ラルフローレンの靴(前編) | Room Style Store

Blog

2026/03/29 11:59


約40年に及んだノーザンプトンのクロケット&ジョーンズ(以下クロケットと略す)とラルフローレンとの提携が暫く前に終焉を迎えた。現在RRLネームでは990㌦の英国製ブーツを数型揃えているが製造はチーニー、かつて靴売り場に並んでいたクロケット製のドレスシューズが懐かしく思える。

因みに現在598㌦のドレスシューズがサセッティで1895㌦のマウンテンブーツがマルモラーダと共にイタリー製。RRLのスエードウェスタンブーツはスペイン製だ。クロケットが自社販売で地力を付けてきたこともあろうが背景にはコスト削減や利益率向上といった小売戦略の転換が見え隠れする。

かつてアランフラッサーは著書「スタイル&ザ・マン」の中で「ポロNY本店には買う価値のあるものが相当ある。特に英国靴セクションには映画オールドボーイを思わせる4~5型のエレガントなベンチメイドモデルが常に揃っている。」と記していた。これは間違いなくクロケットの靴のことだろう。

そのポロNY本店オープンは1986年、4年後に訪れたがフラッサー推奨のベンチメイド靴は買えず代わりにイタリー製の紐靴を買った。その後も何度か足を運び、念願が叶ったのは海外勤務直前の1995年…既にロンドンでクロケットは見慣れていたがそれでもポロのベンチメイド靴は別格だった。

ともあれ今回は思い入れの多いクロケット製ベンチメイド靴を中心にラルフローレンの靴を2回に分けて年代順にまとめてみたい。

※写真はクロケット製セミブローグが載った1991年秋冬カタログ

【1990年購入その1】
(1) 広告①
初のニューヨーク訪問はポロ本店での買い物がメイン…嵩張らないシャツにネクタイと靴を持ち帰ろうと計画した。因みに当時の広告を見るとベンチメイド靴ではなく華奢なイタリー製マッケイ靴を載せている。結局自分が手に入れたのもまさにこの靴…色違いの茶色だった。

(2) トリビュート①
上の広告をトリビュートしてみた。グレンチェックの上着から小物まで全てラルフもので構成している。イタリア製の華奢なマッケイ靴に違和感を覚えたが思い返せば当時はGアルマーニを筆頭にイタリアンパワーがメンズファッションを席巻していた時代だと気づいた。
※アメリカでは外羽根であっても端に紐靴のことをオックスフォードと呼ぶらしい。

(3) 広告②
こちらも当時の広告。多分出し縫いなしのマッケイ靴だろう。フルブローグではなくウィングチップと書くのがアメリカ流。ワイドなパンツの裾からのぞくつま先こそラルフな着こなしだったのだろう。その後銀座に開店したポロショップにもリーガル製マッケイ靴が並んでいた。

(4) トリビュート②
上のウイングチップ広告をトリビュートしたのがこちら…一番太いパンツを選んだらネイビーのチョークストライプスーツになった。オンワード樫山のライセンス品だが隣のダレスバッグは英国もの。ブルックス青山本店で買ったロンドンの名門ピールの名が入っている。

【参考資料】
ローレンスフェロウズの世界観
ラルフローレン自身デザインインスピレーション源として1930年代の黄金スタイルを挙げている。その時代を象徴的に描き出したローレンスフェロウズのイラストがポロの世界観に影響を与えたことは想像に難くない。イラストの中のスーツ姿の男性はポロの広告そのままだ。

(5) 初ラルフの靴
こちらが初ラルフローレンの靴。帰国後、広告に写っていたシューツリーをポロショップのディスプレイで発見。靴から外してもらってまとめ買いした覚えがある。輸入元はリーガル、同じアメリカ製ツリーより割高だがラルフワールドの再現に欠かせない小物だった。

【1990年購入その2】
(6) 広告③
1990年の初アメリカ訪問は舞台をワシントンDCへ移して再びショッピング開始。今度は首都のポロショップを訪問した。スーツスタイルは英国調でもカジュアルはアメリカンがラルフの真骨頂、当時の広告にはサンタフェモカシンと称してアメリカ製の手縫い靴が載っていた。

(7) トリビュート③
サンタフェモカシンの広告をトリビュートしてみたのがこちら。ワシントンDCで買ったモカシンは中敷きが剥がれたが36年経った今も現役。今時履く人も少なかろうがたまに履くと新鮮だ。ドラシューがわりに四駆を運転、近場の海までドライブして波打ち際を歩きたくなる。

(8) 現在
生成り色のレザーは思ったよりも柔らかい。近くで見ると革にシミが浮き出てきたり擦れた跡もある。それでも捨てられないのが靴好きの性分、何しろ最初で最後(多分)のワシントンDC訪問ゆえ思い入れも大きいしサンダルやスリッパ並みの解放感は他の靴じゃ味わえない。

