キャップに凝る | Room Style Store

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2023/07/09 15:47


着こなしに重宝する小物として注目株のキャップ。バイザー(ひさし)が一部に付いた野球帽タイプからひさしのないニット帽タイプまでバリエーションは広い。ブリム(つば)が全周に付くハットより気軽に被れることもあってラグジュアリーブランドからスポーツアパレルまでどれを選べばよいか迷うほどだ。

中でも「こなれ感」を演出するベースボール(トラッカー)キャップの人気は高い。なるほどいつものデニム&スウェットからフォーマルなジャケットスタイルまでお気に入りのキャップと合わせるだけで雰囲気ががらりと変わる。どんな料理も「一振り」するだけでランクアップするマジックソルトのようだ。

そこで今回は最近凝っているキャップについて書いてみようと思う。

※扉は増殖中のキャップ

〜春夏もの〜
《 懐かしのアポロキャップ》
(1) マドラスジャケットと…
まずは懐かしのアポロキャップから。1969年のアポロ宇宙船で地球に生還した乗組員がセレモニーで被っていたことから当時日本で大人気になったものだ。オリジナルは米海軍用だとか。因みにアポロキャップは和製英語…Apollo Capと打って検索しても日本語のサイトに辿り着いてしまう。

(2) スナップバック
汗がこもりにくいメッシュのクラウンが特徴のトラッカーキャップ。トラックの運転手御用達という説とトラクター使いの農夫専用という説がある。高い通気性を誇るパナマハット以上の快適さが写真から想像つくだろう。ワンサイズなので後ろのスナップバックで調節して頭にフィットさせる。

(3) リバイバル
バイザー部分はデニム地に月桂樹の葉を模したフェルト地を縫い付けたもの。当時のアポロキャップは刺繍だったので雰囲気がやや違う。前面のパッチはアメリカの国鳥ワシに稲光とロゴとの組み合わせ。見た目は”ダサい”と言われがちなおじさん趣味のアポロキャップもRRLだと見栄えよし。

【参考資料①】
リアルなアポロキャップを検索して辿り着いたブログに載っていた当時のオリジナルもの。最後の月面有人飛行となったアポロ17号の生還記念に発売されたものか。実際はその後18,19号の計画もあったようだが予算削減で中止になっている。帽体はネイビーではなくブラックのようだ。

《パッチマドラス》
(4) カジュアルダウン

サマーキャップの代表格といえばマドラス素材、中でもパッチマドラスの「抜け感」がいい。シップスやハリウッドランチマーケット、ベースボールキャップの老舗ニューエラでもリリースしているがラルフのポロポニー刺繍入りが人気のようだ。写真はポニーの代わりにロゴ入りのタイプ。

(5) レザーアジャスター
スナップバックからアップグレードしたレザーアジャスター。ベルトの先端をクラウンの縁に入れられるようスロットを設ける一手間が良い。リネンスーツにパナマ帽なら足元も茶白のコンビ靴が相応しいがパッチマドラスのキャップならキャンバススニーカーで締めくくれそうだ。

(6) バイザーの長さ
バイザー(ひさし)の長さは「顔の輪郭」に合わせると良いらしい。因みに①丸顔にはトップやバイザーが丸いタイプを②面長にはバイザーが広いタイプを③逆三角形にはバイザーが狭いタイプを④四角形には広めのバイザー広めでストレートタイプを…とあるが最後は好みの問題か。

《デニムキャップ》
(7) インディゴブルー
こちらは今季春夏もの…デニム使いのトラッカーキャップについ食指が動く。なにしろ最近は田舎暮らしばかり、ショップに行ってもドレス売り場は素通りでカジュアルものばかり物色している。買いたてのトラッカーキャップを1990年ものの古ぼけたトラッカージャケットと合わせてみた。

(8) 売り切れか…
つい最近までオンラインショップにアップされていたのに見当たらない。ということは早々とソールドアウトになったかもしれない。当ブログの過去記事「2023年春夏もの」でもふれたギフト券を使って久々に定価で買ったもの。洗濯するうちにいい具合に色落ちしていくのが楽しみだ。

