ベストな白Tシャツ | Room Style Store

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2023/03/13 22:03



春は真新しい白Tシャツを買い揃える季節。買った時の白さを長持ちさせたくて着たらすぐ洗濯、時には漂泊もしてきた。それでも冬を越すあたりで黄ばんでくる。この週末は靴磨き用に何枚か残してあとは古着回収ボックスに預けたばかり。あとは減った分を補充するだけ…その季節がまた巡ってきたという訳だ。

スーツやジャケットから解放されてワイシャツ(ホワイトシャツの意)を着なくなって久しい。今や白Tシャツが替わりを果たしている。たまにネクタイを締めて出かける以外は毎日着ている必需品、お気に入りのフーディーから革ジャンにスイングトップまで着回しの良さはかつての白ドレスシャツ以上かもしれない。

そこで今回はワードローブに欠かせないベストな1枚を探すべく気になる白Tシャツを何枚か取り寄せて比べてみた結果をまとめてみた。※

※写真はオンラインで取り寄せた白Tシャツ


(1) CAMBER
最強の白Tシャツ探し、まずはニューヨークの隣ペンシルバニア州で1948年創業のCAMBER(キャンバー)から。生地工場として創業後学生のスポーツチームや体育協会等からのボディ受注を経て1992年に自社製品を販売開始。素材から縫製まで全て米国製にこだわっている。写真は最も地厚なポケ付き白Tシャツ(品番302)。

(2) スペック
手にして驚くのが地厚な生地。マックスウェイトの名に相応しい8オンスの肉厚なコットンは想像以上にタフで薄手のスウェット並みだ。ネックのリブ編みは頑丈で何度洗濯してもヘタレ知らず。両脇にシームのない「丸胴編み」や肩と襟首後ろの「補強テープ」が快適なフィットをもたらす。素材は勿論コットン100%。

(3) フィット
S~XXXLまで幅広いサイズの中からMを選択。ショップ情報では肩幅53㎝・身幅54㎝・着丈72㎝だが着丈は実測70㎝。極端に落ちない肩線や着丈の短さはTシャツ1枚でも様になる。地厚な生地は吸汗性に優れボディも綺麗に落ちるが「夏は暑い」あるいは「洗濯しても乾きにくい」という声もある。

(4) 着こなし
アメリカで暮らすと部屋着は半袖のTシャツという人が意外に多い。どうやら基礎体温の差らしい。外出する時はそこいらにある上着を羽織って出かける…そんな感じだ。映画「理由なき反抗」のジェームスディーンは白Tシャツ(ヘインズ説有り)の上にマクレガーだったがアイビー世代はスタジャンを手に取る。

【評価・採点】
価格は今回揃えた白Tシャツの中で最も高い。輸入物ゆえ3,980~7,480円まで店によって価格もまちまち。安売り店でまとめ買いが正解か…8オンスという圧巻の生地使いや丸胴編みに肩線の補強テープなど作りは完璧、長く着てもヘタりの来ない襟リブも嬉しいがやや窮屈に感じる時がある。
買い得感★★★☆☆
生地  ★★★★★
縫製  ★★★★★
着心地 ★★★★☆
合計17点

(5) LIFEWEAR
お次は同じくアメリカ製のLIFEWEAR(ライフウェア)。こちらもキャンバーと同じペンシルバニアで1950年に創業した老舗カットソーメーカー。アメリカ製のコットンを生地に仕上げて縫製まで全行程を自社工場で行うのもキャンバーと同じ。生地の厚さも5.5オンスと7オンスの両方用意されている。

(6) スペック
選んだのはキャンバーに次ぐヘビーな7オンスのポケなしタイプ。キャンバーと同じMサイズだが肩幅50㎝・身幅53㎝・着丈72㎝と作りは大きめ。アメリカ製は身幅で選ぶと着丈が長い。タックアウトするとオーバーサイズというよりだらしなく見えがちだ。丸胴編みのボディに製品タグが一切付かないシンプルな作りが特徴。

