中国•四国周遊バイク旅⑤ | Room Style Store

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2024/09/29 10:04


前回まで4回にわたって紹介してきた中国•四国周遊バイク旅も最終回。それにしても九泊十日の長旅は海外旅行を除けば久々だ。昔はカニ族よろしく大きなリュック一つで九州を一周したりミツバチ族になってバイクで北から南を駆け巡ったりしたことだってある。ところが海外旅行に目覚めるといつの間にか国内旅行から縁遠くなっていった。

そんな状況を一変させたのがコロナウィルスのパンデミックだった。渡航制限もあって日本各地を旅したらこれが楽しいのなんの、一気に国内旅行派に返り咲いた感じだ。緊急事態が収束した2023年は久々にイギリスとフランスを旅したが正直昔ほど楽しく感じられなかった。歳を取ったせいもあるが日本の魅力を再発見したのが一番の理由だ。

そこで今年の夏は国内のバイク旅を計画。どうせなら未踏県を…と調べてみた。カニ族やミツバチ族時代にほぼ回ったが兵庫から先の山陰地方が空白地帯と判明。東京からは鳥取まで660㌖ある。自走は流石にきついのでフェリーでバイク共々近場に運んで貰ったらこれが大正解。疲労度が全然違う。お陰で最終地に余裕で辿り着くことができた。

何はともあれまもなくフィナーレ、最後の訪問地からフェリーで帰京するまでを紹介しようと思う。

※扉写真は琴平温泉「敷島館」の床の間

(1) 畳敷の床
廊下が畳敷きの敷島館。珍しいと思ったがインバウンド客には大好評のようだ。経営はドーミーインを展開する共立リゾート。日経Bizによれば天然温泉の大浴場をもつドーミーインは地元食材を使ったバイキング朝食が魅力とある。きっとこの敷島館も食事が充実しているに違いない。

(1) 夕食
まずは地元の香川ブルワリー「空海」を試してみる。小麦麦芽を50%以上使ったヴァイツェンタイプとのこと。香川県の善通寺は弘法大師空海の生誕地、その名を冠したビールがドイツ風というのも面白い。酸味とほのかな甘みが特徴とある。確かに苦みは少なくフルーティーだ。

(2) 日本酒
続いて日本酒へ。名前は濃藍(こいあい)。中口の爽やかな果実香となめらかな旨みが特徴。地元の酒米「オオセト」の良さを引き出した酒とある。国内旅行に出かけたら地元のビールや日本酒、ワインや焼酎を頼むのが楽しみの一つ。地産地消で地元経済を少しでもサポートできれば一石二鳥だ。

(3) 前菜
椀は鱧と順才の茶碗蒸し、下右がシャコの酢味噌和えで左がおくらと山葵の玉蜀黍(トウモロコシ)豆腐。旅の最後に相応しく手の込んだ料理が運ばれてくる。最近は和風旅館の食事処も畳敷きながら椅子と机が用意されているので助かる。畳に座布団を敷いて座るのも結構大変だからだ。

(4) お造り
おお〜上品な盛り付けのお造りが出てきた。左からカンパチとマグロにスズキと平貝。ホタテとよく似ているが平貝はシャキッとした歯応えがある。甘みはホタテの方が強いらしいが食感がいい。因みにスズキを漢字で書くと魚へんに盧と書く。恥ずかしながら読めずにスマホで検索してしまった…。

(5) 焼物
こちらは焼き物。甘鯛の幽庵焼きと海老黄味噌焼きに牛肉昆布巻きと丸十蜜煮が添えてある。丸十とはサツマイモの事…蜜煮といってもハチミツではなく水と砂糖にくちなしの実を加えて軽く炊いたものとか。仲居さんが説明してくれる際に聞けば良いのに…とも思うがつい遠慮してしまう。

(6) 台の物
いよいよ本日のメイン、黒毛和牛の麴出汁鍋とメニューにある。季節の野菜とうどんの入った鍋に肉を潜らせ手前の特製胡麻ダレでいただく。食べ応えのあるしゃぶしゃぶだ。琴平町と言えば前回のブログで紹介したこんぴらうどんが有名。確か大晦日も年越しうどんを食べるらしい。

(7) 帰路へ
翌朝は余裕をもって出発、少し早めにフェリー乗り場に付いた。行きは勝手が分からず何も買わずに乗船したが帰りは準備万端、ワインや日本酒。食料も買い込んでおいた。いや〜近くで見るとフェリーの大きいこと…客室の占める割合なんてわずか、ほとんどが車両スペースな気がする。

(8) トレーラーの搬入
フェリーに車を搬入するランプウェイがこちら。フェリーといえば船尾から車両を搬入する姿をイメージしていたが大型船は船の横から搬入することが多いようだ。大洗~苫小牧間のさんふらわぁはランプウェイを渡すのではなくなんと船体横のゲートが下に開いてそこから搬入するらしい。

(9) バイクの列
こちらが東京までのフェリーに乗るバイク。意外と多いのが小型車両。写真の黄色いカブは排気量が110ccなので高速には乗れないがことこと下道を走って各地を回るのだろうか…。炎天下で待つのも大変なのでクーラーの効いた待合室に避難。暫くすると乗船案内が入り、再びバイクへと戻った。

