パリ滞在最終章 | Room Style Store

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2023/09/02 08:39


写真は朝焼けのパリ。8日間のアパート暮らしもいよいよ終盤。この日は早朝の長距離バスに乗ってモン•サン•ミシェルに向かうところだ。アクセスが悪いことで有名な観光地だけに往復9時間バスに乗ってでも訪れたいという日本人観光客のためにバスツアーがほぼ毎日運行されている。

かくいう自分もこのツアーに参加するのは今度でなんと3回目。友人や家族など初参加の人に付き添ううちにリピーターとなっていた。車でノルマンディーからブルターニュへ…と思うが実現できずにいる。肝心のツアーは日系旅行代理店だけに出発も到着も予定どおりと見事な采配だ。

そこで今回はパリ滞在最終章を紹介しようと思う。

※扉写真は朝早いパリの街並み

(1) 近所のブーランジェリー
アパート近くで発見した別のパン屋。カフェレストランの一角に店を構えているので今まで気付かず通り過ぎていた。ショソン(スリッパの意)オポムと違いこちらのリンゴパイは真四角。なんて言うか迷っていたら英語で「アップルパイ」と店員が助け舟を出す。いつものようにあれこれ買ってアパートに戻った。

(2) 焼きたてのクロワッサン
写真は本場パリのクロワッサン。帰国後近所で評判の店のものと比べたが日本のクロワッサンはバターの量が少なすぎる。パリだと持ち帰り用の紙袋にバターが染みているのが写真から分かるだろう。手で千切るとべたべたするほど…それに原料の小麦も本場パリのものはミネラルが少なくグルテンが多いとか。

(3) 早朝のカルフール
こちらは早朝のカルフールに並ぶフルーツ。まるで市場のようだ。日本でいえば都内で24時間営業する西友が近い感じだがカルフールはアパートの近くだけで2軒もある。西友が駅前や幹線道路上にしかないのと比べて地域密着型の店舗展開をしている。正にパリのセブンイレブン的存在だった。

(4) 爪楊枝
日帰りとはいえ長旅のモン•サン•ミシェル観光はバス内で朝食をとる客も多い。ここはひとつ自炊の強みを生かしてハンバーガーに挑戦。間に挟む肉(パティ)もパティを挟むパン(バンズ)もすぐに発見。だが真ん中で留める串(爪楊枝)が見つからない。方々探してようやく発見。流石カルフール…中々やるな。

(5) バスに乗り込む
集合場所のギャラリーラファイエットに到着。予め添乗員が席を割り振っているかと思いきや「並んだ順にお好きな席へ…」とのこと。幸いまとまって席が取れたからよいものの旅行会社の対応は以前より素っ気ない。モン•サン•ミシェルツアー参加歴3回のリピーターだけに比較材料は豊富だ。

(6) モン・サン・ミシェルに到着
直近の村でバスを留めて昼食タイム。これが「美食大国フランスのランチか」と思うほどの出来栄え。多分フランスの「ピンキリ」のキリだろう。早々とランチを切り上げシャトルバスで島へ向かう。コロナ前以来4年ぶりの景色だが初モン•サン•ミシェルの家族は「ここでしか見られない風景」に感動していた。

【参考資料①】
〜入館チケット〜
こちらが島の上部にそびえる修道院の入場チケット。行きのバスで配られたものだが18歳未満の場合入場は無料だそうだ。入場する際はチケットを買う列を横目にファストトラックに並べばそれほど時間がかからず入館できる。こちらはパートナーシップ入場券ということで通常の11€よりお得なチケットだ。

(7) 尖塔内部
モン•サン•ミシェルの歴史は996年、ケルト人の聖地であった島に修道院を建てたのが始まり。カトリックの聖地として巡礼者が各地から集まり島が一つの町のようになったそうだ。百年戦争時は要塞として、フランス革命後は監獄として使われた後は荒廃してたものを1865年に復元して現在に至るとのこと。