【参考資料①】
日本の元祖ダンディ白洲次郎氏といえばこの白Tシャツにデニム姿を思い浮かべる人も多いと思う。「日本で最初にジーンズを履いた男」だそうで写真のセルビッジデニムはリーバイス(いや別の写真ではリー101だった)と推測されている。若者の特権といわれる白Tシャツ+ジーンズ姿が似合う大人の男性の好例。

【参考資料②】
補強テープ入りのTシャツ
Tシャツの着心地にも関係する縫製部分。肌と触れる襟首(後ろ部分)や肩の合わせに補強テープを被せている。あと意外と気になるのが首のメーカータグ。丸胴編みのTシャツだと身頃脇に素材タグやケアタグを縫い付けられないため、背襟にどうしても大きめのタグが付いてしまうことになる。

ロックミシンのTシャツ
こちらはライフウェアの襟と肩の様子。補強テープで縫い目を被せるタイプではなくロックミシンによる処理のみ。着心地への影響は個人差もあろうが気になる人もいよう。一方「チクチクして気になる」という声が多い背襟のタグを廃止してプリントに変更するなどコスト削減を図っているようだ。

(7) フィット
白洲次郎氏に倣って白Tシャツ1枚をタックイン。デニムは501の代わりに日本の老舗ビッグジョンXXXXセルビッジ付きスペシャル。ライフウェアの首回りはキャンバーより適度なゆとりがある。身頃も丸胴編みで肌触りは快適、襟や肩線のロックミシンはサイズが大きいせいかさほど気にならない。

(8) 着こなし
インナーの白Tシャツ+オックスフォードボタンダウンシャツのコンビ。同じボタンダウンでもドレス(ネック表記15-32など)タイプは避けて着丈短めのカジュアル(S,M,L)タイプを選ぼう。長袖はロールアップがお約束。タータンのコットンパンツに格子の色を拾ったリボンベルトでアイビースタイルの完成だ。

【参考資料】
春から夏のアイビールックに欠かせない靴といえばデッキモカシン。昔はボートシューズと呼んでいた気もするが元祖といえばトップサイダーとセバゴのドッグサイズが双璧。どちらも既にアメリカ生産を終えているがABCマートがメイン州のファクトリーに作らせた米国製の別注デッキシューズは中々の出来ばえだ。

【評価・採点】
値段は2,640~3,800円とまちまちだがキャンバーに次ぐ7オンスの生地はヘビーユースもこなす中々の優れものだ。丸胴編みのボディや背襟のタグ廃止など評価できる部分と襟首や肩線が簡易なロックミシンにとどまるといった課題の両面がある。もし買うならポケット付きの方が着丈も短くお薦めだ。
買い得感★★★★☆
生地  ★★★★☆
縫製  ★★★☆☆
着心地 ★★★☆☆
合計14点

(9) UNIQLO
お次はユニクロの隠れ良品と呼ばれるクルーネックTシャツの登場だ。着心地爽やかなスーピマコットン素材のものは人気色を中心にもっか品切れ中。代わりに新作のオーバーサイズポケ付き白Tシャツを選んでみた。ポケット有りのせいか定番のクルーネックが1,500円なのに対して1,990円とやや高めの値付けだ。

(10) スペック
洗いをかけて製品化したというポケ付きTシャツは肌触りも良好、オーバーサイズだけあってSサイズでもゆとりがある。実寸値は肩幅47㎝・身幅54㎝・着丈66㎝と着丈の短さが特徴。襟のリブは太くてじょうぶ、繰り返しの洗濯にも耐えうる。ただしボディはアメリカ製のように丸胴編みではなく両脇で前と後ろの身頃を縫い合わせている。

