バイクでカフェ巡り(第1回) | Room Style Store

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2023/04/17 08:22


リターンライダーに復帰してから間もなく5年。最初は昔のように朝早く家を出て峠道を走ったり泊りでロングツーリングに出かけたりしていたが歳のせいか最近は日帰りツーリングばかり。それも洒落た外観のカフェ巡りが趣味になっている。写真映えのする店を探しては開店時に訪問、写真に収めて店内で寛ぎ帰路に就く…そんな感じだ。

中でも個性豊かなカフェが多いのが八王子市。丘陵地帯に囲まれた豊かな自然や宿場町として栄えた歴史に加えてニュータウンや都内で4番目に大学数が多いという学園都市など様々な顔を持つだけのことはある。何より都心から高速道路を使えば至近というのが嬉しい。帰りは多摩丘陵沿いに下道を通ればロングツーリング気分も味わえる。

そこで今回はバイクでカフェ巡りの第1弾、八王子編を書き記そうと思う。

※扉写真は駒澤大学のユナイテッドカフェ

【パベルブルグ】
(1) 外観
「洒落た外観のカフェ」で検索すると出てくるのがこのパぺルブルグ。八王子市を南北に走る国道16号(旧道)の御殿峠直下の洋館が目印。周りは何もないように見えて東京工科大学や造形大学、多摩美術大学に山野美容芸術短大など4つの大学が集まるなど「学園都市八王子」を実感する。確か店員も地元の大学生だったと思う。

(2) 手入れの行き届いた家回り
こちらの写真は最近訪れた時の様子。歩道に面した側面は綺麗な花で覆われている。手入れの行き届いた外観が来客だけでなく歩道を行き交う人々の心も和ませてくれる。パぺルブルグという店名から分かるように建物はドイツの洋館をイメージさせる作り。CMやドラマの撮影に利用されるのも納得だ。

(3) 入り口
重厚な木戸やレンガに白壁と梁が目を引く館の入り口。ランプや傘立て、扉両脇の装飾物までディテールに手抜きなし。モチーフは中世の南ドイツ騎士の館とのこと。なるほどコンセプトは明快、テーマパークにいるかのよう。時々見ていたCS放送のドラマ「純喫茶に恋して」にも登場したらしい。

(4) 店内
窓側の席は一際天井が高く大きな窓とともにゆったりとした気分を味わえる。壁に描かれたフレスコ画は多摩美術大学の先生によるものだそう。鹿のはく製に驚くが、ネットで調べるとヨーロッパではハンティングトロフィー(狩猟戦利品)として貴族の館に飾られていたとか。本場ドイツのモーリッツブルク城の大広間を参照あれ…。

【参考資料①】
ドイツ製品といえば…
ドイツ語で「ポプラの館」を意味するパペルブルグ。学生時代はドイツ語を勉強したのにとんと縁がない。身近にドイツを感じるのは車かモンブランくらいか。中でも左の2本(マイスターシュテュック)はドイツで手に入れた年代物…パベルブルグでコーヒーを味わいおもむろに日記を書く…なんて習慣でもあればいいのだが。

(5) スコーン
こちらは自家製のヴィクトリアンスコーン。小ぶりながらオオカミの口が現れた本格的な作りだ。クロテッドクリームとジャムに加えてデーツ(ナツメヤシ)シロップも用意している。北海道産とフランス産の小麦をブレンドして焼き上げたこだわりスコーンとクセのないデーツシロップの組み合わせも悪くない。

(6) ケーキ
こちらはクラシックチョコレートケーキ。店のホームページによれば「ベルギー産のチョコレートを使用した贅沢な逸品。上質なチョコレートがコーヒーのアロマを引きたたせる」とある。値段は一皿800円、ここで値上げをしたようで近くの学生が立ち寄る喫茶店としては値が張るのが気になるところだ。

