永世定番(アウター中編) | Room Style Store

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2020/11/28 11:13


前回の永世定番アウター前編ではピーコートに始まりポロコートを挟んで最後はライダースジャケットとカジュアル寄りだった。今改めてクローゼットを眺めてみるとスーツやジャケットの上に着るアウター(コート)が思った以上に少ない。もっともフォーマル&ビジネス用はドレスコードが明確で型も決まっているので、用途に応じて揃えたラフ&カジュアル用と比べると少数派なのも頷ける。


今回紹介するものはオン・オフどちらのアウターも着慣れたものが殆ど…中には30年以上愛用しているものもある。当然シルエットは今のモノと違って作りが大きく古臭さは否めないが、機能は決して衰えていない。むしろ最近のモノよりもしっかりとした作りだったりする。そこで今回は当ブログコートを纏うでも紹介したスーツ用のアウターを少々、後は田舎暮らし専用のアウターをメインに紹介しようと思う。

※扉の写真は今回のラフアウターに合わせたワークシャツとウェスタンシャツ。いずれも柄のはっきりとしたコットンネル素材で復刻版ポロカントリーのもの。

(1) #07 カーコート
大柄の格子が入ったツイード生地のカーコートは裏地が取り外せるタイプ。袖付けがラグランではなくセットインなので小さめのアームホールと相俟ってドレッシーな雰囲気を醸し出す。製造はイーストロンドンに工場を構えるグレンフェル。高品質なアウターで評判のブランドに別注をかけたのはNYの名店ポールスチュアート…襟にレザーを配するところなどポールスチュアートならではの洒落心が感じられる。かれこれ10年選手になるがお気に入りのアウターだ。
カーコート : Grenfell
シャツ : Hackett
ネクタイ : Polo Ralph Luaren
デニム : RRL
グローブ : MEROLA
シューズ : Edward Green

(2) #08 バルカラーコート
スーツ姿に合わせるコートのトップバッターは通称ステンカラー、正確にはバルマカーンコートと呼ばれるものだ。スーツよりコートが目立つのがトレンチだとすればスーツを引きたてるのがバルカラー。様々なブランドがあるがここは老舗のアクアスキュータムを押したい。何しろエベレスト登頂時にヒラリー卿が着た綿80%・ナイロン20%のウィンコルクロスを供給した実績がある。着ているスーツはロンドンのファーラン&ハーヴィーによる誂え。隠れて見えないがシングルピークで、ヘンリープールのサイモンカンディが「良いスーツだね、ハンツマンかい?」と聞いてきたことが懐かしい。
Bal collar coat : aquascutum
Suit : Fallan & Harvey
Shirt : Black Fleece
Necktie : Paul Stuart
Shoes : John Lobb Paris


(3) #09 ツィードコート
こちらはツィードのコート。ロンドンの老舗Westaway&Westawayのもので昔BeamsFが引いていたものだ。如何にもハリスツィードらしいヘリンボーンの生地を使ったコートは30年近くたつが今も現役。在宅ワークが主流になり、スーツを着なくなりつつある中でこうしたビジネス用のコートを仕事以外で如何にカジュアルに着こなすか…あれこれ思案している。
Tweed coat : Westaway&Westaway
その他 : (2)のコーデに同じ


(4) #10 ローデンコート
こちらがメイドインオーストリアのコート。以前ローデンコートと紹介したが生地も作りも違う。何よりローデンクロスを用いているはずがこちらはカバートクロスを採用。また両脇後ろにアクションプリーツが入るのが本格的なのにこちらはセットインスリーブ…シルエットは似ているがむしろバルカラーの一種と考えたほうがよいかもしれない。ブランドはポールスチュアート、別注が得意なだけにローデンコートをベースに商品化したとも考えられる。いずれにしても重宝する1着ではある。
Loden coat : Paul Stuart
その他 : (2)のコーデに同じ

(5) ジョンロブパリの靴
靴はジョンロブのSeymour(セイムール)。旧エドワードグリーンの工場を買収、エルメス傘下となって上質な革と一流の工場でトップ入りをした頃のものらしく、Paris(パリ)の表記が付いている。旧グリーンの名ラスト旧#202を継承した#8695ラストを採用しているだけにスタイルも履き心地も一級。個人的にはエドワードグリーンのカドガン(よく似たセミブローグ)より気に入っている。


(6) #11 マウンテンパーカ
アウトドア好きなら知らぬものはないシェラデザインのマウンテンパーカ。コットン60%(横糸)+ナイロン40%(縦糸)で織った60/40クロスは水分を含むとコットンが膨らみ織り目を塞ぐことで水分の侵入を防ぐ…という当時は画期的なハイテク素材だった。価格も90年代の2万円台から今も4万円と良心的な価格を維持しているのが嬉しい。弊社チーフWaka@RoomStaffによると最近のものはスリムになったと言う。マウンパ好きの嘆きを確かめるべく一度取扱店をのぞいてみようと思っている。
Outer : SIERRA DESIGNS
Shirt : Polo Country
Tshirt : Camber USA #302
Denim : RRL
Shoes : Redwing #8166