【1993年購入】
(9) 広告④
1993年にハワイのアラモアナショッピングセンターで買ったのが上の広告の靴。名前はトレイルガイドモカシンだそうな。踵と靴底が一体となったモールドソールを機械で縫い合わせたモダンなモカシンはモカシンの聖地メイン州、中敷きはポロカントリーのタグが付いている。

(10) トリビュート④
今度はトレイルガイドモカシンをトリビュートしてみた。ソックスとコーデュロイジーンズはラルフローレン。隣のバッグは前回のブログで紹介したロイドフットウェア銀座店購入のキャンバストートになる。持ち手が革の編み込みというのが英国製らしい。かなり使い込んだ。

(11) 1993年のカタログより
右下がトレイルガイドモカシン。ピンタレストで「ラルフローレンの靴」と検索するとこうした写真が多数表示される。それだけラルフローレンが靴に力を入れていた証拠だろう。最近はポロもポールスチュアートもブルックスブラザーズも靴に力を入れないのが残念。

【1995年購入】
(12) 広告⑤
こちらはポロのサドルシューズ広告。イーベイで確認したが間違いなくクロケット製だろう。ホワイトスエードバージョンはなかったがあれば欲しくなる。チノパンの裾ロール+ドレス靴の素足履きはポロが発祥、某ファッション雑誌でもロールのやり方から解説していた。

(13) トリビュート⑤
サドルシューズの広告をトリビュートしたのがこちら。靴はホワイトバックスになったがいよいよ初クロケット製ベンチメイド靴の登場になる。素足履きと相性良しのパッチマドラスパンツはニューヨーク州ロチェスターのオコンネル製。数少ないアメリカ製のパンツだ。

(14) 珠玉の一足
ラルフローレン別注のクロケット靴はDウィズというのが一番の売り、何しろクロケットの正規店でも買えない…たとえMTOであってもウィズの変更は受け付けないのだ。写真で見ても如何にスマートか分かると思う。迷わずハーフインチ大き目を買うのがコツだ。

【1995年購入】
(15) 広告⑥
ベンチメイド靴と同じく連綿と続くアメリカンモカシンシリーズの広告。写真上のブーツをオーストラリア旅行用に駐在先で購入。エアーズロック登頂記念に今も屋根裏で保管されている。やがて現地のポロショップにRRLコーナーが出現、ポロカントリーは吸収されていった。

(16) トリビュート⑥
そのポロカントリー靴をトリビュートしたのがこちら。緑のタグは復刻ではなく元祖だ。因みに長靴は中国製で短靴がアメリカ製、メイドインUSAカタログ世代としては米国製に拘りたい。ポロカントリーのポップアップストアが銀座松屋で開催された影響で引っ張り出してみた。

(17) トリビュート⑦
こちらはポロカントリーの短靴をトリビュートしたもの。足首でクタクタっとさせたラグソックスがポイントだ。モカ部分の歪みもハンドソーンならでは…このタイプの靴はアメリカンアウトドアブランドの十八番、我が家にもティンバーランドにエルエルビーンなど何足もある。

(18) 現在
最近は出番もなく屋根裏で長年待機中のブルッチャーモカシン。今年は5月の中頃から6月末までボストンに滞在予定。お隣メイン州のランコートアウトレットにドライブがてら行こうと計画中だがボートモカシンを買って帰ると益々この手の靴が増えそうだ。

【1998年】
(19)  トリビュート⑧
こちらはポロバイラルフローレンの旧タグ、いわゆるブルーレーベルのキャンプモカシン。バーガンディの色目が気に入って当時よく履いた。シアサッカーの柄物パンツとピンクのソックスに白赤トートと色目を揃え、文字を同系色で揃えるとラルフ調の広告に見えてくる。

(20) ラルフローレンの靴
前編最後の写真は我が家のラルフ靴大集合。スニーカーは省いたので実際はもっと並ぶはず。ラルフローレンの靴に対する拘りが詰まった傑作靴といえばクロケット製ベンチメイドのマーロウコードバンシリーズだろうが今も続くアメリカ製ハンドソーンモカシンも見逃せない。

ラルフローレンに限らず多くの服飾ブランドが靴部門からの撤退や縮小を進める理由をAIに尋ねると①在庫リスクの回避②コスト削減③消費トレンドの変化を挙げていた。靴は専門的な技術力が必要な為服飾ブランドはコスト面で勝てず消費者に敬遠されがちと指摘している。

具体的に❶靴は0.5サイズ刻みと細かく服より在庫を抱えるリスクが高い❷効率の悪い靴部門の休廃止によるコスト削減と好調な部門に資源を集中させる戦略が主流❸カジュアル化が進み服飾ブランドの革靴よりメーカーの出すスニーカーに好みが移っていると回答している。

前編はここまで。後編は2000年代に入りボロバイラルフローレンからバイが消え、ロゴが変わり遂にクロケットとの提携終了まで急速に変わりゆくラルフローレン靴の変化を追ってみたい。

By Jun@Room Style Store