(8) 回廊
ラ•メルヴェイユ(驚嘆)と呼ばれるモン•サン•ミシェル修道院の3階部分。ゴシック調の建物を順路に沿って歩いていくと目の前に広がる中庭は見どころの一つ。回廊を支える柱は2本ひと組だがよく見ると少しずつずれて配置されている。人並みが途絶えた時に撮影すれば旅の思い出となる一枚が完成。

(9) 大滑車
修道院の見どころがこの大滑車。ハムスターを飼ったことがあるならピンとくるはず。そう、中でハムスターが全力疾走してくるくる回す「回し車」だ。実際は囚人がこの中に入って大きな滑車を回して下から上まで荷物を引き揚げた…とある。この滑車がある部屋の横には丁寧に死者を弔う礼拝所まである。

(10) 天辺を仰ぐ
見学終了後外に出て島を見上げる。ラ•メルヴェイユの尖塔が微かに覗いていた。パリから280㎞の距離にあるこの島へはTGVで90分、更にバスで70分(1日にバス3便しかない)かかる。この行き方だと空いている午前中に島内観光ができるが列車やバスの遅延など予定通りに行かないリスクもある。

(11) 通りの混雑
ツアーバスが到着する昼時から一気に混む島唯一の通り。狭い路地なのにグランド•リュ(Grande Rue:大通り)と呼ばれるところが面白い。島を訪れる人は年間350万人、そのうち日本人は50万人とダントツのようだ。一日平均1万人の観光客が道に溢れて身動きが取れない状態が写真に映し出されている。

【参考資料②】
〜シャトルバス〜
前と後ろに運転席のあるシャトルバス。2013年当時は堤防で地続きになっていたおかげで観光バスが乗り入れていたが土砂が堆積して景観が損なわれることが問題となり2015年に堤防を撤去。潮の満ち引きを邪魔しない橋に付け替えるとともに島へは写真のシャトルバスで行くしか方法がなくなった。

(12) 干潟から望む
付け替えた橋とモン•サン•ミッシェル。この橋のおかげで満潮時に海に浮かぶ島の姿が復活、世界遺産に相応しい場所としてさらに人気スポットになったらしい。帰りは写真のように橋の上を村まで歩いて戻る人も多い。時々振り返って徐々に小さくなる島を見ながら村に戻るのも中々良いものだ。

《パリ最終日》
(13) パリ散策①
さて明日はいよいよロンドンへ向かう。パリらしい景色を満喫しようとまずはトロカデロ広場に…ここから見上げるエッフェルタワーは最高だ。多くの観光客がタワーを背景に自撮りするのも頷ける。直線と曲線が織りなす街並みやデザインされた景観と空間などいつ来ても時が経つのを忘れてしばし見入ってしまう。

(14) パリ散策②
続いて大定番の凱旋門。ここで12本の放射道路が一つに繋がるためか各方面から車が来てはぐるぐる回って思い思いの道へと散っていく。このラウンドアバウトを抜けるにはかなりの熟練度が必要らしい。世界に名だたる「ドライバー殺し」の難道路と書くブログもある。それにしてもパリの建造物はスケールが大きい。

(13) パリ散策③
凱旋門からシャンゼリゼ経由でフォーブルサントノーレ通りへ。エリゼ宮を過ぎると高級ブティックが並ぶショッピングゾーンに入る。一際目立つはずのエルメスだがなぜかこの日は通り過ぎてしまった。原因は外壁修理の覆いのせいか…ジョンロブパリに靴を注文していた頃は顔を出していたが今はご無沙汰だ。

【参考資料①】
エルメスで買い物
ジョンロブパリに出入りしていた頃の名残り。当時はチーフやスカーフ、革ベルトにスニーカー、時には布製バッグや男性用革鞄の最高峰サックアデペッシュを買うなど随分散財した。写真はエルメス名物リバーシブルベルト。エルメスは古くなっても味があるのが良い。右奥のベルトなんて35年も前のものだ。

(14) パリ散策④
マドレーヌ広場のポロショップを再訪。当時はポロポニーのマークが掲げられていた軒もCIでラルフローレンに統一されていた。その昔洒落たイタリア製の女性用クラッチバッグをここで買ったことを思い出す。1992年だから今から31年も前の話…同じ頃通った銀座のポロショップが今はないことを思えば感慨深い。