(7) マウンテンパーカ(その2)
こちらは同じ60/40クロスを用いたRRLのマウンテンパーカ。ウェスタン風のアンブレラヨークやハンドウォーマー、外出しのドローストリングに大きなフラップ付ポケット、収納できるフードや随所に見られる革パーツが着手を魅了する。シエラデザインとはかなり違う雰囲気だが60/40クロスのマウンテンパーカはハイテク素材が主流の今だからこそ永世定番として1着は持っていてほしい。ブーツはユケテン、クォッディに別注をかけて独自のメイドインUSA シューズ&ブーツをリリースしているブランドだ。
Outer : RRL
Shirt : Polo Country
Denim : RRL
Belt : RRL
Boots : Yuketen


(8) #12 ダッフルコート
惜しまれつつ2012年に閉店したパリはキャプシーヌ通りのOLD ENGLAND。服好きならば一度は訪問したであろう名店で購入した思い出のダッフルコートがこの着こなしの主役だ…有名なトリプルパイル(三重織)のヘリンボーン生地を用いた英国インバーティア製のこのコートは、オールドイングランドを代表する商品、冬に訪問すると何色ものコートがサイズ毎に並ぶ圧巻の売り場が見ものだった。生地は有名なジョシュアエリスとのことで、昨年日本で復活、渋谷に路面店ができたと聞くがかつての栄華を知るだけに気持ちは複雑だ。
Outer : Old England
Shirt : Brooks Brothers
Necktie : Polo Ralph Lauren
Vest : Polo Ralph Lauren
Denim : RRL
Scoks : Brooks Brothers
Shoes : Tricker's


(9) #13 オイルドコート
オイルドコートといえばバブアー…どっこいこちらは同じ英国製ながらMulberry(マルベリー)のもの。当時はロンドンはBond St駅近くのSt. Christopher's Plに小さな店を構え、英国製で良質な鞄やベルト、服や靴を扱っていた。購入は1992年3月。あまりに寒くて「コートを買う!」と決めて入店したことを思い出す。後で青山に店ができると日本にも数点入荷した入荷したようで、襟や肘あて、袖先など随所に革のパーツを使った「バブアーよりお洒落なコートに目を付け、某音楽家が購入していった」と店員から聞いた。
Outer : Mulberry
Sweater : Paul Sttuart
Shirt : Brooks Brothers
Socks : Brooks Brothers
Shoes : Tricker's


(10) #14 フィールドコート
1980年代のLLビーン製フィールドコート。今も生産されているアイテムだがこちらはアメリカ製。中のウールライナーが取り外しできる一番ヘビーなタイプだ。コットンダックの表地は棘や茨に強くフィールドワークの強い味方、森の中では欠かせぬ相棒として夏以外は常に稼働している。田舎家に置きっぱなしのアイテムのひとつで、先日はライニングを付けて冬支度に備え仕事に精出した。薪の木片が服に刺さることもなく木屑も軍手で叩けばOK…なんとも頼もしいではないか。
Outer : L.L.Bean
Shirt : Polo Country
Mufler : Polo Ralph Lauren
Tshirt : Camber #302
Denim: Polo Dungarees
Boot : Redwing #8166


(11) #15 ハイテックアノラック
こちらは最新のアウター。2018年ラルフローレン社が50周年を迎えた際、復活したポロハイテックシリーズのアノラックだ。ボンディングされたシェルは完全防水と高い保温能力をもつ。15以上あるポケットをどう使うかはフィールド次第…何ともアウトドア好きの心をくすぐるではないか。80年代のワークシャツと違和感なく合わせられるデザイン性も兼ね備えるなど実に心憎い。足元は1996年購入のワークオックスフォード。当時オロラセットレザーの靴はこれしかなかったと思う。
Outer : Polo Hitech
Shirt : polo Ralph Lauren
Denim : RRL
Shoes : Redwing  #8103

永世定番アウター編もこれで2回目、あと1回で完結するところまで来た。服好きは「長く着られるものを…」とつい考えるところがあって、どうしても秋冬物のボリュームが多くなってしまう。そもそもアウターという名前からして服の上に羽織るのが前提、防寒であったり防塵であったり、或いは暴風であったり防雨であったり…目的別に揃えると自然に数が増えるのも致し方ない。

知り合いにコートが好きでスーツの数以上にコートを所有するファッショニスタがいる。装いの一番上で目立つだけにデザインや素材に拘って1着また1着と増えるのも分かる気がする。そういう我が家のコート類も数えたら結構な数になるだろう。幸い田舎家にスペースを確保したので後は自宅に置くか田舎家に置くか選別するだけ…だが既に何度もつぶやいているようにこれが難しい…。

by Jun@RoomStaff