと思ったが店員によると厚すぎるとのこと。「キャップの前に付けるなら横長のワッペンを…」などあれこれやりとりしながらカスタマイズする過程は靴や服のビスポークと同じ、期待感が高まる。

(8) 八方ミシン
ショップが用意したのは八方ミシンと呼ばれるもの。通常のミシンは生地を手先に送るように縫い、方向を変える時は押さえを上げて向きを変える必要があるがこのミシンは生地はそのまま縫う方向を自由に変えられる優れもの。靴の修理やグローブの縫製などに使用されるそうだ。手回しでゆっくり縫う様子は見ているのも楽しい。

(9) 完成品の到着
ショップでは預かったカスタマイズ依頼品を閉店後や開店前に店内で一つずつ丁寧に縫い付けて客の元へ発送したようだ。初日の17日(土)に注文したベストと週明けの19日(月)に追加注文したキャップは加工を終えて発送、23日(金)には無事手元に届いた。仕上がりはワッペンの仮止めで想像できたが「実際に縫い付けられると雰囲気はだいぶ変わる」と聞いていたので完成品の姿が気になる。


(10) 箱を開ける
箱には追加のカスタマイズで持ち込んだダブルマッキノーキャップにノベルティグッズ、今回購入したベストが一つずつ丁寧に袋に入れられて箱詰めされていた。到着したのは奇しくもクリスマスイブ前日。包装紙やリボンこそ付いていなかったが一足早いクリスマスギフトを受け取った気分だ。ついでにかなり早めのボクシングデーということで箱を開けて中身を出して行く。

(11) キャップの出来栄え
ダブルマッキノーキャップは裏側がキルティングになっている。ミシンで縫う様子を店内で写させてもらったが縫い進めるうちに裏地がずれてしまい苦労したようだ。届けられた帽子を裏返してみたら下糸がうまく処理されていた。最近の帽子はフイルソンのロゴ入りが多い。同じロゴを付けようか迷ったが写真のビンテージワッペンも味わい深い。

(12) マッキノーベスト
ベストの方はテーマカラーをブラックにワッペンを選んだ。おかげでバッファローチェックの黒と相性も良く馴染んでいる。一方形は全て異なるものを選ぶなど店員のアドバイスが役に立った。左のポケットに付いているのは缶バッジ。それにしても対角線上に張り付けたポパイのワッペンが良い味出している。パッチカスタムに嵌りそうだ。

(13) マッキノーベスト(表)
パッチカスタムのコツは「テイストを揃えること…」例えばフィッシングが趣味のアウトドア愛好家だったら①フィッシングに関するワッペンを選んで②テーマカラーを決め③シェイプが違うものに絞り込んで最後に④場所を決定…そんな手順だろうか。新品とビンテージのワッペンを混ぜるのも良いが全て古いワッペンで揃えるのもやれた感じが出せる。

(14) マッキノーベスト(裏)
こちらはベストの裏側。一番上のFILSONのロゴが刺繍された薬きょうだけはフィルソン純正の新品。それ以外は全てビンテージのワッペンになる。アウトドアと関連がありそうなワッペンを探し出して一枚ずつベストの上に置き、格子柄や互いの相性を見ながら形の違うワッペンをあれこれ並べ替えた成果が上手く出ている。

(15) 一点もの
出来上がったマッキノーベストを使ってコーディネートしてみた図。地厚なコットンウールのチェックシャツにチェックのバンダナを巻きバッファローチェックのベストを羽織る。ボトムスは洗いざらしのインディゴも良いがこちらは珍しいキャメル色のジーンズ。赤耳付きのセルビッジデニムは敢えて裾を折り返して履かせてみた。

(16) バックスタイル
ワッペンの縁をよく見ると綻びがあったり糸が切れていたりと如何にもビンテージワッペンらしい。後で気づいたが一番左上、フクロウがモチーフのワッペンにはクロンダイクの文字が刺繍されている。なんとフィルソン創業のきっかけとなったゴールドラッシュの地ではないか。意図せず選んだワッペンがぴたりと合うとはなんとも嬉しい。

(17) ノベルティ
小ぶりなトートバッグはちょっとした買い物に便利なサイズ。Forestry(林業) Gearとは林業用の機械を指すようで、バッグのモチーフは伐採用のチェーンソーが描かれている。2枚のステッカーはお馴染みのフィルソンロゴ。その下の小さな缶バッジだが実際は5種類の中から2つ選んだもの。欲を言えば全部欲しいくらい洒落ている。

(18) 缶バッジ
間仕切りがあってワッペンを付けられなかった左胸ポケットに付けた缶バッジ。中には間仕切りが邪魔なので糸を外してしまうカスタマーもいると聞いたがまずは使ってみてから…ということで殺風景な間仕切りポケットに付けてみたが効果はかなりのもの。これから時々アウトドアに関連した缶バッジやピンバッジを集めて付け足してみようと思う。

(19) ユケテンのブーツ
フィルソンのアップランダーブーツに似たモックトウブーツはラッセルモカシン別注のユケテンオリジナル。見た目はハードだがアッパーは柔らかなグレインレザー、タンは更に薄くしなやかな革を使用しているので足へのあたりはすこぶる快適。ソールのクッション性も高くフィルソンのアイテムとの相性も抜群だ。

(21) マッキノーキャップを足す
せっかくなのでベストとキャップを赤黒のバッファローチェックマッキノーで揃えてみた。ワッペンのテイストはどちらもビンテージものでカスタマイズしているので問題なし。ただダブルマッキノーキャップは厳冬期に似合うアイテムだがベストはせいぜい晩秋まで、相性としては同じシアリングの襟付きパッカーコートの方が良いだろう。

(22) バッファローチェックのアイテム
パッカーコートにベストとキャップ。フィルソンの定番バッファローチェックもこれで3点揃った。無地のマッキノーシリーズも人気だが本命といえばこの赤黒格子柄。密かに2020年発売の青/黒や2021年発売の緑/黒のバッファローチェックも狙っているが暫くは再販されないだろうから次の限定販売まで気長に待とうと思う。

最高のクリスマスイベントになったフィルソンTOKYOのパッチカスタムだが毎年恒例ではないらしい。次は未定なようだが次回もぜひ参加したいと思わせる楽しい企画だった。今巷ではカスタムオーダーが人気。ユニクロのTシャツカスタムオーダーやバッグのキタムラにシチズンの時計など…スタバのドリンクカスタマイズもすっかり定着している。

よく似たパッチカスタムといえばラルフローレンの表参道店でもポロベアやロゴ、クレストなど好みのワッペンを店内のどのアイテムにも縫い付けて貰える。ただし持ち込みは不可だ。ラルフローレンのロゴやモチーフが入るパッチは統一感も出やすいが値段は元のアイテムもパッチもラルフらしい価格設定、ワッペンの数に応じて値段も一気に倍増する。

今回はパッチカスタムを中心にフィルソンの魅力を伝えたが、実際の使い心地や125周年の限定クルーザージャケットなど近いうちに続編を紹介したい。

By Jun@Room Style Store