(7) コーヒー
パぺルブルグのコーヒーはサイフォン式。注文するとコーヒー豆を挽く音が店内に響き渡る。この日のお薦めストレートコーヒーはエチオピア。「味を楽しむのでミルクと砂糖はお出ししません」と断りを入れる拘りがいい。メニューにあるコーヒー豆の出自を読めば味わいも一段と深まる。

(8) カウンター
元々コーヒー専門店の看板を掲げるパぺルブルグ。カウンターに並ぶサイフォンがその証か。「独特の自家焙煎方法、秘伝のジャーマンローストで甘みや香り、旨みを引き出した」というコーヒー豆をわざわざ買いに来る客もいる。豆で買うくらいだから自宅でミル挽きしてはこだわりの一杯を楽しむのだろう…。

【カフェブリックス】
(9) 外観
次なる写真映えの名店はコーヒーブリックス。店名が英語なのはレンガがイギリス積みだからか…なんだかノーザンプトンのトリッカーズやクロケット&ジョーンズの工場を思い出してしまう。場所はパぺルブルグから約2.4㎞、しかも同じ国道16号(旧道)沿いにある。ロマンチック街道ならぬカフェ街道のようだ。

(10) 外観
こちらは元々米蔵として建てられたもの。窓もなく箱型の外観は如何にも倉庫然としている。世界遺産の富岡製紙工場と同じ木骨煉瓦造りの工法は関東大震災を耐え抜いた歴史的建造物。かつてレンガの街だった八王子だが現存するのは今やここだけだという。米蔵の改装に当たってはかなり手を加えたようだ。

(11) 店内
足元に見えるのはレンガの壁の一部…低い天井に目を向けると太い梁や桁が見える。喫茶店として開業する際2階を支えるために運ばれたのだろう。碍子や電線が走る天井はレトロな雰囲気満点。床の木材や壁材からテーブルや椅子までパぺルブルグ同様完璧にコーディネートされている。

(12) 2階
こちらは2階の様子。1階よりも天井の傾斜がある分窮屈か?…と思いきや座ってみると太い柱や木に囲まれた空間は意外と落ち着く。子供時代の隠れ家を思い出した。そういえば後から来た客はわざわざ「2階でもいいかしら?」と断りを入れていた。常連さんだろうか、きっと落ち着く席があるに違いない。

(13) ディスプレイ
店主の趣味でもある模型エンジン。小さいながらもプラグの角やフィンの付いたヘッドにクランクケースなどメカ好きの心をくすぐる。店に客が自分1人だったこともあってわざわざ店主がハーレーのミニチュアVツインエンジンを動かしてくれる嬉しいサプライズもあり、思い出深いひと時になった。

(14) アンティーク品
通が見ればすぐに分かる逸品もののスピーカーやアンプが置かれた店内。他にも古い蓄音機やミニスケールの蒸気機関車などまるで小さな博物館のようだ。かつてトヨタのレースメカニックとしてルマンに参戦した店主、DIYもお手のもらしくエアコンのパネルも茶色に替えて室内の統一感を保っている。

(15) シフォンケーキ
ブリックス自慢のシフォンケーキ。しっとりと柔らかなケーキにたっぷり乗せたゆるめのホイップクリームが嬉しい。写真の記録を見ると昨年のコロナ自粛明けの6月末に訪れた時の写真のようだ。既に季節は夏、日差しと空冷エンジンのバイクで熱くなった身体をアイスコーヒーで冷ました記憶がよみがえる。

(16) こだわりのコーヒー
パぺルブルグではサイフォン式だがこちらはハンドドリップ式のコーヒー。自家焙煎の豆を使い地下水で淹れるなどやはりその店ならではのこだわりがある。澄んだ色のアイスコーヒーは抽出し終えたら急冷するのがコツ、氷を足すことを想定して2杯分の粉で1敗抽出するなど秘伝のレシピが有るようだ。

【ヴェールの丘】
(17) 外観
こちらはドイツ風パぺルブルグと英国風ブリックスの中間に位置するフランス風のColline de Vert(緑の丘)。パティスリー兼喫茶室が用意されていたがブーランジェリーの併設に伴い外のテラス席のみとなった。店の入り口の大きな木や緑に囲まれた植栽など「緑の丘」の名のとおりの外観は如何にも写真映えする。