【参考資料②】
ラルフローレンで買い物
こちらがマドレーヌ店で購入したラフルローレンのクラッチ兼ショルダーバッグ。ストラップを外せばクラッチとして夜会用に最適な大きさになる。表は柔らかなカーフにポロクレストのエンボス、裏側もアルカンタラ(人工皮革)ではなく本革を用いるなど当時のイタリア製のクオリティが感じられる。

《最後の晩餐》
(15) レストランKozo
パリ最後の夜はここ…と決めて予約しておいたレストランKozo。名前から分かるように日本人のシェフが切り盛りする店だ。アパートのすぐ隣にあるので着いた日から目星を付けておいた。オーナーシェフの名前は牧田幸三さん、スターシェフに師事しクラシックなフランス料理に日本らしさの表現を探求している。

(16) アミューズ
ディナーは5品のコースに4グラス(シャンパン+3ワイン)ペアリングを追加で注文。シェフ自ら料理とのマリアージュを考えて飲み物を選んでいるそう。アミューズは懐石料理をイメージした盛り付け。右端はイカの天ぷらにイカ墨のソースを垂らしている。久しぶりの和テイストとは嬉しい不意打ちだ。

(17) 前菜
チーズとエビとトマトの冷製スープ仕立て。中央はなんと素麺が盛られている。スープ自体の味はあくまでフレンチだが日本を思わせる食感が懐かしい。残念だったのがシャンパンの冷えが足りなかったこと。ソムリエも分かっていたようで「失敗した」という顔をしていた。開店前の準備は基本中の基本だ。

(18) 魚料理
前菜のサーモンはパリ到着初日の夕食でも味わった。フランス料理ではポピュラーなようだ。細く切った野菜はヌードル風。レアな食感のスモークサーモンに乗っているのは「いくら」だ。パリでは日本料理屋には行くこともなかったが「帰国したら寿司を食べたいな」なんて思ってしまう味だった。

(19) 肉料理
メインの仔牛肉。ソースに絡めずとも肉自体に絶妙な塩味が付いている。もちろんソースに絡めて複雑な味を楽しむもよし、提供された赤ワインとの相性を楽しむもよし。付け合わせの野菜も一つ一つ丁寧に仕上げられている。主菜だけあってコース料理のハイライトに相応しいものだった。

(20) デザート
デザートはイチゴとマスカルポーネ。上にはイチゴのソルベを乗せて焼きメレンゲのスティック?で飾り付け。ピスタチオの実を細かく刻んだものを散らしてある。舌に甘味が残るうちに追加でエスプレッソを注文。最後にシェフと暫し歓談、コロナ禍の最中はデリバリーで凌ぎ日常再会を待っていたとのこと。

(21) デタックス申請書
前の日に荷造りを終え今回パリの北駅で申請するデタックス用紙をテーブルに乗せる。たった2通しかないがどちらもアナトミカパリで買ったオールデンのものだ。2019年の前回はヒースローで何通もハンコを押してもらう客が多くて「飛行機の出発時間に間に合うか…」と焦ったことを思い出す。

8日間のアパート暮らしは快適で部屋のファシリティは問題なかったがチェックイン時の鍵の受け取りでひと悶着あったのに加えチェックアウト時の鍵のリターンもSNSで指定された店舗に行ったらクローズ、結局歩いてアパートに戻り鍵を置いて戻るまで家族を長い間不安な状態で店の前で待たせてしまった。

躊躇なくレートは10点満点で最低の1点を付けたが自分以外にも最低点を付けたゲストがいた。やはり鍵を戻すべき電気店が閉まっていることに腹を立てたようだ。エージェントがこうした客の不満を真剣に受け止めずに放置しておくと次回のパリ訪問時はフラット(貸し部屋)として存在してないかもしれない。

他にもフランスでは残念なことがあった。街の安全度や快適度などではロンドンが格上なのも納得…そんな気分でパリを後にした。

By Jun@Room Style Store