ビンテージLevi’s②502編 | Room Style Store

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2021/05/30 19:53


GW中3日連続してジーンズショップに通い詰め、デッドストックの83年製赤耳501を2本ゲットしたところまでは既にブログで紹介した。ところが話には続きがあって、501の山のすぐ隣に更なるお宝が眠っていたのだ。それが今回紹介するLevi's502だ。リーバイスといえば501だが、ボタンフライが苦手な人もいる。確かにジッパーの方が楽なのは間違いない。

今回の502は501のジッパー版でその前身は1954年発売の501ZXXに遡る。1967年には新しく502のナンバーを与えられて販売された。だがシュリンクするデニムとジッパーの間で歪み出やすく1971年にはアメリカ本国で製造中止となった。そのため流通量が少なく希少価値が高い。1990年代のビンテージジーンズが流行した時は通の間で501より人気があったそうだ。

そこで今回はGW自粛生活の合間をぬってゲットしたお宝ビンテージストック品購入記の続編、Levi's502のディテールを中心にビンテージジーンズ考察アドバンス編を書いてみようと思う。

※扉写真は今回のビンテージストック3本


(1) 501との比較
左が502-W36で右が501-W31。502の方が5インチ大きいがあまり変わらない印象だ。ただウェストが大きい分レングスも502の方が長い。新古品なのに既に裾にはいい雰囲気のパッカリングとアタリが出ている。GW初日に80's501赤耳を2本も買って満足したのに502を見つけ、店員の「502は501より作りが細い…」という言葉に背中を押されてGW最終日のお代わりという結果になった。

(2) パッチ周辺
インディゴの青が色移りした502-0117の紙パッチ。83年製の501と比べると一段と古い印象を受ける。「W36表記だけど多分W34くらいだから…」と言われ、試着してみたらなるほど緩さは感じない。ワタリはゆとりがあるがエヴィスよりスマートだ。平置きで82㎝だからW32くらいだろうか。サイズ表記は目安、個体差もあるので衣類はやはり試着してみないとフィット感は分からない。


(3) フラッシャー周辺
502は本来501同様SHRINK-TO-FITだが、1971年本国で製造中止になった後も日本へは一度洗いをかけて輸出、フラッシャー上のSHRINK-TO-FITの部分にはPRE-SHRUNKのシールを貼って販売していた。リーバイ・ストラウス・ジャパンの設立は1982年だが既に1970年にはリーバイ・ストラウス日本支社がオフィスを開設、日本国内向けリーバイス商品の対応に当たっていたようだ。

(4) フラッシャー下の年号
フラッシャー下の年号は©️1966…66年から70年いっぱいまで使われていたもので、その後1982年に©1982(前回のブログ83年製501特集を参照されたい)に変更された。一般に66モデルと呼ばれるが、製品としては70年代の製品を指す。66モデルは前期と後期に分かれ境目は76年頃、見分け方はバックポケットの裏がシングルステッチかチェーンステッチかで分かれる。


(5) バックポケット裏
さっそくバックポケットの裏を見てみるとシングルステッチで縫われている。66前期の特徴だ。1970年前半はベルボトムジーンズが大流行していた頃で、ストレートフィットの501(や502)は時代遅れのシルエットだったのだろう。90年代日本でビンテージデニムがブームになった際66モデルの死に在庫(これをデッドストックと呼ぶ)が多数アメリカで買い付けられ日本に送られたそうだ。


(6) 赤タブ
赤タブはスモールe、66前期にあたる。公式には1971年にLEVI’SからLevi’sに変更されたとされているが実際はもう少し後だろう。内タグはなく1972年まで付くはずのスレーキ(ポケット内側の白生地)スタンプもない。日本向けの502のみプリシュランクで輸出していたためスタンプを押さなかったか押しても洗いで消えたのだろう。内タグは1973年からなので今回の502は1972年製と想像できる。


