コロナ後の海外旅行(その2) | Room Style Store

Blog

2023/07/30 17:30


実は今回の欧州旅行はパリ行き直行便が満席だったため最初に計画を変更している。当初はパリINで旅の最後にジョンロブで完成した靴の履き心地を確認、翌日にはロンドンOUTを予定していたはずが世の中ままならないもの。結局最初と最後をロンドンで過ごすことになった。

本音は「飛び恥」と言われる欧州フライトを使って無理やり当日パリINをとも考えたがそうすると往復飛行機に乗ることになる。環境負荷の少ない鉄道を使うことこそ旅好きの心意気、結局旅の序盤はおとなしく過ごしてセントパンクラス駅から鉄道でパリに入ることにした。

そこで今回はパリ到着後からアパート暮らしの様子を紹介しようと思う。

※写真はユーロスターの着くパリ北駅

(1) アパートの扉(滞在1日目)
通りに面したアパートの入り口。旅行客が出入りするなんて誰も思わないだろう。電磁ロックのこの扉を開けるのは暗証番号だが部屋用の鍵が別途必要。受取場所に出向くも担当者がバカンスに出たので分からないと宣う…ホテル滞在では起こりえないトラブルに出鼻を挫かれてしまった。

(2) 室内
紆余曲折を経てようやく入室。部屋はシンプルだがロンドンの貸アパートより調理器具や皿が足りず。予約サイトの写真だけじゃ使い勝手は見えてこない…とはいえ洗濯機や乾燥機は最新、1週間以上の滞在には心強い味方だ。オーナーの趣味で部屋はオフホワイトに統一されている。

(3) 近場のビストロ(その1)
〜前菜〜
パリ初日の夕食はアパートの隣にあるビストロで…まるで食と宿がセットのオーベルジュみたいだ。前菜と主菜を選ぶコースにスパークリングワインをボトルで注文、早速祝杯をあげた。前菜のスモークサーモンはソフトで絶妙の塩加減、鍵の受取で疲れた心を癒してくれる。

(4) 近場のビストロ(その2)
〜主菜〜
主菜のタルタルステーキ。初日から生肉はリスクが高いかと思ったが繁盛している店だけにシェフを信頼してトライ。タルタルステーキは店毎に味が違うがこちらはコリアンダー(パクチー)入りのエキゾチックなテイスト。香菜が主張し過ぎて肉の味が伝わりにくい気がした。

(5) 早朝のパリ(滞在2日目)
ロンドン到着から数えて3日経ったが時差ボケは解消せず…ならばと早朝6時半にアパートを出た。夜明けのパリは人通りもなく昼間と全く違う。写真は近所の教会と夜明け直後の空の様子。散歩を楽しみながら目指したのは朝6時45分に開店するという近所の名物パン屋だ。

(6) Jean Noel Julien
ブーランジェリー兼パティスリーのジャン•ノエル•ジュリエンに到着。お洒落な店構えから漂う焼きたてのパンの香り…朝から心がソワソワしてくる。ボンジュールの挨拶で店内に入ると目の前に並ぶ美味しそうなパンの数々。奥にはこじんまりとしたイートインコーナーも用意されている。

(7) 焼き立てのパン(その1)
クロワッサンにパン•オ•ショコラやショソン•オ•ポムとパン•オ•レザンなど…日本でもお馴染みの品揃えはヴィエノワズリー(ウイーン風のパン)と呼ばれるタイプ。日本にはウイーン発デンマーク経由でよく似たパンが入ってきたのでデニッシュの名の方が知れ渡っているとか。

(8) 焼き立てのパン(その2)
ブーランジェリーの代表的なパンといえばバゲットだが甘い味付けのヴィエノワズリーは本来パティシエの仕事だったらしい。ブーランジェリーとパティスリーどちらも看板を掲げるには国の許可が必要で特にパティシエ(男)やパティシエール(女)の資格取得には期間がかかるそうだ。

(9) テイクアウトしたパン類
テイクアウトしたパンを並べてみた図。パンオショコラとパンオレザンにショソンオポムと日本でも定番の品揃えに文字通りの紅一点がプラリネロゼをコンカッセ(砕いたもの)したトッピングのパン。バターをたっぷり使ったパイ生地はボリューム満点、一つで満足しそうだ。

(10) エスプレッソマシーン
ネスプレッソ似のマシーンとカプセル。スーパーでも安いカプセルがずらり並んでいた。しかも味は本格的なエスプレッソとくればわざわざ高いネスプレッソを買うこともなかろう。奥のケトルで日本から持参の一杯淹れのドリップコーヒーと交互でコーヒーを楽しんでいる。

