2025年の買い物 | Room Style Store

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2025/12/27 08:32


間も無く2025年も終わり…今年の日本は緩やかな景気回復にとどまるものの大手の冬のボーナスは初の100万円台と報道されていた。我が身を振り返ると年に3回海外で誂え三昧だった頃より倹約志向と思っていたが全くの思い込み…知らぬ間に月一で買い物していた。

とはいえ円安の進行とドル高ユーロ高ポンド高が続き、巷では日本の服や職人の方が良いという声がある。靴の製甲技術も服の縫製技術も既に遜色ないレベルとも聞く。だが靴服関係は欧米に一日の長がある。未だ学ぶことは多いはず。結局買った物は海外由来が殆どだった。

そこで今回は2025年の買い物を振り返ってみようと思う。

【ベスト10圏外】
(1) アメリカ製キャップ&BDシャツ
今年買ったものは全部で12点。次点の11位にJプレスとアメリカントレンチのコラボキャップが、12位にサウスウィックのBDシャツが入った。この手の商品は日本のメーカーだと縫製が優秀なせいかカチッとし過ぎる印象がある。やはり本場アメリカ製に拘りたい。

【第10位】
(2) デニムジャケット
ここからはランキング形式、まずは第10位から紹介してみよう。写真は日本産デニムを使ったジージャン。「レイルローダージャケット」の名で販売されたものだ。背中には機関車の刺繍が施されており特別感が漂う。それもそのはずこちらはRRLのリミテッドエディションものだ。

(3) 限定品
デニムジャケットの下にもリミテッドなネイティブ柄のパッチワークシャツをインした図。残念ながらどちらもアメリカ製ではない。トランプ政権によりアメリカの製造業が復活するかと期待したが人手不足と高コストにドル高で輸出競争力が低下していると報じられていた。

【第9位】
(4) オフィサーズチノ
第9位に入ったのはRRL秋冬リミテッドエディションのオフィサーズチノ。アメリカ製ではないが隣国メキシコでもない。なんとインドネシア製ではないか。関税政策の影響か中国以外のサプライチェーンを新たに構築したものと思われるがプライスは驚きの7万円越え…。

(5) 日本製耳付きツイル
リミテッドエディションというからには惹きつける何かが必要…ということでチノパンにセルビッジを組み合わせるアイデアに出た。裾を捲ると赤耳がちらりと見える仕掛けだ。デニムもチノクロスも共に綾織り、11オンスのツイル地を日本の生地メーカーに別注したとのこと。

【第8位】
(6) 551ZXX
第8位はバレンシア工場製の551ZXX。ホワイトオーク工場の耳付きデニム地を米国内最後のリーバイス直営工場で仕上げた90年代の傑作だ。リーバイスビンテージクロージングの初期作品として同時期の501XXは既に高値が付いているがこちらはお値段控えめだ。
ブログ内参考記事:リーバイスを買う 

(7) コーンデニム
1890年に発売された501XXは1915年以降コーンミルズ社から一貫してデニムを仕入れ501を生産し続けて来た。この関係はゴールデンハンドシェイクと呼ばれる協業体制だったそうだ。その後コーンミルズ社はコーンデニムと名を変え今に至る。

【第7位】
(8) アングラーモック
第7位にはユケテンのアングラーモックがランクイン。その名のとおり「釣り人」が履くであろう靴をイメージしたものだ。アメリカンハンドソーンに拘ったユケテンらしい製品はかつてのティンバーランド3アイクラシックラグを彷彿とさせるがアイレットは4つに変更している。
ブログ内参考記事:Made in Maineの靴(続編)

(9) ハイキング
もちろん釣り人じゃなくても楽しめるのがこの靴の魅力。ミリタリー調のデイパックにフェルトのキャップ、ヘビーオンスのチノとラグソックスに合わせてアウトドアを満喫したくなる。理想はアングラーモックの名のとおり渓流釣り、それもフライフィッシングか。

【第6位】
(10) オールデン#54321
第6位も靴がランクイン。オールデンの中では特に日本で人気の連番#54321モディファイドUチップが選ばれた。マンハッタンから車で約1時間、コネチカット州にあるシューマートが独占的に仕入れているリジェクト品からオンライン購入したものだ。

(11) デニム&オールデン
靴の作りは英国靴の本場ノーザンプトンや日本の靴メーカーと比べるとよく言えば大らか、ともすると粗いと評されるオールデンだがパリのアナトミカを始めビームスやシップス、ユナイテッドアローズなどセレクトショップが店頭に並べたくなる独特の魅力がある。

