2026/01/13 10:46
11月に大物ビスポークのブレザーとシャツを受け取ったせいか衣類に食指が動かなかったがふと気が付くと年末年始でボトムスを三本購入していた。昔から流行に敏感なのがパンツ類。スリムだったりワイドだったり、或いはローライズだったりハイウェストだったりと絶えず変化を繰り返してきた。最近は足のラインを拾わないリラックスフィットやワイドパンツ、ストレートパンツが主流だという。昨日20年前のイタリア製インコテックスを久しぶりに履いてみたら「なんか垢抜けないな」と感じた。きっと知らないうちに流行りのパンツのシルエットが脳裏にインプットされていたのだと思う。
そこで今回は「流行ではなくスタイル」をタイトルに掲げつつも時流に乗ったボトムスを三本も購入した顛末について記しておこうと思う。
※扉写真は選んだボトムス三点
【リミテッドエディションチノ】
(1) セルビッジオフィサーズパンツ

写真は2025年の買い物でも紹介したRRL秋冬もののリミテッドエディション。このところ限定品のラインナップが縮小気味のRRL…一時期は限定100本或いは200本といったアメリカ製デニムがシーズン毎に売り場に並んでいたことを思えば寂しい限りだ。
(2) セルビッジ部分

元々RRLの限定品は日本産デニム生地に頼っていた部分が大きい。セルビッジはもとより右綾織りや左綾織りに染めの技法、ライトオンスからヘビーオンスまで毎シーズン魅力的な生地を使ってアメリカ縫製にこだわったデニムが売りだった。今季のリミテッドエディションでも日本製生地が要となっている。
(3) プロダクツ

商品名は「オフィサーズセルビッジパンツ」。ミリタリーチノとの違いはシルエットがスマートなところだろうか。オフィサーズの場合は生地も同じツイル地ながら双糸を用いたウエポン生地が用いられるそうな。因みにウエポンとはウエストポイント陸軍士官学校の略語とのこと。
(4) リミテッドな内タグ

シーズン毎に「リミテッドプロダクションラン」の限定ものが店頭に並ぶのが楽しみだったが最近はどうも縮小ぎみだ。その裏には「シーズン毎に限定品を出し続ける手法は環境や経済、社会的な問題に対して持続可能ではないと判断されつつある」ためとAIは指摘している。
(5) タグやフラッシャー

薄っすら汚れたような新品のタグに擦れたタイプライター文字。これが真っ白な厚紙に文字が印刷されただけのタグだったら購買意欲が湧かなかったかもしれない。実際タグやフラッシャーのデザインはブランドイメージや製品の魅力を高める重要なマーケティングツールだという。
(6) ボタンフライ

オフィサーとは将校を指す。兵士や下士官と違い通常はジップフライのパンツを履くらしいがRRL ではボタンフライにしている。昔はサビルロウでスーツをオーダーする時もボタンフライをお願いしていたが最近は歳を取ったせいかジッパーの方が楽でいいのに…と思い始めている。
(7) シルエット①

ストレートレッグというよりVAN世代は「パイプドステム」の方が分かりやすいだろう。オフィサーズ即ち将校のパンツらしく実にスマートだ。タタキで折り返したのでダブルに見えるが赤耳もチラリと覗いている。足元は水牛の革を用いたハンドソーンのホワイツだ。
(8) シルエット②

前から見た図。同じ綾織りながらデニムと違って履いていても伸びない。日本産の11.6㌉のチノクロスは細い糸を高密度で織っているので見るからに丈夫そうだ。ゆったりとした履き心地が欲しいので1㌅サイズを上げて32㌅をチョイスしたがそれでも前から見たシルエットはかなり細い。
【リミテッドエディションデニム】
(9) 稀少なアメリカ製

お次もRRLのリミテッドエディション。ただしRRLの路面店でもオンラインでも商品の扱いはなくゾゾタウンのRRLでのみ取り扱っていた。昨年の春夏もの商品だが入荷が遅れたのか夏のセールにはかからず秋冬もののセールで売るには季節外れだったのかもしれない。
(10) 耳部分

裾を捲ると従来の赤耳ではないシンプルなセルビッジが見える。持った瞬間に分かるがかなり軽い。フラッシャーには9㌉と書かれている。オンラインショップの商品説明によれば「コットンとリネンの混紡」だそうな。如何にも春夏ものらしい淡いブルーが特徴だ。
(11) ターコイズブルー

因みに同じリミテッドエディションでよく似たターコイズブルーの二本を比較してみた。写真上の12.25㌉のハイスリムと写真下、今回の9㌉を比べると同じリジットでもゴワつき度が全然違う。ヘビーなリジットデニムを育てようという根性が不足しがちの自分には9㌉のリジットが有難い。
(12) プロダクツ

数シーズン前まではワイドレッグの限定デニムが立て続けにリリースされたが最近はスリムだったりストレートだったりと手を変え品を変えてきている。バックルバックのディテールは他のブランドには見られない如何にもRRLなディテール、殆ど飾りだがリミテッドらしい特別感がある。
(13) リミテッドなタグ

デニムにもお約束の「リミテッドプロダクションラン」のタグが付く。因みにオンラインショップで調べると今季の限定ものは全部で9点、ウェブ上では製造国が記載されていないが革小物やテディベアに重衣料といったラインナップを見れば間違いなく米国製ではないだろう。
(14) シルエット

