2024/09/15 06:55

一泊だけの短期滞在だったが念願の宇和島訪問を終え翌朝は涼しいうちに宿を出た。国道381号線を南に進んで四万十川沿いに走り、目指すは高知だ。春にレンタカーで松山へと向かった道を逆に進むことになる。連日の猛暑だが山あいの道はひんやりしてエンジンは好調、警告ランプも点灯することなく軽快に駆け抜ける。
バイクの魅力は空気を肌で感じられる点。トンネル内の肌寒さや川を渡る時の涼しさ、照り付ける日差しの強さなどクーラーの効いた車内では決して味わえない。重心の低いハーレーはワインディングロードもお手のもの、最高の気分で岩間沈下橋に到着した。前回は3月末だったが夏を迎え山々はすっかり緑濃くなっている。
ということで今回はこの旅のハイライト、四万十川流域から高知・香川に至る道中を紹介しようと思う。
※扉写真は金刀比羅宮の参道から見た讃岐平野
(1) 再び四万十へ

絵になる展望台として有名な岩間沈下橋そばの無料休憩所から写真撮影。前回訪問した時の様子は当ブログ四国遊山(中巻)を参考にしてほしい。スマホ内の写真と比べると春よりだいぶ水かさが減っている。それに川の色もエメラルドから濃い緑に変わったようだ。季節の変化を同じ景色で見比べられる贅沢よ…。
(2) バイクと岩間沈下橋

休憩所からさらにバイクを走らせ沈下橋を渡って対岸で記念撮影。橋のたもとでは九州から来たライダーと暫し談笑。香川から高知を経てここ岩間沈下橋に辿り着いたそうだ。「昨日は金毘羅さんにお参りしてきました。階段きついですが良かったですよ〜」との事。互いに無事故を願いつつ別れた。
(3) 佐田の沈下橋

次に向かったのが岩間沈下橋より下流にある最長スパンの佐田沈下橋。ここは観光客も多くレンタカーで橋を渡るドライバーも結構多い。欄干がないので歩いて渡る観光客は車が通る度に端に寄るのが結構大変そうだ。その点バイクは幾分か気楽…往復しながら橋からの景観を存分に楽しめた。
(4) ひろめ市場に立ち寄り

四万十川の景観を楽しんだら自動車道で一気に高知を目指す。早めに宿についてバイクを停めたら荷物を預けていざ遅めの昼食へ。向かったのは前回と同じくひろめ市場だ。ランチタイムは過ぎていたが相変わらず大勢の客で賑わっている。恐らく殆どが観光客だろう。戻りカツオのタタキと地酒「久礼」を味わった。
(5) 琴電琴平駅

翌日も朝早く高知を出発、ことひら温泉を目指した。今宵は旅の最後に相応しい朝夕食付きの温泉旅館だ。高速を降りて給油したら程なくJR琴平駅に到着。午後のチェックインまで時間はたっぷりある。無料の駐輪所にバイクを停めて駅のコインロッカーに荷物を預けたら付近を散策開始。写真は琴電の琴平駅だ。
(6) 琴電

前回高松で撮影した様子は当ブログ四国遊山(上巻)に掲載したが琴平線は香川県の玄関口高松築港と琴平駅の間を約1時間で結んでいる。開業は1927年、当時は2階建ての駅舎が建設され上階にレストランも併設されていたそうだ。何ともハイカラだがきっと多くの観光客で賑わったに違いない。
(7) JR琴平駅

こちらはJRの琴平駅。明治22年に開業した有形登録文化財の歴史ある駅舎とのこと。なるほど立派な構えだ。コインロッカーも普通サイズだけでなくスーツケースが入る大型も用意されている。流石は人気の高いパワースポットだけのことはある。日本人観光客だけでなく訪日外国人もちらほら見かけた。
(8) 土讃線に乗る

今日のバイクはここ琴平駅まで…あとは出雲に続いて鉄旅を楽しむ番だ。JR琴平駅11時57分発の阿波池田行きに乗って向かうは秘境駅で名高い坪尻駅。列車本数が少ないので「行きはよいよい帰りは怖い」…とならぬよう戻りの列車も事前にチェックしたらいざ往復3時間40分のショートトリップへ出発進行。
(9) 秘境駅到着

到着した坪尻駅。左が乗ってきた列車。ワンマン列車なので運転手に切符を渡して下車…他に誰もいないと思ったがなんと4人も降りた。一日の平均乗降客数が2人(令和3年度)の駅だからこの日は既に上回っている。ここ何年も秘境駅が密かにブームだとか。通過待ちの普通列車を特急「南風」が追い抜いていった。
(10) 坪尻駅

元は信号所として開設されたが1950年に駅へと昇格した坪尻駅。1970年には無人化されて今に至る。山に囲まれた谷底にある駅は周りに家も道路もなし。遥か上を走る国道にはけもの道を20~30分登るしかない。全国秘境駅ランキング2023年度第4位にランクインされただけのことはある。秘境感も半端ない。
(11) 秘境感①

列車が去った後のホーム。右側が本線になる。琴平駅に戻るには駅から一旦バックして待避線に入り、勢いをつけ本線を上っていくことになる。木次線と同じくスイッチバックス方式の駅ゆえか鉄道ファンに人気がある。因みに我々二人の他に下車した一人は大学生でもう一人はなんと中学生…どちらも鉄道好きだった。
(12) 秘境感②

