北海道バイク旅(第1回) | Room Style Store

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2025/08/10 05:52


昨年の夏は東京と九州を結ぶ東九フェリーで中国・四国周遊バイク旅に出かけたが今年の夏は商船三井さんふらわあで北海道を回る旅を楽しむことにした。目的は北海道の鉄道遺構を巡ること。1964年に4000㌖あった線路はこの四月で2255㌖に半減、鉄道遺構が北海道の観光資源となりつつある。

写真映えのするレトロな駅舎跡や壮大な建造物は鉄道ファンのみならず一般の観光客にも人気だが使われなくなったものは朽ち果てる運命にある。中国の至宝万里の長城も崩落により1/3が消失したそうだ。廃線跡に残る旧駅舎も人口減少が理由で廃止されたことを思えば地元の保存活動にも限界があろう。

そこで今回は北海道の開拓を支え役目を終えた北の鉄道遺構が自然に還る前に記録すべく旅に出ようと思う。

(1) 夕方便
大洗港から苫小牧に向かうフェリーは夕方便と深夜便の一日二便ある。夕方便はレストランやアミューズメント施設が充実、苫小牧着が昼過ぎなので行動半径が広がる反面料金が高い。深夜便はその逆で船内時間の充実度は下がるものの料金は安い。ただし苫小牧到着時間は遅くなる。写真は夕方便。

(2) 乗船受付
乗船受付の様子。窓口は結構混んでいるようだが右の自動発券機は空いている。ネットで予約時すると予約番号とアクセスキーが送られてくるので発券機を使う方が断然早くて楽だ。部屋のキーにもなる乗船カードとバイクに貼る行き先タグ、領収書や案内図などマシンから印刷されて一気に出てくる。

(3) ロビーにて待機
乗船までロビーで待機。19時45分の出航だが17時30分までに乗船手続きを完了するようになっている。まるで国際線並みの待ち時間だが比較的空いたロビーでバイクの搬入開始を待つこと暫し、車(含む二輪や自転車)の積み込み開始は18時20分とアナウンスが入った。小一時間待って搬入口へ向かう。

(4) 運転手以外の搭乗口
こちらは運転手以外の乗船口。そういえば昔スキーを積んで冬の北海道に車で行ったことがある。途中一般道に降りて吹雪の中チェーンを装着、遭難寸前で峠道を切り抜けフェリー乗り場に着いてホッとしたことを思い出した。今も昔もライダーやドライバーは気を使う。一度はこちらから乗船したいものだ。

(5) 車両の搬入
いよいよバイクの搬入…いつの間にかこんなに沢山集まっていた。キャンプ道具を積んだアウトドア派からサイドバッグ装着のアドベンチャー系にロード好き、自分のようなローライダー派もいる。やはりバイク乗りにとって北海道は目指すべき場所なのだろう、去年の九州行フェリーより断然バイクの数が多い。

(6) 搬入口
こちらが搬入口。大型の次に普通車でバイク、最後が自転車になる。因みに下船する時もその順番、つまりバイクは乗るのも降りるのも待たされる訳だ。因みに去年の東九フェリーは行きは後積み後下ろしだったが帰りは先積み先下ろしだったので公平感はある。果たして苫小牧発大洗行き乗船順や如何に…。

(7) 客室エリア
こちらがスーペリアの船室が並ぶ通り。右側がオーシャンビューで左側が窓なし部屋。当然ながら値段が違う。部屋はトイレとシャワーのある三人用。名前はゴージャスだが大人三人で寝るには無理がある。とはいえ九州行きフェリーが室内にトイレもシャワーもなかったことを思えば充実度は高い。

(8) 船室
こちらがスーペリアの室内。ソファに見えるのは折り畳みマット。オーシャンビューといっても出航後すぐに夜が来て翌朝まで海を見ることもないので窓なし船室との差はあまり感じない。海が見たければデッキの方が開放感もある。因みに窓ありと窓なしでは閑散期で2500円、繁忙期は5000円の運賃差がある。

(9) 船室の窓から見た大洗港
窓から出航前の大洗港の様子を撮影したところ。ちょうど海上保安庁の巡視船が停泊していた。PS14とあるが調べると船名は「あかぎ」、海を守る警察の役割を果たしているので船体には機関砲や威嚇用の放水銃を装備している。とはいえ放水銃は消火活動として使われることの方が多いそうだ。

(10) シャワー
こちらがトイレの横にあるシャワー室。船内には大浴場もある。ゆったりと湯船に浸かり大洗まで自走してきた疲れを癒すには十分な施設だ。とはいえせっかくなのでお湯の出や温度をチェック。水圧はやや弱いものの温かくて使い心地も悪くない。下船前にシャワーですっきりさせるのが良さそうだ。