リーバイス501にも通ずるストレートレッグ。如何にもクタッとした感じが軽いデニム地を物語っている。本革底のレザーシューズでは重たすぎるのでせいぜい白いスペリーソールのデッキシューズ、できればホワイトソールのスニーカーと行きたいところだ。
(15) デニムスニーカー

写真はノースキャロライナのマイクロブランド「オピウェイ」のハンドメイドスニーカー。同じノースキャロライナのレガシー、ホワイトオークを受け継いだセルビッジデニムで作られたスニーカーだ。2024年の台風で休業を余儀なくされたがいよいよ再稼働し始めたようだ。
(16) メイドインハワイ

パンツの色目に合わせてアロハシャツを着せてみた。分かりづらいがココナッツボタンのアロハシャツはメイドインハワイ。ところでこの年末年始は大勢の日本人観光客がハワイを訪れたらしい。このところの円安にも関わらず大幅な増加だそうでANAによればコロナ前後を含め過去最多を記録したそうだ。
【ツイードトラウザーズ】
(17) ハリスツイード

最後に選んだのがウールスラックス。裾はシングル仕上げが必須の地厚な生地…ツイード界を代表するハリスツイードの生地だ。以前から愛用していたブラックウォッチのツイードパンツはノマドと暮らす第4回で紹介済みだが訳あってここで追加した。
(18) アメリカ製

縫製は希少なアメリカ製。シップス展開のサウスウィックだ。元はブルックスブラザーズ傘下だったが工場は消滅、今はNY州ロチェスターテイラードクロージングに別注していると思われる。名門ヒッキーフリーマン傘下の工場だったが数年前トムジェームスに買収された。
(19) シルエット

裾を内側に折り返しているが膝下ストレートなシルエットが特徴。AI曰く「長らく続いたワイドシルエットはピークアウトしてスリムストレートが再び戻ってくる」との予想が出ている。ハイウェストにプリーツ有りがポイントとのこと。旬なディテールのスラックスということになる。
(20) ディテール

RRLと違ってこちらは嬉しいジップフロント。生地が厚いのでクラシックな2プリーツより1プリーツの方がすっきりして見える。今までサウスウィックのパンツはアウトプリーツなのが気になっていたがようやくフォワードプリーツになったのも購入動機の一つだ。
(21) セットアップ

今回敢えてブラックウォッチのパンツを追加購入したのは以前購入したRRLのツイードジャケットと「同じ生地に違いない」と見切ったから。もっとも上着は2021年の購入。4年もの開きがある。色味の違いなどリスクはあったが取り寄せて合わせたらドンピシャの大正解だったようだ。
(22) 上下組み合わせ

上下ブラックウォッチのツイードセットアップもこうして見ると中々格好良い。昔なら躊躇したかもしれないがハンツマンで大柄ツイードの3ピースをオーダーして以来、多少のことでは派手に思えないから不思議だ。因みにネクタイも英国製のJ.ドレイクスを締めている。
(23) イタリア製とアメリカ製

ジャケットはイタリー製、以前はコルネリアーニ製だったが今はカルーゾ製か…一方のスラックスはアメリカ製という珍しいコンビの誕生だ。その昔ウィンザー公がジャケットをサビルロウで、組下のスラックスをナポリで作らせたという話をふと思い出した。
(24) 足元

足元はジョージクレバリーのビスポークブーツ。内羽根式のドレッシーなシルエットにカーフとピッグスキンをサンドウィッチしたアッパー、スリークなつま先とラギットなゴイサーのコバ周りが唯一無二の存在感を放つ。個性の強いセットアップスタイルに負けないブーツだ。
《類似プロダクツ①》

こちらはネットで拾ったブラックウォッチのスーツ。スタジオスーツという名のオンラインショップで国籍等は不明だ。やや柄が小さめのブラックウォッチは310ー350㌘のヘビーウェイト。勿論ハリスツイードで仕立てているとのこと。定価は689㌦、108,970円と手頃だ。
《英国ブランド発①》

こちらは今回紹介したものと同じハリスツイードのセットアップ。ロンドンの「トーマスファーシング」オンラインから写真を拝借している。英国らしいスラントポケットが特徴、ジャケットとスラックスとウェストコートそれぞれ単品で購入できる。因みに合計金額は142,500円とこちらも手頃だ。
《英国ブランド発②》

こちらはトーマスファーシングのインスタグラムアカウント。ショップのディスプレイを見ているとRRLの影響をかなり受けているように見える。オンラインショップだけでなく実店舗を大英博物館前のミュージアムStに構えておりグーグルの口コミ評価は4.7と高い。
毎年少しずつシルエットを修正しながら流行が動いていくメンズのボトムス。ピークアウトすると予想されるもののワイドシルエット人気もしばらくは継続すると見られている。またスキニーほどではないにせよよりタイトなスリムフィットも復活の兆しを見せているそうだ。
映画「プラダを着た悪魔」でファッション誌の編集長ミランダは「トレンドはデザイナーやファッション業界の上層部が作り出しそれが波及して一般の人々の手に渡る」と説いていた。特にカラーは2年前に決まっており今年の流行色は2024年に考えられたものだそうな。
今回紹介したターコイズブルーのRRLデニムも実は2025年のトレンドカラーと判明。流行とは縁遠いと思っていても実際は流れに乗っていることを実感した。因みに2026年春夏のトレンドカラーは12色、ぜひ取り入れてみたいと思う色は「オリーブグリーン」だ。
By Jun@Room Style Store
