リジッドデニムの初洗い | Room Style Store

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2023/07/01 10:48




6月末から始まるサマーセール前のプレセール期間中にRRL表参道を訪問。お目当ては限定品のビンテージ5ポケット、勿論USメイドだ。タグにはサンフォライズドシュランク(防縮加工済)やBuy yer size(あなたのサイズを買おう)とある。いつもの30インチを選んだら店員が「洗うと縮みます」と教えてくれた。

「31と32を試しては」ということでまずは32インチから試着するも流石に大きい。それにウエストは勿論だがレングスも縮むはず。次に31インチを試着したら店員が洗濯後の縮みを想定してロールアップしてくれた。鏡で見ると股下もかなり短くなりそうだ。迷ったが結局ワンサイズアップの31インチにした。

そこで今回は防縮加工済のリジッドデニムを洗うとどれくらい縮むか確かめてみようと思う。

※写真はワンサイズアップのリジッドデニム

(1) 秋冬もののリジッドデニム
購入した31インチのデニム。11.5ozと軽めの生地はネップ(白い点々)が目立つ。ヘビーオンスで攻める国産リジッドデニムとは素材も風合いも方向性も異なる。個人的には田舎暮らしに慣れてきたせいか朴訥としてワークパンツ風のシンチバックや外付けサスペンダーボタンに心惹かれる。

(3) ハット&ブーツ
ブルーデニムは裾裏のインディゴ染料が靴に色移りしがち。今まで黒や焦げ茶など「暗い色目」のブーツを履いていたが最近は金茶のスエードブーツが人気だとか。早速アメリカンなスェードブーツを新古品でゲット。Top to Toeよろしく同じキャメル色のトップハットも用意してみた。

(4) RRLスタイル

水洗いする前に全体の雰囲気をチェック。トルソーに足を付けて頭をセットすればマネキンに早替わり…チェックのネルシャツにサスペンダーでデニムを吊るすと如何にもワークウェア然としている。上から羽織ったRRLお得意のヘチマ襟カーディガンは帽子やブーツと色味が近いのか馴染んでいる。

(5) タグ類を外す
事前にフラッシャーやサイズタグなど付属物を外しておく。昔は白い糸で縫われていたタグも今やナイロン製のタグピン…外すのは楽だ。そういえば知り合いのデニム好きはワインのエチケット収集よろしく購入したジーンズのフラッシャーやギャランティなど全て保管しているらしい。

(6) 準備完了
せっかくなので知人同様タグやフラッシャーを外して記念撮影。ネットで「リジッドデニム初洗い」の情報を仕入れると①初洗いは洗剤を使わない②リジッドデニムの糊を落とすのが目的③浴槽に漬けると染料が付着して取るのが大変④桶や洗面台を利用する…など有益な情報が得られた。

(7) 生デニムを洗う(水を張る)
糊がよく落ちるよう水温を40℃にセットして注ぐ。リーバイスでは20℃の水を推奨しているが温度設定は自己責任…。水が溜まると上に浮かぶので水で満たした桶を上から重しがわりに載せる。ネットでは⑤水に「大さじ1杯の塩と酢を加える」という手順もあるが万が一を考えて実践せず。

(8) 生デニムを洗う(漬ける)
漬け初めの様子。最初は水をはじくが優しく手揉みすると満遍なく水が浸透していく。ところで写真の容器だが実は桶ではなく衣装ケースを流用している。デニムを幾重にも折って狭い桶や洗面台に入れるのはリスクが高い。その点底の浅い衣装ケースなら2つ折りでデニムを水に浸せる。

(9) 生デニムを洗う(漬け置き)
2時間ほど経った様子。糊の成分だろうか水が茶色く濁っている。思ったよりインディゴ染料は落ちていないな…と思いつつデニムをひっくり返したら手先が青く染まっていた。なるほど夏場にインディゴデニムを履くと腰裏部分の汗でタックインした白Tシャツが青くなるのも無理はない。

(10) リジッドデニムを洗う(洗濯機)
漬け置きした後は洗濯機で軽く水洗い。他の衣類は入れずリジッドデニムのみ。「乾燥機は使わない」方が良さそうなので水洗い+脱水をマニュアルで設定。因みにリジッドデニムを洗濯すると洗濯槽にもインディゴ染料が残るとか…この後に洗濯するなら「色の濃いもの」に限定した方が良いだろう。

(11) 生デニムを洗う(乾燥)
裏返したまま日陰で乾燥。こうするとポケットの乾燥も早いし裏返すことで色褪せを防ぐこともできる。干すこと2時間…触って触るとボタンフライの重なりだけが生乾き…ボタンを留めてるせいか。平場に移してボタンを外して(裏返しのまま)おく。夏場だと1時間も経つとすっかり乾いて初洗いは終了。

(12) 水洗い前後(裏側)
洗濯前と終了後の比較。裏返したままの状態で比べてみる。ワタリ幅や太もも幅は洗濯後の方が幅広に見えるが多分糊が落ちて柔らかくなったからだろう。それより一目見て違いが分かるのがレングス…店員のアドバイスどおり縮んでいる。オリジナル501ほどではないがワンロール分はゆうにある。