(7) ギャランティの年代
フラッシャーにステープラー留めされてるギャランティをそーっとめくってみると年号は100YEARS。先に紹介した83年製の501より一段と古い。主に1960年代の製品につけられていたようだが、その後70年代前半には110YEARSのギャランティに替わったようだ。ということはこの502は70年代前半までの製品に当たる。これらのことから総合すると1972年製とみて間違いないだろう。


(8) 堀越商会の広告
こちらはリーバイ・ストラウス日本支社設立前から並行輸入していたとされる堀越商会の広告(ネット上から拝借)。リバイスやジーンスラックスという言葉に時代を感じる。当時の値段は3,200円〜3,400円。大卒初任給が39,900円だからリバイスは月給の約10%…今に換算すると初任給21万円の10%で2万円…かなり高価だったようだ。店員によると当時は堀越商会から引いていたとのこと。


(9) シルエット
バックポケットの雰囲気はまさに66前期。これほど古いジーンズが街中のショップで売られていたことに感謝するしかない。実はGW中日にフラっと店に来たオーナーと話をする機会があった。昔話に花が咲いたが輸入元についてもっと聞いておけばよかった。昔の話を聞くのは楽しいが、ジーンズにまつわる話ならばなお面白かったに違いない。


(10) 16ボタンとリベット裏
ジーンズ内側をチェック。トップボタン裏の刻印は16。通称16ボタンは60年代に使われていた素材を用いて作られているものが多く、味わいのある縦落ちが期待できるとのこと。リベットも66モデルでよく見かけるタイプ。初日に買った501の83年製よりも更に10年近く前のリーバイス、しかも希少な502ということでかなりのお宝品だということになる。


(7) ジッパー
ジッパーはスコービル。裏側のU.S.Aがそそる。こうした細部をチェックしているうちに断片的だったビンテージリーバイスに対する知識が少しずつ整理された気がする。それにしてもビンテージリーバイスに造詣の深いファンのなんと多いことか。各々がインターネットで発信している情報を見るうちにアッと今に時間が過ぎたが、大いに助けられたことに感謝したい。


(8) 戦利品揃い踏み
今回手に入れたビンテージストックの501×2+502。最近は自粛続きで必需品はネット購入、会食もなかったためGWで街に出た嬉しさからかなり散在してしまった。そして気が付くと今回のお宝を含めクローゼットの中でジーンズが着実に領域を増やしている。昔「ジーンズは不良が履くもの。」と言われ反発した世代ゆえジーンズへの特別な思いが今もあるのだから致し方ない。


(18) 70年代のビンテージもの
同年代アイテムを探してみたがさすがに70年代の靴は見当たらない。服ではVANのブレザーくらい。ならばビンテージバイクブームのキング、カワサキZ11975年製を載せてみた。73年デビューだから再来年で50周年を迎えるZ1。輸出専用のため全車逆輸入で多くがアメリカからのものだ。最近はアメリカ国内でもタマ数が減り値段も急上昇とのこと。


(19) 70年代ビンテージもの
70年代のアイテムといえばギターがあった。当時はブーツカットのLeeにウェスタンブーツを履いて演奏していた。上のギターは77年購入のギブソンのES-335だが、製造年は1975年頃かそれより以前だろう。何しろ購入以前数年は店に眠っていたからだ。fホール内のシールはカラマズー工場製の証、1973~1974年製と思われる。

今回のコロナ過でリモートが普及し、世の中で「仕事用ファッション」や「外出用ファッション」はもとより「装うこと」への関心が薄れているという。そんな中で変化の激しいファストファッションから真に自分の好きなアイテムをじっくり購入するスローファッションへの変化も起きているようだ。アンケートによれば回答者の6割近くが古着やビンテージものを購入した経験があると答えている。

その動機は「一点もの」が最も多く、まさにファストファッションとは真逆の価値観を求めていることになる。しかも古着はファストファッションと価格面で競合し得る。リーズナブルな古着でお洒落を楽しんだ後、年代物のお宝に自分のお気に入りを見つけた時どうするか…中にはビンテージストックを極める人もいるに違いない。

その時が来るまで製造後50年を迎えようとする今回のLevi's502はまた時を重ね、新たなオーナーが現れるのを待つことになる。

By Jun@RoomStaff