(11) レストラン
こちらがレストラン。夜も翌朝もバイキング形式、苫小牧到着前にはティータイム営業まである。夕+朝食券セットが割引というので試しに購入した。一番混む時間はかなり待つのでオープン前に並ぶかクローズ間近に並ぶか決めた方が良さそうだ。チケット購入時に時間帯を選べた分散するのに…とも思う。

(12) 夕食
豪華客船のようなゴージャスなバイキング料理をイメージしてしまったが品数はそれほど多くない。取り敢えず並んでいるものを少しずつ全て盛り付けてみたのが上の写真、スイーツやフルーツなどは別プレートを追加している。当たり前だが本格的な厨房があるわけではないので冷凍食品が中心だ。

(13) 売店&ラウンジ
こちらは売店。うっかりデジタルカメラにSDカードを入れ忘れて来たので売っていないか探したが当然なし…トランプやオセロといった遊具が置いてあるので長旅で飽きる子供には格好の場所かもしれない。それにしても子連れファミリーの多いこと…そういえば搬入される車も三列シートのミニバンが多かった。

(14) デッキ
朝を迎えて船のデッキに出てみる。陸地は見えず…航路を調べると三陸あたりで一番本州に近づき、その後本州沿岸から離れて苫小牧に航路を変えるようだ。生憎の雨模様、北海道ツーリングの初日がこれでは日頃の行いが悪いのかとも思うが苫小牧の天気予報は傘マークが付いていない…一縷の望みを託す。

(15) ロワーデッキ
ロワーデッキは脱出用集合場所と甲板に書かれている。空にカモメの姿はなし、晴れていれば青い海と白いカモメが絵になるが雨天では致し方ない。デッキも濡れて滑りやすいし何より服が濡れてしまうので退散。スマホを出してみたが四国行きのフェリー同様さんふらわあも携帯の電波が届かないようだ。

(16) 朝食
朝食もバイキングだが朝からカラーライスをチョイス。あとは野菜サラダとヨーグルトがあれば完璧だ。実は「朝からカレーライスは変?」という質問をネット上で多く見かける。自分も普段は食べないが「朝からは重い」という声と「全然OK!」と割れる。因みにイチロー選手は朝からカレーライスを食べるそうな。

(17) 日本丸
いつの間にか雨から晴れに変わっていた。船室で寛いでいると窓の外に優雅な帆船が通り過ぎていく。二代目の練習船「日本丸」のようだ。帆を上げずとも進むことができるよう動力機関を搭載しているとのこと。所属は「海技教育機構」将来の船員を目指して生徒が訓練をしている最中なのだろう。

(18) 苫小牧入港
程なく苫小牧港が見えてきた。航路における北海道の玄関口でありかつては紙の街として栄えたが最近は製造業も進出し人口が増加しているという。行きの大洗港がローカル色豊かな町だったのと比べてビルが建ち並ぶなど真逆の光景だ。隣の千歳市は半導体企業の進出で賑わうなど一帯は大きく変化している。

(19) 下船準備
いよいよ下船準備開始。着岸前に車体転倒留めのストラップは外されている。船内に持ち込んだ着替えや貴重品の整理など皆準備に余念がない。それにしても空いているスペースにバイクを詰め込んだようであちこちにライダーの姿が見える。このあたりは九州に向かう東九フェリーの方が整然としている。

(20) 下船準備②
いざスタンバイはしたものの待てど暮らせどバイクの順番が回ってこない。今やボタンを押すだけで始動する車と違ってバイクは合図が来てからヘルメットを被りグローブを嵌めてエンジンをかける手間がある。しかも船の奥に前輪を向けての駐輪では一体どうやって出るのか…ちょっとしたカオスになりそうだ。

(21) 南富良野へ
結局到着後40分もかかって下船を完了、苫小牧のヤマダ電機でSDカードを買ってから上陸後初の目的地に向かった。街中は40キロ制限だが街を出ると60キロ制限に代わり信号待ちもないことからスマホのナビが示す所要時間より早いペースだ。途中一回給油して午後五時に南富良野の「幌舞駅」に到着した。

ところで北海道へのフェリー旅だが帰りの苫小牧〜大洗を結ぶさんふらわあ以外にも苫小牧東〜新潟を結ぶ新日本海フェリーや苫小牧〜仙台を結ぶ太平洋フェリーなど選択肢が複数ある。とはいえ新潟港行きは20時間かかる上に下船待ちと東京までの自走を考えると一番時間が掛かる経路になる。

次に仙台行きを調べると船で15時間に下船1時間、自走4時間として合計20時間で帰宅できる。ところが今回選んださんふらわあだと船で19時間に下船1時間、自走1時間30分で合計21時間30分、比較すると仙台まではフェリーであとは自走するのが一番早い帰路という結果になった。

今度北海道をバイクで旅するならフェリーは苫小牧〜仙台が良いな…などと旅の初めからもう帰りをあれこれ考えている。

By Jun@Room Style Store