【参考資料③】
タックインしたポケット付き白Tシャツとジーンズ姿の本人が登場するラルフローレンの広告。太めのバックルベルトやウェスタンブーツとテンガロンハットの出で立ちはラルフ氏所有のRRL牧場での撮影だろう。それにしても昔のTシャツは袖が短い。日焼けした腕と引き締まった身体が格好いい…。

(11) フィット
今回の白Tシャツで一番着丈が短いユニクロ。ラルフローレンの広告を参考にタックインしてみたがローライズ気味のジーンズだと屈んだ時に背中が見えてしまう。それにしても生白い腕に白Tシャツの似合わないこと…この夏は日焼けした身体を目指して海水浴&甲羅干しにでもチャレンジしようか…。

(12) 着こなし
インナーにTシャツ1枚とアウター…で思い出すのがボマージャケット。メンズクラブの街アイ(街のアイビーリーガース)で「ライスボール観戦」に来た読者が白TシャツとB-3姿で載っていたのを参考にしてみた。因みに当時B-3流行の震源地は新宿だったそうだ。なんでもホスト系の人御用達のアウターだったとか。

【評価・採点】
価格は1,990円とコスパの良さが光る。生地も7オンスに近い地厚さが嬉しい。一方ボディは丸胴編みではなく両脇を縫い合わせてコストダウンを図っている。背襟のタグはないがどうせなら左身頃の内側に付く素材タグやケアタグも廃止すればいいのに…とも思う。着丈の短さはユニクロとしてもタックアウトが前提か…
買い得感★★★★★
生地  ★★★★☆
縫製  ★★★☆☆
着心地 ★★★★☆
合計16点

(13) LA APPAREL
1997年にロサンゼルスで生まれたアメリカンアパレルはベーシックな品揃えで一世を風靡。中でもTシャツはその最たるものだったが当時の創業者が2016年、新たに設立したのが写真のロサンゼルスアパレル。シンプルなデザインは変わらずアメリカ製にこだわって製品作りを進めているという。

(14) ネック周り
襟のリブ編みは薄めで波打っているがフィット感は悪くない。このLAアパレル含めキャンバーやライフウェアなどアメリカ製は全て丸胴編み、日本のユニクロだけが前後の身頃を貼り合わせている。6.5オンスの生地は思ったよりも柔らかくポケ付き白Tシャツとはいえトップスとして着るよりインナー向きか。

【参考資料④】
ロスアンジェルスアパレルのサイズはL。実寸値は肩幅55㎝・身幅56㎝・着丈75㎝とかなりのオーバーサイズだ。面白いのが1枚目のタグ裏に印刷された縫製者の顔写真とプロフィール。読んでみると「創業当時からの社員で縫い子として32年のキャリアをもつベテラン職人」といったことが書かれている。

【参考資料⑤】
ここで再びラルフローレン氏の再登場。今度はタックアウトしたポケ付き白Tシャツ姿だ。胸ポケットに挿したレイバンはアクセント代わりだろうか…昔の着こなしを真似するなら袖を捲ってみるのも悪くない。今時の白Tシャツは袖が長いものが多いので半袖を2~3回まくるとお洒落な着こなしなるそうだ。

(15) フィット
ラルフ御大を真似てレイバンのサングラス胸ポケ挿しにトライ。ネットで売れ筋を調べたところ、ポケ付き白Tシャツは①1枚で着られる②インナーにも使える③どんなボトムスとも合う…のでポケットなしより人気が高いそうだ。その分④生地は厚め⑤着丈は短め⑥ポケットは頑丈なものを選ぶのがベターとのこと。

【参考資料⑥】
因みに胸ポケットに挿したのは90年代のレイバン。最近は掛ける機会もないがかれこれ30年ものだ。因みにネットオークションではビンテージレイバンの偽物が出回っているとのこと。昔空港の免税店で購入したものなので「間違いない」はずだが念のため「偽物の見分け方」をネットで検索してしみた。

