2025/04/14 15:46

四月は衣替えの季節。AIによれば今年はパステルピンクやオレンジ、ミントグリーンが流行るらしい。薄手の上着を手前に掛けて流行色の衣類を揃え、露出度の高い小物を用意する頃には桜の季節も終了…来週は早くも夏日が連続するとか。あと二週間もすれば半袖姿のクールビズが街中に溢れることになる。
進学や就職、異動やリタイアなど環境の変化と季節の変わり目が重なって昔から四月は何かと入用になるとか。特にこの時期は気温上昇と新生活の始まりでシャツの売上が伸びるという。こうした衣類に留まらずに中には退職記念に車の買替なんて例さえある。どうやら四月は人々の購買意欲が高まるらしい。
ともあれ今回は春の衣替えについて書いてみようと思う。
※扉写真は衣替えの様子
(1) 衣替えで用意したもの

まずは足下が華やぐ❶春色コットンソックスを準備。次に前開きボタンがTシャツとは一線を画す❷ヘンリーネックを購入。さらに赤青リボンが洒落たボーターハット❸と続く。緑の箱はデッドの❹リネンハンカチーフ。ヘンリーネック共々涼し気な白が気分だ。最後は丹念に磨いて復活させた❺シルバーの小物。
【参考資料】
~元祖春色ソックス~

写真はパステルカラーのアーガイルソックス。前回の当ブログ記事2025年履きたい靴(誂え編)で紹介した靴とのコーデ写真になる。元はアメリカ本国のブルックスブラザーズオンラインで購入したものだが製造は英国の名門パンセレラ。如何にも春を感じさせる色味で足元をお洒落に見せてくれる。
(2) ❶春色コットンソックス(その1)

定価は1足4,500円。値は張るがパンセレラの質の確かさは折り紙付きだ。輸入代理店の真下商事オンラインを覗くとSALE価格になっていたので50%OFFで購入。流石は代理店、ミントグリーンやバターイエローにライトブルーなど2025年春夏トレンドカラーがしっかりちりばめられている。
(3) 素材や作り

レスターに工場を構えるパンセレラはつま先の閉じかがり縫いで有名。手間のかかる行程だが滑らかな繋ぎ目に仕上がるそうな。2/3が海外に輸出されるなど紳士靴下界のマーケットリーダーとして評価が高い。春ものらしくエジプト綿85%にナイロンを15%加え通気性と耐久性を向上させている。
(4) ロイド別注との比較

ロイドフットウェア購入のパンセレラ別注(左:Mサイズ)と輸入元のパンセレラオリジナル(右:Sサイズ)との比較。ロイドはMのみの展開故か大きくて履けないという友人の声を聞いた。残念ながらロイドではサイズ展開の充実以前に今ある在庫限りでもう別注は受け付けてくれないとのことだった。
(5) 履いてみる

写真はチノパンとホワイトバックスのコンビ。ホワイトバックスにはイエローのソックスを合わせるのがアイビーのお約束らしい。とはいえベージュにイエローだとぼやけるので早速パンセレラを投入。淡色系の組み合わせにブリックソールの赤がピリリと引き締める。春らしい足元の完成だ。
(6) ❷ヘンリーネック

お次はボート競技の「ヘンリー・ロイヤル・レガッタ」に出場する選手のユニフォームが由来とされているヘンリーネック。長袖と半袖があるが長い期間着るなら半袖がお薦めだ。写真は打ち込みのしっかりとした天竺編みのCalcru(カルクルー)。名前からも分かるようにカリフォルニアクルーが語源とのこと。
(7) タグ

メーカー識別番号RN41253を調べると1968年創業のグラナイトニット社と判明。タグのMADE IN U.S.A.が示すように米国製を守り続ける企業だ。ブルックスブラザーズのシャツを作っていたガーランドも同じノースキャロライナ出身…さらに調べると同州内のロッキーマウント(地名)は米製造業トップ20に入る場所らしい。
(8) ジップパーカと合わせる

ヘンリーネックの見せ場は縦に3つ並んだボタン。上からボタン留めのワークシャツやジャケットを羽織ってしまうと見せ場がかすむだけでなくビジーに見えてしまう。そこで今年のトレンド色オレンジを纏ったジップアップフーディーの登場。ヘンリーネックをチラ見せするならジップパーカが一推しだ。
(9) 胸元

アメリカといえば世界第3位の綿花生産国。昔からコットンUSAの品質には定評がある。ネック部分は二本針バインダー仕様の頑丈な作り。前開き部分のボタンはヘインズのような白い2つ穴のネコ目ボタンではなく四ツ穴の練りボタン。しかもしっかりとクロス掛けしてある。全体的にタフな印象だ。
(10) ❸ボーターハット

ヘンリーネックでロイヤル・レガッタの話が出たついでに参観者が愛用するボーターハットもゲット。昔英国にひと夏滞在した時見かけたネイビーブレザー&クラブタイにボーターハットの紳士が今も印象に残っている。前から欲しいと思っていたが購買意欲が増すというAIの分析どおり四月に入ってポチってしまった。
(11) イタリー製