(13) 水洗い前後(胴囲①)
まずはウェストから点検。店員は1~2インチ縮むと話していたがそれほどでもなさそうだ。因みに洗うと縮むデニムの元祖「オリジナル501」だと1インチは確実に縮むとか。1サイズアップをメーカ直々に推奨するほどだ。こちらは防縮加工済とはいえリジッドデニムの特徴か結構縮む。

(14) 水洗い前後(胴囲②)
詳しく測ると洗濯前が86㎝で洗濯後が84㎝、約2㎝の縮みだから換算すると¾インチくらいか。もっとも購入時のサイズは31インチ(78.74㎝)だから洗濯してもウェスト部分はゆとりがある。ピタリフィットのスリムジーンズなら別だがリラックスフィットならこれくらいのゆとりがあるのも悪くない。

(15) 水洗い前後(股下①)
次は股下。件の未防縮加工のオリジナル501だと股下は3インチ、何と7.62㎝も縮むとか。既製服は着る人の体型に合うのを前提としているのに「自分で縮むのを考慮してサイズを選ぶ…」なんてジーンズくらいだろう。ミリ単位のフィッティングを極めるビスポークとは真逆だがそこが魅力でもある。

(16) 水洗い前後(股下②)
水洗い前の股下が73.5㎝、水洗い後が70.5㎝。最初の水洗いで3.0㎝縮んでいる。しかもリジッドデニムはその後2~3回目まで洗う度に縮むとか。とはいえ2回目以降は洗濯後に干す際、裾を上にして干すと重みで余計な縮みを防ぐことができるらしい。今まで無頓着に干していたがデニム道の奥は深い。

(17) 水洗い前後(太もも幅)
股下10㎝くらい下が太もも幅の測定位置。結果は水洗い前が29㎝で水洗い後が27㎝、太もも周りはなんと4㎝も縮んだことになる。これがインコテックスのようなドレスパンツだったら4㎝も縮めたらシルエットも激変するだろう。ワイドレッグなので目立たないがかなり変化しているはずだ。

(18) 水洗い前後(裾幅)
最後にパンツの印象を大きく左右する裾幅。水洗い前が23㎝で水洗い後が21.5㎝、こちらも結構縮んでいる。因みにRRLでは同じ30-30で比較するとスリムフィットが17.5㎝、ストレートが20.0㎝、ビンテージ5ポケットが23㎝。となる洗濯後はストレートフィットに近くなっていると考えられる。

(19) 水洗い前後(色落ち)
水洗い前後の色落ち具合。生デニムのくすんだ色の膜が落ちて一気に鮮やかな藍色になった感じだ。乾かした後裏返しから元に戻す前にセルビッジ(ミミ)部分が両側に開いているか確認。もし閉じていたらアイロンで癖付けして再び開く。そうするとアウトシームに綺麗なアタリが付くらしい。

(20) 水洗い前後(輪郭)
アウトシーム側から見たライン。股下が縮んだことで裾がブーツ第2アイレットから第5アイレット付近まで上がってきている。水洗い前のワイドレッグなシルエットと比べて水洗い後はストレートフィットに近い。多分理想は31-31インチなのだろうが生憎レングスは2インチ刻みなので致し方ない。

(21) 水洗い前後(全体)
水洗い前と後の同じコーデで比較してみる。まず目立つのが股下の縮み。短靴に履き替えたらソックスが見えるくらいに縮んでいる。それとワタリ幅や太もも幅も結構縮んでいるようでシルエットもリラックスフィットからストレートフィットに近づいている。あとは色の違いも一目瞭然だ。

(22) サスペンダー
カーディガンの下から覗くサスペンダー。せっかくRRLらしい外付けボタンが付いているので使わない手はない。それに昔取った杵柄、サスペンダーも沢山持っている。その中から選んだのは1990年代初めにNYのコーチブティックで購入したビンテージもの。良質なグローブレザーを使った逸品だ。

防縮加工済のリジッドデニムが一体どれだけ縮むのか調べてみるとLeeではウェストで4㎝前後、股下で5~6㎝縮むとある。本家リーバイスでは防縮加工の効いた505でもリジッドの場合最大3%縮むとある。一方国産の老舗「ビッグジョン」も防縮加工済といえどリジッドの場合3%程度縮むとのこと。

どうやら洗うと縮むのは綿製品の宿命らしい。吸水性の良い綿は水分を含んで膨張し乾かす際に収縮する性質があるとのこと。特に乾燥機などで急速に乾かすと極端に縮むそうだ。そういえば昔チャンピオンのリバースウィーブパーカーを乾燥機にかけたら着丈が一気に短くなって焦ったことがある。

さて今回初洗いを終えた限定デニムだが、秋が来たら信州の田舎で本格的に下ろした様子を再度ブログで紹介してみたい。

By Jun@Room Style Store