(18) 入り口
南仏風?のお洒落な配色で塗られた入り口はブーランジェリー(左)とパティスリー(右)とに分かれる。もちろん店内は繋がっているので両方買うことも可能だ。東京都で2番目に広い八王子ならではの広い敷地に建つ店構えは都心のファミレスとは大違い。手入れされた中庭でテイクアウトしたケーキを味わう贅沢は中々のもの。

(19) パティスリー
どれを選ぼうか迷うほど種類の多いケーキ類。品定め中も次々と客がテイクアウトしていく。今年1月にリヨンで行われたパティスリーコンクールで優勝した日本代表チームのドキュメンタリーを見ていても感じたが、日本の洋菓子のレベルはとても高い。ビジネスジャーナルでは日本のスィーツ市場は何と2兆円だという。

(20) ブーランジェリー
こちらはブーランジェリー。焼き立てのパンを売る店のことを指すそうだが、フランスではパティスリーでも焼き立てのパンを朝から販売する店が多いそうだ。営業時間が「朝6時」からということも珍しくないとか…ヴェールの丘がパティスリーに加えてブーランジェリーを併設するのも自然な流れといえる。

(21) テラス
こちらがテイクアウトのケーキやパンを味わうことのできる屋外のイートインスペース。そういえば自宅近くのパン屋も外に小さなテーブルを置いたところ焼き立てのクロワッサンやペストリーをその場で楽しむ客が増えた。屋外という非日常に加えて気軽に立ち寄れる雰囲気を作り出すことで人気が出てきたようだ。

(22) ケーキ& コーヒー
さて迷いに迷って買ったのが和栗のモンブランとルビーショコラ。モンブランの方は中に和栗がゴロっと入っていて柔らかなが外側と異なる食感が良い感じ。ルビーショコラの方は話題のルビーチョコレートを使ったもの。着色かと思いきや実際ルビー色のカカオ豆を使った天然由来のピンクチョコを使用しているとか。

(23) 焼きたてのパン
こちらはテイクアウトしたヴェールの丘ブーランジェリー部門のパン。幾重にも重なった生地が離れて如何にもサクサクな食感を思わせるパンオショコラとパティスリーオゥポムにカスタードクリームの入ったドーム型のパン。せっかくなのでパぺルブルグやブリックスに倣ってこだわりのコーヒーを淹れて味わう。

(24) カワサキZ1
日帰りツーリングの良き相棒カワサキZ1も登録から5年目に入り来年の年明けには2回目の車検となる。目下好調ゆえなバイク好きからはユーザー車検を薦められるが旧車乗りなら「ショップに車検を依頼した方が良いのでは…」とも聞く。そもそもメンテナンスのコストを気にするようではビンテージバイクに乗る資格なしか…。

(25) フォーティーエイト
こちらは24か月点検を終えて絶好調のフォーティーエイト。購入時よりアイドリング時のエンジン回転数が落ちているのかハーレーらしい「3拍子」に近い排気音が聞こえてくる。相変わらずショップからは「あまり乗っていないですね~」と言われるがバイク2台持ちで近場のツーリングばかりだと致し方ない…。

ビンテージカーを自ら運転する堺正章さんは「普段はマニュアル車に乗っています…ボケ防止で。クラッチを切って2速でいいか3速でいいかと考えながら乗っていると頭が冴える。」とインタビューに答えている。まだボケるには早いが実は我が家の車もMT車、バイクも大型MTとマニュアルなカーライフ・バイクライフを送っている。

今回紹介したパぺルブルグとブリックスにヴェールの丘は何れも人の手の温もりを感じる店構えだったり雰囲気だったりする。提供されるコーヒーやケーキも手の込んだ味で心に染み入る。それは早くて快適なAT車に乗って出かけ、どこも同じ雰囲気で変わらぬサービスを受けられるチェーンカフェで過ごす日常では味わえないものだ。

By Jun@Room Style Store