天然のストロー素材を使ったボーターハットを探すと選択肢は三つだった。まずは英国のロック。リボンが地味な黒で価格は44,000円。次にアメリカのステットソンとイタリーのソルバッティが共に赤青リボンテープのお洒落なタイプ。残念ながらステットソンは在庫切れということでイタリー製を購入。
(12) パイピングブレザー

パイピングが施されたブレザーはレガッタクラブの選手やOBが着るユニフォーム、ローイングブレザーとも呼ばれるそうな。白のメルトンブレザーにラベンダーのパイピングの超お洒落なブレザーもネット上で紹介されている。ユニフォーム姿の集合写真が実に格好良い。ネクタイは帽子のストライプに寄せてみた。
(13) ボートストライプブレザー

こちらはアメリカのブランド「ローイングブレザーズ」のクラブブレザー。地厚なボートストライプと呼ばれるウール生地で作られたジャケットは同ブランド最初期のもの。アメリカ製で本開きの本切羽になっている、ネクタイはレガッタストライプのブルーに寄せてみた。こちらもボーターハットとの相性良し。
(14) ❹リネンポケットスクェア

昔ロンドンのバーリントンアーケード一番奥に店を構えていた「アイリッシュリネンカンパニー」の女性用ポケットスクェアをデッドで発見。半ダースまとめて購入した。今も紳士用の6パックは買えるが43㎝×43㎝と大きい。その点こちらは28㎝×28㎝と小ぶり。胸ポケットが膨らまずに挿せるのが嬉しい。
(15) ハンドロール

手仕事が感じられるハンドロールヘムがチャームポイントのハンカチーフ。ポケットチーフの替りに胸ポケットに挿しておくだけでも徐々に汚れてくる。そんな時は①漂白剤に漬け置き②デリケート仕上げで洗濯機を回す。③脱水を終えたら④軽く干して⑤生乾きのうちにアイロンがけをするだけで新品のように蘇る。
(16) TVホールド

真っ新なリネンハンカチーフを四つ折りにしてヘムの重なった先端が外側に来るよう胸ポケットに入れる。元はテレビのキャスターが好んだ挿し方からTVホールドと名付けられたようだ。個人的にはイタリア仕立てのバルカポケットよりも直線的なサビルロウ仕立ての方が合う気がする。
(17) スリーピーク?

こちらは3ピークを上回る4ピークに畳んで挿した図。1990年代ポールスチュアートのカタログで紹介されていたのでNYトラッド愛好家には馴染みがあるのではないだろうか。リネンはハリとコシがある素材なので綺麗に畳んで挿すのが定石、柔らかな印象のパフスタイルやクラッシュなどはシルクのチーフが無難だ。
(18) ❺シルバーアクセサリー

最後は長年放置状態だったシルバー925のベルトバックルを磨いて復活。ついでにエルメスのシェーヌダンクルばりのエンジンターンドブレスレットも磨いてみた。そもそもエンジンターンドとは金属(ここではシルバー925)の表面に複雑で幾何学的なパターンを刻み込む手法を指すとのこと。
(19) バックルの裏側

上と右が新たに救出したもの。3個に増えたシルバーバックルに対してベルトが黒と茶の2本しかない。トーチュ(亀の甲型)の方はパープルルレーベルのベルトと一緒に販売されていたもの。裏返すとメイドインイタリーの刻印と☆や925のホールマークが彫られている。イタリアで登録された商品であることを物語っている。
(20) 締めてみる(黒ベルト)

黒の革ベルトを締める機会は多くないがそれがイタリアのスーツとだと尚更だ。イタリア=茶靴という図式が出来上がっているせいかもしれない。ならば…ということでフィレンツェはセミナーラの仕立てスーツに黒ベルトを合わせてみた。よく磨いたエンジンターンドバックルがチラチラ見えるのが良い。
(21) 締めてみる(茶ベルト)

今度は同じスーツにダークブラウンのベルトをイン。救出したトーチュ型のエンジンターンドバックルを付けている。AIによると茶靴は色が明るくなるほどカジュアルな印象が強いためスーツと合わせるならダークブラウンを推している。グレーでネイビーでも合うそうだ。ただしベルトの方が濃い色になるようにとのこと。
ところで衣替えの季節はクローゼットやタンスの中を整理して処分する絶好のタイミングだという。なるほど新しく揃えたぶん断捨離も進めないと物が溢れてしまうことになる。まず目についたのが白無地のTシャツ。どんなに漂白しても次第に黄ばんでくるもの。一気に捨ててしまおうと思ったら「小さくカットして靴磨き用の布に出来る」とアドバイスされた。
歩き方が悪いのか片方だけ穴が開いたソックスも発見。これもまとめて捨てようとしたら「サステナブルな時代はモノを最後まで使う」という意識が必要…穴の開いた靴下もダーニング(darning=繕う)を施すことで再び履けるとか。お馴染み3R(Reuse・Redeuce・Recycle)を調べたらソックスを繕うイラストが載っていた。もう一度勉強し直した方が良さそうだ。
ともあれ衣替えも無事終了。Tシャツ&短パン姿の猛暑が来るまでの間にせっせとお洒落を楽しみたい。
By Jun@Room Style Store