【第5位】
(12) ピンホールシャツ
第5位に入ったのが久々のビスポークシャツ。馴染みのテイラーが展開する誂えシャツに挑戦してみた。冒頭で触れたが年に3回海外で靴や服を誂えていた頃はシャツも頻繁にオーダーしていた。ところが故落合正勝さん同様ある時「シャツは既成で十分」と思うに至り、以来ずっと遠ざかっていた。
ブログ内参考記事:英国のテイラー

(13) クラブカラー
ロバートベイリービスポークのシャツは仮縫いなしで一着目を仕立ててから微修正を繰り返して完成度を高めるやり方だそうな。ラウンドの襟はクラブカラーとも呼ばれるが更にもう一段凝ってピンホールをリクエストしている。出来上がりは満足度も高く気分が上がるシャツが完成した。

【第4位】
(14) ジョンロブタッセルローファー
第4位はコロナ禍でトランクショウが中断した2020年にオーダーしたタッセルローファー。なんと5年の月日を経て今年ようやくデリバリーされた。注目すべきは既に廃業して久しいトップクオリティのカールフロイデンベルグ黒カーフを用いている点。
ブログ内参考記事:ロンドンからの小包

(15) 正統派の黒
昔は「ブラックのフォーマルさとローファーのカジュアルさ」がバッティングする黒のローファーは意外と履きこなすのが難しいなと思っていた。だが歳を取ったせいかきちんとした装いかつ快適という「良いとこ取り」のように思えてくるから不思議なものだ。

【第3位】
(16) サックブレザー
第3位はアメリカのブルックスブラザーズから直輸入した№1サックブレザー。同じ商品ながら日本展開品は胸箱ポケットなのに対してアメリカ版は王道の3パッチポケットなのが良い。ドル高の今だと元値も高いが輸入する日本国内より関税を払ってもお得な買い物だった。
ブログ内参考記事:BrooksBrothersの復活

(17) オールアメリカン
縫製はヒッキフリーマンを請け負っていたロチェスタークロージング、大手に買収され、名前がロチェスターテイラードクロージングに変わったようだ。ヒッキーフリーマンはアメリカ国外に縫製工場を確保したとのこと。アメリカ国内の製造業も再編が進んでいる。

【第2位】
(18) ビスポークブレザー
第2位もブレザー。よほどブレザーが好きなのだろう、最近はネクタイ締めて外出するなら毎回ブレザーでもいいかなと思えるほどの入れ込みようだ。こちらは先述した馴染みのテイラーロバートベイリーの手による6ボタンのダブルブレステッドブレザーだ。
ブログ内参考記事:英国のテイラー

(19) 英国仕立て
第3位の寸胴型サックブレザーと違ってこちらはウェストサプレッションの効いたグラマラスな仕立てが特徴。ハイアームホールの袖筒や両胸脇のイングリッシュドレープ、柔らかく返る下二つ&一つ掛けのラペルなど久々に服を仕立てる感動を味わった。

【第1位】
(20) ジムニーノマド
最後は服飾ものではなく久々の国産車、ジムニーノマドが栄えある第1位にランクインした。ブログタイトルは「ファッションではなくスタイル」、車もスタイルに欠かせないギアだ。同じ四輪駆動ながらフルタイムの外車からパートタイムの国産クロカン四駆に大転換したが満足度は非常に高い。
ブログ内参考記事:ノマドと暮らす(第2回)

(21) 田舎暮らしの良き伴侶
車が変わると服装も自ずと変わる。久々にオイルドクロスのアウターを羽織り肉厚なツィードパンツやトリッカーズを引っ張り出してみた。ジムニーノマドは今年1月30日の販売開始後四日で受注停止になったが来年1月30日に販売を再開するという。恐らく予約が殺到するだろう。

思い返せば2000年当時、海外で買い物していた頃は今よりもっとリーズナブルだったと思う。それがこの四半世紀で驚くほど価格が上がっていた。特にラグジュアリーブランドの顧客選別が著しくエルメスで定価の5~10倍、シャネルが7~10倍でヴィトンは3~5倍とのこと。

それに比べるとテイラーやシューメーカーの値上がり率は良心的と言える。ともあれ2025年の買い物は車の購入を入れると倹約とはかけ離れた一年だった。来年は気に入った生地でシャツを仕立てたり車に合わせてアウトドア関連に出費したりしながら慎ましやかに過ごそうと思う。

問題は来年の4月から5月にスコットランドを、5月から6月にボストンを旅行する予定が既に決まっていること。暫く円安傾向が続きそうなのでロンドンやニューヨークに近づかなければ出費し過ぎることもなかろう。その分スコティッシュサーモンやメインロブスターを堪能したい。

By Jun@Room Style Store