高知方面を望む。遠方左側がスイッチバックして進入する側線。通過列車は中央の線路をそのまま直進して(11)のトンネルに入る。線路を横切る通路から撮影したが脇には通過列車の時刻表がぶら下がっていた。停車する列車は少ないが香川と高知を結ぶだけに通過列車も多く、構内には注意喚起のミニ踏切も用意されている。
(13) 時刻表

こちらは待合室の時刻表。乗ってきた列車は右側の阿波池田行12時33分発。戻りは左側の13時52分多度津行だから1時間20分弱のんびり秘境駅で過ごせる。駅のベンチで景色を眺めつつコンビニ飯のランチを楽しんだら待合室を訪問。無人だが地元の人達の尽力でとても綺麗に保たれている。
(14) 記念スタンプ

せっかくなので記念スタンプを押して曜日を記入。スタンプの絵柄でも分かるようにここ坪尻駅は桜と紅葉の時期が一番写真映えする季節だ。普段は滅多に人も降りないが観光列車「四国まんなか千年ものがたり」が停車する金土日の3日間は普段静かな坪尻駅も大勢の客で賑わいをみせるとか。
(15) 二代目のスタンプ

スタンプ台の上には2枚のお知らせが…ひとつは平成20年に地元から寄贈された初代駅スタンプが平成22年に盗まれ二ヵ月後に青森県の津軽線中沢駅で発見されたというもの。もうひとつが平成30年に再び盗まれ今度は行方が分からずここで二代目のスタンプを設置したというもの。マニアによる窃盗だったらと思うとやるせない。
(16) 通過列車を撮る

ふと列車接近の合図がなり始め、急いでカメラを構えると高知方面から来た特急「南風」のラッピング列車が通過していった。絵柄はアンパンマン…確か原作者の故やなせたかしさんは高知県の出身だったはず。岡山と高知を結ぶ特急の車体にアンパンマンが描かれているのを喜んでいるのでは…と思う。
(17) 秘境駅とお別れ

1時間20分の秘境駅滞在はあっという間に終了。多度津行きの列車にのって振り出しの琴平駅に戻る時間だ。列車内は程よく混雑、来た時一緒だった中学生と大学生の二人も一緒に乗車した。僅かな時間だったが「袖触れ合うも多少の縁」、琴平駅で下車する際に「またどこかの秘境駅で会いしましょう」と言って別れた。
(18) 金刀比羅宮参拝へ

琴平駅で下車したらバイクで宿まで移動。チェックインしてひと心地着く。日が傾いた頃「金刀比羅宮」を目指して宿を出た。18時までの参拝時間に間に合うよう足早に進む。流石に人影はまばらだがパワースポットらしくどこを撮っても絵になる。金刀比羅宮までの階段数は785段だが思ったより楽だ。
(19) 夕暮れ

ところが徐々に階段数が増え角度も急になってきた。日中だったら暑くてバテてしまうだろう。日暮れ時に来て大正解だったが人の気配がなさすぎる。静まりかえった参道はなんだかスピリチュアルな雰囲気もただよう。映画「千と千尋の神隠し」を思い出した。眼下には琴平町と讃岐平野が見えている。
(20) 奥社へ行けず

785段を登り切って先に進もうとしたらなんと奥社への道は既に封鎖されていた。1,368段の階段を制覇できぬまま引き返すことになったがイノシシ出没の危険性があるのでしかたない。そういえばブームになった登山もクマやイノシシの出没で人気に陰りが出ているとか…再チャレンジを誓って下ることにした。
(21) 灯籠

中々味わいのある写真がこちら。明かりのついた灯篭が良い感じだ。仏教では邪気を払うと云われ、その後神社でも献灯に灯篭が使われるようになったという。特に神社の灯篭は神様の御加護を願う祈願の象徴でもあるらしい。右下に写っている時計を見ると5時45分、参道の閉門まであと15分しかない。
(23) 参道下へ

参道を下ると両脇の店はどこも店じまいの準備をしている。こちらは写真映えのする「こんぴら算額茶屋」。行きは営業していたのに戻って来たら既に閉まっていた。元は櫻屋という名の門前宿だったらしく二階の高欄に彫刻を施すなど凝った作りが見どころだ。国の有形登録文化財とのこと。茶屋とあるがお薦めはこんぴらうどんらしい。
(24) 今宵の宿

写真はバイク周遊旅の締めくくりとなる今宵の宿、敷島館。2004年に有形登録文化財として登録された旧敷島館の景観を守りつつ新たな湯宿として新築オープンしたもの。唐破風玄関や三階屋根の千鳥破風など古材を利用し、佇まいを可能な限り当時のまま再現した宿として人気が高い。
お盆間近にも拘らず観光客で混雑することもなくゆったりと四国を満喫できた旅の後半。因みに2023年の四国インバウンド状況を調べると新型コロナの感染拡大前の2019年度の95.3%まで回復したようだ。とはいえ京都など訪日外国人が多数押し寄せる観光地と比べるとまだプラスには転じていない。
その理由として長引いたコロナ禍で受け入れ態勢が疲弊したり地元の受け入れマインドが整っていなかったりという声をNHK松山放送局のWEBニュースは伝えている。何より幅広い業界から「四国の発信力」が課題として挙がっており、その解決には「オール四国」での取り組みが必要と結んでいる。
前回は飛行機と車、今回は船とバイク、時々列車を利用して四国巡りを満喫してきた。残りは歩き…近い将来お遍路さんに挑戦するのも悪くないと思い始めている。
By Jun@Room Sryle Store