【ルーブル美術館】
(11) ミロのヴィーナス
数十年ぶりのルーブル美術館。予約済でスムーズに入館できたが中が広くて中々見たい作品に辿り着けない。ナビタイムのような誘導アプリが欲しくなる。写真はルーブル屈指の人気展示物ミロのヴィーナス。因みにミロは作者名ではなく発見場所のミロス島を指すので勘違いしてはいけない。

(12) サモトラケのニケ
こちらも多くの人が記念撮影するサモトラケのニケ。ヘレニズム(古代ギリシャ風)期の作品でミロ同様エーゲ海のサモトラケ島で発見されている。ニケとは勝利の女神であり英語読みはナイキ…そうあのナイキシューズの社名の元だ。大階段の途中に上手く展示されている。

(13) モナリザ
ルーブル美術館で最も人気の展示物といえばダヴィンチのモナリザ。ここだけは並んで順番待ち、しばらく見ていると退場を促されるほど。40年前に訪れた時は間近でじっくり見られたのに時代は変わった。絵の印象も昔と違うがコロナ禍で閉館期間中に修復が行われたらしい。

(14) 民衆を導く自由の女神
ルーブルで見逃せない絵画といえば「民衆を導く自由の女神」、ドラクロワの作品だ。フランス国旗を手にする女性はフランス共和国を象徴するマリアンヌの姿の代表例、フランス国王シャルル10世を倒した1830年7月革命がテーマとのこと。世界史で習った言葉が次々と出てくる。

(15) 豪快なステークフリット
ルーブルからフランクリンルーズベルト駅へ。第二次世界大戦でパリ解放に尽力したアメリカの功績を讃えてマルブッフ駅から改名された駅だ。お目当てはステークフリットの名店。人数分の料理を一皿に豪快に持ったプレートは下に燃料が灯っていて温かいまま食べられる。


(16) 凱旋門を望む
横断歩道の真ん中で待つ間に凱旋門を撮影。この先はジョルジョサンク駅、ルイヴィトンなどラグジュアリーブランドやフランス靴の名門ウェストンの本店もある。いつもならウェストンにでも…と思うところだが今回はパス。再び地下鉄に乗って一旦アパートに戻った。

(17) オテルドヴィルへ
アパートで休息したら地下鉄に乗ってオテルドヴィルへ。駅前にはパリ市庁舎やギャラリーラフィイエット系のホームセンターもある。調べたらオテルとは壮麗な公共施設のことを指すとある。なるほど確かに市庁舎はとても立派だ。因みに地下鉄の乗車はロンドン同様カードでとても便利。

【参考資料①】
〜ナヴィゴ〜
こちらがロンドンのオイスターに対抗するナヴィゴ。今までのカルネ(10回券)をチャージできる。一度コンコルド駅の通路で客を待たせ一人一人正しく乗っているかチェックする場に出会した。昔は平気で改札口を跨いで行く光景を見たが今も無賃乗車をする行為が後を絶たないのだろうか。

(18) お目当ての店
さて今回の旅行で行きたかった店がこちらのアナトミカパリ。オテルドヴィルから歩いてほどないマレ地区に店を構える。日本にも東京や札幌に店があるが別組織。品揃えが違うとはパーマネントスタイル主宰サイモンクロンプトンの弁。白眉はアナトミカ別注のオールデンだ。

(19) オールデンbyアナトミカ
アナトミカのオールデンといえば矯正靴用のモディファイドラストで作られているのが特徴。熱烈なファンがいると聞く。モディファイドのVチップは音楽家の松任谷さんお気に入り、自分も30年以上前に買って履いていた。因みに写真のローファーはヴァンラストとのこと。

(20) モディファイドラストの魅力
こちらがモディファイドラストの靴。上段がコードバンで下段にカーフが並ぶ。サイズ切れも多くかといってリクエストを出しても納品が2~3年先とのこと。売れ筋なのに取扱量が少ないのはショップとしても辛いところだろう。そんな話を聞きながら計測器で採寸してもらった。

アパート生活が始まると今までの旅行とは行動パターンが違ってくる。夜明け前に焼きたてのパンを買いに行ったり早朝オープンのカルフールに立ち寄ったり…まるでパリ暮らしを擬似体験しているかのようだ。高級ブティックや洒落た店に行く気が起きなくなるのも頷ける。

パリ在住のSNS仲間からはウェストンやジョンロブのセール話を聞いた。フランスの2023年GDP成長率は0.3%と日本の1.3%より低い。ロンドンでも感じたが経験のない物価高に消費マインドが冷え込んでいると大和総研は伝えている。老舗靴屋がセールを打つのも納得だ。

さて滅多にないチャンスとウエストンに顔を出すのも良いがアナトミカに行ってオーナーのピエールに会いたい気もする。靴好きとしては久々に血が騒ぐ。

By Jun@ Room Style Store