(10) 待合室
写真左の建物に見えるオーシャン東九フェリーの看板下が待合室。搬入案内を聞いてバイクに戻ったはいいが車がずらりと並んでいる。暫く待つようか…と思ったら行きと違ってバイクの方が先らしい!慌ててライダーがグローブを締めてヘルメットを被りエンジンをかけると直ぐに移動が始まった。

(11) 復路の船
復路は姉妹船のりつりん。行きと違って勝手が分かっているせいか電波を受信しやすい左舷の椅子でスマホ相手に時を過ごす。11時20分に出港してお台場到着は明日の午前6時、約18時間の船旅は退屈な時間を上手く過ごすのがポイント。デッキに出たり風呂に入ったり、船内を散歩して体を動かすのがコツだ。

(12) 2〜3名用船室
こちらは2~3名用の個室。右側の壁に畳んであるベッドを倒して2名分の寝床が完成する。3名で借りる時はマットが一枚余分にあるので床の余分なスペースに敷いて寝るというわけだ。実際3人で利用するとかなりきついと思う。行きは早めにベッドメイクをしたが帰りは寝るまでベッドを下ろさず広々と利用した。

(13) 冷蔵庫
冷蔵庫があるので乗船前に買い込んだ飲み物をしまっておくこともできる。後はテレビが1台あるがチャンネルはBS放送のみ。地上波が映らないのであまり利用しなかった。また船室にはトイレがない。用を足すには一旦部屋から外に出て共用トイレを利用しなくてはならないのが少々面倒だ。

(14) 日没
帰りの便は8月9日、夏とあって日没は遅い。日も暮れた午後7時頃のデッキの様子。立ち入り禁止区域の鉄格子から写真を撮っているので乗客は入れないスペースが映り込んでいる。如何にも涼しげで波の音が聞こえそうだが熱帯夜が続いていたこともあって海上も蒸し暑い。西の空に三日月が出ている。

(15) 朝食
18時間の長丁場もそろそろ終わり。下船前の朝食にスコーンを購入。しかしどう見てもスコーンにはほど遠い。他に目ぼしいものはないので仕方ないが朝食のメニューが貧弱過ぎる。一方お湯はいつでも使い放題、せめてと一杯淹れのコーヒーで目を覚ます。既に船は東京湾に入っているようだ。

(16) 東京港へ
やがて大きな橋の真下を通過。名前は東京ゲートブリッジだが恐竜が向かい合っているように見えることから恐竜橋の愛称で親しまれている。開通は2012年とかなり新しい。片側2車線の道路に加え都心側には歩道も設けられているとのこと。歩いて渡る気にはなれないが見晴らしは最高だろう。

(17) 恐竜橋を振り返る
あっという間に恐竜橋も遠ざかり間もなく接岸。接岸用のスクリューが回転し始めたのか今までと違う船の動きだ。船の前後に付いていてサイドクラスターと呼ばれるらしい。船が平行移動しながら徐々に桟橋に接近。最後は船から降りてきたロープをビット(桟橋にある大きなフック)に絡めて接岸が終了する。

(18) 商用フェリー
奥の桟橋にはNX(NipponExpress)のフェリーが移動中。東京と北海道、東京と九州、東京と瀬戸内を結ぶ日通の海運部門のようだ。船室の窓がないことからオーシャン東九フェリーのような個人利用ができるフェリーではなく商用だろう。近くて便利な東京港だがフェリーは徳島経由門司行きしかないのが残念。

(19) ランプウェイ
大型のランプウェイがフェリーに伸びてきた。折りたたまれた橋げたを伸ばしてしっかり固定するまで動画に収めたが当ブログでは動画サイトにアップロードしたものをリンクするしか閲覧方法がなさそうなので省略。何十トンもするトレーラーが通過するだけあって頑丈な鉄の板が降りてくる様は迫力がある。

(20) バイク置き場へ
ハンドルロックを解除してギアをローからニュートラルに戻す。車両を固定していたバンドは既に取り外されている。各ライダーは身支度を整え合図に備えている。やがて係員の合図で一斉にエンジンをかけ前から順に移動開始。このままエンジンチェックランプが点灯せず帰宅できるよう願って下船した。

バイク+フェリーの旅は現地まで自力走行する際の疲労を大幅に軽減してくれる。また今回の四国や北海道、或いは九州といった遠くまでバイクを走らせた場合タイヤやオイルの消耗にマシントラブルさえ考えられる。特に小排気量のバイクはメリットが大きい。ハンターカブで四国を回る二人組を見かけたがきっと存分に楽しんだことだろう。

中でも人気なのが前述した大洗~苫小牧の太平洋フェリー。大洗まで自走というのが面倒だが行きは17時間45分で北海道までバイク共々運んでくれる。意外なところでは神奈川の久里浜から千葉県は富津市の金谷を結ぶ東京湾フェリー。千葉方面へのツーリングにアクアラインの混雑を避けたいと思っているライダーにはお勧めかもしれない。

赤字路線の多いJR北海道は今後も駅や路線の廃止が目白押し。来年は何十年ぶりかで北海道バイク旅にするか。いや…その前に日本最後の未踏県、和歌山へのツーリングが先か。ただ名古屋までのフェリーはないので取り敢えず三重辺りまで列車で移動。そこからレンタルバイクが現実的か。最新のバイクに乗るというのも悪くはなさそうだ。

By Jun@Room Style Store