(9) フロントパッチ
キャップ前面のロゴパッチ。ワンサイズキャップはフィッティングを気にする必要がないので専らデザインがチェックポイント。ありそうで他のブランドとは一味違うRRLのキャップはついつい買い足してしまう。野球ファンの中にはキャップをフルコンプする強者コレクターもいるとか。

【参考資料②】
定番ニューエラ
ベースボールキャップで検索するとヒットするニューエラ。NYでMLBキャップの取扱や独占製造販売を行う帽子製造会社のようだ。写真はビームス別注品でフラットバイザーの59FIFTYと同じフォルムながらスナップバック付きの9FIFTY。流石はビームス、パッチマドラス仕様に脱帽だ。

《レザーキャップ》
(10) ゴージャスなキャップ
こちらはオールレザーのキャップ。ヌメ革のような色合いとソフトな素材感が写真からも伝わる。バイザーは同じレザーのサンドイッチとゴージャスな仕上がり。スーツのロールスロイス、チェスターバリーのスーツに外しでキャップを合わせるならこれくらい上質なものが相応しい。

(11) アジャスター部分
「レンゲ」と呼ばれクラウンを構成するパーツ(ハギ)は通常6枚だがこちらは5枚で構成されている。バイザーは手持ちの中で一番カーブがきつい。アジャスターは2連のスナップボタンで3段階のサイズ調整が可能。ベージュの色合いは春夏向きだが革素材ということで一年中被れる。

【参考資料③】
スナップボタン
スナップボタンのロゴには「エルメス」の文字が…。かれこれ20年は立つだろうか、珍しく日本国内で購入。確か数寄屋橋のエルメス銀座店だったと思う。経年変化で色が濃くなったり内側が汚れたりしてはいるが今も現役、カジュアルからドレスまでどんな服や靴にも合わせやすい。

(12) 天ボタンとHマーク
キャップの前面に刺繍されたイニシャルH。ルイヴィトンのLVやグッチのGGなど誰にでも分かる派手さはないがエルメスユーザーならば見逃さない。クラウントップに付く天ボタンも同じ革素材で包まれている。何やらシープスキンのようだが素材タグを見たらなんとカーフとのこと。

〜秋冬もの〜
《ツイードキャップ》
(13) 素材感
さてここからは秋冬もの。最初は上着用のウール生地で作ったキャップ。クラウンは浅くバイザーは小ぶりで最初からカーブしている。因みに秋冬ものの場合ライナーや耳当付きなどバリエーションは更に広がる。マックスマーラのカシミヤキャップなんてレディスもので値は張るが最高だ。

(14) 共布アジャスター
レンゲ(ハギ)はオーソドックスな6枚で構成、天ボタンは勿論はアジャスターベルトも共布で作られている。サイズ調整用のバックルはベルトを挟んで留めるタイプ。英国の老舗ロック&Coではよく似たウールチェックのキャップを用意しているがサイズは1㎝刻みで215£と高級だ。

(15) シェットランドツイード
素材はアブラハムムーン社のシェットランドツィード。シップスが国内の帽子メーカーに作らせたものだ。シェットランド島の羊は小型で高品質な羊毛を産出するとのこと。採れた羊毛で織られたツィードは他と異なり柔らかいのが特徴だとか。確かにキャップ向きの素材かもしれない。

【参考資料③】
英国老舗Lock&Coのウールキャップ
こちらは英国の名店Lock&Coオフィシャルサイトのウールキャップ。6枚パネルで仕上げたクラウンロゴなしのシンプルなデザインはカジュアルキャップとはいえ英国の老舗らしくほのかにフォーマルな雰囲気が漂う。素材はブリティッシュウールとあるが多分シェットランドツィードだろう。