(16) 着こなし
白Tシャツをインナーに上から羽織ったアウターはカーハート。12オンスのヘビーなコットンダック地にサーマルライニングを貼ったヘビーデューティーなパーカ(品番J131)は今や絶滅危惧種のアメリカ製。どうもフードが付いた服に弱いのか最近はマウンテンパーカに始まりカーハートやスクーカムとHoodieばかり着ている。

【評価・採点】
価格は2,490円とアメリカ製にしてはリーズナブルなプライス。6.5オンスの生地は夏でも快適だ。ボディは丸胴編みで襟や肩に補強テープの付く本格的な作り、選んだのがLサイズということもあるが着丈が75㎝とかなり長い。襟後ろのタグが2枚も付いているので首へのあたりが少々気になる
買い得感★★★★☆
生地  ★★★★☆
縫製  ★★★★☆
着心地 ★★★☆☆
合計15点

(17) BAYSIDE
最後はカリフォルニアに5つの工場をもつBAYSIDE(ベイサイド)。Tシャツやスウェット、ニットキャップやトートバッグなどを作るファクトリー発のブランド。全てアメリカ製で「ハイクオリティな製品をリーズナブルプライスで提供する」のがコンセプトだとか。今回はプリシュランクの6.1オンスポケ付きTシャツを選んだ。

(18) スペック
6.1オンスと今回の中では一番軽いが思ったよりもハリがある。シーズン問わず着られるTシャツは5~6オンスの生地が一般的、6オンスからは厚手に分類されるようだ。丸胴編みや襟首と肩線の補強テープ、襟のリブもしっかりしている。サイズはL、寸法は肩幅52㎝・身幅53㎝・着丈75㎝と着丈は長いものの身頃はMサイズに近い。

(19) フィット
タックアウトするとLサイズということもあって75㎝の着丈がやけに長く見える。オーバーサイズTシャツは若い世代向き、肩が落ちるデザインもアイビー世代には馴染みにくい。それにポケットに何も入れていないとどうものっぺりしがちだ。因みにMサイズなら着丈が3㎝、Sなら着丈が一気に8㎝も短くなる。

(20) 着こなし
白Tシャツをインナーに用意したのはまたもやHoodie(フード付きアウター)。廃業したアメリカのスタジャンブランド、スクーカムのものだ。余談だがスクーカムが最近復活したとのこと。残念ながらメイドインUSAではなくロッキーマウンテンフェザーヘッド同様、日本の会社が復刻版を手掛けているらしい。

【評価・採点】
価格は1,990円とユニクロと互角のコスパを誇る。6.1オンスのコットン天竺は一番軽いが透けることなく夏場はキャンバーなどヘビーウェイトものより涼しい。ボディは丸胴編みで襟や肩に補強テープが付くなど作りも本格的。身幅と着丈のバランスや背襟の大きなタグがどうしても気になる
買い得感★★★★★
生地  ★★★★☆
縫製  ★★★★☆
着心地 ★★☆☆☆
合計15点

今では市民権を得た白Tシャツだが元々は下着。家の中や庭先などプライベートな空間なら気にする必要もないが、白Tシャツ1枚での外出は気が引ける。例えば襟なしのTシャツだとイタリアじゃ教会に入れないことがある。旅行で訪れるならTシャツは部屋着にして外出時はポロシャツに着替えた方が無難だ。

何より引き締まった体型は昔の話、緩くなった団塊世代の体型には白Tシャツ1枚じゃハードルが高い。インナーとして着こなす方がお薦めというのも納得だ。「それなら下着で良いじゃないか?」と思うかもしれないが、下着は見せるものじゃないしそもそも下着とTシャツじゃ生地の厚みが全然違っている。

今回の結果はキャンバー17点、ライフウェア14点、ユニクロ16点、ロサンゼルスアパレル15点、ベイサイド15点だった。品質で選べばキャンバーだが次点のユニクロは買いやすさでキャンバーを凌ぐ。早速ネットで調べてキャンバーとユニクロをまとめ買いしてみようか…。

Jun@Room Style Store