(16) 英国製のキャップ
こちらはMade in Englandの野球帽。カーブのきつい小ぶりなバイザーと大きめのクラウンはアメリカのそれとは少々異なる。素材は表地がウール100%でバイザー部分はコットン100%。裏地はコットンとポリエステルの混紡。キャップのベース色に合わせて黒パーカとライダースを用意。

(17) ベルト通し
アジャスター部分のバックルはシップスのシェットランドツイードキャップと同じ挟み込みタイプ。ベルトを差し込むスロットが開いている。春夏物で紹介したポロのパッチマドラスキャップと同じ仕様だ。天ボタンはチェック柄ではなくバイザーと同じ黒無地のコットンで包んでいる。

(18) オルダーニーUK
製造元は英国のAlderney。スコットランドはガンジー島にあるファクトリーブランドとのこと。元々ガンジーセーターなどニット類で好評だが最近はワークキャップや小物作りにも力を入れているとある。残念ながらオフィシャルサイトは見あたらなかったが他のアイテムも見てみたい。

《フェルトキャップ》
(19) ネイビーフェルト
秋冬ものらしい起毛感のあるウールフェルトのキャップ。大き目のバイザーと末広がりなクラウンが印象的だ。前面の金モールワッペンは月桂樹に地球儀と鷲がデザインされたもの。アメリカ海兵隊の紋章に似ている。因みに海兵隊は海軍の監督下ということでPコートと合わせてみた。

(20) アイレット
クラウンのパネルに配された空気穴。頭部の蒸れを逃すためだと思っていたら他にも被った時にクラウン内の空気が出ていくことで頭にフィットする機能があるとのこと…なるほど納得の説明だ。因みにこの穴、紳士靴の羽根部分でお馴染みの「アイレット」或いは「ハトメ」と呼ぶとか。

(21) モール
金モールワッペンを扱うネームタグ会社のHPによれば製造はインドやパキスタンなど海外に依頼、全てハンドメイドとのこと。仕上がりも一つ一つ微妙に異なるとのこと。確かによく見ると地球儀の緯線が微妙に曲がっていて味がある。エンブレム好きのアイビー世代には堪らないディテールだ。

(22) イエローフェルト
同じウールフェルト素材ながらこちらは鮮やかなレモンイエロー。同系色のダウンジャケットに合うかも…とイメージして購入。実物同士の組み合わせは思ったより良い感じだ。写真はカウチンベストを着込んでいるが氷点下の信州といえどもダウンの前ボタンは留めない方が無難だろう。

(23) フィット
写真はレザーのアジャスターベルトを一番きつく締めてみたところ。クラウンの後頭部が余っている。因みにワンサイズのキャップを一番絞っても緩い時はどうするか…調べるとクラウン内側のスベリ(額や側頭部など頭と接する部分)を捲ってサイズ調節テープを貼ると良いらしい。

(24) パッチ
キャップを印象付けるフロント部分。パッチにはUNION OF BROTHERHOODとある。調べてみたら同じ名前でインスタグラムのアカウントに辿り着いた。どうやらRRL表参道のディスプレイや商品、着こなしなどを紹介しているようだ。如何にもRRLワールドな世界が広がっていた。

帽子の中でもベースボール(トラッカー)タイプのキャップが人気なのは気軽さに加えて薄着になる春夏コーデに1点追加で「格上げ」する効果があるからとのこと。それに夏の日差しだと「被りもののあるなし」で頭部の温度が10℃以上違うらしい。ハットより扱いの楽なキャップを手にして外出するのも納得だ。

一方色については紫外線を防ぐ効果のあるブラック系を薦めるファッションサイトや日光を反射するホワイト系を推す医療系サイトで意見が分かれている。またバイザーについてもフラットなタイプは「自分好みに曲げる」という声も多い。老舗のニューエラでは「バイザーカーブ」の名で治具まで売っている。

せっかくなので話題のニューエラをネットで注文。色は黒でも白でもないが届いたら治具を使わずバイザーを好みのカーブにしてみようと思う。詳細は近いうちにブログで紹介予定。気に入れば夏の海外旅行に被って行くのも悪くない。

By Jun@Room Style Store